【もう限界かも】認知症介護で家族が抱えきれないときはどうする?
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30代女性(会社員)
母が認知症と診断されてから2年になります。 最近は夜中に何度も起きて家の中を歩き回るようになり、私もほとんど眠れていません。 仕事中もぼんやりしてミスが増え、このままでは職場にも迷惑をかけてしまいそうです。
正直、母にきつい言い方をしてしまうことがあり、そのたびに自分が嫌になります。 施設も頭をよぎりますが、母を手放すようで踏み切れません。 家族の介護に限界を感じている自分は、冷たい人間なのでしょうか。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。 眠れない日が続くなかで仕事も介護も懸命に続けてこられたこと、そしてお母様への接し方に胸を痛めていること、その苦しさが伝わってきます。
この記事では、認知症介護で家族が限界を感じやすい背景と、今の状況を見つめ直すための考え方について一緒に整理していきます。
認知症介護で家族が限界と感じるケースは多い

認知症の介護を続けるなかで、もう限界かもしれないと感じること自体は決して珍しいことではありません。
ここではまず、どのような場面で追い詰められやすいのかを整理してみます。
限界を感じやすい場面
認知症が進行すると、暴言や暴力、介護拒否、夜間のひとり歩き(徘徊)、排泄の失敗など、対応が難しい症状が重なるようになります。
とくに夜間にひとり歩きが続くと介護者の睡眠は大きく削られ、日中の判断力や体力にまで影響が及びます。
排泄の対応が増えれば着替えや洗濯の回数も増え、身体的な疲労も蓄積していきます。
こうした状況がいくつも重なったとき、終わりの見えない毎日に限界を感じるのは自然なことです。
家族が追い詰められやすい理由
認知症の介護期間は一般的に6〜7年、場合によっては10年以上に及ぶこともあります。
先の見通しが立ちにくいなかで、介護者は仕事との両立や経済的な不安、そして周囲に頼れない孤立感を同時に抱えやすくなります。

さらに深刻なのは、介護者自身の感情の変化です。
つい強い口調で接してしまったあとに自分を責めたり、離れたいと思う自分に罪悪感を抱いたりすることは、多くの介護者が経験しています。
こうした自責の感情が続くと、気力が低下し、介護うつや共倒れ、場合によっては虐待のリスクにまでつながりかねません。
限界を超えると介護うつにつながることも
介護うつは特別な人だけがなるものではなく、責任感が強く真面目な方ほど陥りやすい傾向があります。
眠れているはずなのに疲れが取れない、以前は楽しめていたことに関心がわかない、食欲が明らかに落ちているといった変化は、介護うつの初期に現れやすい兆候です。
こうしたサインに気づいたときは、気持ちの持ちようの問題ではなく、心身が限界に近づいている合図だととらえてください。
親を嫌いになりそうだと感じることも、冷たさではなくその延長線上にある自然な反応です。
認知症介護で家族の限界を見極める基準
限界を感じていても、どの段階で助けを求めればいいのか判断がつかない方は少なくありません。
ここでは、在宅での介護を続けられるかどうかを見つめ直すための3つの視点を紹介します。

睡眠・仕事・生活が保てているか
夜間の対応で慢性的に睡眠が不足している、仕事中にミスが増えている、食事や入浴など自分自身の生活が後回しになっている。
こうした状態がひとつでも当てはまるなら、介護の負担が生活の土台を揺るがし始めていると考えてよいでしょう。
とくに介護のために退職を考え始めている場合は、介護離職による収入減が長期的に家族全体の生活を圧迫するリスクもあります。
結論を急がず、まずは介護休業制度や勤務時間の調整といった職場の支援制度を確認することが大切です。
外部の支援につながれているか
介護保険サービスをまだ利用していない、あるいは利用していても負担が減った実感がないという場合は、支援体制に改善の余地があるかもしれません。
ケアマネジャーに現状を率直に伝え、ケアプランの見直しを相談してみてください。
認知症カフェや家族会のように、同じ立場の人と気持ちを共有できる場につながっているかどうかも重要な視点です。
介護者が孤立している状態は、精神的な限界を早める大きな要因になります。
在宅介護の見直しが必要な状況か
ご本人が安全に暮らせているか、家族の関係が壊れかけていないかという点は、在宅介護を続けるかどうかの判断で見落とされがちなポイントです。
ひとり歩きによる事故の危険が高まっている、介護者の体調悪化で十分な見守りが難しくなっているといった場合は、在宅以外の選択肢を具体的に検討する段階にあるといえます。
認知症介護では、家族が限界に近づく前に自分のストレス反応に気づくことも大切です。
イライラしたときの気持ちの落ち着かせ方や、自己嫌悪・介護ストレスとの向き合い方については、別記事で詳しく解説しています。
関連記事:認知症の母親にイライラしてしまう…介護者のストレスの対処法は?
認知症の介護に限界を感じたときに家族が取れる対処法
限界を感じたとき、その状態のまま頑張り続けるのではなく、介護の形そのものを見直すことが必要です。
ここでは、具体的に検討できる3つの方向性を整理します。

家族だけで抱え込まない体制に見直す
まず取り組みたいのは、介護をひとりで背負わない仕組みをつくることです。
兄弟姉妹や親族と役割を分担する、ケアマネジャーに現状を改めて共有し、サービス内容を再検討するといった行動が第一歩になります。
認知症の方への接し方を少し変えるだけでも、日々の摩擦が和らぐことがあります。
本人の言動を否定せず、伝えたいことは一度にひとつだけにし、自尊心を傷つけないよう穏やかなトーンで話しかける。
こうした対応のコツを家族間で共有しておくと、介護者だけに負担が集中する状況の緩和にもつながります。
デイサービス・ショートステイなど在宅サービスを増やす
訪問介護やデイサービスを利用すれば、日中の数時間でも介護から離れる時間を確保できます。
ショートステイは数日間にわたってご本人を施設に預けられるため、まとまった休息が必要なときに有効です。

福祉用具の活用も、移動や排泄の介助における身体的な負担を軽減する手段になります。
すでにサービスを利用していても負担が重い場合は、要介護度の区分変更申請を検討してみてください。
認知症の症状が進行していれば、利用できるサービスの量が増える可能性があります。
施設入居も含めて選択肢を広げる
在宅での介護が安全に成り立たなくなってきたとき、施設入居は選択肢のひとつとして現実的に検討する必要があります。
グループホームでは少人数の家庭的な環境のなかで認知症ケアを受けられますし、特別養護老人ホームでは24時間体制の介護が提供されます。
有料老人ホームや介護老人保健施設など、施設の種類によって費用やサービス内容は異なるため、早めに情報を集めておくと判断に余裕が生まれます。
施設を検討することに対して罪悪感を抱く方は少なくありません。
しかし、施設を選ぶことは家族としての責任を放棄することではなく、ご本人にとって安全な環境を整える判断です。
介護者自身の生活と健康を守ることが、結果的に家族全体の関係を良い方向に保つことにもつながります。
入居を決めたあとも面会や電話を通じて関わり続けることは十分に可能ですので、距離を取ること自体を否定的にとらえすぎないでください。
公的機関やカウンセリングへ相談先する選択肢

つらさを感じたとき、最初の一歩は誰かに話すことです。ここでは、介護に関する相談と、介護者自身の心のケアに関する相談先をそれぞれ紹介します。
地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
地域包括支援センターは、介護に関する総合的な相談窓口として各市区町村に設置されています。
介護保険の申請手続きからサービスの調整、施設入居の情報提供まで幅広く対応しており、まだ介護保険を利用していない段階でも相談が可能です。
すでにケアマネジャーがついている場合は、遠慮せず今感じている負担を率直に伝えてみてください。
サービスの種類や量の見直し、あるいは施設情報の紹介など、現状に合った提案を受けられます。
認知症カフェや家族会も、同じ経験を持つ人と気持ちを分かち合える貴重な場です。
介護の正解を教わりにいくというよりも、自分の話を聴いてもらえる場所があるということ自体が、孤立を防ぐ大きな支えになります。
家族自身のつらさが強いときは心理相談を利用する
介護の負担に関する相談先は多くありますが、介護者自身の気持ちのつらさを専門的に受け止めてもらえる場所は意外と知られていません。
眠れない日が続いている、気力がわかない、何をしていても罪悪感がぬぐえないといった状態が続くときは、心理カウンセリングの利用も選択肢に入れてみてください。
カウンセリングは心の病を抱えた人だけが受けるものではありません。
日々の介護で積み重なった感情を言葉にし、自分の状態を客観的に見つめ直す時間として活用できます。
最近ではオンラインで受けられるカウンセリングサービスも増えており、介護の合間に自宅から利用することも可能です。

ココラボ相談室でも、国家資格の公認心理師が家庭の悩みに寄り添うオンラインカウンセリングを提供しています。
認知症の介護に限界を感じることは、弱さでも冷たさでもありません。
むしろ、それだけ真剣に向き合ってきた証だと思います。
すべてをひとりで抱え込む必要はありません。
使える制度やサービスは遠慮なく頼り、自分自身の暮らしと気持ちを大切にすることを、どうか後回しにしないでください。