失笑恐怖症の治し方はある?笑ってはいけない場面が怖いので対策を教えて
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
笑ってはいけない場面での笑いは、緊張をゆるめようとする心と体の反応として起こることがあり、こらえるほど強まりやすい性質があります。
まずはご自身を責めず、その場で使える備えを一つ持っておくことが助けになります。
30代男性(会社員)
会議で上司から指摘を受けているとき、真剣に聞いているつもりなのに口元がゆるんで、笑ってしまうことがあります。
ふざけているわけではないのに、そのせいで余計に空気が悪くなって、あとから一人で自分を責めてしまいます。
自分だけがおかしいのか、これからどう付き合っていけばいいのか、うまく整理できずにいます。
ココラボ相談室からの回答
真剣な場面ほど笑ってしまう自分に気づくと、ふざけているわけではないのに、と苦しくなります。
笑わないようにと力を入れるほど、かえって笑いが強くなる感覚に、思い当たる方もいるかもしれません。
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笑ってはいけない場面が怖いとき

真剣な場面ほど笑いそうになる感覚は、まわりに説明しづらく、一人で抱えやすいものです。ここでは、その怖さがどこから来ているのかを、責める前にいったん整理してみます。
緊張する場面を怖がる自分を責めず、まずは反応として眺めてみることが助けになります。
葬儀や会議で笑いそうになる不安
葬儀や式典、静かな会議のように、笑ってはいけないと誰もが感じる場面ほど、その意識が強く働きます。静かで緊張感のある空気の中では、自分の小さな反応が目立つのではないかという不安も重なりやすくなります。
笑ってはいけないと思うほど、こみ上げてこないかと身構えてしまう。この状態が続くと、場面そのものに近づくのが怖くなり、参加を避けたくなることもあります。
笑うつもりがないのに責められるつらさ
叱られている最中や深刻な話をしているときに口元がゆるむと、ふざけていると受け取られてしまうことがあります。本人は真剣なのに誤解される経験は、思っている以上に心に残ります。
そのあとで、なぜ笑ってしまったのだろうと自分を責める人は少なくありません。自分だけがおかしいのではと感じるほど、人と向き合う場面が重たくなっていきます。
誤解された痛みは、悪気の有無とは別に心へ残りやすいものです。
失笑恐怖症という言葉の整理
まず、この言葉がどういう位置づけなのかを知っておくと、必要以上に深刻に捉えずにすみます。ここでは病名としての扱いと、近い状態との関係を確認します。
正式な病名ではないこと
失笑恐怖症は、笑ってはいけない場面で笑ってしまう、あるいは笑いそうで強く不安になる状態を指して使われる言葉です。ただし、DSM-5やICD-11といった診断基準には載っておらず、正式な医学的診断名ではありません。
だからといって悩みが軽いという意味ではなく、名前がついていないだけで、困りごととして相談される状態です。まずは、得体の知れないものではないと知ることが出発点になります。
社交不安や強い緊張との関係

この状態は、人前での評価や視線に強く反応する社交不安障害と重なることが多いとされています。特定の場面への恐怖が中心にある場合は、限局性恐怖症や対人恐怖と近い形で語られることもあります。
いずれも、緊張や不安が高まったときに笑いという形で出てくる点が共通しています。原因は一つに絞れないことが多く、複数の要因が重なっていると考えられています。
言葉の位置づけを知ると、悩みを必要以上に怖がらずに整理できます。
笑いがこみ上げる悪循環
失笑恐怖症の治し方を考えるうえで、まず知っておきたいのがこの悪循環です。ここでは、こらえる努力がなぜ裏目に出やすいのかを見ていきます。
こらえるほど意識してしまう流れ
笑いをこらえようとすると、注意がその笑いに集中します。抑えることに意識が向くほど、こみ上げてくる感覚が強まり、呼吸や体の緊張も高まっていきます。
つまり、無理に克服しようと気負うほど、かえって笑いに囚われやすくなります。強い緊張は、感情をゆるめようとする体の反応として笑いを引き出すことがあり、これは意思とは別のところで起きています。
過去の失敗とまた笑う不安
一度、人前で笑ってしまって注目された経験があると、その記憶は強く残ります。次に似た場面が来たとき、また笑ったらどうしようという予期不安が先に立ちます。
この不安自体が緊張を高め、笑いを誘発しやすくします。実際に笑うかどうかより、笑うかもしれないという感覚そのものが負担になっている、という人も多いはずです。

また笑うかもしれない不安は、体の緊張を強めるきっかけになります。
その場でできる失笑恐怖症の対策
ここからは、場面の直前や最中に試せる失笑恐怖症の対策を整理します。笑いを完全に止める技術というより、備えがあることで緊張をゆるめる工夫として捉えてください。
呼吸と視線で緊張を逃がす
こみ上げてきそうなときは、呼吸を長くすることが助けになる場合があります。鼻から吸って、時間をかけて吐く。この繰り返しは、高ぶった体を少しずつ落ち着かせるきっかけになります。
あわせて、視線を手元や足元にずらすと、笑いに集中した状態から注意が離れやすくなります。指先に軽く力を入れるなど、体の感覚に意識を移す方法を組み合わせる人もいます。
マスクやハンカチで備える
口元が見えにくいだけで、気持ちがずいぶん楽になることがあります。マスクを着けておく、ハンカチを手元に用意しておくといった備えは、笑ってしまっても大丈夫という安心につながります。
こうした準備の効果は、笑いを隠せることよりも、丸腰で臨まなくてよいという点にあります。次のような形で、あらかじめ対応を決めておくと落ち着きやすくなります。
- 笑いそうになったらハンカチで口元を押さえる
- 声が出そうなときは咳に見せてやり過ごす
- どうしても収まらなければ一度その場を離れる

その場で使う行動を先に決めておくと、緊張に飲み込まれにくくなります。
つらいときは席を外す
抑えるのが難しいと感じたら、無理にとどまらず、短く席を外すのも選択肢です。手を洗いに行く、飲み物を取りに行くなど、自然な口実を一つ用意しておくと動きやすくなります。
少しの間その場を離れて呼吸を整えるだけでも、落ち着きを取り戻しやすくなります。その場を離れることは逃げではなく、立て直すための現実的な手段です。
周囲に伝えるときの工夫
対策と並んで効果が語られるのが、身近な人に前もって伝えておくことです。ここでは、誰にどう伝えると誤解を防ぎやすいかを整理します。
学校や職場で伝える相手
すべての人に伝える必要はなく、同じ場面に居合わせることが多い相手に絞るのが現実的です。職場なら上司や近い同僚、学校なら担任の先生などが考えられます。
伝える相手が一人でもいると、笑ってしまったらどうしようという不安が和らぐことがあります。理解してくれる人がいるという感覚だけでも、緊張の質は変わってきます。
一人に伝えておくだけでも、誤解への不安は少し軽くなります。

悪気がないことの伝え方
言い方は難しく考えず、緊張すると笑ってしまうことがあり、ふざけているわけではない、と短く添えるだけで十分です。自分も困っている、という一言があると、相手も受け止めやすくなります。
前もって伝えておくと、笑ってはいけないという自分への圧が少しゆるみ、結果として笑いが出にくくなることもあります。伝えること自体が、対策の一つとして働く場合があります。
治し方に迷うときの相談目安
最後に、自分で工夫する段階と、誰かに相談する段階の線引きを整理します。すぐ受診すべきかどうか迷ったとき、判断の目安として読んでください。
生活に支障が出ている状態

対策で持ちこたえられているうちは、様子を見ながら付き合っていく形でも構いません。一方で、生活そのものに支障が出ているかどうかが、相談を考える一つの目安になります。次のような変化が続くときは、相談してよいサインといえます。
- 症状のせいで学校や職場に行きづらい
- 人前をひどく避けるようになった
- 眠れない日が続いている
ストレスや不安に関連した不調で医療につながる人は幅広く、病気スコープの解説でも数十万人規模とされています。悩んでいるのが自分だけ、という状態ではありません。
生活への支障が続くときは、相談を選ぶことも自然な対策の一つです。
心理療法や薬の相談先
相談先としては、心療内科や精神科、公認心理師などによる心理相談があります。話す場面に不安が強い場合は、オンラインでの相談から入る方法もあります。
治療としては、考え方の癖を見直す認知行動療法や、少しずつ場面に慣れていく方法が紹介されることがあります。緊張が強いときには薬物療法が選択肢になることもありますが、合う進め方は人によって違うため、専門家と相談しながら決めていくものです。
一人で抱え込まずに済む方法は、思っているよりいくつかあります。今日できる備えを一つ持っておくだけでも、次の場面の見え方は少し変わるかもしれません。
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