双極性障害の寿命はなぜ短いと言われるのか不安です

双極性障害と寿命への不安を抱えながら情報を整理する人

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

双極性障害と寿命の情報に触れると、なぜ短いのかを知りたい気持ちと、数字への怖さが同時に押し寄せます。相談の場でも、短命という言葉だけが独り歩きして、不安が強まる方にお会いします。

大切なのは、理由を落ち着いて分けて捉えることです。自殺リスクや身体の病気といった背景を整理すると、自分にできる備えも見えてきます。

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30代男性(会社員)

3年前に双極性障害と診断されて、今は薬を飲みながら働いています。先日、ふとスマホで自分の病気について調べていたら、寿命が短いという記事をいくつも見つけてしまいました。

平均で10年以上短くなるとか、突然死のリスクがあるとか。それから気になって関連する記事ばかり読んでしまって、夜も眠れない日が続いています。

妻にも話せていませんが、自分はこの先どうなるんだろうと思うと怖くて仕方ありません。数字がどこまで本当なのか、自分に何ができるのか、少しでも整理したいです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
双極性障害の寿命がなぜ短いと言われるのか、理由を知りたい気持ちと、数字を見るのが怖い気持ち。その間で揺れている方は少なくありません。

ここでは、短いと語られる背景に何があるのかを少しずつ整理します。眠れなくなるほどの不安を、扱いやすい形へほどいていくことが目的です。

双極性障害の寿命はなぜ短いと言われるのか

背景には大きく二つの柱があります。一つは自殺のリスク。もう一つは心血管疾患や生活習慣病といった身体の病気です。

双極性障害そのものが直接、命を縮めるわけではありません。気分の波と、それに伴う生活の乱れが積み重なる。その結果としてリスクが高まりやすい構造として語られます。

双極性障害の寿命に関わる気分の波と身体の病気

自殺リスクが高いという背景

自殺のリスクは、双極性障害のない人と比べて高いと報告されています。数字を目にするだけで、胸が締めつけられる方もいると思います。

特に危ういのは、深いうつ状態のときです。強い絶望感にのまれ、生きること自体がつらくなる時期があります。

躁状態からうつへ切り替わる局面も注意がいります。衝動性が残ったまま気分が落ちるため、突発的な行動につながりやすいとされます。

生活習慣病と心血管疾患のリスク

双極性障害のある方は、糖尿病や高血圧、脂質異常症を併発しやすいことがわかっています。肥満の割合が高いという報告もあります。

要因は一つではありません。薬の一部には体重や代謝に影響が出やすいものがあります。躁状態では生活リズムが崩れ、うつ状態では動けなくなり運動量が落ちます。

生活習慣病は、進めば心筋梗塞や脳卒中につながります。寿命に響きやすいのは、双極性障害そのものより、その周辺で起きる身体の変化だと言えます。

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平均寿命はどれくらい短くなるのか

双極性障害のある方の平均寿命は、一般より8〜12年ほど短いと報告されています。研究によっては10年以上の差を示すものもあります。

ただ、この数字には前提があります。多くは平均余命という統計指標です。ある年齢の集団が今後何年生きられるかを推計したもので、個人の寿命を言い当てる数字ではありません。

厚生労働省の令和4年簡易生命表では、日本人の平均寿命はおよそ男性81歳、女性87歳とされています。ここから8〜12年短いと考えると、統計上の目安が見えてきます。

平均寿命の統計を読みながら考える人

大切なのは、数字の大きさに飲み込まれないことです。背景の要因と、自分にできることへ視点を移していきます。

脳萎縮や記憶への影響は寿命と関係あるのか

寿命を調べると、脳萎縮や記憶が飛ぶ、突然死という言葉にもぶつかります。どれも不安をあおる響きです。中身を整理すると、漠然とした怖さに輪郭が生まれます。

脳萎縮や記憶が飛ぶと感じるとき

MRIで前頭前野や海馬の体積が減っているという報告があります。ただ、それが直接寿命を縮めるかは、はっきりしていません。

記憶が飛ぶと感じる背景には、そのときの症状や薬の影響が関わることも多いようです。躁状態では考えが次々に移り、うつ状態では集中力が落ちます。

気分の波や記憶の不安について主治医に相談する流れ

気分が安定すると和らぐことも多いとされます。再発を繰り返すほど脳への負担は増えるとも指摘されます。波を小さく保つことが、現実的な対処につながります。

突然死やパーキンソン病のリスク

パーキンソン病の発症リスクが高いとする研究もあります。神経伝達物質が長く変動し続けることとの関連が考えられています。すべての方に起きるわけではありません。

突然死は心血管疾患との関連が指摘されます。ただ比較データは十分とは言えず、大きさを断定できる段階ではありません。定期的な健康診断で、身体の変化を早めに捉えられます。

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寿命の差を縮めるためにできること

すべてを一度に変えようとしなくて大丈夫です。何から手をつけるか見当がつくだけで、怖さの質は変わってきます。

治療を途切れさせない工夫

土台は、治療を続けることです。気分安定薬などには、波を抑えて再発を防ぐ働きがあります。調子が良い時期にこそ続ける意味があります。

躁のときは薬が不要に思え、うつのときは通院の気力がわかない。どちらでも途切れやすいのが、この病気の難しさです。安定しているうちに、主治医と服薬の意味を確認しておくと支えになります。

健康管理について医師に相談する人

身体の健康管理を意識する

精神科に通っていても、内科の健診は後回しになりがちです。血圧や血液検査、心電図を意識してみてください。

薬の影響で体重や血糖、脂質に変化が出ていないか。早めにつかめれば、主治医と相談して調整できます。まず睡眠のリズムを最優先にすると、気分にも身体にも負担が減ります。

一人で抱えず周囲とつながる

自殺リスクや孤立への備えは、本人だけで完結しません。家族やパートナーの存在が支えになります。

ただ、励ましすぎや行動の管理は、かえって追い詰めることがあります。いつもと違う変化に気づいたら、責めずに声をかける。頼れる先を一緒に確認しておく。その関わりが助けになります。

数字に飲み込まれないための視点

平均寿命のデータには、さまざまなケースが含まれます。治療が続かなかった例も、身体の管理が十分でなかった例もあります。今、治療を続けながら読んでいる方は、その平均とは違う歩み方をしています。

治療を続けることや健診、周囲の支えを示す図

仕事は続けられるのか、この先どうなるのか。寿命の不安は、暮らし全体の心配とつながっています。そのすべてに今すぐ答えを出す必要はありません。

もし一人で抱える時間が長いなら、誰かに話してみるのも一つの方法です。心理カウンセリングは、気持ちや考えを安全に整理していく場です。検索ではほどけなかった不安が、声にすると少し軽くなることもあります。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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