子どもの不登校で母親がメンタル崩壊…うつかもしれない時は?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

子どもの不登校が続く中で、母親だけが学校対応や家庭内の不安を抱え込み、心身ともに限界を感じてしまうことは少なくありません。

眠れない、食欲がない、涙が出る、自分を責め続けてしまうといった状態があると、「私もうつなのでは」と不安になる方もいるでしょう。

この記事では、不登校の子どもを支える母親のメンタルが崩れやすい理由と、うつかもしれないと感じたときに確認したいこと、早めに頼れる相談先について整理します。

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30代女性(主婦・主夫)

中学1年の息子が2か月前から不登校になりました。
夫は「そのうち行く」と言うだけで動かず、学校からは毎週連絡が来て、私だけが右往左往しています。

息子が昼過ぎまで寝てスマホを見ている姿を見ると、つい怒鳴ってしまい、その後ひどく自己嫌悪になります。
夜になっても頭がぐるぐるして眠れず、食欲もなく、最近は涙が出ることもあります。私の育て方が悪かったのか、もっと早く気づけたのではと考えが止まりません。

不登校の母親がうつになるという話を見かけ、自分がそうなのか不安です。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
眠れない夜が続く中で、息子さんのことと自分自身のつらさを同時に抱えてこられたのですね。

限界を感じるのは、それだけ真剣に向き合ってきたからです。

この記事では、子どもの不登校が母親の心身に影響しやすい理由と、今の自分の状態をどう捉えるかについて整理していきます。

うつかもしれないと感じたとき、何を確認し、どこへ向かえばよいかを一緒に考えていきましょう。

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子どもの不登校で母親がうつっぽくなりやすい理由

不登校児童と保護者を対象に行った調査によると、子どもの不登校期間中に保護者の抑うつが強まるケースが多く報告されています。

つまり、不登校が母親のメンタルに影響を与えることは、気の持ちようではなく、状況が積み重なった結果として起こることです。

具体的に、なぜそのような状態に陥りやすいのか、主な要因を見ていきましょう。

終わりが見えない

不登校には「いつ終わるか」という見通しが立てにくい、という特徴があります。

「このまま引きこもってしまうのでは」「受験や進学に間に合わないのでは」という考えが頭を離れず、胸がざわついたり、夜になっても眠れない状態が続くことがあります。

これは意志の弱さではなく、脳が先回りして危険を察知し続ける「過覚醒」と呼ばれる状態です。

終わりの見えない問題に長くさらされると、心身が常に緊張した状態になり、不安が抜けにくくなります。

自分を責めやすい

子どもが不登校になると、多くの母親が「育て方が悪かったのではないか」「もっと早く気づけたはずだ」という自責の気持ちを持ちます。

優しくできない自分への罪悪感が重なると、心の消耗はさらに深くなります。

ただ、不登校の背景には本人の気質・学校環境・友人関係・体の問題など、多くの要因が絡み合っています。

母親の関わり方だけが原因であるケースはほとんどなく、自分を責め続けることは状況の改善にはつながりません。

家族や学校との温度差で孤立しやすい

夫が「放っておけばそのうち行く」と言い、学校からは登校を促す連絡が来る。

そのはざまで、母親だけが子どもに向き合い、感情的にもなりながら毎日をやりすごしている、という状況は珍しくありません。

祖父母から「うちの家系にはこんな子はいなかった」と言われることもあります。

善意からの言葉であっても、深く傷つくことがあります。

誰にも理解されないという孤立感は、母親の限界を早める大きな要因のひとつです。

不登校児の母親がうつっぽいと感じたときの変化

ここで挙げるのは診断名ではなく、相談や受診を考える基準として整理した変化です。
自分の状態を少し離れた目で確認するための参考として読んでみてください。

心に出やすい変化

気持ちの面では、以下のような変化が現れることがあります。

  • 理由もなく涙が出る
  • 怒りがコントロールしにくくなった
  • 常に胸がざわざわしている
  • 何も考えたくない、何もしたくない
  • 先のことを考えると絶望的な気持ちになる

これらは、長期間の緊張や疲労が心に出てきているサインです。気持ちが弱いのではなく、限界に近づいているという体からのメッセージと捉えてください。

体に出やすい変化

心の疲弊は体にも表れる場合があります。

  • 眠れない、または眠りが浅い
  • 食欲がない、または食べすぎる
  • 動悸や息苦しさを感じる
  • 朝から体が重く、起き上がるのがつらい
  • 頭痛や肩こりが慢性化している

不登校対応は24時間終わりがなく、体が休まる時間がとれないまま消耗が続くことがあります。身体症状が複数重なっている場合は、心身の疲弊が進んでいる変化のサインです。

不登校で母親がメンタル崩壊する前に知っておきたい考え方

気持ちを抑え込もうとするほど、消耗は深くなります。大切なのは、現実に合わせて目標設定をすることです。

考え方を少し変えるだけで、毎日が軽くなることがあります。

目標を「登校」から「回復」に切り替える

今この時期に最優先すべきは、登校ではなく心身の安定です。

登校を第一目標にすると、親子関係が対立しやすくなり、母親の焦りも収まりにくくなります。

目標を「安心して過ごせる状態を取り戻すこと」に置き直すだけで、毎朝の会話のトーンが変わり、親子双方の緊張が下がりやすくなります。

0か100かで見ない

不登校を「登校できたか、できなかったか」だけで判断すると、変化が見えにくくなります。

  • 朝に起きられた
  • 食卓に座れた
  • 短く話せた
  • 外に少し出られた

こうした小さな変化は、回復の確かなサインです。

生活の土台が少しずつ整っていく過程を事実として確認していくことが、母親自身の不安を落ち着かせることにもつながります。

親の役割は解決より「土台づくり」

親が子どもの気持ちや行動をコントロールすることはできません

できるのは、安心できる環境を整え、必要な相談窓口につなぎ、一緒に選択肢を探していくことです。

すべてを自分が解決しなければならないという感覚を手放すことで、親自身の消耗がかなり減ります。

抱えるべき課題の範囲を絞ることは、逃げではなく、長く関わり続けるための現実的な選択です。

不登校の子どもに母親がどう関わるとよいか

母親が限界に近いとき、正しい言葉をかけようとするほど空回りしやすくなります。
正しさより、関係を切らさないことを優先するという視点に切り替えると、少し楽になります。

責めるより事実をたずねる

「なんで行けないの」「いつまでこうしているの」という言葉は、責めるつもりがなくても評価として伝わり、子どもを防衛的にさせます。

代わりに、「朝になるとどんな感じがする?」「今いちばんしんどいことは何?」のように、事実を確認する問いかけに変えてみます。

答えが返ってこなくても構いません。答えを求めるのではなく、話せる状態を維持することが、関係の土台になります。

スマホやゲームをすぐ敵にしない

スマホやゲームは、現実の苦しさから距離を置くための手段になっていることがあります。

取り上げると対立になりやすく、唯一の逃げ場を失った子どもがさらに追い詰められるケースもあります。

夜遅くまで続けることで睡眠のリズムが崩れているなど、具体的な課題に絞って話し合う方が、現実的です。

話せない日があっても、関係を切らさない

毎日会話ができなくても、目が合ったときにうなずく、食事を一緒にとる、短い言葉を交わす。

そういった小さな接点を積み重ねることが、子どもにとっての安全地帯になります。

結論や答えを急がなくていいのです。

いつでも話せる場所があるという感覚を保つことが、回復の土台になります。

母親のメンタル崩壊・うつを未然に防ぐ方法

母親が少しでも落ち着きを取り戻せるほど、子どもへの関わり方も安定しやすくなります。

完璧に対処しようとするのではなく、今の負荷を下げることから始めてください。

学校とは方針共有を優先する

毎週の連絡で「早く登校を」という流れになると、母親は追い詰められます。

担任との連絡で最初にすべきことは、家庭の方針を短く伝えることです。

「今は本人の回復を優先しています。連絡は週1回、情報共有を中心にお願いしたいです」という一言を伝えておくだけで、やり取りの負担がかなり変わります。

夫婦で「気持ち」ではなく「役割」を分ける

夫婦で不登校への向き合い方に温度差があるとき、「なぜわかってくれないのか」という話し合いは消耗しやすいです。

大切なのは共感を得ることより、誰が何をするかを具体的に決めることです。

学校への連絡、家事の分担、兄弟(姉妹)の送迎など、役割を言語化して分けるだけで、母親が一人で抱える範囲が減ります。

学びの選択肢を知る

子どもの将来への不安の多くは、「学校に行けなければ終わり」という思い込みから来ています。

現在の学びの選択肢は、保健室登校・教育支援センター・フリースクール・オンライン学習・通信制高校・家庭教師など幅広くあります。

選択肢があることを知っておくだけで、焦りの強さは変わります。

不登校の母親がうつかもしれないときの相談先

つらさが続いている時点で、相談を考え始めるタイミングかもしれません。

スクールカウンセラーは子どものことだけでなく、保護者自身の気持ちの整理にも活用できます。

自治体の教育相談窓口や親の会も、費用なく利用できる身近な選択肢です。

  • 眠れない日が続く
  • 涙が止まらない
  • 怒りが抑えられない

そうした状態が2週間以上続くようなら、心療内科や精神科への相談を検討してください。

カウンセリングも、診断が必要なほどではないと感じている段階から利用できます。

気持ちを言語化して整理するだけでも、一人で抱えていたときとは違う感覚になることがあります。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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