フレネミーとはどんな人?褒めたつもりが人を傷つけてしまう

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

フレネミーという言葉で、身近な関係を見直す方が増えました。

褒められて苦しい、逆に自分が誰かを傷つけていないか、どちらの声も耳にします。

まず知ってほしいのは、これが人を裁く診断名ではないことです。

違和感を持った自分を責めず、その感覚を手がかりに読み進めてもらえたらと思います。

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30代女性(会社員・公務員)

仲のいい同僚に褒められたはずなのに、あとで胸がざわつくことが増えました。

会ったあとはどっと疲れる日もあって、これがフレネミーなのかなと考えてしまいます。

ただ、私も無意識に誰かへ同じことをしているのかも、と思うと、相手を悪く言う気にもなれなくて。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

褒められたはずなのに心がざわつく感覚は、あなたの気持ちが何かに気づいているサインかもしれません。相手を責めきれず、自分を疑ってしまう時間も、しんどかったと思います。

この記事では、フレネミーとはどんな関係を指すのかを整理しながら、あなたの消耗がどこから来ているのかを、一緒に見ていきます。

フレネミーとはどんな関係か、その違和感について

仲がいいはずなのに、会うと少し疲れる。その感覚をまず言葉にするところから始めます。すぐに白黒つけず、今の気持ちに軽く触れてみてください。

その違和感は気にしすぎではない

褒められたのに、なぜか胸の奥がざわつく。そんな引っかかりを、気のせいだと片づけていませんか。違和感は、あなたの心が状況を見張っているサインです。

一度きりの出来事なら、たまたまだったのかもしれません。ただ、同じもやもやが何度も戻ってくるなら、見過ごさなくていい合図です。

会った後にどっと疲れる。家に帰ってから、言われた一言を思い返してしまう。そんな反応が続くのは、それだけ心が正直に動いている証拠です。まずは、その感覚を否定せずに置いておきましょう。

違和感は、心の大切なサインです。
違和感は、心の大切なサインです。

違和感は、危険を知らせる小さなアラームのようなものです。鳴っていること自体に、ちゃんと意味があります。無理に消そうとせず、なぜ鳴ったのかを後からたどれば十分です。

フレネミーという言葉の由来

フレネミーは、friend(友達)とenemy(敵)を合わせた造語です。表向きは親しいのに、関わると消耗する関係を指して使われます。

もともとは英語圏で生まれ、ドラマや雑誌を通じて広まりました。日本でも二〇一〇年代に雑誌などで紹介され、その後SNSで知られていきます。

最近では、SNSの短い動画でも取り上げられ、目にする機会が増えています。呼び名がないうちは、相手を悪く言う気にもなれません。そのぶん、自分の感じ方のほうを責めてしまいがちです。もやもやに名前がつくと、自分の状況を少しだけ扱いやすくなります。

会った後に残る疲れにも、目を向けてみましょう。
会った後に残る疲れにも、目を向けてみましょう。

誰かを完全に敵とみなすほどではない。でも、この人の言葉は真に受けなくていい。そんな心の線引きの道具として使われることもあります。言葉は、相手を裁くというより、自分の距離感を測るために役立ちます。

診断名ではなく日常語であること

ここで押さえておきたいことがあります。フレネミーとは、医学や心理学の診断名ではなく、あくまで日常語です。

だから、相手を病気のように決めつける言葉ではありません。同じ言動でも、その人の事情や余裕で意味は変わります。言い方がただ不器用なだけの人もいます。その人自身が、何か苦しさを抱えている場合もあります。

この言葉は、自分の距離感を見直す手がかりです。
この言葉は、自分の距離感を見直す手がかりです。

一度の一言だけで人を判断せず、繰り返しの型として眺めてみる。そのくらいの距離感が、あなた自身を守ることにもつながります。フレネミーという見方は、あくまで自分の心を守るために使えばいい。その立ち位置が、この後の見立てを穏やかにしてくれます。

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ただの苦手な人との違いをどう見るか

苦手な人と、消耗する関係は、似ているようで少し違います。この違いを分けて見ると、自分の状態が見えやすくなります。相手を判定するより、あなたの負担を主役にして考えます。

繰り返しと消耗度で見分ける

見分ける軸は、相手が悪い人かどうかではありません。繰り返し起きているか、そして会ったあとにどれだけ消耗するかです。

一度の擦れ違いは、誰にでも起こります。ただ、会うたびに気分が沈むこともあります。眠りや食欲にまで響くなら、負担は軽くない段階です。

人前と二人きりで、態度が大きく変わる。頼み事は断るのに、自分の情報だけは聞き出す。そんな一方通行が続くときも、関係のバランスを見直す余地があります。

ただ、相手にも余裕のない時期はあります。一度の態度だけで決めず、それが続いているかを少し長い目で見てください。

次のような点を、静かに確かめてみてください。

  • その違和感は一度きりか、何度も戻ってくるか
  • 会ったあと、疲れや落ち込みが翌日まで残るか
  • 相手を変えたいのか、自分を守りたいのか
相手ではなく、自分の消耗に注目して確かめます。
相手ではなく、自分の消耗に注目して確かめます。

褒めながら下げられると心が削れる仕組み

褒め言葉のなかに、小さな棘が混ざる。例えば「意外と上手だね」のような一言です。褒められた嬉しさと、引っかかりが同時に来るので、うまく怒ることもできません。

そのうえ、こんな私が気にしすぎなのかと、自分の側を疑い始めます。英語圏では、こうした嫌みを含む褒め方をバックハンド・コンプリメントと呼びます。表向きは肯定なので反論しづらく、じわじわと自己肯定感が削られていきます。

さらに、関係そのものを使って人を追い込む振る舞いもあります。陰口や仲間外れ、無視などがその例です。心理学では、これを関係性攻撃と呼びます。目に見える攻撃ではないぶん、自分の傷つきにも気づきにくいのです。

言葉の引っかかりが続くときは、無理を重ねないでください。
言葉の引っかかりが続くときは、無理を重ねないでください。

自分がその側になっていないか

読みながら、逆の不安がよぎった人もいるかもしれません。自分こそ、褒めたつもりで誰かを傷つけていないか、と。

嫉妬や比べる気持ちは、誰の胸にもあります。それ自体は悪ではなく、扱い方の問題です。気づけた時点で、あなたはもう振り返る力を持っています。

友人の成功を聞いて、素直に喜べない日もあるでしょう。その気持ちに、良いも悪いもありません。「自分は本当はどうしたいのか」を知る手がかりとして受け取ってみる。感じたことを日記に書き出すだけでも、心は少し落ち着いていきます。

気づきは、関わり方を選び直す力になります。
気づきは、関わり方を選び直す力になります。

相手の話を遮って自分ばかり話していないか。誰かのプライベートを、面白がって広めていないか。ときどき自分に問い直すだけで、関わり方は静かに変わっていきます。

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離れられない相手とどう距離を取るか

相手が家族や同僚だと、簡単には離れられません。それでも、距離の取り方はいくつもあります。関係を切る前にできることから、順に見ていきます。

家族や職場など離れにくい場合

物理的に離れられなくても、心の距離は自分で調整できます。話す内容の量を、あなたが決めていいのです。

聞かれて困ることは、無理に答えなくて構いません。「まだよくわからなくて」と話題を返すだけでも、消耗はずいぶん減ります。

仕事なら、必要な連絡は丁寧に保ちつつ、雑談は最小限にとどめる。それも立派な自衛です。SNSがつらいときは、投稿をミュートする。見る時間を区切るのも役に立ちます。相手を拒まなくても、自分の情報の流れは自分で握れます。

関係を切らずに、距離を調整することもできます。
関係を切らずに、距離を調整することもできます。

距離を置くことは関係を壊すことではない

距離を取ると聞くと、冷たい行為に思えて迷う人もいます。でも、これは相手を裁くためではなく、自分の呼吸を取り戻すための手立てです。

自分が心地よくいられる線引きを、バウンダリー(境界線)と呼びます。ここまでは話せる、これ以上は踏み込まれたくない。その線を持つのは、相手を遠ざけるというより、長く穏やかに付き合うための工夫です。

会う頻度をゆるめる、話す話題を選ぶ。そんな調整を重ねるだけでも、消耗の度合いは変わってきます。急に連絡を絶たなくても、少しずつ関わりを薄くしていけば、摩擦は最小限で済みます。

距離を取ると、少し後ろめたさが残る人もいます。それでも、自分の心を守る時間は、誰にとっても必要な時間です。相手のためにと我慢を続けて、あなたがすり減ってしまう。それでは、関係そのものも続きません。

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一人で抱え込む前に確認したいこと

ここまで読んで、まだ気持ちが重いままの人もいると思います。無理に答えを出さず、頼れる先を持っておくことも支えになります。最後に、その確かめ方を見ておきます。

相談を考えたほうがよいサイン

小さな記録や相談の準備が、自分を守る助けになります。
小さな記録や相談の準備が、自分を守る助けになります。

次のような状態が続くときは、一人で抱えないほうがいい合図です。眠れない、食欲が落ちる、仕事や学校に行くのがつらい。

陰口や情報の広まりが、いじめやハラスメントに近づくこともあります。そうした場面では、日時ややり取りを軽くメモに残しておく。後で誰かに話すときの助けになります。

自分を責める考えが止まらないなら、それは休息と支えが要るサインです。つらさが長く続くほど、一人で抜け出すのは難しくなります。気のせいと片づけたままだと、消耗の深さに自分で気づきにくくなります。早めに人の手を借りることは、あなたを守るための現実的な選択です。

話せる場所をあらかじめ持っておく

つらくなってから探すより、元気なうちに相談先を知っておくと動きやすくなります。話せる場所をひとつ確保しておくと、いざという時の心細さが違ってきます。

公的な窓口もあります。厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSの相談先を確認できます。

カウンセリングのように、専門家に話す選択肢もあります。相性もあるので、合わないと感じたら変えていい。まずは、少し話してみることが小さな一歩になります。

信頼できる家族や友人に、少しこぼしてみるのでもかまいません。あなたの違和感は、大切に扱っていいものです。焦って結論を出さず、まずは今の気持ちを、あなた自身が認めてあげてください。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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