承認欲求モンスターがめんどくさくて疲れる…イライラするので対処法を教えて

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

承認欲求モンスターという言葉で、あの人の顔が浮かんだ時点で、あなたはもう十分がんばっています。

自慢話や褒め待ちに毎日つきあえば、イライラするのはごく自然なことですよ。

心が狭いのではなく、消耗が限界に近いサインだと受け取ってほしいんです。

相手を変えるより、自分の距離をどう選ぶか。

そこから一緒に考えていきましょう。

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30代・会社員

職場に自慢話と褒め待ちが多い同僚がいて、毎日その相手をしていると気持ちがすり減っていきます。

会議で手柄を強調されるたびに、内心ではイライラしてしまいます。

そんな自分に気づくと、こう感じる私は心が狭いのかなと落ち込むんです。

相手を嫌いになりたいわけではないのに、うまく距離が取れません。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

誰かの自慢話や褒め待ちが毎日続くと、相手を思う気持ちより先に、疲れやイライラが顔を出すことがありますよね。それを責める前に、まずはその消耗がどこから来ているのかを見ていきます。

この記事では、承認欲求モンスターと呼ばれる人の特徴や原因をふまえながら、関係を壊さずに自分の消耗を減らす対処法を、公認心理師の視点で一緒に整理していきます。

めんどくさい・疲れると感じるあなたは冷たくない

身近な人の自慢話や褒め待ちが続くと、聞いているだけで気力が削られる日があります。まずはその疲れを、良し悪しで裁く前に、そのまま眺めるところから始めます。

承認欲求モンスターとは何を指す言葉か

承認欲求モンスターとは、他人からの評価や注目を強く求め、その言動に周囲が振り回されてしまう人を指す俗語です。医学的な診断名ではなく、めんどくさいと感じる側の実感から広まった呼び方だと考えておくといいでしょう。

そもそも承認欲求は、誰の心にもある自然な欲求です。心理学者マズローの欲求5段階説でも、生理的欲求や安全の欲求、所属の欲求の先に、認められたいという承認の段階が置かれています。つまり、認めてほしい気持ちそのものは、弱さでも欠陥でもありません。

認めてほしい気持ちは自然でも、反応を強く求めて周囲を巻き込む形になると、聞き手の負担が大きくなります。
認めてほしい気持ちは自然でも、反応を強く求めて周囲を巻き込む形になると、聞き手の負担が大きくなります。

ただ、その求め方が強く、相手の時間や気分を巻き込む形で出てくると、周囲は少しずつすり減っていきます。厄介に感じるのは欲求の有無ではなく、その出方のほうだと押さえておくと、相手を丸ごと悪者にせずに済みます。

「心が狭いのかも」と責めなくていい理由

相手にイライラするたびに、こんなふうに感じる自分は心が狭いのだろうかと、後から落ち込んでしまう人は少なくありません。けれど、その疲れは冷たさの証拠ではないんです。

会話は本来キャッチボールに近いものです。あなたが投げたボールが毎回相手のアピールに使われ、返ってこない状態が続けば、消耗するのはむしろ当たり前の反応でしょう。めんどくさいという感覚は、これ以上は差し出せないという心のサインとして働いていることが多いといえます。

一方通行の会話で心が疲れるのは冷たさではなく、これ以上すり減らないための守るサインです。
一方通行の会話で心が疲れるのは冷たさではなく、これ以上すり減らないための守るサインです。

自分の気持ちに線を引こうとするこの働きは、冷淡さではなく、自分を守る機能でもあります。まずはその感覚を、なかったことにしないところから始めてみませんか。

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承認欲求モンスターにありがちな言動と原因

どんな言動に疲れやすいのか、そしてなぜそうした振る舞いが出るのかを整理します。背景が見えてくると、相手への見方が少しだけ変わることがあります。

自慢・褒め待ち・不機嫌などの特徴

承認欲求モンスターと感じられる人には、いくつか共通する特徴があります。会話の中心がいつも自分で、人の話を自分の手柄話にすり替える、頼んでいない成果報告が多い、といった形が典型です。

さらに、私なんて全然だめで、と過度に自分を下げて、そんなことないよという否定を待つケースもあります。褒め言葉が返ってこないと、あからさまに不機嫌になるのも、周りが疲れる特徴のひとつでしょう。共通するのは、相手の反応を自分の燃料にしている点です。

自慢や褒め待ちが続く場では、周囲が礼儀正しく応じるほど静かな気疲れが積み重なることがあります。
自慢や褒め待ちが続く場では、周囲が礼儀正しく応じるほど静かな気疲れが積み重なることがあります。

ただ、こうした特徴が見えても、その人をモンスターと丸ごと決めつける必要はありません。困っているのは相手の人格ではなく、目の前の特定の言動だと切り分けておくと、対処法も考えやすくなります。

会議やチャットで消耗しやすい場面

専門家が解説する記事でも、最も多く挙がるのが職場の場面です。会議でチーム全体の成果を自分ひとりの手柄のように語る、チャットでスタンプや、いいねの数を何度も気にする、といった場面が繰り返し語られています。

たとえば、報告するたびに反応が薄いと不満そうな空気を出されると、周りは無意識に気を遣い続けることになります。称賛を半ば求められる空気こそが、静かに消耗を積み上げていくわけです。

こうした場面では、あなたが丁寧に応じるほど相手の要求が増えていく循環も起こりがちです。疲れの正体が自分の弱さではなく、この繰り返しにあると気づくだけでも、少し肩の力が抜けます。

丁寧な反応が次の要求を増やし、その繰り返しが聞き手の消耗につながる循環に気づくことが大切です。
丁寧な反応が次の要求を増やし、その繰り返しが聞き手の消耗につながる循環に気づくことが大切です。

自己肯定感やSNSが関わる原因

派手な言動の裏側には、多くの場合その逆の感情が隠れています。上位の記事が共通して指摘するのは、根っこにある自己肯定感の低さです。ありのままの自分では価値がないという不安を、他人の評価で埋めようとしている状態といえます。

背景には、幼い頃に結果を出したときだけ認められた経験や、SNSでいいねの数として評価が見える環境の影響も挙げられます。数字が自分の価値のように感じられ、承認への渇きが加速してしまうのです。

自信が揺れると数字や反応が気になり、外からの承認を求める動きが強まりやすくなります。
自信が揺れると数字や反応が気になり、外からの承認を求める動きが強まりやすくなります。

心理学者デシとライアンが提唱した自己決定理論では、人が安定するには有能感・自律性・関係性の3つが必要とされます。承認を過剰に求める人は、このうち自分はできるという有能感が満たされにくいと整理でき、行動の理由が少し見えてきます。

関係を壊さず消耗を減らす対処法

ここからは、相手を変えようとせずに自分の消耗を減らす関わり方を見ていきます。すべてを一度に実行しなくて構いません。合いそうなものから試す前提で読んでください。

最小限に認めて張り合わない基本

対処法の土台は、相手の承認欲求を否定も過剰対応もせず、事実だけを短く認めることです。やってくれたんですね、助かりました、と一言添えて、それ以上は深入りしない。この最小限のさじ加減が、めんどくさいと感じる関係をいちばん軽くします。

大切なのは、大げさに褒めることではありません。すごい、と持ち上げるより、この段取りは効いていましたね、と具体的な事実を切り取るほうが、相手は満たされやすく、こちらの負担も増えません。盛らず、減らさず、事実に沿って返すのが基本の姿勢です。

大げさに褒めず、役立った事実だけを短く伝えると、相手との関係を保ちながら自分の負担を抑えられます。
大げさに褒めず、役立った事実だけを短く伝えると、相手との関係を保ちながら自分の負担を抑えられます。

自慢話が長く続くときは、入り口と出口だけ軽く認めて、本題は淡々と進める形も使えます。相手を言い合いの土俵に上げず、自分の時間を守る意識を持っておきましょう。

完全無視や真っ向否定が逆効果な理由

早く楽になりたくて、正論で言い負かしたくなることもあります。ただ、自慢やアピールを真っ向から否定すると、相手はプライドを傷つけられ、かえって強く反応してくることが少なくありません。

意外と逆効果になりやすいのが、あからさまな完全無視です。承認欲求が強い人ほど、他者からの拒絶に過敏な拒絶敏感性と呼ばれる傾向を持ちやすく、無視されたと感じると、気を引こうとしてむしろ言動が激しくなることがあります。受け流すことと、存在を無視することは別物だと覚えておきたいところです。

短く認めて境界を保つ対応は、完全無視や真っ向否定よりも反発を招きにくい現実的な選択です。
短く認めて境界を保つ対応は、完全無視や真っ向否定よりも反発を招きにくい現実的な選択です。

話は聞いていますよ、という最低限の相槌だけ残して、心の距離は保つ。この聞き流しが、波風を立てずに消耗を減らす現実的な線になります。

同僚・上司・友人別の距離の取り方

同じ承認欲求モンスターでも、相手との関係によって取れる距離は変わります。切れない相手ほど、正面衝突よりも、さじ加減で向き合うほうが消耗は少なくて済みます。

相手消耗を減らす関わり方の目安
同僚事実を短く認め、すぐ仕事の話に戻す
上司立てる言葉は使いつつ、評価は事実ベースで対応する
友人返信の間合いを置き、会う頻度を自分のペースに戻す
パートナー私を主語にして、正直な気持ちを穏やかに伝える
同僚・上司・友人では取れる距離が違うため、相手との関係に合う方法を選んで構いません。
同僚・上司・友人では取れる距離が違うため、相手との関係に合う方法を選んで構いません。

関係を切るか、我慢し続けるかの二択に見えても、実際にはその中間の距離があります。どの相手にも同じ強さで向き合わず、関わり方を選べると知っておくだけで、対処の幅は広がります。

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距離を置いたあとの心のケアと相談先

距離を取っても、もやもやや罪悪感が残ることがあります。最後に、自分の状態を見直す目安と、つらさが続くときの支えについて触れます。

距離を取るべきサインと心身のSOS

様子を見てよいのか、はっきり距離を取るべきなのかは、相手ではなく自分の反応で見分けられます。手がかりになるのは、その人と関わる前後での、自分の心と体の変化です。

  • その人と会う前や連絡の前に、気が重くて憂うつになる
  • 相手の機嫌しだいで、自分の一日の気分が大きく左右される
  • 距離を置いても、頭から相手のことが離れない
  • 眠りが浅い、食欲が落ちるなど、体に変化が出ている

これらがいくつも続くようなら、単なる相性の問題を超えて、消耗が積み上がっているサインかもしれません。心身に出ている反応は、我慢の限界を知らせてくれる大切な情報です。

眠りや食欲など心身の反応に変化が続くときは、相手の分析より先に自分を休ませることが必要です。
眠りや食欲など心身の反応に変化が続くときは、相手の分析より先に自分を休ませることが必要です。

残る罪悪感と自分の承認欲求の整え方

距離を取ったあとに、冷たくしてしまったかなと罪悪感が残ることもあります。けれど、自分の心を守るための距離は、相手を傷つけるための攻撃とは違います。

もうひとつ、相手を見ているうちに、自分にも承認欲求があると気づいて不安になる人もいます。認められたい気持ちは誰にでもあるもので、無理になくす必要はありません。他人の評価だけでなく、自分で自分を認める自分承認へ少しずつ軸を移すと、心の揺れは小さくなっていきます。

一日の終わりに、今日できたことを小さくひとつ書き出す。そんなささやかな習慣も、外の評価に頼りすぎないための支えになります。

外の評価から自分へ意識を戻し、今日できたことを一つ認める習慣が心の揺れを小さくします。
外の評価から自分へ意識を戻し、今日できたことを一つ認める習慣が心の揺れを小さくします。

つらさが続くときの相談窓口

自分なりに工夫しても消耗が抜けず、生活に支障が出ているなら、一人で抱え込まなくて大丈夫です。職場の相談窓口や、気持ちを整理する場としてのカウンセリングも選択肢になります。

厚生労働省のこころの耳では、働く人のメンタルヘルスに関する相談先の案内がまとまっています。眠れない日が続く、涙が出る、出勤がつらいといった状態があるときは、専門家に頼ることを検討してみてください。

承認欲求モンスターへの対処法に、たったひとつの正解はありません。相手を変えることよりも、自分の消耗をどう減らすかに目を向けながら、あなたのペースで距離を選んでいけたらと思います。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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