心理職を目指していますが、公認心理師と臨床心理士の違いを教えて
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10代女性(学生)
私は将来、心理職として働きたいと思い、進路についていろいろ調べています。ただ、公認心理師と臨床心理士の違いがいまひとつ分からず、どちらを目指せばいいのか迷っています。
また、それぞれの心理士になるためのルートや試験のこと、将来的に公務員として働ける可能性があるのかも気になります。また、公認心理師と臨床心理士を両方取る人もいると知り、それが本当に必要なのかも悩んでいます。
高校生の今の段階で、何を基準に進路を考えればいいのか教えてほしいです。
ココラボからの回答
ご質問ありがとうございます。
心理職に就いている人の中でもどちらを選ぶか迷ったと話している方は多い印象があります。
2025年時点で、公認心理師の登録者数は約7万3千人で、スタートして年数はそれほど経っていませんが、全国でどんどん増えています。 一方、臨床心理士は長年の歴史があり、2024年時点で約4万2千人が資格を持っています。(*参照:コメディカルドットコム)
これだけ多くの専門家がいて、制度も少し複雑なので、高校生の今の段階で「正直よく分からない」と感じるのは、むしろ普通だと思います。
ここからは、それぞれの特徴をお話ししていきます。
【プロが解説】公認心理師と臨床心理士の違いを整理

最初から細かい部分まで理解しようとしなくても大丈夫です。「なるほど、こんな違いがあるんだな」くらいの気持ちで読み進めてみてください。
国家資格と民間資格という大きな違い
公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格です。
国家資格の公認心理師は法律に基づいて国が定めた資格で、制度としての安定性があります。
一方、民間資格の臨床心理士は長い歴史があり、心理職の中では以前から広く知られてきた資格です。
どちらが上・下という話ではなく、歴史や制度が違う資格だと考えると、少しイメージしやすくなるかもしれません。
仕事内容・働く場所の違い

まず公認心理師は、病院や学校、福祉、行政、企業など、かなり幅広い現場で関わる可能性があります。チーム医療や多職種連携の中で働く場面も多いです。
臨床心理士の方は、心理療法やカウンセリングを中心に、一人ひとりの話を丁寧に聴きながら、時間をかけて関係を築く関わりを大切にしているケースが多い印象です。
社会的な位置づけと信頼性の違い
公認心理師は、2017年に公認心理師法が制定され、2018年からスタートした国家資格です。心理職の資格としてはまだ新しい部類に入りますが、「心理の専門職」として国が制度を整えたこで、医療や教育、行政の現場を中心に、少しずつ認知が広がってきています。
一方、臨床心理士は1988年に資格制度が始まり、長い時間をかけて現場で信頼を積み重ねてきた資格です。今でも「心理職といえば臨床心理士」というイメージを持っている人は少なくありません。
こうした背景を踏まえると、どちらが優れているというよりも、どんな心理職になりたいかによって、選び方が変わってくる資格だと考えるのが自然でしょう。
公認心理師と臨床心理士はどっちがいいの?

公認心理師と臨床心理士のどちらが良いかを考えるとき、どちらが良いかを考えるときに一番大切なのは、資格の名前そのものよりも、「将来どんな場面で人と関わりたいか」だと思います。
心理職と言っても、働く現場や役割はさまざまです。学校・病院・行政・企業・相談機関など、関わる人や求められる動き方が違います。
例えばこのような傾向があります。
| 視点 | 公認心理師が向いている人 | 臨床心理士が向いている人 |
|---|---|---|
| 支援のスタイル | いろいろな専門職と協力しながら支援したい人 | 一人ひとりとじっくり関わりたい人 |
| 主な関わり方 | 医師・教師・福祉職などと情報を共有しながら動く | クライエントとの面接を重ねて関係を築く |
| 働く場のイメージ | 病院・学校・行政・企業など、幅広い現場 | 病院・相談室・教育機関などが中心 |
| 求められる力 | 周りと調整しながら説明・連携していく力 | 話を丁寧に聴き、気持ちを深く理解する力 |
| 向いているタイプ | 全体を見ながら現場を支える役割に興味がある人 | 人の心の動きに時間をかけて向き合いたい人 |
| やりがいの感じ方 | 社会や制度の中で誰かの役に立てたと感じる | 少しずつ起こる心の変化に寄り添える |
正直に言うと、「こちらを選べば間違いない」というような正解はありません。大切なのは、自分がどんな心理職を目指したいかです。
高校生から心理職になるためのルート

ここからは、「将来、心理職として働くには、どんな進学ルートがあるのか」を、分かりやすく整理していきます。
公認心理師への資格の取り方
公認心理師は国家資格のため、進む道が法律で決められているという特徴があります。その分、「何を学べばいいのか」「どんな経験が必要なのか」が比較的はっきりしている資格でもあります。
まず、高校卒業後は公認心理師に対応した大学へ進学します。心理学部や人間科学部などで、心理学の基礎をじっくり学んでいくことになります。その後は、大学院へ進学する必要があります。
※参考:厚生労働省 受験取得方法
※参考:厚生労働省 公認心理師受験に必要な科目が受講できる大学一覧
大学院では、より専門的な知識に加えて、病院や学校、福祉施設などでの実習も行います。実際の現場を体験しながら、「心理職として働く感覚」を少しずつ身につけていくイメージです。
※参考:厚生労働省 公認心理師受験に必要な科目が受験できる大学院一覧
必要な科目と実習をすべて修了したあと、公認心理師国家試験を受験します。試験に合格して、はじめて「公認心理師」として働くことができるようになります。

臨床心理士への資格の取り方
臨床心理士は民間資格ですが、大学院での専門的な学びが必須となる資格です。
そのため、高校卒業後はまず、資格取得に向けて必要な科目が履修できる大学を選びましょう。
※参考:スタディサプリ 臨床心理士を目指せる大学・短期大学(短大)一覧
この段階では、心理学をしっかり学べる学部・学科を選ぶことが大切になります。大学卒業後は、臨床心理士指定の大学院へ進学します。
大学院では、心理療法やカウンセリングの技法、事例をもとにした検討など、かなり実践的な内容が中心になります。「人の心にどう関わるか」を深く学ぶ時間だと考えてください。大学院を修了したあと、臨床心理士資格試験を受験し、合格すると資格取得となります。

公認心理師と臨床心理士を両方取る人も多い?
心理職について調べていると、「公認心理師と臨床心理士、両方持っている人も多いらしい」という話を目にすることがあるかもしれません。
ここでは、両方取得を考えるときに知っておきたい視点と、現実的な判断材料を整理します。
本当に両方必要なのかを考える視点

結論から言うと、最初から「両方取らなければならない」という人は、実はそれほど多くありません。両方取得を考えるきっかけとして多いのは、以下理由が多いです。
- 周りが両方取っているから
- どちらか一つでは将来が不安
- 選択肢を狭めたくない
こういった理由だけで無理に資格を増やす必要はありません。実際の現場では、公認心理師だけ、または臨床心理士だけで専門性を発揮して働いている人が多くいます。
資格の数よりも、どの現場で、どんな役割で活躍したいのかが重要です。
両方取得するメリットとデメリット
ただ両方取得することには、確かにメリットもありますが、同時に現実的なデメリットもあります。比較して考えてみましょう。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 活躍の幅 | 医療・教育・行政・相談機関など幅広く対応しやすい | 資格が多くても仕事内容が急に増えるわけではない |
| 信頼性 | 現場や採用側に安心感を与えることがある | 資格より実務経験を重視される場面も多い |
| 専門性 | 制度理解と臨床力の両方を身につけられる | 学習・実習の負担が非常に大きい |
| 時間・費用 | 将来の選択肢を広げられる | 取得までに時間と学費が多くかかる |
| 心理的負担 | 自信につながる場合がある | 「取らなければ」というプレッシャーになりやすい |
(参考記事:進路のことを話すと不安で泣くのは私が弱いからですか?)
ココラボは、高校生の段階で「絶対に両方取らなきゃ」と決めてしまわなくても大丈夫だと考えています。現時点で明確にどちらかを選択することが難しいようでしたら、公認心理師と臨床心理士の双方の資格に対応するカリキュラムを提供している大学・大学院に進み、進学後にゆっくり考える選択もいいと思います。
公認心理師・臨床心理士は公務員として働けるの?

結論から言うと、それぞれの資格を活かして公務員として働くことは可能です。
ただし、資格を取れば自動的に公務員になれるわけではありません。
心理職が公務員として働く場合、主な職場には次のようなものがあります。
- 公立の学校でのスクールカウンセラー
- 公立病院や精神保健福祉センター
- 児童相談所や、自治体が運営する相談窓口
こうした現場では、子どもや保護者、地域の人たちを支える役割として、心の専門知識を持つ人材が求められています。また、自治体によっては
- 「公認心理師」を想定した専門職採用
- 心理職としての独自採用
- 一般行政職として採用されたあと、心理業務を担当するケース
など、募集形態が異なります。
特に公認心理師は国家資格であるため、行政や公的機関の採用制度と結びつきやすく、これから公務員の心理職を目指す人にとってはイメージしやすい資格です。
ココラボから心理職目指す皆さんへ

相談者さんのように高校生の方が将来心理職を目指してくれることココラボとしてとても嬉しく思います。ただ心理職を目指す道は、思っている以上に、途中で立ち止まったり迷ったりするものです。今感じている迷いや不安も大切にしながら、少しずつ自分なりの進路を見つけていってください。
また中学生の方向けにはなりますが、高校で心理学を学ぶことのできる高校が増えています。一例として、現在東京都内で心理学を学ぶことのできる都立高校は下記になります。
- 王子総合高校
- 世田谷総合高校
- 晴海総合高校
- 東久留米総合高校
- 町田総合高校
- 若葉総合高校
この記事で解説しましたが上記のような高校を卒業したからと言って、すぐに公認心理師・臨床心理士を取得出来るわけではありません。ただ、大学受験で総合型選抜(旧AO入試)が主流となっている現代では「高校卒業時点での心理学を学ぶ意欲」はポジティブに捉えられることが多いと聞いたことがあります。
最後に、進路や将来への不安が強くなったときは、一人で抱え込まず、心理の専門家に相談することも選択肢の一つです。
ココラボでは、進路や心の悩みについても丁寧にお話を伺っています。今感じている迷いも含めて大切にしながら、少しずつ自分に合った道を見つけていってください。