集団行動が苦手なわが子は、発達障害なのでしょうか?
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30代女性(主婦)
小学2年生の息子のことで相談させてください。先日担任の先生との個人面談で、授業中に急にぼんやりして指示が通らないことがある、休み時間はいつも一人で本を読んでいる、と言われました。
ネットで調べると発達障害や自閉症という言葉がたくさん出てきて、チェックリストをいくつかやってみましたが、当てはまるような当てはまらないような感じで、よけいに分からなくなりました。
私の関わり方がいけなかったのかと責めてしまう夜もあります。この子にとって何が一番いいのか、どこから手をつければいいのか、分からなくなっています。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
小学生のわが子が集団になじめていないように見えるとき、発達障害や自閉症という言葉がふと頭に浮かんで、不安が一気に広がってしまうことがありますよね。
診断という言葉が気になり始めると、ネットのチェックリストを何度も見返してしまう、という方も少なくありません。
ただ、集団行動が苦手だからといって、それだけで発達障害と決まるわけではありません。
集団行動が苦手とは?小学生に見られやすい特徴

文部科学省が令和4年に行った調査では、通常学級に在籍する児童のうち8.8%が学習面または行動面で著しい困難を示すとされています。クラスに2〜3人はいる計算になり、先生方にとっても日常的に出会う姿です。
ここでは、集団行動が苦手な小学生に起きやすい場面を、具体的に見ていきましょう。
授業中に起きやすい様子
45分間じっと座り続けること自体、子どもにとっては負荷になります。集団行動が苦手な子は、先生の一斉指示を聞き取りにくかったり、途中でぼんやりして手が止まったりすることがあります。
発表を求められる場面では、みんなの視線が集まる緊張で声が出にくくなることもあります。怠けているというより、頭の中がいっぱいになってしまっている、と考えたほうが近いかもしれません。
友達関係で起きやすい困りごと

休み時間の遊びには暗黙のルールがたくさんあります。たとえば、次のような場面です。
- ドッジボールの仲間に入るタイミング
- 鬼ごっこで捕まったときの反応
- 会話の中で冗談に反応すること
こうしたやりとりがうまくいかないと、無理に入るより一人でいたほうが楽だと感じて、自然と距離を取るようになることもあります。
中学年になると仲良しグループが固まり始め、どこにも属さない感覚が強くなる子もいます。高学年になると、周りと自分を比べる場面が増え、その違いに戸惑うことも出てきます。
行事や集団活動で疲れやすいケース
運動会、学芸会、遠足など、普段と異なるスケジュールで動く日は、見通しが持ちにくくなります。
大勢が一度に動くざわめきや体育館に反響する音、慣れない場所のにおいなど、感覚的な刺激が一気に増えることも、集団活動への抵抗感を強める要因になりえます。本人にとっては、その場にいるだけでもエネルギーを使っている状態です。
集団行動が苦手な原因は?発達障害や自閉症との関係

集団行動の苦手さには、さまざまな背景が重なっています。実際には、これが原因ですと言い切れることのほうが少なく、いくつかのことが重なって、今の姿として表れていることがほとんどです。
性格や発達段階の影響
まず前提として、子どもの社会性は段階的に育つということがあります。
発達心理学者パーテンの研究では、子どもの遊びは一人遊びから平行遊び、やがて役割のある共同遊びへと変化していくとされています。この歩みの速さには個人差があります。
慎重な性格の子はじっくり周囲を観察してから動き出しますし、自分のペースを大切にする子はマイペースと見えやすいこともあります。とくに1対1では問題なくやりとりできるのに、大人数では固まってしまう場合、集団そのものの刺激量が合っていない可能性も考えられます。
不安や環境要因

集団の中でつらい経験が続いたとき、苦手意識が強まることがあります。たとえば、次のような体験です。
- みんなの前で失敗して笑われた
- グループに入れてもらえなかった
- 先生に強い口調で注意された
また、進級や転校など環境が大きく変わった直後は、どんな子でも一時的に集団への適応が難しくなることがあります。
発達障害・自閉症スペクトラムとの関連

集団行動の苦手さが、発達障害の特性と結びついていることもあります。ただし重要なのは、集団行動が苦手というだけでは以下のような発達障害の診断にはならないという点です。
自閉症スペクトラム(ASD)
自閉症スペクトラム(ASD)の傾向がある子どもは、相手の表情の変化や、その場の空気を読むことが思っている以上に疲れることがあります。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHD(注意欠如・多動症)の傾向がある子どもは、注意の持続が難しかったり、思いついたことが先に体に出たりして、集団の切り替えに乗りにくくなることがあります。
HSP(繊細さん)
HSPの傾向がある子どもは、周囲の音や人の表情、空気の変化などを敏感に感じ取りやすく、その刺激の多さに疲れてしまうことがあります。
(関連記事:HSPで学校がしんどい…これってあるあるですか?)
【診断の目安】集団行動が苦手なのは発達障害?

ここでは、診断の目安を整理しながら、必要なときに相談へつなげる考え方を確認していきます。
医療機関で行われる評価ポイント
医療機関では、一度受診しただけで、その場で答えが出るというものではありません。
まず医師による詳しい問診があり、生まれてからの発達の経過、家庭や学校での様子、困っている具体的な場面などを丁寧に聞き取ります。
WISCという知能検査や心理検査を通じて、認知の得意・不得意のバランスを把握することもあります。
診察中の様子や、保護者や学校からの話も合わせて、少しずつ全体像を見ていきます。こうしたプロセスには数週間から数ヶ月かかることもあり、焦らずに進めていくことが大切です。
受診を検討するサイン

お子さんに次のような変化が2週間以上続いている場合は、専門機関への相談を前向きに検討をおすすめします。
身体面のサイン
- 頭痛や腹痛を繰り返し訴える
- 食欲が落ちている、体重が減っている
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める
行動面のサイン
- 登校を強く嫌がるようになる
- 以前はできていたことを避けるようになる
- 家庭でもみんなでの活動を極端に嫌がる
心理面のサイン
- 自分はダメだなど否定的な言葉が増える
- 表情が乏しくなる、笑顔が減る
- ささいなことで強く怒る、泣くなど感情の起伏が大きくなる
こうしたサインは、心や体が無理をしている可能性が高いので、専門家に話してみるだけでも、少し整理がつくことがあります。
親として集団行動が苦手な子どもへの関わり方

すぐに大きく変わらなくても、毎日の関わりの中でできることは意外とあります。
見通しを共有する工夫
集団行動が苦手な子どもは、次に何が起こるかわからない状況に不安を感じやすいことがあります。
たとえば、明日は朝の会のあとに体育がある、遠足では最初にバスに乗ってそのあとお弁当を食べる、といった簡単な流れを共有するだけでも、心の準備がしやすくなります。
また学校の時間割や行事予定を一緒に確認する時間をつくるのも一つの方法です。
成功体験を積み重ねる
集団の中で自信を失いがちな子にとって、小さな成功体験の積み重ねは支えになります。大切なのは、結果ではなく過程を認めることです。
周囲から見れば小さく見えることでも、その子にとっては大きな一歩である場合があります。具体的な言葉で伝えることで、できた、という小さな実感が、少しずつ積み重なっていきます。
学校との連携のポイント
担任の先生に相談するとき、特別扱いをしてほしいと伝える必要はありません。
お子さんの特徴と家庭で効果があった方法を共有し、学校でもできる範囲で同じ工夫をしてもらえないか相談する、というスタンスが現実的です。
座席の配慮や活動前の予告、参加の仕方に選択肢を持たせるといった対応は、比較的取り入れやすい工夫です。
【集団行動が苦手】発達障害が心配なときの相談先

もし誰かに相談したいと考えている場合、相談先にはいくつかの選択肢があり、それぞれに違いがあるので、知っておくだけでも安心材料になります。
公的機関の相談窓口
一般的に相談先として医療機関を思い浮かべる方が多いですが、地域の子育て支援センターや保健センター、児童発達支援センターなど、気軽に話を聞いてもらえる窓口もあります。どこに相談すべきか迷うときは、お住まいの自治体の保健師に連絡してみるのも一つの方法です。
| サービス名 | 運営 | URL |
|---|---|---|
| まもろうよ こころ | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/ |
| 子供のSOSの相談窓口 | 文部科学省 | https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm |
心理的サポートという選択肢
医療機関を受診するほどではないけれど、一人で抱え込むのもつらい。そう感じている方には、心理師によるカウンセリングという選択肢もあります。
カウンセリングでは、お子さんの特性や困りごとを一緒に整理しながら、家庭での関わり方を具体的に考えていくことができます。診断の有無にかかわらず利用できる点も、敷居を低くしてくれる理由のひとつです。
お子さんが直接話をする形もあれば、保護者の方だけが相談する形もあります。
親としてどう接すればよいか迷っているとき、専門的な視点が入ることで気持ちが軽くなることがあります。