休職中で会社に戻りたくない…復職せず辞める前提でも良い?

※記事内に広告が含まれる場合があります。

30代女性(会社員)

メンタルの不調で3か月ほど休職しています。
体調は少しずつ落ち着いてきたのですが、復職のことを考えると気持ちが重くなり、会社に戻りたくないという思いが日に日に強くなっています。

朝、主治医との面談がある日だけは外出できるのに、それ以外の日はカーテンを開けるのもしんどくて、こんな状態で本当に復職できるのか分かりません。

辞めたほうがいいのかもしれないと思う一方で、今の状態で決断していいのかも不安です。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
休職中に会社へ戻りたくないと感じることは、決して珍しいことではありません。
回復の途中でそうした気持ちが出てくるのは、心がまだ安全を確かめている段階ともいえます。

この記事では、戻りたくないという気持ちの背景にあるものを整理しながら、今の自分に合った選び方について、公認心理師の視点から一緒に考えていきます。

休職してから戻りたくないと感じるのはおかしい?

復職が近づいてくる気配を感じるだけで気持ちが沈む、という方は思いのほか多くいます。
ここではまず、戻りたくないという感覚がどこから来ているのかを整理してみます。

厚生労働省の調査によれば、過去1年間にメンタル不調で1か月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は13.5%にのぼります。

メンタル不調で1か月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は13.5%

休職は特別なことではなく、それだけ多くの人が同じように立ち止まっています。
そしてその中で、復職に気持ちが向かない時期を経験する人もまた多いのが実情です。

メンタル不調の回復途中に起きやすい心の揺れ

体調が少しずつ落ち着いてくると、周囲からも本人自身からも、そろそろ復職を考える段階だろうかという意識が生まれやすくなります。

けれど、心の回復は直線的には進みません。
昨日は外出できたのに今日はカーテンを開けるのもつらい、というような波があるのは回復途中のごく自然な経過です。

この波があるときに復職のことを考えると、自分はまだ戻れる状態ではないという感覚が強まりやすくなります。
それは怠けているのではなく、心がまだ十分に回復しきっていないサインである場合もあれば、職場の環境そのものに対して心身が警戒反応を示している場合もあります。

戻れないと感じる背景にある不安

戻りたくないという気持ちの奥には、いくつかの不安が重なっていることが多いです。

  • 休んでいる間に迷惑をかけてしまったという罪悪感。
  • 同じように体調を崩すのではないかという再発への恐れ。
  • 以前のように仕事をこなせる自信が持てないという感覚。

これらは一つひとつが独立しているというより、互いに絡み合いながら戻れないという実感を強くしていきます。

不安の正体が見えないままだと漠然とした重さだけが残りやすいので、どの部分が自分にとって一番大きいのかを少しずつ言葉にしてみると、それだけで気持ちの輪郭がはっきりしてくることがあります。

復職できない気がするとき、心では何が起きている?

戻りたくないという思いがさらに進んで、もう復職できないのではないかという感覚に変わることがあります。

もう働けないのではと感じてしまう理由

休職期間が長くなるほど社会との接点が減り、自分は働く力を失ってしまったのではないかという不安が育ちやすくなります。

これは実際の能力が落ちているかどうかとは別の話で、活動量が減った生活の中で自己評価が下がりやすくなるという心理的な傾向が関係しています。

休職中は生活リズムを整えること、日常の中で受け取る刺激の量を少しずつ調整すること、職場に関する情報からいったん距離を置くことが回復を支えます。
ただ、その穏やかな生活が続くことで、かえって働くことへのハードルが高く感じられるようになる面もあります。

休むことで回復に向かいながら、同時に復帰への不安も育つ。
この二重構造は矛盾しているようで、多くの人に共通する経験です。

職場のイメージが強く残る心理

休職に至る前の職場でつらい経験があった場合、その記憶が休職中も繰り返し浮かんでくることがあります。

上司の表情や同僚の言葉、自分が追い詰められていたときの身体の感覚など、断片的な記憶が不意によみがえり、それが職場全体のイメージとして固定されていきます。

これは心理学では、ストレス体験にまつわる記憶が過剰に活性化している状態として理解されています。
簡単にいえば、過去の体験が今の判断に強く影響して、実際の職場がどう変わっていても戻れないという感覚をつくり出しているということです。

この仕組みを知っておくだけでも、自分の反応を少し客観的に眺めやすくなります。

(関連記事:出勤時の電車で吐き気や冷や汗…苦痛の原因はストレス?

決めきれない状態が続くときの心の仕組み

復職するか退職するか、どちらにも踏み出せないまま時間だけが過ぎていく。
そうした状態に苦しんでいる方もいるかもしれません。

これは優柔不断なのではなく、どちらを選んでも失うものがあるという認識が心の中で拮抗しているために起きる現象です。

復職すれば再発のリスクと向き合うことになり、退職すれば経済面やキャリアへの不安が生まれる。
二つの不安が同じくらいの重さで存在しているとき、人は判断を保留することで心のバランスを取ろうとします。

決められない自分を責めるよりも、今はまだ決めなくていい段階なのだと受け止めること。
そのほうが、結果的に冷静な判断につながりやすくなります。

休職中に復職できないと感じたら確認すること

1.主治医の復職判断と配慮事項
2.会社の復職条件・休職期間満了の確認
3.復職できないまま退職になることはある

気持ちの整理と並行して、現実的に確認しておいたほうがよいこともあります。

主治医の復職判断と配慮事項

まず確認したいのは、主治医が今の状態をどう見ているかです。

主治医の復職判断は日常生活レベルでの回復を基準にしていることが多く、職場で求められる業務を遂行できるかどうかとは必ずしも一致しません。
そのため、復職を考える段階では自分の仕事内容や職場環境についても主治医に伝えたうえで意見をもらうことが、より実態に即した判断につながります。

復職にあたって時短勤務や業務量の制限、段階的な出勤といった配慮が必要かどうかも、この段階で主治医と話しておくと安心です。
こうした配慮の希望を診断書に反映してもらえる場合もあります。

会社の復職条件・休職期間満了の確認

次に確認しておきたいのが、会社側の制度です。

休職できる期間は就業規則によって異なり、法律で一律に定められているものではありません。
休職期間の残りがどれくらいあるか、延長が可能かどうか、復職時にどのような手続きが必要かといった点は、人事担当や産業医に早めに確認しておくと後から慌てずに済みます。

産業医がいる職場であれば、主治医の診断書をもとに産業医が復職の可否について意見を出し、それを踏まえて会社が最終的な判断を行うという流れが一般的です。

復職できないまま退職になることはある

休職期間が満了しても復職できない場合、就業規則の定めに基づいて自然退職や解雇という扱いになることがあります。
これは制度上の仕組みであり、本人の意思とは無関係に進んでしまう可能性がある点は知っておく必要があります。

もし期間満了が近づいている場合は、延長の相談ができるか、復職に向けた調整案を会社に提示できるかなど、今からできることを主治医や人事と一緒に確認しておくことが現実的な備えになります。

復職できない場合に取り得る選択肢

休職延長という選択
部署異動・業務調整という選択
退職・転職を選ぶ

復職が難しいと感じたとき、選べる道は一つではありません。ここでは代表的な選択肢を整理します。

休職延長という選択

体調がまだ安定しない段階であれば、復職の時期を早めるよりも休職期間の延長を検討するほうが回復にはプラスに働くことがあります。

就業規則上、延長が認められる場合もあるため、まずは会社に相談してみることが第一歩です。
焦って動いた結果、短期間で再休職に至るケースは珍しくなく、十分に回復してから次を考えるという順番が、結果的に自分を守ることにつながります。

部署異動・業務調整という選択

職場の特定の環境や人間関係が不調の要因になっていた場合、部署異動や業務内容の調整を申し出ることで、同じ会社にいながら環境を変えるという道もあります。

何が自分にとって負荷だったのか、どこが変われば働ける感覚があるのかを整理しておくと、会社との話し合いが具体的に進みやすくなります。

退職・転職を選ぶ

辞める前提が頭にある場合でも、体調が不安定な時期に退職を決断することにはリスクがあります。

休職制度はもともと復職を前提とした仕組みであるため、退職の意思を早い段階で会社に伝えると、傷病手当金の受給や休職期間の継続に影響が出る可能性があります。

辞めるかどうかを考えること自体は自然なことです。
ただ、体調が不安定なときの決断は、回復した後に振り返ると違う景色に見えることが多いため、急いで結論を出さない工夫が自分を守る一手になります。

退職か復職かを考えるときの判断軸

①体調は安定しているか
②環境調整の余地はあるか
③再発リスクはどの程度か

選択肢を把握したうえで、最終的にどう判断するか。ここでは、自分の中で軸を持つための視点を三つ整理します。

①体調は安定しているか

判断の土台になるのは、今の体調です。

  • 日常生活のリズムがある程度整っていること。
  • 外出や人との会話に極端な負担を感じないこと。
  • 睡眠や食事が一定の安定を保てていること。

こうした基本的な状態が揺らいでいるうちは、復職も退職も含めて大きな決断を急がないほうが安全です。
体調が不安定な時期の判断は、回復してから振り返ると違った見え方になることが多いためです。

②環境調整の余地はあるか

もし会社に戻ることを少しでも検討する余地があるなら、今の職場環境がどの程度調整できるかを確認しておく意味はあります。

段階的な復帰が可能か、業務量の調整はできるか、復帰初日にまず誰に連絡を取ればよいか。
具体的な見通しが一つでも立つだけで、不安の質は変わってきます。

逆に、調整の余地がほとんどないと分かった場合は、それ自体が次を考えるための判断材料になります。

③再発リスクはどの程度か

メンタル不調で休職した人の約半数が、復職後に再休職を経験しているという調査データもあります。

再発のリスクをゼロにすることはできませんが、自分にとって何がストレスの引き金になりやすいかを把握しておくことは、どの道を選ぶにしても役立ちます。

主治医やカウンセラーと一緒にこの作業を進めておくと、復職を選ぶ場合にも、環境を変える場合にも、自分を守るための判断がしやすくなります。

会社に戻りたくない人が抱えるよくある疑問

最後に、休職中に多くの方が抱える疑問について触れておきます。

戻れないと感じるまま決めていいのか

戻れないという感覚は、今この瞬間の心と体の状態を反映しているものであり、将来にわたって変わらないとは限りません。

だからといって無理に気持ちを変えようとする必要もなく、今はそう感じているという事実をまず受け止めること。
そのうえで、体調の変化を見ながら少しずつ判断していくという進め方で十分です。

周囲にどう思われるかが怖い

休職していることや退職を考えていることに対して、周囲の目が気になるのは自然な感情です。

ただ、他人がどう受け止めるかは自分にはコントロールできない領域でもあります。
まずは自分の体調と生活を守ることを最優先に据えて、伝える相手や伝え方は体調が落ち着いてから考えても遅くはありません。

相談できる人が周りにいない・しづらい

家族や友人に話しにくいと感じる場合、主治医や産業医に現状を伝えることから始めてみるのも一つの方法です。

医師や職場の人には話しづらい気持ちの部分を整理したいときには、心理カウンセリングという選択肢もあります。
カウンセリングは治療の場というだけでなく、自分の考えを声に出して確かめるための場としても使えます。

誰かに話すことで、自分の中で絡まっていたものが少しずつほどけていく感覚を得られることがあります。

アバター画像

この記事の監修者

石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。
1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。
また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

この記事をシェアする

公認心理師が
あなたの一歩を支えます

相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。

公認心理師がサイト上で回答します

公認心理師にオンラインで相談

カウンセリングの詳細