反抗期の娘への対応がわからない、どう接してもイライラされる…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

反抗期のお子さんとの関わり方に悩む保護者の方から、
・どう接してもイライラされてしまう
・自分の関わり方が悪かったのではないか
といったご相談は多いです。

子供が反抗期は理解しているけど、やっぱり冷たい反応が多いと受け取る側もすごくつらいですよね。
なんて言っても、やはり親も人間なのですから。

今回はそんな反抗期の背景や知識はもちろん、双方に効果的な接し方や捉え方がまとまっています。是非ご一読ください。

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40代女性(主婦)

中学2年生の娘がいる母親です。
半年くらい前から、話しかけても無視され、少し声をかけるだけで強い口調で言い返されるようになりました。

昨日もスーパーで名前を呼んだだけで睨まれ、帰りの車の中で泣きたい気持ちをこらえていました。
受験も近いのに勉強の話もできず、娘の機嫌をうかがう自分がいます。

私の関わり方のどこが悪いのか、母親として娘に嫌われてしまったのか、毎日ぐるぐる考えてしまい、どう接していいのか本当にわからなくなっています。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
反抗期の娘とどう接したらいいかわからない、何を言ってもイライラさせてしまう。
そう感じながら日々を過ごす保護者の方は、決して少なくありません。

この記事では、反抗期の娘への対応に迷ったときに、親がどんな考え方を持っておくと楽になれるのか、そして場面ごとにどんな判断軸で関わっていけばいいのかを、ゆっくり整理していきます。

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反抗期の娘への対応で、最初に持っておきたい考え方

反抗期の娘にどう接していいかわからないとき、多くの親御さんは、どこかで自分の関わり方が間違っていたのではないかと考え始めます。

けれど、関わり方を見直す前に、まず反抗という現象そのものを少し離れた場所から眺めてみることが、遠回りに見えてずっと効く場合があります。

反抗は親子関係が壊れた合図とは限らない

娘から強い言葉を向けられたり無視されたりすると、親としては関係そのものが壊れかけているように感じます。

けれど思春期の反抗は、関係が壊れたから起きているのではなく、関係の形が変わろうとしているから起きていることの方が多いのです。

これまで親の言うことを前提に動いていた子が、自分の輪郭を探し始めると、最も近い存在である親に対して自分はそれとは違うという線を引こうとします。心理的に遠い相手には反抗する必要がないので、娘が親にきつく当たるということは、まだ親を自分にとって重要な相手と見ている証拠でもあります。

娘に嫌われてしまったのではないかという不安は自然な感覚ですが、反抗の強さと親への嫌悪の強さは、実は別のものとして起きています。

すぐに正そうとするより、関わり方を選ぶことが大切

反抗期の娘を前にすると、親は反射的にその態度を修正しようとします。言い方を直させたい、もっと話してほしい、勉強にも向き合ってほしい。どれも娘を思う気持ちから出てくるものですが、この時期に正そうとする関わりは、娘から見ると自分の変化を否定されているように映りやすく、結果的に反発を強めてしまいます。

この時期に親ができる現実的な選択は、何を正すかではなく、今この瞬間にどう関わるかを選ぶことです。

放置は関心を手放すことですが、関わり方を選ぶのは、関心を持ち続けたまま、表に出す関わりの量を調整することです。この違いを意識できるようになると、反抗期の娘との日々は、少しだけ見通しが立ちやすくなります。

反抗期の娘がきつくなりやすい背景

娘の態度がきつくなる時期には、娘の内側でいくつかの変化が同時に起きています。外から見ると態度の問題に映るものも、内側の事情を知ると、全く違う景色に見えてきます。

母親にだけ反発が強く見えやすい理由

反抗期の娘は、父親には普通に接するのに母親にだけ強く当たる、という姿を見せやすい傾向があります。これは母親の関わり方が悪いからではなく、心理的距離の近さが関係しています。

娘にとって母親は、同性であり、最も自分と重ねやすい存在です。自分の輪郭を探そうとするとき、同性で近い存在との間でこそ、自分とは違うという線を引く作業が必要になります。父親は異性でもともと距離があるため、この線引きの必要性が強くは働きません。

強く当たられる立場は本当に消耗しますが、それが関係の深さと表裏一体であることを、頭のすみに置いておくと少し救われます。

自立したい気持ちと不安が同時に強まる

この時期の娘の内側では、親から離れたい気持ちと、離れることへの不安が同時に強まっています。心理学ではこれを両価性と呼びます。

さっきまで強い口調で突き放していた娘が、しばらくするとふと甘えた声で話しかけてくる。そんな矛盾に見える態度は、両価性のあらわれとして起こります。

親からすると振り回されている感覚になりますが、娘自身も自分の中の矛盾に戸惑っています。突き放したいのに離れたくない、頼りたいのに頼りたくない。この揺れが、態度の不安定さとして外に出てきているのです。

友人関係や心身の変化で余裕を失いやすい

思春期の娘は、家の外でもかなりのエネルギーを使っています。友人グループの中での立ち位置、クラスでの距離感、SNS上でのやり取り。大人から見るとささいに映る変化にも、この時期の感受性は強く反応します。

加えて第二次性徴に伴うホルモンの変動や体型の変化、生理に伴う不調など、身体面でも余裕を失いやすい状態が続きます。外で張り詰めていた分が、家に帰った瞬間にゆるみ、一番安心できる相手である母親にぶつけられる、という流れはよく起こります。

娘は外で甘えられないからこそ、家で不機嫌を出せます。不機嫌を出せる場所があるということ自体は、娘の回復にとって意味のあることでもあります。

反抗期の娘との接し方で、親が持っておきたい3つの軸

反抗期の対応に迷うとき、多くの親御さんはすべての場面に使える正解を探そうとします。けれど娘の態度は日によって揺れ、一つの正解では追いつきません。

代わりに持っておきたいのは、今この場面でどう動くかを選ぶための軸です。大きく分けると、次の3つで捉えられます。

  • 今は受け流す場面か
  • 今は短く伝える場面か
  • 今は話し合わず待つ場面か

今は受け流す場面か

受け流すのは、娘が感情そのものをぶつけている場面で選ぶ関わり方です。不機嫌な声、きつい返事、ため息まじりの無視など、内容というより感情の放出として出てきているものは、受け止めようとせず静かに通過させる方がお互いに消耗が少なくなります。

受け流すというのは、聞こえなかったふりをすることではありません。聞こえてはいるけれど、今そこに反応を返さない、という選択です。この違いが腑に落ちてくると、娘の強い言葉を個人攻撃として受け取らずに済むようになります。

今は短く伝える場面か

どうしても伝えておきたいことは短く伝える場面として扱います。ポイントは、長く説明しないことと、評価や感情をのせないことです。

明日の提出物、家族の予定、安全に関わることなど、事実として共有が必要なものは、感情から切り離して短く一言で伝えます。

思いを込めて丁寧に話すほど、娘には干渉として届きやすくなります。短く、静かに、一度だけ伝える。この形を守ると、必要なやり取りは意外と成立します。

今は話し合わず待つ場面か

最も難しいのが、今は話し合わず待つ場面かどうかの見極めです。娘が強く苛立っているとき、泣いているとき、部屋にこもっているとき。こうした場面は、親が何を言っても言葉として届かない時間帯に入っています。

待つというのは、何もしないことではなく、関わる時機を選ぶということです。娘が自分から話しかけてきたとき、夕食の席で少し表情がゆるんだとき、車の助手席で黙って隣にいる時間。そうした小さな瞬間に、こちらから短く一言返すだけで、待っていた時間が意味を持ち始めます。

親が先に動きを減らすと、娘の側に自分で動く余白が生まれます。この余白こそが、思春期の娘が育っていくために必要な空間です。

反抗期の娘への対応でやらない方がいいこと

関わり方の軸を意識しても、親も一人の人間なので、感情的になってしまう瞬間は必ずやってきます。やってしまいがちな関わり方と、別の選び方があることを一緒に見ていきます。

感情的に言い返す

娘の強い口調に親も同じ温度で返してしまうと、娘の中には不快さだけが残り、言葉の中身はほとんど届きません。

ただ、親が言い返したくなるのは当然の反応です。大切に育ててきた娘から理不尽に当たられれば、人間として反応してしまうのが自然で、これを完全に抑え込む必要はありません。

そのうえで、言い返しかけた瞬間に気づけたなら、一度だけ深く息を吸って、その場を離れるという選び方があります。感情の残り火がある場面での対話は、ほとんど実りません。

正しさで押し切る

娘の態度や発言に対して、理屈の上ではこちらが正しい、ということはよくあります。けれど反抗期の娘との会話では、正しさで押し切ろうとするほど関係は遠ざかります。

娘がその瞬間に求めているのは、判定ではなく、自分の感じていることを一度受け取ってもらう体験です。

正しさを下げる必要はありませんが、正しさを伝える順番を後ろに回す、という工夫はできます。まず娘の感情や状況に短く触れ、そのうえで伝えるべきことを短く添える。順番の違いだけで、同じ内容でも届き方が変わります。

比べる、聞き出す、管理を強める

姉妹や友人と比べる言葉、何があったのかを繰り返し問いただす関わり、スマホや生活の管理を強めていく対応は、どれも娘にとって自分の領域を侵されている感覚を強めます。

心配から出ている行動ほど、娘には監視として届きやすいというのが、この時期の特徴です。心配を行動で示す代わりに、いつでも話せる入り口を一つ開けておく、という関わりに置き換えるだけで、娘の受け取り方は変わります。

何かあったら言ってね、という一言を一度だけ伝え、そのあとは黙って普段の生活を続ける。この静かな関わりの方が、反抗期の娘には届きやすい形になります。

反抗期の娘への対応に迷う場面別の考え方

ここからは、実際によくある場面に、先ほどの3つの軸を当てはめて考えていきます。同じ場面でも日によって適した軸は変わるので、今日の娘の状態を見ながら選ぶ練習だと思って読み進めてください。

無視されたとき

おはようと声をかけても返事がない、呼んでも反応がない。こうした無視は、多くの場合、受け流す場面に当たります。

無視そのものを問題化せず、親の側はいつもどおりの声かけを続け、返事を要求しない形で関わりを保ちます。無視されるたびに親が傷ついた表情を見せると、娘の中に罪悪感と反発が同時に生まれ、関係はさらにこじれます。

反応が返ってこないことを前提にしながら、挨拶だけは淡々と続ける。この淡々さが、実は見守るという関わりの具体的な形です。

きつい言い方や暴言が出たとき

強い言葉が飛んできたときは、その場で受け流す軸と、少し時間を置いてから短く伝える軸を組み合わせます。その瞬間は応戦せず、その場を離れる。そのうえで、落ち着いた時間帯に、一度だけ短く伝えます。さっきの言葉は受け取るのがつらかった、と。

評価や説教ではなく、親の側の感じたことを一人称で短く添えるだけで十分です。

父親や家族がいる場合、母親だけで抱え込まず、家族の中で役割を分けるという選び方もあります。母娘の間で強い感情が動いた日は、夜の送迎や週末の買い物など、父親が担える接点を意識的に増やすだけで、母親の消耗が減り、娘も感情を切り替える時間を持てます。

スマホや勉強でぶつかるとき

スマホの使い方、勉強時間、生活リズム。この時期に最も衝突しやすい領域です。これらは短く伝える場面に当たりますが、伝える量をかなり絞る必要があります。

家庭としてのルールは短い言葉で一度伝え、そのあとは管理を強めるよりも、結果を娘自身が引き受ける構造をゆるやかに残すことが役立ちます。提出物が間に合わなかったとき、成績が思うように伸びなかったとき、その経験から学ぶのは本人であり、親が先回りして防ごうとするほど、学びの機会は失われていきます。

切り出すタイミングも大切で、食事の直後、娘が帰宅してすぐ、スマホを見ている最中は避けます。娘の表情が少しゆるんでいる瞬間を選び、短く一言だけ。長い目で見ると、この形の方が対話の回数は増えていきます。

反抗期でも相談を考えたいサイン

反抗期は時間をかけて落ち着いていくもので、多くの場合は家庭の中で向き合いながら通過できます。

ただ、反抗期という枠では説明しきれない変化が出てきたときや、親自身の消耗が深くなってきたときは、家庭の外の力を借りる選択肢を考える時期に入っています。

反抗期だけでは片づけにくい変化

学校に行けない日が続く、眠れなくなる、食事の量が大きく変わる、自分を傷つけるような発言や行動が見られる。

こうした変化は、反抗期の範囲で捉えるよりも、娘の心身全体の状態として見ていく必要があります。反抗期と並行して起きているように見えても、別の背景が重なっている場合があり、親の対応だけで抱えきれる範囲を超えていることも出てきます。

この段階では、スクールカウンセラーや医療機関、心理カウンセリングなど、娘の状態を専門的に見てくれる場所につながることが、家庭全体を守る行動になります。

親の心が限界に近いとき

相談のサインは、娘の側だけにあるわけではありません。

娘のことを考えると胸が苦しくなる、朝起きるのがつらい、涙が止まらない日が続く、家族との会話がしんどい。こうした状態が数週間単位で続いているなら、それは親自身のケアが必要な段階に入っているサインです。

親が倒れてしまうと、娘を受け止める土台そのものが崩れます。親のケアは娘のためにも必要な行動であり、自分のために相談の場を持つことに、引け目を感じる必要はありません。

反抗期の娘との関係を、少しずつ立て直していくために

反抗期の期間は個人差が大きく、半年で落ち着く子もいれば、数年かけて少しずつ変わっていく子もいます。

いつまで続くのかという問いには明確な答えを出しにくいのですが、多くの場合、娘の内側で自分の輪郭が固まるにつれて、親に対する線引きの必要性は自然と薄れていきます。

親の側の反応の仕方が少しずつ変わっていくと、娘の中で親に見せる顔もゆっくり変わっていきます。関係を立て直すのは、一度のやり取りではなく、日々の小さな選び直しの積み重ねです。

反抗期の娘との毎日は、一人で抱え続けなくていい時間です。今日よりも少しだけ、自分を消耗させない関わり方を探してみる。その選び直しを、今からでも始めていけます。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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