うつ病で過食が止まらないのはなぜ?症状の傾向を教えて

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30代女性(会社員)

半年ほど前からうつ病で通院しているのですが、最近になって夜の過食がひどくなりました。
仕事から帰るとコンビニでお菓子やパンを買い込んで、気づいたら全部食べてしまっています。

お腹はもう苦しいのに止められなくて、食べ終わったあとは毎回すごく落ち込みます。
うつ病なのに食欲が止まらないのは自分の意志が弱いだけなのか、それとも症状の一つなのか、よくわかりません。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
食べたくないのに止められない、食べたあとに自分を責めてしまう。そのつらさは、意志の弱さとは別のところに原因があるかもしれません。

この記事では、うつ病と過食がなぜ結びつくのか、その心理的な背景と、症状としてどんな傾向が出やすいのかを整理していきます。

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うつ病で過食が止まらないのはなぜ?

うつ病というと食欲が落ちるイメージが強いですが、実際には食べることが止まらなくなるケースがあります。
ここでは、過食が起きやすくなる心理的・身体的な背景を整理していきます。

落ち込みや不安を一時的にやわらげようとして食べやすくなる

うつ病の状態にあるとき、心は慢性的に緊張しています。
不安や気分の落ち込みが続くと、交感神経が優位なままになりやすく、心身は休まる感覚を得にくくなります。

そこで体が選びやすい手段のひとつが、食べるという行為です。
食べ物を摂ると消化のために副交感神経が働き、張りつめた緊張がゆるむ感覚が生まれます。
これは意志の弱さではなく、心と体が少しでもバランスを取り戻そうとしている反応に近いものです。

ストレスや悲しみ、不安といったネガティブな感情をやわらげるために食べてしまうことは、心理学ではエモーショナル・イーティング(感情的摂食)と呼ばれています。
食欲というよりも、感情のほうが食べる行動の引き金になっている状態です。

こうした背景がわかると、なぜ自分が食べてしまうのか、その輪郭が少し見えやすくなります。

甘いものやお菓子に偏りやすい背景がある

うつ病の過食では、甘いものやスナック菓子など手軽に食べられるものに手が伸びやすい傾向があります。

その背景のひとつに、糖分が脳内のセロトニンの働きに短時間だけ影響を与えることがあります。
セロトニンは気分の安定に関わる神経伝達物質で、抑うつ状態ではその働きが低下しやすくなります。
甘いものを口にすると瞬間的に気持ちがやわらぐように感じるのは、こうした脳内の変化が関係しています。

ただし、甘いものによる気分の改善はごく短い時間しか続きません。
そのため、食べてもまたすぐに同じものを求めてしまうという繰り返しが起こりやすくなります。

お菓子やパンといった手に取りやすいものに偏るのは、衝動的に食べたい気持ちが強まっている状態では、調理の手間がかからないものが選ばれやすいという面もあります。

食後の自己嫌悪が、次の過食につながりやすい

食べる → 罪悪感 → 気分が落ちる → また食べてしまう

過食のあと、多くの方が感じるのは罪悪感や自己嫌悪です。
また食べてしまった、なぜ止められないんだろうという気持ちが押し寄せて、気分がさらに沈みます。

ここで起きているのは、過食そのものが新たなストレスの引き金になるという悪循環です。

食べる → 罪悪感 → 気分が落ちる → また食べてしまう

このサイクルが回り始めると、意志の力だけで止めるのは非常に難しくなります。
この悪循環は、体重の増加による身体的な負担だけでなく、抑うつ状態そのものの悪化にもつながりやすいとされています。

自分を責める気持ちが次の過食を呼び込んでいるという構造に気づくことは、この先の向き合い方を考えるうえで大きな足がかりになります。

うつ病のときに出やすい過食の症状と傾向

うつ病にともなう過食には、いくつかの特徴的なパターンがあります。
自分の状態を振り返るための手がかりとして、ここで整理しておきます。

うつ病のときに出やすい過食の症状と傾向

夜や一人の時間に増えやすい

日中は仕事や家事で意識が外に向いているため、食べたい衝動がある程度抑えられていても、夜になると一気に崩れるというパターンはよく見られます。
一人になった途端に張りつめていた緊張がゆるみ、その反動で過食に向かいやすくなるのです。

帰宅してからコンビニやスーパーに寄って食べ物を買い込んでしまう、寝る前にお菓子が止まらなくなるといった行動が繰り返される場合、それは一日のストレスが限界に達しているサインとも考えられます。
食べたくて食べているというより、その時間帯に心の疲れが噴き出しているという見方のほうが、実態に近いことが多いです。

満腹でも止まらない、隠れて食べることがある

うつ病にともなう過食では、お腹がいっぱいなのに食べ続けてしまうことがあります。
身体的な空腹感とは別のところ、つまり感情的な飢えが食べる行動を動かしているため、胃が満たされても手が止まらないのです。

また、自分の食べ方を人に見られたくないという気持ちから、隠れて食べる傾向が出ることもあります。
誰かと一緒の食事では普通に振る舞えるのに、一人になると制御がきかなくなるというギャップに苦しむ方は少なくありません。

食後に強い後悔や落ち込みが出やすい

過食のあとに、たくさん食べた満足感よりも、後悔や落ち込みのほうがはるかに強いという点も、うつ病の過食に見られる傾向です。
ただの食べすぎであれば、満腹感とともに気持ちはある程度落ち着きますが、過食の場合は食べ終わった直後から強い後悔が一気に押し寄せます。

この食後の落ち込みの強さは、単に食べすぎたという反省だけではなく、自分をコントロールできなかったという無力感が加わっているために起こりやすくなります。

食べている最中よりも食べ終わったあとのほうがつらい、という感覚がある場合は、過食の背景に心の不調が関わっている可能性があります。

うつ病の過食と、ただの食べすぎとの違い

自分の食べ方が過食なのか、ただの食べすぎなのか。
その境界に悩む方は多いと思いますが、いくつかの視点から整理することができます。

食べすぎや大食いは、満足感で止まれることが多い

たとえばビュッフェや飲み会でつい食べすぎたというとき、お腹がいっぱいになれば自然に止まれることがほとんどです。
食べたあとに多少の後悔があっても、それが翌日まで重く残ったり、自分の存在を否定するような気持ちにまで発展することはあまりありません。

一方、うつ病にともなう過食では、満腹になっても止まれないという感覚がついて回ります。
食べ終わったあとに強い自己嫌悪が残り、それが日常にまで影を落としている場合には、ただの食べすぎとは質の異なる状態として捉えたほうがよいです。

自分の状態を見つめるときの軸になるのは、止まれるかどうか、そして食後の苦痛がどれくらい生活に響いているか、という2つの視点です。

非定型うつや過食性障害が背景にあることもある

非定型うつや過食性障害が背景にあることもある

うつ病で過食が目立つ場合に知っておきたいのが、非定型うつと呼ばれるタイプの存在です。
一般的なうつ病では食欲低下や不眠が出やすいのに対し、非定型うつでは過食や過眠が出やすく、楽しい出来事があると気分が持ち直す気分反応性が見られるのが特徴です。

また、過食が繰り返されている場合には、過食性障害(BED)が併存している可能性もあります。
過食性障害は、やめたいのに大量に食べることが止められず、食後に強い苦痛を感じる状態が一定期間続くものです。
神経性過食症とは異なり、嘔吐や下剤の使用といった代償行為をともなわないことが特徴です。

なお、うつ病で服用している薬の中には食欲に影響を与えるものもありますし、双極性障害(躁うつ病)のうつ状態で過食が出ているケースもあります。

生活への支障や苦痛が強いときは、相談を考えてよい

過食なのか食べすぎなのかという分類よりも大切なのは、今の状態がどれくらい生活に影響しているかという視点です。

次のような状況が続いているなら、精神科や心療内科に相談してよいタイミングです。

  • 食べることで仕事や日常のリズムが崩れている
  • 体調面での負担を感じている
  • 食べたあとの落ち込みが長く続いている
生活への支障や苦痛が強いときは、相談を考えてよい

過食の頻度や期間、苦痛の強さは、受診を考えるうえでのひとつの目安になります。
完全な判断基準はなくても、つらいと感じている時点で、専門家に話を聞いてもらう十分な理由になります。

うつ病で過食しやすいときの治し方は?

過食を止めたい気持ちが強いほど、自分を追い詰めてしまいやすくなります。ここでは、少し視点を変えて、過食との距離の取り方を整理します。

食べたことを責める前に、引き金を振り返る

過食が起きたとき、まず浮かびやすいのは自分への責めの気持ちです。
けれど、責めることが次の過食につながりやすいという構造がある以上、まずは何が引き金になったのかを振り返るほうが、結果的には自分を楽にする方向に向かいやすくなります。

その日の出来事、感じていたストレスの種類、時間帯や体調など、パターンが見えてくると、対処の手がかりも見つかりやすくなります。
気持ちを紙やメモに書き出してみるだけでも、頭の中が少し整理されることがあります。

食べないことより、崩れにくい環境を整える

過食を止めようとするとき、食べてはいけないと自分に言い聞かせるやり方は、かえって衝動を強めてしまうことがあります。
心理学では、あることを考えないようにするほどそのことが頭から離れなくなる現象が知られていて、食べることを禁じる意識がかえって過食を招きやすくなるのです。

それよりも、崩れにくい環境のほうを整えるという考え方が役に立ちます。
すぐに食べられるものの買い置きを減らす、帰宅後の動線を変えてみるなど、意志に頼らずに済む仕組みをつくることが、過食の頻度を下げやすくなります。

一人で抱えず、心のしんどさごと相談する

過食の悩みは、食べ方だけの話ではなく、その背景にある気分の落ち込みやストレスの蓄積と切り離せないものです。
食べることだけを何とかしようとするより、心のしんどさごと誰かに話せる場があると、状態は動きやすくなります。

すでに通院中であれば、食欲や食行動の変化を主治医に伝えることが最初の一歩になります。
過食について話すのは気が引けるという方もいますが、それも含めて症状として扱ってもらえるのが精神科や心療内科です。

また、心理カウンセリングでは、食行動の背景にある感情や考え方のパターンを一緒に整理してもらうことができます。
過食の治し方を一人で調べて試すよりも、専門家と一緒に自分に合ったペースを見つけていくほうが、心への負担は軽くなりやすいです。

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この記事の監修者

石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。
1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。
また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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