病み期の対処法は何かある?乗り越え方はどうしたらいい?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

病み期という言葉で検索される方の多くは、これは休んでいいのか、それとも受診すべきなのか、その線引きに迷っておられます。

この記事は、ご自身の状態を落ち着いて見つめられる構成になっています。

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20代後半・女性(会社員)

半年ほど前から、仕事を終えて家に帰るとそのまま何もできなくなります。ごはんを作る気力も湧かず、明かりもつけずにベッドに座ったまま時間が過ぎていることも多いです。

これは病み期なのか、ただ甘えているだけなのか、自分でもわからなくなってきました。

誰にも言えないまま、なんとなく毎日をやり過ごしています。

ココラボ相談室からの回答

帰宅後に動けなくなる時間が続き、そんな自分をまた責めてしまう。この繰り返しは、思っている以上に心と体を消耗させます。

この記事では、今が休むべきときなのか、少し動けるときなのかをどう見分けるか、そして病み期とうつ状態の境目をどう考えるかを一緒に整理していきます。

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病み期で何もできない今の状態

帰宅後に動けなくなる場面を日常として見つめると、自分を責める前に疲れの大きさに気づきやすくなります。
帰宅後に動けなくなる場面を日常として見つめると、自分を責める前に疲れの大きさに気づきやすくなります。

何もする気になれない時間が続くと、そんな自分を責めてしまいがちです。ここではまず、今の状態をどう受け止めればいいのかを整理します。答えを急ぐ前に、少し呼吸を整えるところから始めます。

まず責めなくていいサイン

やらなければと思うのに体が動かない。この状態は、気力が足りないというより、心が一度立ち止まっている状態に近いことがあります。頭の中で同じ後悔や不安が何度も巡る反芻も、疲れているときほど起こりやすくなります。

こうした反応は、あなたの性格が弱いから起きるわけではありません。負荷がかかり続けたときに、心が自然にかけるブレーキのようなものと考えると、少し見え方が変わります。動けない自分を責めるほど、そのブレーキは強くかかっていきます。

休むことが必要なとき

何もできないほどつらいときは、無理に立て直そうとせず、休むことを先に置いて構いません。休むとは、ただ横になることだけでなく、普段エネルギーを使っている物事から少し距離を置くことも含みます。

たとえば、返信を後回しにする、今日やる予定をひとつ減らす。それだけでも心の負担は変わります。この記事の後半では、少し動けるようになったときの病み期の対処法にも触れていきます。

病み期とうつ状態の見分け方

病み期という言葉で検索する方の多くが、これはうつなのかという不安を抱えています。ここでは病み期とうつ状態の境目を、いくつかの目安に沿って整理します。自己判断で決めつけず、状態を見極める材料として読んでください。

不安や無気力を言葉にしようとする時間は、状態を決めつけずに見つめる助けになります。
不安や無気力を言葉にしようとする時間は、状態を決めつけずに見つめる助けになります。

病み期は医学用語ではない

病み期は、気分の落ち込みや無気力が続く状態を指す言葉として使われますが、医学的な正式名称ではありません。うつ病や適応障害のように診断基準が定められた病名とは区別されます。

そのため明確な定義はなく、軽い落ち込みから、受診が必要な状態まで幅広く含まれます。病み期だから病気ではない、と早合点しないことが、この後の見分け方では大切になります。

無気力や不安が続く

病み期でよく語られるのは、何をするのも面倒に感じる無気力と、理由のはっきりしない不安です。好きだったことに興味が湧かない、小さなことが必要以上に気になる。こうした状態が数日で和らぐなら、一時的な心の疲れであることが多いです。

一方で、この状態が生活の中で当たり前になり、抜ける感覚がないときは、少し注意して見ていく段階に入ります。

睡眠や食欲が乱れる

心が疲れると、眠れない、あるいは眠りすぎる、食欲が落ちる、逆に食べすぎるといった変化が現れやすくなります。眠っても疲れが取れない状態が続くこともあります。

睡眠と食欲は、心の状態が体に出やすい場所です。ここが大きく乱れているときは、気持ちの問題として片づけず、休息や生活の見直しが必要なサインとして受け止めたいところです。

期間や生活への支障を分けて見ると、休息で様子を見る段階か相談を考える段階かを整理しやすくなります。
期間や生活への支障を分けて見ると、休息で様子を見る段階か相談を考える段階かを整理しやすくなります。

受診を考えたい目安

病み期とうつ状態を分けるとき、目安になるのは症状の長さと生活への支障です。下の表は、その境目を大まかに整理したものです。

見るところ一時的な病み期に近いうつ状態が疑われる
続く期間数日〜1、2週間で和らぐ2週間以上抜けない
生活への支障なんとか回っている仕事・学業・家事が回らない
気持ちの底落ち込んでも持ち直せる消えたい気持ちがよぎる

無気力や落ち込みが2週間以上続き、生活に支障が出ている、あるいは消えたい気持ちがよぎるときは、我慢して抱えず、早めに心療内科や精神科への相談を検討してください。受診は大げさなことではなく、状態を確かめるための選択肢のひとつです。

病み期になりやすいきっかけ

受診や相談は大げさなことではなく、今の状態を確かめるための選択肢として考えられます。
受診や相談は大げさなことではなく、今の状態を確かめるための選択肢として考えられます。

落ち込みには、思い当たる出来事があることも、はっきりしないこともあります。ここでは病み期の引き金になりやすいものを、いくつかの角度から整理します。原因を突き止めるためではなく、自分の傾向を知る手がかりとして見てください。

人間関係や学校仕事の疲れ

病み期のきっかけとして多いのは、人間関係のこじれや、学校・仕事での消耗です。叱責や失敗、環境の変化などが重なると、心のエネルギーは静かにすり減っていきます。

新しい環境に移った直後も、気を張り続けることで疲れがたまりやすい時期です。原因がひとつに絞れないことも珍しくなく、複数の負荷が積み重なっている場合もあります。

SNS比較と頑張りすぎ

SNSで他人の充実した様子を見て、自分だけ取り残されたように感じることも、落ち込みを深めます。本来は比べる必要のない相手と、無意識に自分を並べてしまうのです。

また、真面目に頑張り続ける人ほど、限界を超えても走り続けてしまいがちです。頑張りすぎた反動として動けなくなるのは、決して怠けではありません。

周期的にくる落ち込み

比べ続けて疲れている自分に気づけると、頑張りだけで立て直そうとする負担を少し減らせます。
比べ続けて疲れている自分に気づけると、頑張りだけで立て直そうとする負担を少し減らせます。

特にきっかけがなくても、周期的に落ち込む場合があります。女性では、月経前に気分が沈む月経前症候群や、症状が強く出る月経前不快気分障害が関係していることもあります。

季節の変わり目に決まって落ち込む方もいます。自分がどんなときに沈みやすいかのパターンがわかると、あらかじめ身構えやすくなります。月経前の落ち込みが強い場合は、婦人科への相談も選択肢になります。

病み期の対処法と乗り越え方

ここからは、実際にどうしたらいいのかを整理します。病み期の対処法や治し方に、決まった正解はありません。今の状態に合う方法を選び、休む段階と動く段階を分けて考えると取り組みやすくなります。

何もしない時間を作る

つらさが強いときは、まず何もしない時間を意識してつくります。生産的に過ごさなければという焦りを、いったん脇に置く時間です。

このとき、休んでいる自分を責めそうになったら、これは回復のための時間だと捉え直してみてください。何もしないことは、次に動くための準備でもあります。

何もしない時間は怠けではなく、次に動くための回復の時間として置いて大丈夫です。
何もしない時間は怠けではなく、次に動くための回復の時間として置いて大丈夫です。

生活リズムを少し戻す

少し余力が出てきたら、生活リズムをゆるやかに整えていきます。すべてを一度に直す必要はなく、起きる時間や食事の時間を一定に近づけることから始めるだけで十分です。

朝に光を浴びると、体内時計が整いやすくなります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、成人には毎日6時間以上を目安とした睡眠がすすめられています。夜にスマートフォンを見る時間を少し減らすだけでも、眠りは変わってきます。

気持ちを外に出す

頭の中で同じ考えが巡って苦しいときは、気持ちを外に出すと、少し距離が取れます。信頼できる人に話すのが難しければ、紙やスマホに書き出すだけでも構いません。

書くときは、うまくまとめようとしなくて大丈夫です。腹が立ったこと、不安なことを、そのまま並べるだけでも、頭の中の整理につながります。

小さく動ける日にすること

動ける日には、ごく小さなことから始めます。散歩やストレッチ、好きな音楽を聴くなど、負担の少ないことで十分です。日光を浴びながら体を動かすと、気分が切り替わりやすくなります。

ここで気をつけたいのは、つらさを紛らわすために、お酒やタバコに頼りすぎないことです。その場は楽になっても、落ち込みが長引く一因になることがあります。病み期の乗り越え方は、無理に抜け出そうと力むより、できることを少しずつ増やす方が続きやすくなります。

小さく動ける日に負担の少ない行動を選ぶと、無理に抜け出そうとしなくてもリズムを戻しやすくなります。
小さく動ける日に負担の少ない行動を選ぶと、無理に抜け出そうとしなくてもリズムを戻しやすくなります。

ひとりで抱え込まないために

病み期の抜け出し方を考えるうえで、ひとりで抱え込まないことは大きな支えになります。ここでは、誰に、どんなときに頼るとよいかを整理します。頼ることは弱さではなく、回復のための現実的な手段です。

身近な人に話す目安

つらさを感じたら、家族や友人など、話しやすい相手に少しずつ打ち明けてみてください。すべてを説明する必要はなく、最近しんどい、と伝えるだけでも構いません。

話すことで解決しなくても、聞いてもらうだけで心の負担は軽くなります。学生であれば、学校の先生やスクールカウンセラーも身近な相談先になります。

専門家に相談したい状態

落ち込みが2週間以上続く、眠れない日が重なる、日常生活が回らないといったときは、専門家への相談を考えたい状態です。心療内科や精神科のほか、働く人であれば職場の産業医や相談窓口も使えます。

厚生労働省のこころの耳など、無料で相談できる公的な窓口もあります。病気かどうか自分では判断しづらいからこそ、専門家に確かめる意味があります。

焦って決めないこと

落ち込んでいるときは、視野が狭くなり、退職や大きな決断に気持ちが向くことがあります。ただ、心が疲れているときの判断は、悲観的な方向に偏りやすいものです。

大きな決断は、少し落ち着いてから考えても遅くありません。今はまず、状態を整えることを先に置いてみてください。病み期はいつか和らいでいくもので、その時間の使い方に、決まった正解はありません。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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