「めんどくさい」が口癖になってる自分って、心の中で何が起きてるんでしょうか?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

「めんどくさい」が増えたことに自分で気づける方は、これまで真面目にこなしてきた人が多い印象です。

性格のせいにする前に、ここ数週間の眠りや疲れ、朝の体の重さを思い返してみてください。

言葉の重さは、そのあたりとつながっていることがあります。

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30代女性(会社員)

最近、何をするにも「めんどくさい」と口から出てしまいます。

シンクの食器を見た瞬間に声が出て、自分でも驚きました。

同僚の前でも言っていたようで、あとから急に恥ずかしくなって。

前はこんな言い方をしていた覚えがなくて、戸惑っています。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

言ってしまったあとに引っかかる感じは、けっこう消耗しますよね。

自分の性格の問題だと決める前に、確かめておきたいことがいくつかあります。

この記事では、めんどくさいが口癖になるときの心理と、ただの癖なのか心身の状態が影響しているのかを見分ける目安を整理します。

周囲への聞こえ方にも少し触れます。

「めんどくさい」が口癖の自分に戸惑うとき

口に出したあとで、はっとする瞬間があると思います。

ここでは、その戸惑いがどこから来ているのかを先に整理します。

原因や直し方を考えるのは、もう少しあとでも遅くありません。

口癖に気づいて不安になる瞬間

自分の口から「めんどくさい」が出ていると気づくのは、たいてい何気ない場面です。

シンクにたまった食器を見たとき、返信しなきゃと思ったスマホを裏返したとき。

言ってしまってから、前はこんな言い方をしていたかな、と引っかかる。

その引っかかりに気づけていること自体が、自分を見ている証拠でもあります。

気になり始めると、周りにどう聞こえていたんだろう、という不安も重なってきます。

口癖を気にしている時点で、投げやりになっているわけではありません。

口癖に気づいた不安は、自分を責める材料ではなく今の状態を確かめる入口にできます。
口癖に気づいた不安は、自分を責める材料ではなく今の状態を確かめる入口にできます。

怠けと決めつけなくていい理由

「めんどくさい」という言葉は、どうしても怠けや意思の弱さと結びつけて語られがちです。

検索して出てくる情報にも、性格の問題として片づけるものが少なくありません。

けれど、同じ言葉でも背景は人によって違います。

疲れがたまっている人、やりたくないことを引き受けている人、うまくやれる自信を失っている人。

どれも怠けとは呼べないものです。

自分を怠け者だと決めてしまうと、そこで思考が止まります。

そうすると、本当に必要な休息や見直しにたどり着けなくなる。

まずは決めつけを保留にして、何が起きているのかを見るところから始めたほうが、遠回りになりません。

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「めんどくさい」が口癖になる心理と脳の仕組み

ここからは、めんどくさいという感覚が生まれる仕組みを整理します。

心理と体、両方の側面から見ていきます。

読みながら、自分に当てはまりそうなところだけ拾ってもらえれば十分です。

脳の省エネモードというサイン

脳は体重のおよそ2%しかないのに、体全体のエネルギーの約20%を使うと言われています。

燃費の悪い器官なので、余計な消費を避ける方向に働きやすい。

初めてのこと、先の見えないこと、決断が必要なこと。

こうした場面では、判断や計画を担う前頭前野に負荷がかかります。

すでに疲れているとき、脳は動かないほうが安全だと判断しやすくなります。

そのブレーキとして出てくる感覚が、めんどくささです。

疲れ・選択肢の多さ・遠いゴールは、脳が動き出しにくくなる共通の負荷です。
疲れ・選択肢の多さ・遠いゴールは、脳が動き出しにくくなる共通の負荷です。

ドーパミンによる報酬の見通しが立ちにくい作業ほど、この感覚は強まります。

やる気の量ではなく、いまの燃料の残りが少ないだけ、という見方もできます。

口に出すことで起きる自己暗示と防衛

心の中で思うのと、声に出すのとでは、少し働きが違います。

声に出した言葉は自分の耳にも入り、それを聞いた自分がさらにその気分に寄っていきます。

言葉が先で気分があとから追いつく、という順番が起きるわけです。

だから口癖になると、感じる回数そのものが増えていくことがあります。

もうひとつ、めんどくさいは便利な避難先でもあります。

怖い、失敗したくない、期待に応えられる自信がない。

そうした込み入った気持ちを、ひとことで包んでしまえる。

言いやすい言葉の下に、本当は言葉にしづらい感情が隠れていることがあります。

めんどくさいという言葉の下には、疲れや不安、自信の低下が隠れていることがあります。
めんどくさいという言葉の下には、疲れや不安、自信の低下が隠れていることがあります。

めんどくささを感じやすい場面

感じやすい場面には、ある程度の共通点があります。

しなくてはならないという義務感があるとき、誰かに決められた感じがするとき、苦手でやり方がわからないとき。

ゴールが遠いときも、心理的なハードルは高くなります。

短期取得をうたう講座の宣伝が多いのは、この重さをさげるためでもあります。

選択肢が多すぎる状況も見落とされがちです。

何から手をつけるか決めきれない状態が続くと、選ぶこと自体に疲れてしまう。

何にめんどくささを感じるかは、自分の限界や価値観が出やすいところでもあります。

ただの癖か心身の不調サインかを見分ける目安

ここは、この記事でいちばん伝えたい部分です。

同じ口癖でも、癖として定着しているものと、心身の状態が影響しているものがあります。

自分を診断するためではなく、立ち止まる目安として読んでみてください。

疲れや落ち込みが続いていないか

見分けるときに手がかりになるのは、いつから増えたかという時間の感覚です。

昔から言っているのか、ここ数週間で急に増えたのか。

もうひとつは、めんどくささ以外の変化が一緒に起きているかどうかです。

眠りの質、食欲、これまで楽しめていたことへの興味。

この三つが同時に下がっているときは、疲れの範囲を超えている可能性があります。

最近になって口癖が増え、眠りや楽しさも落ちているときは立ち止まる目安になります。
最近になって口癖が増え、眠りや楽しさも落ちているときは立ち止まる目安になります。
見る観点癖として定着している場合状態が影響している可能性がある場合
時期以前から言っているここ数週間で急に増えた
範囲特定の作業や苦手なことに限られる好きだったことにも広がっている
回復休んだ翌日には動ける休んでも重さが抜けない

この表は分類のためのものではなく、自分の状態を言葉にするための入口です。

当てはまる欄があっても、それだけで何かが決まるわけではありません。

相談・受診を考えてよいサイン

厚生労働省のこころの耳では、働く人のメンタルヘルスに関する情報や相談窓口が公開されています。

相談は不調が重くなってからのものと思われがちですが、迷っている段階で使ってかまいません。

次のような状態が続いているときは、ひとりで抱えずに誰かに話す選択肢を持っておくと安心です。

  • 気分の落ち込みや興味の低下が2週間ほど続いている
  • 眠れない、または眠りすぎる日が重なっている
  • 仕事や家事など、日常の中で明らかに支障が出ている
  • 何をしても楽しめず、自分を責める考えが止まらない
変化が続き生活に支障があるときは、診断を自分で決めず相談先につながってかまいません。
変化が続き生活に支障があるときは、診断を自分で決めず相談先につながってかまいません。

これらに当てはまるからといって、何かの病気だと決まるわけではありません。

判断そのものを専門家に預けてよい、というのが相談のいちばんの意味です。

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口癖をやわらげる自分を責めない小さな一歩

ここでは、いますぐ試せる範囲のことを整理します。

口癖をゼロにする話ではありません。

言葉との付き合い方を、少しだけ変えてみるくらいの温度で読んでください。

言い換えと状態チェックの習慣

口をついて出そうになったとき、その場で別の言葉にしてみる方法があります。

めんどくさいの代わりに、どうすれば軽くできるかな、と言ってみる。

言い方を変えるだけで、意識が不快感の表明から解決の方向へ移ります。

うまく言えなかった日があっても、そこは数えなくてかまいません。

もうひとつは、言ったあとに自分の状態を確かめる習慣です。

疲れているのか、情報が多すぎるのか、迷いが大きいのか。

責める前に確かめる順番にしておくと、同じ口癖でも受け止め方が変わります。

めんどくささから本音を知るヒント

自分にできるという感覚は、心理学では自己効力感と呼ばれます。

この感覚が下がっているとき、脳は行動のハードルを実際より高く見積もりやすくなります。

ハードルが高く見えるときは、時間や作業量を一つだけに絞ると始めやすくなります。
ハードルが高く見えるときは、時間や作業量を一つだけに絞ると始めやすくなります。

だからこそ、最初の一歩を小さく削るやり方が役に立ちます。

5分だけ、一項目だけ、と区切ってしまう。

完璧にやろうとするほど始点が遠のく、という仕組みへの対処でもあります。

同時に、めんどくささの中身を見ると、自分の本音が見えることがあります。

断りたい予定、無理をして続けている役割。

重さを感じる対象は、いまの自分に合っていないことを教えてくれる目印にもなります。

めんどくささに気づいたら、中身を確かめて一つだけ始める順番で十分です。
めんどくささに気づいたら、中身を確かめて一つだけ始める順番で十分です。

周囲への聞こえ方も少しだけ意識

口癖は、自分の内側だけの話では終わりません。

All Aboutが実施した不快に感じる口癖のアンケートでは、めんどくさいが上位に入っていました。

無気力な印象がうつりそう、という声もあります。

ただ、これは人格の評価ではなく、言葉の印象の話です。

意識するのは、場面を選ぶ程度で十分だと思います。

ひとりの時間はそのままでいい、人前では少し控える。そのくらいの線引きが、いちばん続きます。

身近な人の「めんどくさい」が気になるとき

ここからは、周りの人の口癖に消耗している場合の話です。

自分のことではない読者にも、必要な視点だと思います。

相手を変えることと、自分を守ることは、分けて考えたほうが楽になります。

相手を否定しない関わり方

繰り返し聞かされると、こちらの気分まで下がってきます。

やる気がない人だと片づけたくなるのも自然な反応です。

ただ、その言葉の裏に疲れや不安があるとしたら、指摘だけでは変わりません。

責める代わりに、最近忙しそうだね、と状態のほうに触れてみる。

相手が部下や子どもの場合は、別の言い方を一緒に探すやり方もあります。

変えるとしても、人ではなく言葉のほうに焦点を当てると、関係が荒れにくくなります。

人を責めずに最近の状態へ触れ、別の言い方を一緒に探すと関係が荒れにくくなります。
人を責めずに最近の状態へ触れ、別の言い方を一緒に探すと関係が荒れにくくなります。

自分が消耗しないための境界線

理解しようとすることと、全部を引き受けることは違います。

相手の重さに付き合いすぎると、こちらの燃料が先に尽きます。

聞く時間を決める、返す言葉を短くする、離れる時間をつくる。

冷たいようでいて、関係を続けるためにはこうした線が要ります。

どうしても消耗が続くなら、その関係自体を見直すことも選択肢に入ります。

あなたが自分の状態を守ることは、相手を見捨てることとは別のものです。

口癖ひとつで、自分の何かが決まってしまうわけではありません。

気になったこと自体が、いまの状態に目を向ける入口になっています。

すぐに変えられなくても、しばらく様子を見るだけでかまいません。

もし重さが続くようなら、そのときに誰かへ話してみてください。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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