過食と拒食を繰り返します。交互に起こるのは回復期だから?

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20代男性(会社員)

半年ほど前から、食べられない時期と食べすぎてしまう時期が交互にやってきます。平日は仕事中に食べることへの罪悪感が強くて、昼食もほとんど口にできません。

でも休日になると気が抜けるのか、コンビニで大量に買い込んで一人で食べ続けてしまいます。食べたあとは太る恐怖と自己嫌悪で動けなくなり、翌週からまた食事を減らす、その繰り返しです。

ネットで調べると回復期に過食が起こるという情報も出てきますが、自分の場合は回復しているというより悪くなっている気がします。誰にも相談できず、このまま続くのかと思うと怖いです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。食べられない時期と食べすぎてしまう時期を繰り返すなかで、自分の状態がどこに向かっているのか分からない不安は、とても苦しいものだと思います。

この記事では、過食と拒食が交互に起こる背景にどんな仕組みがあるのか、そして今の状態をどう捉えればよいのかを、少しずつ整理していきます。

回復期に過食と拒食が交互に起こる?

今の状態が回復の途中なのか、それとも別の方向に進んでいるのか。ここではまず、その違いを整理していきます。

拒食の回復期に過食のような状態が起こることはある

拒食が続いたあとに、急に食欲が抑えられなくなる時期が訪れることがあります。
これは低栄養の状態が続いた体が、失われた栄養を取り戻そうとする生理的な反応として知られています。
やせていた時期を補うかのように食べる量が増え、それが数か月から、長い場合には数年にわたって続くこともあります。

この段階では、食べることへの恐怖や罪悪感を感じながらも、体が必要としている栄養を受け入れていくプロセスが進んでいます。
嘔吐や下剤などで食べたものを帳消しにしようとせず、体重がゆるやかに戻っていくのであれば、体が回復に向かっているサインと捉えられる場合があります

回復期ではなく、制限と反動を繰り返していることもある

一方で、過食と拒食が回復のプロセスではなく、制限と反動の悪循環として固定してしまっていることもあります。
食べすぎたあとに強い自己嫌悪や太ることへの恐怖が押し寄せ、翌日からふたたび食事を極端に減らす。
そしてまた体が耐えきれなくなって過食に向かう。

このサイクルが何か月も同じように続いている場合、回復期の一時的な揺れとは少し性質が異なってきます。

過食と拒食を繰り返すのはなぜ?

繰り返しが起こるのには、体の仕組みと心の動きの両方が関わっています。ここでは、その背景を段階的に見ていきます。

食事制限や低栄養が続くと、反動で食べたい衝動が強くなる

体が長期間にわたって十分な栄養を受け取れていないと、脳は生存のために食欲を強く引き上げようとします。
これは意志の弱さとは関係なく、飢餓状態に対する体の自然な防御反応です。
特に糖質や脂質を避け続けていると、体がそれらを強く求めるようになり、菓子パンやスナック菓子のような高カロリーの食品を衝動的に食べてしまう状態につながりやすくなります。

制限が厳しければ厳しいほど、この反動も大きくなる傾向があります。
食事を抜くことでコントロールできている感覚を持っていた人ほど、反動で食べたときの衝撃や自己嫌悪も強くなりやすいのです。

食べたあとの太る怖さや自己嫌悪が、再び拒食に向かわせやすい

過食のあとに押し寄せるのは、体重が増えることへの強い恐怖と、自分を責める気持ちです。
あれだけ食べてしまった自分が許せない、取り返しがつかないという感覚に襲われ、翌日から食事をさらに厳しく制限しようとする動きが生まれます。

食べたあとの太る怖さや自己嫌悪が、再び拒食に向かわせる

しかし、この制限がふたたび体を飢餓状態に追い込み、やがてまた食べたい衝動が抑えきれなくなる。
拒食と過食は、それぞれが相手の引き金になり合うかたちで循環しやすい構造を持っています。
この循環は、自分の意志だけで断ち切るのがとても難しいものです。

完璧主義や白黒思考、ストレスの強さが揺れを固定化しやすい

繰り返しの背景には、食事や体型に対する考え方の偏りが影響していることも少なくありません。
食べるなら完璧に制限する、崩れたらもう全部だめだ、という白黒思考は、小さなずれを大きな挫折として受け取りやすくします。

少しでも食べすぎたと感じた瞬間に、もうどうでもいいという気持ちが湧いて過食に向かい、翌日にはまた厳格な制限を自分に課す。
この振り幅が大きくなるほど、サイクルから抜け出しにくくなります。

体重や体型が自分の価値と強く結びついている場合は、体重の変動がそのまま自己評価の上下に直結しやすくなります。
仕事や人間関係のストレスが重なると、食べることが一時的な逃げ場になりやすく、過食のあとの自責がさらに心の余裕を奪っていく流れにもつながっていきます。

平日拒食・休日過食のようなパターンが起こる理由

平日拒食・休日過食のようなパターンが起こる理由

平日は食事を控えていられるのに、休日になると食べることが止められない。そうした落差に苦しんでいる方も多くいます。

平日に抑え込んだ反動が、休日に強く出やすい

平日は仕事や対人場面の緊張感で食欲が抑えられていても、体が必要としている栄養は足りていない状態が続いています。
その蓄積が、休日に緊張が解けた瞬間に一気に表面化しやすくなります。

抑え込んでいた時間が長いほど、反動は大きくなります。
金曜の夜からコンビニで大量に買い込み、日曜の夜まで食べ続けてしまうという週末過食と呼ばれる状態は、まさにこの仕組みで起こりやすいものです。

平日の節制が成功しているように見えるぶん、本人は休日の自分との落差にますます苦しみやすくなります。

一人の時間や疲れ、気のゆるみで過食が起こりやすい

過食は、人の目がない環境で起こりやすいという特徴があります。
一人で過ごす休日は、外からのブレーキがかかりにくいため、食べたいという衝動にそのまま流されやすくなります。

さらに、一週間分の仕事の疲れが心身にたまっていると、食べることが手っ取り早い安らぎの手段になりやすい面もあります。
食べている最中だけは何も考えなくてよい開放感がある一方で、食べ終わったあとには空虚感や後悔が押し寄せる
また来週から頑張ろうと自分に言い聞かせて制限に戻る。このパターンが週単位で固定されていきます。

拒食の回復期の過食と、注意したい状態の違い

自分の状態が回復に向かっているのか、それとも注意が必要な段階にあるのか。ここでは、いくつかの視点から整理します。

定期的に食べる流れへ戻ろうとしているか

回復期の過食は、体が栄養を求める反応として起こるため、食事のリズムが少しずつ整っていく方向に向かっていることが多いです。
朝・昼・夕のいずれかでも規則的に食べられる時間が増えてきている場合、体が安定に向かっている可能性があります。

一方で、食事のリズムがまったく定まらず、食べない日と食べすぎる日が極端に分かれたまま数か月以上続いているなら、体が自然に調整するプロセスとは異なる状態かもしれません。
焦る必要はありませんが、自分の食事パターンがどちらに近いかを振り返ってみることは、次の一歩を考えるうえで手がかりになります。

嘔吐や下剤、過度な運動で帳消しにしようとしていないか

食べたあとに嘔吐をする、下剤を使う、あるいは何時間も激しい運動をして消費しようとする。
こうした代償行動が習慣化している場合、体への負担が蓄積しやすくなります。
嘔吐を繰り返すことで電解質のバランスが崩れ、不整脈や腎機能の低下につながるリスクがあります。
下剤の大量使用も腸の働きに影響を与え、自力での排泄が難しくなることがあります。

代償行動があるかないかは、今の状態を把握するうえでとても重要な視点です。
自分では当たり前になってしまっていることでも、体にとっては大きな負荷になっている場合があります。

体重や食事のことが頭から離れず、生活が崩れていないか

食べ物やカロリーのことが一日中頭を占めている、仕事や人づきあいに支障が出ている、夜中に過食して睡眠が大幅に削られている。
このように食にまつわるとらわれが日常生活全体を圧迫しているなら、一人で対処しようとするよりも、専門的な視点を借りたほうが状態を整理しやすくなります。

回復期の一時的な揺れであっても、生活全体が食のことを中心に回り始めているときは、早めに誰かに状況を伝えることが、次の一歩を考えるきっかけになりえます。

拒食・過食を誰かに相談するべきタイミング

相談するかどうかを迷うこと自体、とても自然なことです。ここでは、早めに相談を考えたほうがよい状態の目安を挙げておきます。

ふらつき、動悸、無月経、むくみなど身体の異変がある

低栄養や嘔吐の繰り返しによって体に異変が現れている場合は、心理面よりも先に身体の安全を確認することが優先されます。

  • 立ちくらみやふらつきが日常的にある
  • 心臓がドキドキする感覚が続く
  • 月経が数か月止まっている
  • 手足のむくみがひどい

こうした症状は、体が限界に近づいているサインである場合があります。
摂食障害の身体合併症は外見からは分かりにくいことが多く、本人も体が慣れてしまうことで気づきにくい傾向があります。

心当たりがある場合は、内科やかかりつけ医に早めに相談してみてください。
厚生労働省が運営する摂食障害全国支援センターのサイトでは、各地域の相談窓口や専門機関の情報も確認できます。

一人でやめようとしても繰り返し、自己嫌悪や孤立が強まっている

何度も自分で食事を整えようとしてはうまくいかず、そのたびに自分を責め、誰にも言えずに孤立感が深まっている。
こうした状態が長く続いている場合、一人で抱え続けること自体が回復を遠ざけてしまうことがあります。

摂食障害の回復には時間がかかり、行ったり来たりしながら少しずつ進んでいくものだと言われています。
途中でうまくいかない時期があっても、それは回復を諦めなければならないということではありません。
心療内科や精神科、カウンセリングの場で状態を言葉にしてみるだけでも、自分の中で整理が進むきっかけになりえます。

拒食症・過食症を繰り返している自分を責めなくていい

ここまで読み進めてくださったこと自体が、ご自身の状態を理解しようとする一歩です。
最後に、少しだけ視点を広げて整理します。

食べ方だけではなく、心と体の両方から整えていく

過食と拒食の繰り返しは、食べ方を正せば解決するという単純な話ではありません。
体が受けてきた栄養の不足、体型や体重に自分の価値が結びつく感覚、ストレスへの対処のしかた、完璧でなければいけないという思い込み。
こうしたさまざまな要素が絡み合って、今の状態が形作られています。

だからこそ、食事の管理だけに集中するよりも、心の動きや考え方のくせも含めて、少しずつ整えていくことが回復の土台になります。
認知行動療法のように、体型や体重への考え方のバランスを見直していくアプローチが効果を示すケースもあり、心理的なサポートが選択肢に入ってくる場面は珍しくありません。

一人で判断し続けず、状態を整理しながら相談先を考える

繰り返している自分に対して、意志が弱いから、甘えているからと感じてしまうかもしれません。
ですが、ここまで見てきたように、繰り返しの背景には体と心の複雑な仕組みがあります。
自分を責め続けることは、回復の力を削いでしまいやすいものです。

今の自分がどの段階にいるのか、次に何を考えればよいのかを、信頼できる相手と一緒に整理していくことが、状態をほぐしていく手がかりになります。
心理カウンセリングも、答えを教えてもらう場というよりは、自分の状態を言葉にして整理していくためのひとつの場です。

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この記事の監修者

石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。
1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。
また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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