情緒不安定な人にかける言葉がわからず、相手を傷つけそうで怖い

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

大切な相手ほど、かける言葉に迷い、傷つけないかと怖くなるものです。

この記事は、正解のフレーズを探すのではなく、相手の状態と自分の余力を見分ける視点で書かれています。

声をかける、そっと見守る、専門家につなぐ。どれも支え方のひとつです。

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30代女性(会社員)

一緒に暮らすパートナーが、ここ数か月、気分の波が大きくなりました。

以前、励ますつもりでかけた言葉で相手を傷つけてしまい、それからは何を返せばいいのか分からなくなりました。

大丈夫と言えば軽く聞こえそうで、黙っていれば冷たい気がして、既読のまま固まってしまうこともあります。

ココラボ相談室からの回答

傷つけたくない相手だからこそ、次の一言が重くなる。
その怖さは、相手を大切に思っている気持ちの裏返しなのだと思います。

この記事では、正解の言葉を探すことから少し離れて、情緒不安定な人にかける言葉を、相手の状態と自分の余力の両面から見直していきます。

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情緒不安定な人を前にした戸惑い

返信を急がず一度立ち止まる場面として見ると、言葉選びの重さを少し客観視しやすくなります。
返信を急がず一度立ち止まる場面として見ると、言葉選びの重さを少し客観視しやすくなります。

気分の波が大きい人を前にすると、次の一言が急に重く感じられます。ここでは、その戸惑いがどこから来るのかを、一度立ち止まって見ていきます。答えを急ぐ前に、まず気持ちの整理から始めます。

何を言えばいいか迷う気持ち

相手が黙り込んだり、急に涙ぐんだりすると、何を言っても間違える気がして言葉が出てこなくなります。情緒不安定な人にかける言葉を探すほど、正解が見えなくなる感覚は、めずらしいものではありません。

迷う背景には、相手の反応が読めないという不安があります。昨日は届いた言葉が、今日は刺さってしまうこともあります。その揺れに合わせようとすると、自分の言葉に自信が持てなくなります。

傷つけそうで怖い理由

怖さの多くは、過去に一度うまくいかなかった経験から来ています。良かれと思った一言で相手が沈んでしまうと、次から口を開くこと自体がためらわれます。

ただ、その怖さは相手を軽んじていないからこそ生まれる感覚でもあります。まず必要なのは完璧な言葉ではなく、相手の状態を否定せずに眺める余裕なのだと思います。

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情緒不安定な人に避けたい声かけ

何を言うかの前に、思わず口にしがちで、かえって負担になりやすい言葉を整理します。避けたい理由が分かると、無理に言葉を探さずに済む場面も見えてきます。

頑張れが重くなる場面

励ましのつもりの頑張れは、状況によって相手を追い詰めます。すでに気力を使い切っている人には、これ以上どうすればいいのかという問いに聞こえてしまうためです。

同じように、次のような励ましや比較の言葉も、今の感情を否定されたように受け取られやすいので控えたいところです。

  • 頑張れ、しっかりして
  • 元気を出して、前向きに考えて
  • みんな頑張っているよ
  • 気の持ちようだよ
避けたい言葉を知っておくと、無理に励ますよりも受け止める姿勢を選びやすくなります。
避けたい言葉を知っておくと、無理に励ますよりも受け止める姿勢を選びやすくなります。

励ますより、今のつらさをそのまま認める方が、相手の肩の力は抜けやすくなります。

正論や原因探しの負担

どうしてそうなったのと原因を探る問いは、相手には責められているように届くことがあります。厚生労働省のこころの耳でも、原因探しをせず、今できることに目を向ける姿勢がすすめられています。

正しいアドバイスも、求められていないときには重荷になります。考えすぎ、そんなことでといった言葉は、感情の揺れを軽く見ているように伝わりやすいので、避けたいところです。

返事を求めすぎる連絡

LINEやメッセージでの連絡は、返信を急かすと負担になります。すぐ返してほしい、既読なのにどうして、といった催促は、相手の少ない余力を削ってしまいます。

用件は短く、返信はいらないよと添えるだけでも、相手は楽になります。情緒不安定な人への対応では、つながっている感覚を保ちつつ、応答の義務を減らすことが助けになります。

情緒不安定な人に届きやすい言葉

ここからは、相手の心に届きやすい言葉の輪郭を見ていきます。正解のフレーズというより、姿勢が伝わる言い方だと考えてください。

つらさを受け止める言葉

まず届きやすいのは、つらかったね、大変だったねと、今の状態をそのまま認める言葉です。解決を急がず、相手が感じているものを否定しないことが、安心の土台になります。

解決を急がず聞く姿勢は、相手が安心して言葉を出すための土台になります。
解決を急がず聞く姿勢は、相手が安心して言葉を出すための土台になります。

話してくれてありがとうという一言も、口を開くのに勇気がいる相手には支えになります。分かるよと言い切るより、完全には分からないけれど聞かせてほしいと伝える方が、正直さとして届くこともあります。

休んでいいと伝える言葉

情緒不安定の人にかける言葉として、休むことを肯定する言い方は届きやすいものです。無理しなくていい、今は休んでいいと伝えると、休めない罪悪感が少しやわらぎます。

回復を急かさない姿勢も大切です。早く元気にではなく、あなたのペースでいいと伝えることで、相手は自分の状態を責めずにいられます。

そばにいると伝える言葉

孤独感が強いときは、そばにいるよ、話したくなったらいつでも聞くよ、という言葉が届きます。何かをさせる言葉ではなく、ただ味方でいると示すことが安心につながります。

言葉が見つからないときは、無理にひねり出さなくて構いません。同じ空間で静かに過ごすだけでも、一人ではないという感覚は伝わります。

接し方で守りたい距離感

情緒不安定な人との接し方では、言葉と同じくらい距離の取り方が大切になります。ここでは、支える自分自身をどう保つかも一緒に考えます。

話を聞くか見守るか

いつも言葉をかける必要はありません。相手が言葉を求めているかどうかで、聞くと見守るを見分けると、関わり方に迷いにくくなります。

相手の様子関わり方の目安
話したそう、気持ちを言葉にしている遮らず、相づちを打ちながら最後まで聞く
反応が薄い、あまり語りたがらない話したくなったらと伝え、そっと見守る

反応が薄いときに沈黙を埋めようとしすぎないことが、かえって安心になる場合もあります。

感情に巻き込まれすぎない

相手の感情の波に合わせすぎると、自分の心まで一緒に揺れてしまいます。相手の気持ちと自分の気持ちを分けて考える線引きは、長く関わるために欠かせません。

これは冷たさではなく、共倒れを防ぐための距離です。相手の不安を自分がすべて引き受けなくていいと知っておくだけで、関わり方に余裕が生まれます。

相手の気持ちと自分の余力を分けて見ると、支え続けるための線引きがしやすくなります。
相手の気持ちと自分の余力を分けて見ると、支え続けるための線引きがしやすくなります。

支える側の疲れに気づく

支えているうちに、疲れた、正直めんどうだと感じることがあっても、それは薄情さではありません。近くで受け止め続ける人ほど、消耗するのは自然なことです。

その気持ちは責めるものではなく、自分の余力を見直すサインとして受け取りたいところです。 こころの耳には支える家族向けの疲労度チェックもあり、自分の状態を測る手がかりになります。情緒不安定な人への対応は、自分の余力があってはじめて続けられます。

専門家に相談したいサイン

最後に、周囲だけで抱えず、専門家につないだ方がよい場面を整理します。相談は最終手段ではなく、選べる一つの道です。

生活への影響が続くとき

気分の波が一時的なものではなく、眠れない、食べられない、仕事や学校に行けない状態が続くときは注意が必要です。情緒不安定の背景に、うつ病や適応障害、不安症などが隠れていることもあります。

診断は専門家の役割で、周囲が決めることではありません。ただ、こうした状態が二週間ほど続くようなら、受診を考える一つの目安になります。

自傷や希死念慮があるとき

消えてしまいたい、いなくなりたいといった言葉や、自分を傷つけるそぶりが見えたときは、早めの対応が必要です。命を大切にといった正論で返すより、まず気持ちを否定せずに聞くことが大切です。

専門家に相談する選択肢を持つことは、相手だけでなく支える側の安心にもつながります。
専門家に相談する選択肢を持つことは、相手だけでなく支える側の安心にもつながります。

一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に状況を伝えてください。危険を感じるときは、相手を一人にしない配慮も必要になります。

一緒に相談する伝え方

受診を勧めるときは、命令ではなく提案として伝えると、相手も受け取りやすくなります。あなたが少しでも楽になる方法を一緒に探したい、という言い方が届きやすいです。

よかったら一緒に行こうかと添えるだけでも、ハードルは下がります。情緒不安定な人にかける言葉に一人で迷い続けるより、二人で専門家に頼るという選択は、あなた自身の重荷も軽くしてくれます。

無理にどれかを選ぶ必要はありません。今日の相手と、今日のあなたにできることから、少しずつで構いません。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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