発達障害の彼氏とどう付き合えばいいのか、私ばかり疲れる…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
相手のことを理解したい気持ちと、自分のしんどさが重なり、お互いの関係で悩まれている方は一定います。
行動の背景を理解することが助けになる一方で、理解しようとするほど自分の負担が見えにくくなることもあります。
そのため、相手をどう捉えるかだけでなく、自分の感じている疲れや違和感をどのように整理していくかという視点も同時に大切になります。
この記事では、二人の間で起きていることを整理しながら、無理を重ねずに関係を続けるための関わり方や、線引きの考え方についてまとめています。
30代女性(会社員)
付き合って2年になる彼氏がいます。優しいし一緒にいて楽なのですが、LINEの返信が2週間返ってこなかったり、決めた約束の日に連絡なく会えなくなったりが続いています。
こちらが不満を伝えても、ごめんの一言で止まってしまい、話し合いが進みません。
もしかして発達障害なのかな、と検索しては消してを繰り返しています。彼を責めたいわけではないのに、気持ちが通じない苦しさと、こんなことで悩む自分への情けなさで、最近は私ばかり疲れている気がしてしまいます。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
好きな気持ちはあるのに、やり取りのたびにすり減っていく感覚は、言葉にしにくい苦しさを伴います。ひとりで抱えながら、彼を悪く思いたくない気持ちとの間で揺れてこられたのだと思います。
この記事では、彼を発達障害と決めつける前に持っておきたい視点と、疲れてしまうご自身をどう守っていくかという観点から、少しずつ整理していきます。
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発達障害の彼氏とどう付き合えばいいのか悩むのは自然なこと

好きな気持ちはあるのに、連絡の行き違いや会話のすれ違いが続くと、自分のほうが間違っているのではないかと思えてくることがあります。
彼を責めたいわけではない、けれどこのままでは保たない。その両方の気持ちを同時に抱えているとき、人はとても疲れます。
検索に「発達障害」という言葉を入れるのは、彼にレッテルを貼りたいからではなく、理解の手がかりを探しているからです。そこにたどり着くまでに、何度も我慢し、自分を納得させてきた時間があったはずです。
まずはそのご自身の状態を、おかしなことではないと受け取ってみてください。私ばかり疲れる、と感じる感覚は、向き合ってきた証のようなものです。
この記事では、彼の特性に目を向ける前に、お二人の間で起きていることを少し外側から眺め直す視点から整理していきます。
診断名よりも二人の間で起きている困りごとを見る
発達障害という言葉は、強い輪郭を持っています。一度その枠で彼を見始めると、あらゆる行動がその特性のせいに見えてきて、本当は性格や気分の問題かもしれないことまで混ざって理解されてしまいます。
ADHDやASDといった診断は、医療機関で専門的な評価を経て初めてつくものです。ネットの情報やチェックリストで当てはまると感じても、それはあくまで似ている点があるというだけに留めておいたほうが、関係を見る目が曇りません。
大切なのは、彼が何者かを確定させることよりも、二人の間で何が実際に起きているかを具体的に見ていくことです。
連絡が途絶える頻度、約束が守られない場面、話し合いが進まないときのパターン。
こうした事実のほうが、今後の判断材料として確かさがあります。
悪気がないことと傷ついたことは分けて考える
彼には悪気がない、と感じる場面は多いと思います。実際、発達の特性が背景にある行動は、相手を困らせようとしてやっているわけではないことがほとんどです。
ただ、悪気がないことと、あなたが傷ついていないことは、まったく別の話です。意図が悪くなくても、返事が来ない二週間の寂しさは実在しますし、約束が崩れた日の落胆も消えません。
ここを重ねてしまうと、彼を責められない一方で自分の痛みも認められなくなり、行き場のない疲れだけが残ります。悪気はなかったのだろう、それはそれとして私はつらかった。この二つを別々の事実として置いておくことが、関係を続けるにしても見直すにしても、判断の土台になります。
発達障害の特性がある彼氏に見られやすい関係上の特徴

ここでは、仮に発達の特性があった場合に、恋愛関係の中でどんなすれ違いが起きやすいかを整理します。当てはめて安心するためではなく、起きていることの背景を理解するための見取り図として読んでください。
連絡や約束が不安定になりやすい
ADHDの特性として知られているのが、注意の向け方や時間感覚の偏りです。何かに没頭しているとLINEの通知に気づかない、返そうと思ったまま他のことに流されて忘れる、という現象が起きやすくなります。
返信の遅さは、あなたへの関心の薄さとは必ずしも結びつきません。ただ、受け取る側からすれば、何日も既読がつかない状態は無視されているのと変わらない体感になります。
約束を忘れる、体調を理由に連絡なくキャンセルする、といった行動も、見通しを立てることや段取りを組むことの苦手さが背景にあることがあります。誠意がないのではなく、段取りの機能そのものがうまく働きにくい、という理解のほうが実態に近いことが多いです。
気持ちを察することや曖昧な表現が苦手なことがある
ASDの特性がある方は、言葉の裏を読む、表情から感情を推測する、という作業が負担になりやすいとされています。察してほしい、雰囲気でわかってほしい、というコミュニケーションが届きにくいのはこのためです。
なんでわかってくれないの、という問いかけは、定型発達のパートナー同士であれば共有できる感覚ですが、相手にとっては質問の意図そのものが読み取れないことがあります。結果として、話し合いがかみ合わず、こちらだけが消耗する形になりがちです。
言葉がストレートすぎて傷つく、という現象も、悪意よりは加減の難しさから起きていることが多いです。本人の中では事実を述べているだけ、という感覚のことがあります。
こだわり、予定変更、感覚の敏感さがすれ違いになる

決まった手順や予定への強いこだわりは、ASDによく見られる特性の一つです。急な予定変更でパニックに近い状態になる、初めての場所や人が極端に苦手、という様子が見えることがあります。
感覚過敏も、関係に影響します。人混みや大きな音、特定の匂いが強いストレスになり、デートの選択肢が限られる、外出がしんどくて家にこもりがちになる、といった形で表れます。
片付けが極端に苦手、お金の管理が続かない、といった生活面のばらつきも、本人の努力不足というよりは脳の機能的な特性からくることがあると知られています。ここを性格の問題として責めると、彼も傷つき、あなたの疲れもほどけません。
困りごと別に考える彼氏との付き合い方
ここからは、実際に起きがちな困りごとごとに、工夫の方向を整理します。うまくやるためのテクニックというより、すれ違いを減らすための仕組みづくりと考えてください。
LINEが返ってこない時は連絡のルールを小さく決める

返信が遅いことそのものを責めても、多くの場合は改善につながりません。本人も返せていないことに後ろめたさを感じていることが少なくなく、言われるほど連絡が億劫になる悪循環が起きやすいからです。
役に立ちやすいのは、連絡の種類を分けて小さな約束を作ることです。ハードルを下げた合意をしておくと、彼も動きやすくなります。
- 体調の報告はスタンプ一つでいい
- 会う予定の確認だけは前日に返す
- 大事な話は文字より通話や対面で
LINEで長文を送っても処理されないままになることがあるので、重要な相談や感情のすれ違いは顔を見て、と決めておくだけでもストレスは減ります。
約束を忘れる時は責める前に仕組みに変える
何度目だろう、という思いが積み重なると、責めたくなる気持ちが湧くのは当然です。ただ、注意や叱責は、特性が背景にある場合にはほとんど効果がないことが知られています。
カレンダーの共有、リマインダーの事前設定、前日の確認メッセージ、といった外側の仕組みに置き換えたほうが、結果として約束が守られやすくなります。彼の性格を変えるのではなく、忘れても回るように環境を整える、という発想です。
仕組みで拾えなかった約束については、感情的に責めるより、何が起きたのかを事実として確認する会話のほうが進みます。なぜ忘れたのかと問い詰めるより、次どうするか一緒に考える姿勢のほうが、関係の摩耗が少なくて済みます。
話し合いが進まない時は感情より事実から伝える
気持ちをわかってほしい、と感情を訴えても、言葉の裏を読むのが苦手な相手には届きにくいことがあります。悲しかった、寂しかった、という表現だけでは、具体的に何が起きて何を変えてほしいのかが伝わらないまま終わってしまいます。
役に立ちやすいのは、事実と要望を分けて伝えることです。何日に連絡が途絶えた、その時こう感じた、次からはこうしてほしい、という順序にすると、相手も受け取りやすくなります。抽象的な察してほしいより、具体的な言葉のほうが、結果的に気持ちも届きやすくなります。
話し合いが長時間になると、彼のほうが処理しきれずに黙り込んでしまうこともあります。一度に扱う話題を一つに絞る、疲れたら休む、と決めておくと、会話が消耗戦になりにくくなります。
関係を続けるために決めておきたい境界線

ここは、彼のための工夫ではなく、ご自身を守るための線を引くパートです。支え続けるには、支える人自身が倒れない設計がいります。
連絡頻度や会う頻度の最低ラインを持つ
彼のペースに完全に合わせていると、気づかないうちに会わない期間が延び、自分から連絡することだけが増えていく関係になりがちです。ここが消耗の大きな原因になります。
月にこれくらいは会いたい、週にこれくらいはやり取りしたい、という自分の最低ラインを、一度言葉にしてみてください。それは彼を縛るためではなく、自分が安心して関係を続けられる条件を確認するためのものです。
守られないときにどうするかも、あらかじめ自分の中で決めておくと楽になります。そのたびに振り回されるのではなく、ここを割ったら距離を取る、という内側の基準を持っておくことで、感情に流されにくくなります。
変えてほしいことと受け止めることを分ける

発達の特性は、本人の努力で消せるものではありません。一方で、工夫や配慮で変えていけることもあります。この二つを混ぜて扱うと、何を期待していいのかわからなくなり、諦めと怒りが交互に押し寄せます。
言葉の選び方、大事な日の事前確認、体調が悪いときに一言入れる、といった行動レベルのことは、話し合いで調整できる領域に入ります。一方で、人混みが苦手、急な予定変更が難しい、というコアの特性は、受け止める側に回ったほうが楽になります。
同棲や結婚を考える段階では、この仕分けがさらに大事になります。生活を共にする前に、家事の分担や金銭管理、連絡の頻度といった具体的な場面で、何を変えてもらい、何はそのまま引き受けるのかを話し合っておくと、あとからの溝が小さくなります。
自分の生活や心身の調子を後回しにしない
彼のことで頭がいっぱいになっていると、自分の食事や睡眠、仕事や趣味が後回しになりがちです。気づけば友人と連絡を取らなくなっていた、休日を彼待ちで潰していた、という状態は、関係への過剰適応が起きているサインのひとつです。
自分の生活を自分の都合で動かす感覚を、意識的に取り戻しておいてください。彼から連絡がなくても予定を入れる、彼の不調に合わせすぎない、趣味や運動の時間を削らない。これは冷たさではなく、関係を長く保つための土台になります。
厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳では、睡眠や食事、運動といった生活の基本が心の状態に直結することが繰り返し示されています。彼を支えたい気持ちがあるからこそ、支える側の土台を崩さないことを先に置きたいところです。
好きなのに疲れてしまう時、持っておきたい考え方

最後に、それでも疲れが抜けないときの視点を置きます。理解しようとしてきたあなた自身を、どう扱うかという話です。
理解しようとするほど我慢が増えることがある
特性を知るほど、これは彼のせいじゃない、と思える場面が増えます。それ自体は関係を続ける助けになります。ただ、理解が進みすぎると、本来言ってよかった不満まで飲み込んでしまう現象が起きます。
悪気がないとわかっているから怒れない、特性だと知っているから我慢するしかない、という思考が続くと、感情の行き場がなくなります。理解とあきらめは似ていて紛らわしく、気づいたときには自分の気持ちをどこに置いたかわからなくなっていることもあります。
理解することと、我慢することは、本来別の行為です。理解したうえで伝えていい不満があるし、理解したうえで離れてもいい局面もある、という余地は残しておいてください。
支えることと背負い込むことは違う
好きな人が困っていれば、支えたいと思うのは自然なことです。ただ、相手の生活の段取りをすべて肩代わりする、相手の感情の安定まで自分の責任にする、という状態になると、それは支えるというより背負い込む状態に近づきます。
背負う側は、最初のうちは役に立てている実感で保てます。けれど、感謝が返ってこない日が続いたり、努力が透明化されていると感じる瞬間があったりすると、急に糸が切れることがあります。
彼の人生の運転席には、彼自身が座る必要があります。通院を続ける、診断を受けるかどうか決める、仕事の調整をする、といった本人の課題は、本人の領域に返していくことが、長い目で見て二人のためになります。

カサンドラ的な孤独を一人で抱えない
発達の特性があるパートナーとの関係で、支える側に心身の不調が積み重なる状態は、カサンドラ症候群と呼ばれることがあります。医学的な診断名ではありませんが、臨床の現場ではしばしば話題に上がる概念です。
不眠や頭痛、気分の落ち込み、自分を責める気持ちが強くなる、といった変化が出てきたら、一人で耐える段階を過ぎているサインかもしれません。誰に話しても大げさに受け取られない、という感覚の孤独は、この関係ならではのつらさです。
同じような状況にある人の体験記を読むだけでも楽になることがありますし、心理の専門家に話を聞いてもらう選択肢もあります。彼のために、ではなく、あなた自身が整理のために話せる場を持つ、という考え方で十分です。
まずは呼吸の置き場所を取り戻してから、ゆっくり考えていってください。話す相手が身近にいないと感じるときは、オンラインで受けられる心理カウンセリングも、選択肢のひとつとしてそこにあります。