自己肯定感が低いのにプライドが高い自分を治したい。どうして素直になれる?
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
自己肯定感が低いのに、プライドだけは高い。この二つは正反対に見えて、実はとても近い場所から生まれています。
素直になれない自分を治したいと思うほど、本当は人一倍傷つきやすく、真面目に頑張ってこられた方が多い印象です。
まずは治さなきゃと力む前に、その高さが何を守ってくれているのかを、一緒にほどいていけたらと思います。
30代男性(会社員)
職場で先輩に仕事の進め方を指摘されると、頭では正しいと分かっているのに、つい言い訳をしてムッとしてしまいます。
本当は自信なんてないのに、認められないと必要以上に落ち込む自分もいて。
素直にすみませんと言えたら楽なのに、それができない自分が、正直すごく面倒で嫌になります。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
自己肯定感が低いのにプライドだけが高いように感じるのは、矛盾ではなく、弱った自信を守ろうとする自然な反応です。
この記事では、なぜその状態になるのかを整理しながら、治すというより、プライドを少しゆるめて自分との付き合い方を変えていく道筋を、一緒に考えていきます。
治したいのに素直になれない自分を責めていませんか
自己肯定感が低いのにプライドが高い自分を治したいと感じるとき、多くの人はまず自分を責めてしまいます
ここでは、その責める気持ちを一度横に置いて、今の状態をそのまま眺めるところから始めます。答えを急がず、少しずつ整理していきましょう。
謝れない・つい反発してしまうあなたへ
仕事でミスを指摘されたのに素直に謝れない。誰かにアドバイスされるとムッとしてしまう。そんな自分に気づくたび、気持ちが重くなるのではないでしょうか。
頭では「ここで認めればいい」と分かっているのに、口が動かない。その落差こそが、いちばんしんどいところだと思います。分かっているのにできない自分を、二重に責めてしまう人も多いはずです。
本当は自信がないのに、認められないと必要以上に落ち込む。褒められても素直に受け取れず、けなされると人一倍こたえる。そんな不安定さに、自分でも振り回されているのではないでしょうか。
この矛盾を一人で抱えていること自体が、すでに十分がんばっている状態です。まずはその事実だけ、静かに認めてあげてください。

それは性格の悪さではなく守りの反応
素直になれないのを、自分の性格の悪さだと感じている人は少なくありません。けれど、その反応にはもっと切実な理由が隠れています。
プライドが高く見える態度は、たいてい「これ以上傷つきたくない」という気持ちの裏返しです。弱さを見せたら壊れてしまいそうな不安を、プライドという鎧で覆っているだけなのです。
つまり、あなたが反発してしまうのは、攻撃したいからではなく、自分を守ろうとしているからという見方ができます。ここを取り違えると、直そうとするほど自分を追い詰めてしまいます。
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自己肯定感が低いのにプライドが高くなるのはなぜか
「低い」と「高い」が同居するのは、一見すると矛盾に思えます。この章では、なぜ両方が同時に起こるのか、その仕組みを順番にほどいていきます。原因が分かると、責める気持ちが少しやわらぎます。

矛盾ではなく表裏一体である理由
自己肯定感が低いというのは、ありのままの自分に価値を感じにくい状態です。一方でプライドの高さは、できる自分でありたいという願いが強く、そのイメージが崩れることに敏感になっている状態を指します。
自己肯定感が安定していれば、多少の失敗や批判は受け流せます。ところが土台が揺らいでいると、その揺らぎを隠すために、外側を強く見せようとします。
低い自己肯定感と高いプライドは、対立ではなく、同じ不安から生まれた表と裏なのです。片方だけを責めても、うまくいかないのはそのためです。
承認欲求・失敗への恐怖・完璧主義という背景
では、その不安はどこから来るのでしょうか。よく重なるのが、承認欲求の強さ、失敗への恐怖、そして完璧主義です。
認められたい気持ちが強いほど、評価が下がる場面を過剰に避けたくなります。失敗を自分の価値の低下と結びつけてしまうと、ミスを認めることが怖くなります。たとえば会議で一度言い間違えただけで、その日ずっと頭から離れない、という具合です。
完璧でなければ意味がないという思い込みも、自分を追い立てます。100点でなければ0点、というものさししか持っていないと、日常のほとんどが減点の場面に見えてしまいます。
こうした傾向は、幼少期の経験や、まわりの基準を取り込みすぎた結果として、少しずつ形づくられることが多いとされています。生まれつきの欠陥でも、あなたの努力不足でもありません。
健全なプライドと防衛的なプライドの見分け方
プライドそのものが悪いわけではありません。心理学では、プライドを大きく二つに分けて考える見方があります。
一つは、努力や達成に根ざした健全なプライドで、自分を前に進める力になります。もう一つは、他者への優越感や、価値が下がる不安を打ち消すための防衛的なプライドです。この区別は、適応的なプライドと非適応的なプライドとしても知られています。
見分ける手がかりは、その気持ちが自分を大切にする方向に働いているか、それとも他人と比べて自分を守る方向に働いているかです。前者なら守ってよいものですし、後者ならゆるめる余地があります。

同じ「負けたくない」でも、自分の理想に近づきたい思いなら健全に近く、相手に見下されたくない一心なら防衛に近い、と考えると整理しやすいはずです。すべてをどちらかに割り切る必要はありません。自分の中で両方が混ざっているのが、むしろ自然な状態です。
つい反発や見下しをしてしまう心の仕組み
自分でも嫌になる反発や見下し。ここでは、その行動を責めるのではなく、どんな心の動きから出ているのかを言葉にしていきます。仕組みが見えると、対処の糸口もつかめます。
謝れない・アドバイスに反発する・見下す行動
ありがちなのは、指摘されると言い訳が先に出る、助言に「分かってないくせに」と身構える、心の中でつい相手を見下す、といった反応です。
こうした行動は、相手を傷つけたいというより、自分の価値が下がる瞬間から目をそらしたいという反射に近いものです。だから本人も、あとから後悔しやすいのです。
一つでも思い当たると落ち込むかもしれません。ただ、気づけていること自体が、変化の入り口になっています。

攻撃的・受動的攻撃も防衛反応のひとつ
不安が強いとき、人はときに攻撃的になります。強く見せることで、傷つく前に自分を守ろうとするのです。
はっきり反論できないときには、遠回しな態度で不満を示す受動的攻撃という形をとることもあります。返事を濁す、後回しにする、皮肉が増える、といった行動がこれにあたります。
攻撃も受動的攻撃も、根っこにあるのは、これ以上傷つきたくないという怖さです。ここを責め続けると、自己嫌悪だけが濃くなってしまいます。
反応してしまった後で、なんであんな態度を取ったのだろうと落ち込むのは、あなたが本当は関係を壊したくないと思っている証拠でもあります。その反応で人間関係が続けて壊れてつらいときは、後半で触れる相談先も選択肢になります。
矯正ではなくプライドをゆるめる今日からの一歩
ここからは、具体的にどう向き合うかを見ていきます。目指すのは、性格を無理に矯正することではなく、守り方を少しずつ変えていくことです。今日できる小さな一歩から考えます。
自己受容で守り方を変えるという考え方
自己肯定感を高めると考えると、何かを達成しなければ、という成果ベースの努力になりがちです。けれど本当に必要なのは、できない自分も含めて受け止める自己受容の感覚です。
失敗したときに、こういう日もあると言える。助けてもらったときに、ありがとうと言える。その小さな積み重ねが、鎧としてのプライドを少しずつ手放していく土台になります。
一気に変えようとしなくても構いません。守り方が変われば、高すぎるプライドは自然と役割を終えていきます。鎧を無理やり脱ぐのではなく、もう重い鎧を着なくても平気だと体が覚えていく、そんなイメージです。

弱さを小さく見せる・プライドの声を観察する
いきなり弱さをさらけ出すのは怖いものです。だからこそ、ごく小さなところから練習するのがいいと思います。
たとえば、ここだけ分からなくて、と一つ質問してみる。それだけでも、弱さを見せても壊れない経験が積み重なっていきます。
もう一つ役立つのが、プライドが騒いだ瞬間に、今は反射で身構えているなと一歩引いて眺めることです。なくそうと力むのではなく、声に気づいて距離を取る。この観察が、反応と自分の間にすき間をつくります。
他者比較やSNSと距離を取り人に頼る練習

プライドの高さは、他人と比べる習慣とセットで強まりやすいものです。とくにSNSは、他者の良い面ばかりが目に入り、劣等感を刺激しやすい場所です。
見る時間を少し減らすだけでも、心の消耗は変わってきます。比べる相手を、他人から昨日の自分へと少しずつ移してみてください。
そして、人に頼ることは負けではなく、弱さを見せても大丈夫だと自分に教える練習です。小さな助けてを口にできたとき、守りをゆるめる感覚が育っていきます。
頼られた相手は、案外あなたが恐れているほど、あなたを低く見たりはしません。むしろ心を開いてくれたと感じることのほうが多いものです。その積み重ねが、鎧を着ていなくても人とつながれるという実感につながっていきます。
つらさが強いとき専門家に相談したいサイン
ここまでのことは、少しずつ試せば十分です。ただ、一人で抱えるには重すぎる状態もあります。
反発や自己嫌悪で人間関係が続けて壊れる。眠れない、食欲がわかない、強い無価値感が長く続く。こうしたサインが重なるときは、気持ちの問題としてだけでなく、専門家の力を借りてよい段階かもしれません。
厚生労働省の働く人向け相談窓口である、こころの耳といった公的な入り口も用意されています。電話やメール、SNSで相談できる窓口があり、いきなり病院に行くのはためらう、という段階でも使いやすいと思います。
カウンセリングや医療機関に頼ることは、弱さではなく、自分を守るための現実的な選択です。
プライドを治すという入り口から始まっても、行き着く先は、もっと楽に呼吸できる自分との付き合い方です。無理のない範囲で、頼れる先を一つ思い出しておけると心強いはずです。
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