大人の発達障害は、家族の対応や接し方はどうしたらいいかわからないです。

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

ご家族が疲れを感じるのは、それだけ本人と関わりを続けてきたからです。

大切なのは、うまく接する技術よりも、家庭で抱えられることと専門家に委ねることを分けて見る視点だと感じます。

無理に一人で支えようとせず、ご家族自身の相談先を持つことをためらわないでください。

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50代女性(主婦・主夫)

同居している夫との接し方が、最近わからなくなっています。

何度伝えても約束を忘れられたり、こちらの話がうまく噛み合わなかったりで、些細なことでも私だけがぐったり疲れてしまう感覚があります。

夫に悪気はないと頭では分かっているのに、つい口調が強くなってしまう自分にも落ち込みます。

ココラボ相談室からの回答

何度伝えても届かない感覚が続くと、相手のことも自分のことも、だんだん分からなくなってきますよね。

まずは、その疲れは我慢が足りないから起きているわけではない、というところから見ていけたらと思います。

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大人の発達障害と家族の戸惑い

日常の場面として見ると、すれ違いの背景を少し落ち着いて考えやすくなります。
日常の場面として見ると、すれ違いの背景を少し落ち着いて考えやすくなります。

大人の発達障害では、家族の対応をどうすればいいのか分からず、戸惑う場面が続きます。
ここでは、その戸惑いがどこから来ているのかを、責める前に少し整理していきます。

何度言っても伝わらない場面

同じことを何度伝えても届かない、約束が守られない。
そんな場面が重なると、聞く気がないのではと感じてしまうことがあります。

けれど、口頭で複数の指示を一度に受け取ると、一部しか記憶に残りにくい特性が知られています。
これは意欲や努力の問題というより、情報の受け取り方の違いから起きている可能性があります。

伝わらない理由を性格や努力不足と決めつけてしまうと、注意する側もされる側も消耗し、関係はこじれやすくなります。
やる気がないように見えても、本人自身がうまくいかなさに戸惑っていることは少なくありません。

家族だけが疲れていく感覚

本人は外では問題なく振る舞えていて、家の中の苦労は見えにくいものです。
そのため、家族の疲れが誰にも共有されないまま積み重なることがあります。

相談しても気にしすぎと返され、周囲に苦労が伝わらないまま、孤独感が深まる方も少なくありません。
その疲れは、支え方が下手だから起きているのではなく、負担が一人に寄りやすい構造から生まれています。

うまく支えられない自分を責めてしまう方もいますが、疲れること自体は、それだけ向き合ってきた証でもあります。

発達特性で起きるすれ違い

大人の発達障害との接し方を考える前に、すれ違いの背景にある特性を知っておくと役立ちます。
ASD、ADHD、LDでは、家庭で表れる困りごとが少しずつ異なります。

ASDの会話とこだわり

特性ごとの困りごとを分けて見ると、対応の方向性を考えやすくなります。
特性ごとの困りごとを分けて見ると、対応の方向性を考えやすくなります。

ASDの特性が強い場合、あいまいな表現や場の空気を読むことが苦手なことがあります。
関心のある話には熱中する一方、雑談が一方通行になり、冷たいと誤解されやすい面もあります。

また、自分なりの手順やルールへのこだわりが強く、急な予定変更で混乱することもあります。
音やにおいなどへの感覚の過敏さが、不機嫌さのように見えている場合もあり、家族から見ると融通が利かない印象につながりがちです。

ADHDの忘れ物や衝動性

ADHDの傾向がある場合、忘れ物や遅刻、片づけの苦手さが日常的に起きやすくなります。
思いついたことをそのまま口にしたり、衝動的な買い物で家計に影響が出ることもあります。

先の見通しを立てて動くことが苦手なため、家族はその後始末に追われ、振り回される感覚を抱えやすくなります。
本人としても、やろうと思っていたのに抜けてしまう、という形で困っている場合があります。

悪気がないと分かっていても、繰り返されれば疲れが溜まるのは自然なことです。

LDの読み書きの困りごと

LD(学習障害)は知的な遅れを伴わないものの、読む・書く・計算するといった特定の作業に困難が出ます。
書類の記入や金銭管理が滞りやすく、これくらいできて当然という思い込みが摩擦を生みます。

会話では困りごとが見えにくいぶん、周囲に気づかれず本人が隠していることもあります。
努力していないわけではないという前提を家族が持てるかどうかで、関わり方は変わってきます。

家庭で試したい接し方の工夫

伝え方を具体的にするだけでも、家庭内のやり取りは少し整えやすくなります。
伝え方を具体的にするだけでも、家庭内のやり取りは少し整えやすくなります。

ここからは、大人の発達障害の接し方として、家庭で試しやすい工夫を整理します。
すべてを完璧にやる必要はなく、負担が軽くなりそうなものから選んで構いません。

家庭の工夫で軽くなることと、家族だけでは抱えにくいことを分けて考えると、力の入れどころが見えてきます。

短く具体的に伝える

一度に多くを頼むより、内容を区切って一つずつ伝えるほうが届きやすくなります。
あとでやっておいてではなく、この書類を今日中に一枚印刷して机に置いて、といった具体度が助けになります。

期限や場所、対象をはっきりさせるだけで、すれ違いはかなり減ります。
発達障害大人接し方の基本として、この具体性は覚えておくと使いやすい工夫です。

ルールを見える形にする

口頭のやり取りだけだと、記憶に残らず流れてしまうことがあります。
カレンダーやホワイトボード、リマインダーなどで、誰が何をいつまでにするかを見える化すると安心感につながります。

視覚的な情報が入りやすい特性とも相性がよく、先の見通しが立つことで衝突が減ります。
ただし、家族が決めたルールを一方的に課すのではなく、本人と一緒に無理のない形を探すことが大切です。

普通はを避ける

普通はこうする、なんでできないの、という言い方は、本人を追い詰めやすい表現です。
できない理由が特性にある場合、責められても行動は変わらず、自信だけが削られていきます。

責める代わりに、どうすればうまくいくか一緒に考えよう、と方向を変えるだけで空気は和らぎます。
腫れ物に触るような気の使い方も必要なく、率直さと具体性のバランスが取れると関わりやすくなります。

普通という基準で責めるより、具体的に伝えて一緒に考えるほうが関係を整えやすくなります。
普通という基準で責めるより、具体的に伝えて一緒に考えるほうが関係を整えやすくなります。

受診を勧める前に見たいこと

受診や相談を勧めたいとき、切り出し方によっては反発を招くこともあります。
ここでは、話を持ちかける前に見ておきたい点を整理します。

本人が困っている場面

本人に自覚がないまま、家族が先に気づくケースは少なくありません。
仕事や人付き合いで本人自身が困りを口にしたときが、話を切り出しやすいタイミングです。

困っていない相手に指摘だけをぶつけても、混乱や反発が返ってきやすくなります。
急がず、困りごとが表に出る瞬間を待つほうが、結果的に近道になることもあります。

落ち着いて話せるタイミング

失敗した直後や気持ちが乱れているときは、避けたほうが無難です。
家族側も気持ちが安定し、普段どおり会話できるときを選ぶと、話が届きやすくなります。

関係性によっては、家族が直接伝えるより、信頼できる第三者や医療者から話してもらうほうが穏やかに進むこともあります。

受診の話は、診断名よりも生活上の困りごとから始めると受け止められやすくなります。
受診の話は、診断名よりも生活上の困りごとから始めると受け止められやすくなります。

診断名より困りごとから話す

いきなり発達障害という言葉を出すと、身構えられてしまうことがあります。
性格や努力の問題ではなく、捉え方の違いかもしれないという切り口のほうが、受け止めてもらいやすいです。

具体的な生活上の困りごとから入り、必要に応じて精神科や心療内科への相談を選択肢として添えると、押し付けになりにくくなります。
なお、発達障害かどうかを家庭で判断する必要はなく、見立ては医療機関の役割だと分けて考えると、家族の肩の荷は少し軽くなります。

家族がひとりで抱え込まないために

大人の発達障害の家族の対応は、家庭内の工夫だけで完結するものではありません。
最後に、家族自身を守る視点と、外に開いていく導線を整理します。

疲れや不眠が続くとき

眠れない、気分が晴れない、強い怒りが抜けない。
そうした状態が続くなら、それは支え方の失敗ではなく、負担が限界に近いサインかもしれません。

家族の心に余裕がなくなるほど、本人の言動を受け止める余白も狭くなっていきます。
自分の休息を後回しにしすぎないことは、わがままではなく、関係を保つうえで意味のある選択です。

家族自身の休息を確保することは、関係を保つための大切な支えになります。
家族自身の休息を確保することは、関係を保つための大切な支えになります。

カサンドラと決めつけない

家族が心身の不調を抱える状態は、カサンドラと呼ばれることがあります。
ただ、これは医学的な診断名ではなく、あくまで状態を指す言葉として慎重に扱う必要があります。

自分はカサンドラだと早々に決めつけるより、いま何がつらいのかを具体的に見るほうが、次の相談につなげやすくなります。

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家族も相談できる支援先

相談先は、本人が動かなくても家族だけで使えるものがあります。
状況に合わせて、次のような窓口を思い出せると心強いです。

専門家に間に入ってもらうことで、家庭だけでは見えなかった選択肢が出てくることもあります。

家族だけで抱えず、状況に合う相談先を一つでも持っておくことが安心につながります。
家族だけで抱えず、状況に合う相談先を一つでも持っておくことが安心につながります。

暴力や危険を感じるとき

強い攻撃性や暴力があり、身の危険を感じる場面では、話し合いでの解決を優先しないでください
まず安全を確保し、状況に応じて医療機関や行政、警察など外部の力を頼ることが必要になります。

家庭内で抱え込んで我慢し続けることが、いちばん危ういやり方になってしまう場合もあります。
大人の発達障害との接し方に正解を一つ決めきる必要はなく、いまの状況を整理しながら、頼れる先を少しずつ選んでいけたらと思います。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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