適応障害で学校を休むのは甘え?上手く言い出せなく休めない…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
今回のご相談のように、
・朝に制服に着替えてから玄関で動けない
・休んだ日は楽になるが逆に甘えだと思う
そうした声は、何度も聞いてきました。
また、休むのは甘えと考えてしまう方は、自然と自分を責める方向に考えが傾きやすくなるのは、心理学的にも理解できる反応です。
この記事では、公認心理師の視点で今の状態から少しでも楽になるヒントをまとめていますので、読み進めてみてください。
10代女性(学生)
適応障害と診断されてから3か月ほど経ちますが、学校を休むことにずっと罪悪感があります。朝、制服に着替えるところまではできるのに、玄関を出ようとすると涙が止まらなくなって動けなくなります。
親には心配をかけたくないし、担任の先生にもどう説明すればいいか分かりません。休んでいる間もクラスメイトにどう思われているかが気になって気が休まらず、かといって教室に戻れる自信もなく、自分が甘えているだけなのではないかと毎日考えてしまいます。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
制服まで着替えたのに動けなくなる朝のつらさや、休むことへの罪悪感を抱えながら読んでくださっているのだと思います。その気持ちは、あなたが弱いからではないです。
この記事では、適応障害で学校を休みたいのに休めないと感じるときに何が起きているのか、そして休むかどうかを考えるためのヒントを、公認心理師の視点から一緒に整理していきます。
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適応障害で学校を休むのは甘えではない

自分は甘えているだけなのではないか。
適応障害で学校を休みたいと感じたとき、多くの人がまずその不安に足を止めます。
ここではその気持ちの背景を、少し丁寧に見つめてみます。
適応障害は環境のストレスで心と体に症状が出る状態
適応障害は、特定の環境から受けるストレスに心や体が対処しきれなくなっている状態です。
性格の弱さや努力不足が原因ではなく、ストレスの原因と症状のあいだに明確なつながりがあることが特徴とされています。
厚生労働省のこころの耳でも、適応障害は環境の変化や対人関係などのストレスがきっかけで生じるものとされています。
学校という環境そのものが心身の負荷になっているとき、休みたいと感じるのはむしろ自然な反応です。
休みたいは、限界に近いサインのことがある

適応障害では、ストレスの元になっている環境にいるあいだは気分の落ち込みや不安が続き、離れると少し楽になるという波が出やすいのが特徴です。
休んだ日に少し元気になると、自分でも甘えなのではないかと疑ってしまうことがあります。
けれど、離れて少し回復すること自体が、環境のストレスに心身が反応している証拠でもあります。
休みたいという気持ちは、体と心が限界に近づいているサインとして受け取ってよいものです。
まじめな人ほど休むことに罪悪感を持ちやすい
責任感が強く、周囲の期待に応えようとする人ほど、休むことに対して強い罪悪感を覚えやすい傾向があります。
みんなは行けているのに自分だけ行けないという比較や、迷惑をかけてしまうのではないかという心配が、さらに自分を追い詰めてしまいます。
こうした心理は、その人がもともと周囲を大切にできるからこそ生まれるものです。
けれど、休みたいのに休めないという状態が長く続くと、心身の回復がどんどん遅れてしまうことも少なくありません。
適応障害で学校を休むべきか迷うときの判断基準
休むべきか、もう少し頑張るべきか
ここでは、自分の状態を見つめ直すための目安をいくつかの角度から整理します。

朝になると強くしんどい、涙が出る、体が動かない
- 朝の支度をしているときに急に涙が出る
- 体が重くて玄関から出られない
- 制服に着替える途中で動けなくなる
こうした状態は、心身が強いストレスに反応しているときに起こりやすい反応です。
適応障害では、行かなければならないという意識と体の拒否反応のあいだで板挟みになりやすく、そのしんどさが朝の時間帯に集中する傾向があります。
頭痛や腹痛、不眠、食欲低下など体の不調が続いている
適応障害では、心の症状だけでなく体にも不調が現れます。
次のような状態が2週間以上続いているようであれば、体がかなり消耗しているタイミングです。
- 登校前に頭痛や腹痛が強まる
- 夜なかなか眠れない、朝起きられない
- 食欲がわかない
こうした体の不調は外から見えにくく、本人にとっても甘えとの区別がつきにくいことがあります。
しかし、ストレスによる自律神経の乱れは医学的にも認められた反応であり、意志の力だけで解消できる性質のものではありません。
行けても授業に集中できない、教室にいるだけで精一杯になっている

なんとか登校できていても、授業の内容が頭に入らない、教室にいるだけで緊張して疲れ果てるという状態が続いているなら、出席しているだけで大きなエネルギーを使い続けている可能性があります。
「登校できている=大丈夫」とは限りません
無理を重ねて通い続けた結果、症状が長引いたり深まったりするケースもあります。
出席しているかどうかだけでなく、教室にいるあいだの自分の消耗度にも目を向けてみてください。
一日休む、数日休む、休学を考えるは分けて考えてよい
休むかどうかを考えるとき、多くの人が行くか行かないかの二択で悩みがちです。
でも実際には、休み方にはいくつかの段階があります。
- 今日一日だけ休む
- 今週は少しペースを落とす
- しばらく休学して立て直す
一日休んでみて少し気持ちが落ち着くなら、週に何日か登校するペースに調整してみるという選択もあります。
最初から大きな決断をする必要はなく、体調と相談しながら段階的に考えていくほうが、結果として無理のない回復につながりやすくなります。
休みたいのに言い出せないときはどうすればいい?

休みたい気持ちはあるのに、それを誰にどう伝えればいいか分からない。そうした声は実際のカウンセリングの現場でもとても多く聞かれます。
理由を完璧に説明しなくても、つらいことだけ伝えればよい
適応障害で学校を休めないと感じている人の多くは、休む理由をきちんと説明しなければならないと思い込んでいます。
けれど、自分の状態を正確に言葉にするのは、大人でも簡単ではありません。
親に伝えるとき、心配をかけたくないという気持ちが先に立つのは自然なことです。
すべてを一度に説明しようとしなくてよいですし、理由がはっきり分からないまま朝つらくて動けないと伝えるだけでも構いません。
親や担任に言いにくいときは、保健室やスクールカウンセラーを使う

親に面と向かって言えない、担任に直接話すのが怖いと感じるときは、保健室の先生やスクールカウンセラーを間に入れるという方法があります。
文部科学省の方針により、現在は多くの学校にスクールカウンセラーが配置されています。
カウンセラーは学校の事情を理解したうえで、担任や保護者との橋渡し役にもなってくれます。
直接言うのがつらいときに、まず保健室に足を運んでみるという一歩は、自分を守るための大切な選択です。
診断書や学校での配慮が助けになることもある
心療内科や精神科で適応障害と診断されている場合、医師に診断書を書いてもらうことで、学校側に状況を伝えやすくなります。
診断書があることで相談しやすくなる配慮の例としては、次のようなものがあります。
- 出席日数の扱いについての確認
- 課題提出の期限延長
- 別室での試験受験
休学が必要になる場合にも診断書が求められることが多いため、通院中であれば主治医に相談してみてください。
書類を通じて伝えるという方法は、言葉にしづらい状態のときに自分の代わりに状況を説明してくれる手段のひとつです。
適応障害について向き合うための方法

ここまで読んで、少しでも自分の状態を整理するきっかけになっていたらうれしく思います。
ここからは、休んだあとの不安も含めて、この先のことを考えるためのヒントを整理します。
回復には波があることを知っておく
適応障害の回復は、一直線に良くなっていくものではありません。
昨日は少し元気だったのに今日はまた動けないということが起きると、全然良くなっていないのではないかと感じて落ち込むことがあります。
けれど、良い日と悪い日を繰り返しながら少しずつ落ち着いていくのは、回復の過程としてよく見られるパターンです。
調子の悪い日があっても、それは後退ではなく回復途中の自然な揺れです。
休んでいるあいだに、クラスメイトにどう思われているかが気になったり、このまま戻れなくなるのではと不安になることもあるかもしれません。
適応障害では対人関係への不安や自己否定的な考えが強まりやすいため、こうした心配が実際以上に膨らみやすくなる傾向にあります。
元通りを急がず、段階的に戻る考え方でよい
学校に戻ることを考えたとき、以前と同じように毎日通えなければという焦りが出やすくなります。
しかし、いきなり元の生活に戻そうとすると心身に大きな負荷がかかり、再びつらくなることがあります。
最初は保健室登校や午前中だけの短時間登校から始めて、少しずつペースを広げていく方法は、多くの学校で実際に行われている対応です。
元通りではなく、今の自分に合ったペースで戻っていくという考え方を持っておくと、焦りが少し和らぐかもしれません。
家族や学校の大人に今の状態を共有してよい
適応障害で学校を休むことや休みたいと感じていることは、周囲に伝えてよいことです。
伝え方が分からなければ、この記事を見せるだけでもかまいません。
家族や学校の大人があなたの状態を知ることで、休み方や戻り方について一緒に考えてもらいやすくなります。
一人で抱えている時間が長くなるほど、状況を客観的に見る力が落ちやすくなります。
誰かに共有すること自体が、回復の入り口になることも少なくありません。
不調が続くときは心療内科や精神科で相談してよい

体の不調や気分の落ち込みが2週間以上続いている場合や、日常生活に明らかな支障が出ている場合は、心療内科や精神科への相談を考えてよいタイミングです。
すでに通院中の方は、今感じている症状の変化を主治医に率直に伝えてみてください。
受診は特別なことではなく、心と体の状態を専門家と一緒に確認するための手段です。
ココラボ相談室のオンラインカウンセリングなら、自分のペースで心の状態を整えることができます。