コンプレックスを解消したいのに、受け入れるべきか克服すべきか分からず苦しいです

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

コンプレックスを解消したいのに、どう向き合えばいいのか分からず立ち止まってしまう方は、とても多くいらっしゃいます。

受け入れるべきか、克服すべきか。その問いに唯一の正解はなく、どちらを選んでも構いません。

この記事では、解消しようとするほど苦しくなる仕組みをほぐしながら、あなたに合った距離の取り方を一緒に探していきます。

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20代後半女性(会社員)

コンプレックスをどうにか解消したくて、ずっともがいてきました。

ネットを見ると、受け入れようという記事と、努力して克服しようという記事の両方があって、どちらが自分にとって正しいのか分かりません。

頑張るほど苦しくなる気もして、このまま抱え続けるのかと思うと不安になります。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

解消したいのにうまくいかず、受け入れと克服の間で揺れているのですね。まずは、その迷い自体が、真剣に向き合ってきた証だと感じます。

この記事では、コンプレックスが生まれる仕組みを整理しながら、無理に解消しようとせず、自分に合った向き合い方を選ぶための判断軸を一緒に見ていきます。

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受け入れるか克服か決めきれない苦しさ

コンプレックスを解消したいのに、どう扱えばいいのか分からないまま時間だけが過ぎていく。ここでは、その決めきれなさをまず言葉にして受け止めます。

答えを急がず、今の揺れを整理するところから始めましょう。

早く解消したい焦りの正体

コンプレックスを抱えていると、この状態から一刻も早く抜け出したいという焦りが募ります。気になる部分が頭から離れず、解消できない自分にまで嫌気がさしてくることもあります。

けれど、その焦りは、あなたが自分を軽んじているから生まれるものではありません。早く解消したいという気持ちの奥には、安心して過ごしたい、人と対等でいたいという自然な願いが隠れています。

まずは、焦っている自分を責めずに、その願いの部分にそっと目を向けてみて構いません。

どちらが正しいのか分からない揺れ

焦りの奥にある安心して過ごしたいという願いにも、目を向けて構いません。
焦りの奥にある安心して過ごしたいという願いにも、目を向けて構いません。

コンプレックスについて調べると、受け入れようという声と、努力して克服しようという声の両方に出会います。正反対に見える助言の間で、どちらが自分に当てはまるのか分からなくなります。

この揺れは、あなたの意志が弱いせいではありません。受け入れると克服は対立するものではなく、コンプレックスの種類や今の状態によって、合う向き合い方が変わるだけです。

どちらか一方に決めなければと力む前に、まずは自分が抱えているものの正体を眺めていきましょう。

コンプレックスと劣等感はどう違うのか

解消の方法を考える前に、そもそもコンプレックスとは何かを整理すると、距離を取って眺めやすくなります。ここでは心理学の見方を借りて、言葉の輪郭を確認します。

アドラーがいう劣等感と劣等コンプレックス

心理学者アドラーは、劣等をめぐる心の動きを三つに分けて説明しました。一つ目は劣等性で、身長や体型など客観的に確認できる特徴を指します。

二つ目は劣等感で、理想と現実の差から生まれる主観的な感覚です。三つ目が劣等コンプレックスで、その劣等感が強まり、課題から目をそらす理由に使われている状態を指します。

私たちを苦しめているのは、事実そのものより、二つ目以降の感じ方の部分であることが多いのです。 この区別を知るだけでも、解消したい対象が少しはっきりしてきます。

事実と感じ方と行動への影響を分けると、向き合う対象が見えやすくなります。
事実と感じ方と行動への影響を分けると、向き合う対象が見えやすくなります。

比較で強まるセルフイメージ

コンプレックスは、誰かと比べた瞬間に強く痛みます。自分より優れて見える人が視界に入るほど、自分には何かが足りないという感覚が濃くなっていきます。

とくにSNSは、加工され選び抜かれた姿が並ぶため、比較の材料としては公平ではありません。自分は劣っているという自己イメージは、事実そのものより、比較を重ねるなかで濃くなっていく面があります。

その仕組みが見えると、解消すべき相手は容姿や経歴そのものだけではないと気づけます。

解消しようとするほど辛くなる心理のしくみ

解消したいのに、頑張るほど苦しくなる。この一見矛盾した感覚には、心の仕組みが関わっています。ここでは、その辛さの正体と、向き合う対象の見分け方を整理します。

意識を向けるほど大きく見える理由

コンプレックスには、意識を向けるほど大きく膨らむ性質があります。最初は小さな引っかかりだったものが、毎日見つめるうちに、事実以上の像へと育っていきます。

他人から見れば気にならない点を、本人だけが深刻に抱えていることは珍しくありません。今感じている大きさが、そのまま事実の大きさとは限らないのです。

解消しようと一日中そこに注目するほど、かえって存在感が増してしまう。この逆説を知っておくだけでも、少し肩の力が抜けます。

気になる一点から少し視線を離すと、感じていた大きさを見直しやすくなります。
気になる一点から少し視線を離すと、感じていた大きさを見直しやすくなります。

変えられるものと変えられないものの切り分け

抱えているコンプレックスは、努力で近づけるものと、生まれ持った特徴のように動かしにくいものに分かれます。この二つは向き合い方が違うため、まず切り分けて眺めると混乱が減ります。

コンプレックスの種類向き合い方の方向
変えられる要素生活習慣、話し方、身だしなみ小さな行動で少しずつ克服を試みる
変えにくい要素骨格、身長、生い立ち事実として認め、意味づけを見直す

克服が向くのは変えられる要素、受け入れが向くのは変えにくい要素と考えると、どちらが正しいのかという迷いが解けていきます。 すべてを一律に解消しようとしなくて大丈夫です。

自分に合ったコンプレックスとの向き合い方

種類が見分けられたら、次は具体的な向き合い方です。ここでは、いきなり完全な克服を目指さず、今の自分を扱いやすくする対処法を順に見ていきます。

事実と感情を分けて眺める

向き合いの第一歩は、感情を一度わきに置いて、事実だけを言葉にすることです。太っているから醜いではなく、平均より体重があると、評価を混ぜずに書き出してみます。

主観の混じった判断を外していくと、からまった感情が少しずつほどけていきます。受け入れるとは、今こうであるという事実を、良し悪しの判定抜きで認めることから始まります。

自己受容は、心理学でもありのままの自己を引き受ける態度として研究されてきたテーマで、一足飛びに完成するものではありません。

事実と評価を分けてみることが、自分を責めずに眺める第一歩になります。
事実と評価を分けてみることが、自分を責めずに眺める第一歩になります。

スモールステップとリフレーミング

変えられる要素に取り組むなら、達成しやすい小さな一歩から始めるのが現実的です。一気に痩せる、全部直すといった極端な目標は、届かなかったときに自己否定を強めてしまいます。

同時に、短所を別の角度から捉え直すリフレーミングも助けになります。慎重で動きが遅いという特徴は、丁寧で人を安心させる長所にも言い換えられます。 事実は変えずに、そこに乗せた意味づけだけを緩めていくやり方です。

こうした対処法は、出来事の捉え方を見直す認知行動療法の考え方にも重なります。

比較をやめ良い面に目を向ける

コンプレックスばかりに意識が向くのは、それだけそこに注意を注いでいるからでもあります。見ると落ち込む相手やアカウントから少し距離を取るだけでも、心の消耗は変わります。

比較をやめられない自分を責めるより、比較しやすい環境から物理的に離れるほうが現実的です。自分の良い面に光を当てる時間が増えるほど、気になる一点に注がれていた重さは自然に分散していきます。

夢中になれることに没頭している間は引け目を忘れられた、という経験は多くの人が持っています。

受け入れる・無理に克服しない選択肢

すべてのコンプレックスを克服する必要はありません。克服できないものは無理に解消しようとせず、ほかのことへ意識を向けるほうが楽になる、という精神科医の考え方もあります。解消しないという選択も、立派な一手です。

変わりたい気持ちの出発点が、このままでは価値がないという不安なら、その努力は自分をすり減らしやすくなります。 解消を目指すか、そのまま抱えて共存するかは、あなたが選んでよいことです。

どちらを選んでも、あなたという人の価値は変わりません。

つらさが強いときに頼れる相談先

ここまでは自分でできる向き合い方を見てきました。ただ、辛さの程度によっては、一人で抱えないほうがよい状態もあります。最後にその見極めをお伝えします。

生活への影響が続くときや消えたい気持ちがあるときは、早めに相談してよい状態です。
生活への影響が続くときや消えたい気持ちがあるときは、早めに相談してよい状態です。

専門家に相談したほうがよいサイン

コンプレックスの悩みが、気持ちの範囲を超えて生活に食い込んでいるときは、注意が必要です。

  • 眠れない、食欲が続かない日が長く続いている
  • 鏡や人前を避け、外出や出勤が難しくなっている
  • 特定の部位へのとらわれが強く、頭から離れない
  • 消えてしまいたいという気持ちがよぎる

こうしたサインがあるときは、気の持ちようの問題ではなく、心が休息やケアを必要としている合図と考えてよいでしょう。とくに消えたいという気持ちがある場合は、早めに専門家へつながってほしい状態です。

認知行動療法など専門的な支え

一人で抱えるのが重いと感じたら、専門家に話すことは弱さではなく、現実的な選択肢の一つです。コンプレックスの奥にある考え方の癖には、出来事の捉え方や行動を少しずつ見直していく認知行動療法が助けになることがあります。

すぐに受診が難しいときは、公的な相談窓口から始める方法もあります。厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSで使える相談先が案内されています。

相談するかどうかは、あなたが選んでよいことです。 解消を焦らなくても、頼れる場所があると知っておくだけで、少し息がしやすくなることがあります。

コンプレックスを解消したい気持ちと、そのまま受け入れたい気持ちの間で揺れる日々は、すぐには晴れないかもしれません。それでも、変えられるものと変えにくいものを分け、比べる距離を取り、必要なときに頼り先を持っておく。その小さな積み重ねが、自分に合った向き合い方を見つける手がかりになっていきます。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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