微笑みうつ病だと自覚した方が良いかな…改善するための対策は?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

いわゆる微笑みうつ病と呼ばれる状態は、外から見える様子と内側の消耗が一致しにくいことが特徴です。

そのため、本人も周囲も気づきにくく、気づいたときには疲れがかなり蓄積しているというケースも見られます。

この記事を読むことで、日常生活の中で感じている辛さを少しでも解消することができるかもしれません。

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30代女性(会社員・公務員)

職場では普段通り笑って話せて、ランチでも冗談を言えてしまうのですが、家に帰って一人になると、何もする気が起きずソファから動けません。
夜は寝つきが悪く、朝は身体が重いのに、出社すれば自然に笑顔が出てしまうのが自分でも不思議です。

最近は休日もずっと気持ちが晴れず、これが微笑みうつ病というものなのか、ただの疲れなのか、自分でも分からなくなっています。
病院に行くほどではない気もして、でも限界が近い気もして、判断がつきません。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

笑顔で過ごせていることと、心が平気でいることは、必ずしも同じではありません。
ご自身でも判断がつかないというお気持ちのまま、ここまで言葉にしてくださったこと自体が、すでに心が出しているサインを受け取っている状態だと感じます。

この記事では、自覚しにくい状態にどんな背景があるのか、そして悪化させないためにいまできる小さな選択を、急がずに一緒に整理していきます。

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微笑みうつ病は、笑えている人ほど気づきにくい

笑顔でいられているからこそ、自分の不調を疑いにくくなる状態があります。
ここでは、まず微笑みうつ病という言葉が指している範囲と、なぜ自覚しにくいのかを整理していきます。

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笑顔で過ごせることと、心が平気なことは別

人前で笑って話せること自体は、心の余力があるサインのように感じられるかもしれません。
ただ、笑顔は意思とは別に、社会的な反応として自動的に出てしまうことがあります

職場で冗談に笑い、相手の話に相づちを打てているのに、家に着いた瞬間に身体が重くなるとしたら、笑顔は維持できていても、内側ではすでに消耗が進んでいる可能性があります。
笑えているから大丈夫、という見方は、自分自身にとって最初の見落としになりやすい部分です。

正式な病名ではなく、見えにくい抑うつ状態を表す言葉

微笑みうつ病は、医学の診断分類であるDSMやICDには記載されていません。
正式な病名ではなく、笑顔の裏で抑うつ状態が進んでいる状態を表すための、いわば説明用の言葉です。

そのため、自分が当てはまるかどうかを白黒で決められるものではありません。
ただし、診断名がついていないからといって、状態として軽いわけではないという点は、理解しておきたいところです。

一般的なうつ病より周囲に気づかれにくい

一般的なうつ病では、表情の暗さや動きの少なさといった変化が周囲から見えやすく、本人が言葉にする前に異変が察知されることがあります。
一方で微笑みうつ病に近い状態では、外側の様子が普段と変わらないまま、内側だけが疲弊していきます。

厚生労働省が運営するこころの健康に関する情報サイトでも、うつ症状を自覚しても受診に至らない人が多いことが繰り返し示されており、外から見えない不調が見過ごされやすい構造があります。
周囲も本人も気づかないまま時間が過ぎていきやすい、という前提で考えておく方が安全です。

自覚しにくい微笑みうつ病のサイン

自覚は、はっきりした症状よりも、日常の小さな違和感の積み重ねから始まります。
ここでは、見落とされやすいサインを、暮らしのどの場面に出やすいかという観点で整理します。

人前では明るくできるのに、ひとりになると崩れる

外では普通にふるまえるのに、玄関を閉めた瞬間に張りつめていたものが切れる感覚があるなら、心の負荷は静かに積み重なっています。
電車を降りた途端、急に涙が出そうになる、自宅のソファから動けない、といった切り替わりが頻繁に起きるとき、内側のエネルギーはすでに減っている状態です。

外向きの自分と、ひとりの時間の自分のあいだに大きな落差を感じるなら、それは性格の問題ではなく、消耗のサインとして受け取ってよい場面です。

眠れない、食べられない、疲れが抜けない

睡眠と食欲は、気持ちより先に変化が出やすい領域です。
寝つきが悪い、夜中に何度も目覚める、朝早くに目覚めてそこから眠れない、といった変化は、心の疲れが身体に出ているサインのひとつです。

食欲についても、量が落ちる場合と、逆に何かを口に入れていないと落ち着かない場合があります。
あわせて、休んでも疲れが抜けない、肩や背中が常に重い、頭がぼんやりして集中が続かないといった状態が続いているなら、単なる体調不良として片づけずに見ておきたいところです。

仕事や予定はこなせても、気持ちがついてこない

微笑みうつ病に近い状態では、外側の機能はある程度保たれます。
仕事に行ける、家事ができる、予定をキャンセルせずに済んでいる、というだけで、自分はまだ大丈夫だと判断してしまいやすい構造があります。

ただ、こなせていることと、その時間を生きている実感があることは別の話です。
日々の予定を流れ作業のように処理していて、楽しい予定の前でも気持ちが動かない、終わったあとに何も残っていない感覚があるなら、機能は保たれていても、内側はかなり消耗しています。

微笑みうつの原因になりやすい心理背景

サインの背景には、性格や生き方の積み重ねがあります。
ここでは、自分を責める材料にしないことを前提に、どんな心理が笑顔の裏側に働きやすいのかを順に見ていきます。

迷惑をかけたくない気持ちが強い

人に弱音を見せると相手の負担になる、という感覚が根づいている人は、自分のつらさを言葉にする手前で止めてしまいます。
心配されること自体に申し訳なさを感じてしまい、結果として笑顔で取り繕う方が楽だと感じる状態です。

この気持ちは、相手への思いやりとつながっているので、簡単に手放すことはできません。
ただ、本音を伏せ続けると、自分が今どれくらい疲れているのかが自分でも分からなくなっていきます

責任感や完璧主義で抱え込みやすい

任された役割をきちんと果たしたい、最後まで自分の仕事として持ちたい、という意識が強い人ほど、不調を理由に手を抜くことに罪悪感を抱きます。
完璧主義の傾向があると、80点では納得できず、自分にだけ高い基準を設定してしまうことも少なくありません。

例えば、体調が悪い日でも普段と同じ精度を保とうとして、結果的に普段以上のエネルギーを消耗してしまう、という積み重ねが起きます。
頑張れることそのものが、不調の自覚を遅らせる方向に働いてしまうのが、この心理背景の難しいところです。

人間関係や役割の中で本音を隠し続けている

職場での立ち位置、家庭での役割、友人との関係性のなかで、求められる自分像と本音が長く食い違っている状態も、心を静かに削ります。
明るい人として扱われている、頼られる立場にいる、相談される側で居続けている、といった環境では、弱音を出す入口が見つかりにくくなります。

役割を演じる時間が長くなるほど、本来の自分の感覚から距離ができていきます。
自分でも、いま何を感じているのかすぐには分からないという状態は、本音が長く外に出ていないサインとして見ておきたい部分です。

微笑みうつを悪化させないためにできること

ここで扱うのは、無理のないところから始められる、小さな調整です。
休めない、相談できないという段階の人が、まず手をつけやすい順に整理していきます。

まず休む理由を探すことをやめる

休むためには明確な理由がいる、という感覚は、多くの人が無自覚に持っています。
熱がないのに休むのは甘えではないか、症状を説明できないと休めないのではないか、という発想が、休息のハードルを必要以上に上げています。

休んでよいのは、説明できる症状がある時だけではありません。
気力が落ちている、笑顔をつくるのがしんどい、それ自体がすでに休む理由として十分です。
理由を探すために自分を追い込むのではなく、しんどい感覚があるという事実を、そのまま休む根拠にしてかまわない領域です。

つらさを短い言葉で外に出す

長い文章で説明できる必要はありません。
むしろ、短く区切って外に出す方が、整理が進みやすくなります。

しんどい、疲れた、今日は無理、といった一言を、紙に書く、メモアプリに残す、信頼できる人に送る、どの方法でも構いません。
頭のなかで言葉にし続けると同じ思考を回り続けてしまいますが、外に出した瞬間、自分の状態を少し離れた位置から見られるようになります。

無理に笑う場面を少し減らす

すべての場面で笑わない、というのは現実的ではないかもしれません。
ただ、笑わなくてもよい場面を一つだけ自分に許可する、というやり方なら取り入れやすくなります。

通勤中の電車、家に帰ってからの数十分、休日の午前中など、人と接さない時間帯に表情を緩める。
笑顔を維持し続けるのにエネルギーがかかっている前提に立つと、ゆるめる時間を確保することは、怠けではなく回復の準備として位置づけられます。

信頼できる人に小さく共有する

相談という言葉は重く感じられますが、ここで必要なのは結論や助言ではありません。
最近ちょっと疲れている、というレベルの共有で十分です。

聞いてもらった内容について解決してもらう必要はなく、ただ知っておいてもらう、という関係を一人だけ持つ。
それだけで、いざ限界が近づいたときに頼れる入口が一つ確保されます。
誰にも言えない状態を続けることが、状態を見えにくくする最大の要因なので、そこを少しだけ崩しておく意味は大きいといえます。

病院やカウンセリングを考えた方がいい状態

セルフケアで持ちこたえられる範囲を超えているかもしれない、と感じたら、外の専門家を選択肢に入れる段階です。
ここでは、目安となる状態と、医療機関とカウンセリングの役割の違いを整理します。

生活や仕事に影響が出ている

遅刻や欠勤が増えてきた、ミスが目立つようになった、家事が滞りがちになっている、といった変化が2週間以上続いているとき、心身の負荷はセルフケアでカバーできる範囲を超えつつあります。
厚生労働省も、気分の落ち込みや倦怠感が2週間以上続く場合の専門機関への相談を案内しており、生活への影響は重要な目安になります。

仕事を休むべきかという問いも、ここで初めて現実的な選択肢として浮かんできます。
休職は逃げではなく、回復のための時間を確保する手段として位置づけられるものです。

睡眠や食欲の不調が続いている

睡眠が乱れている、食欲が安定しない、体重が短期間で動いた、といった身体の変化が2週間以上続いている場合、医療機関での相談を検討してよい段階です。
不眠が続くこと自体が、抑うつ状態を悪化させる要因にもなるため、早めに整える価値があります。

心療内科や精神科では、状態の評価とともに、睡眠や食欲を立て直すための薬物療法が選択肢になることもあります。
薬を使うかどうかは医師との相談で決められるので、入口として相談だけしてみる、という関わり方でも問題ありません。

消えたい気持ちや自傷の不安がある

消えてしまいたい、いなくなれたら楽になる、といった気持ちが浮かぶようになっているなら、これは様子を見る段階ではありません。
できるだけ早く、医療機関の受診や、いのちの電話などの相談先につながってほしい段階です。

このサインは、本人にとっては静かに浮かぶことも多く、まわりからはまったく気づかれないまま進むことがあります。
だからこそ、自分のなかにこの感覚があると気づいた時点で、それを外の人に伝えてよい合図として扱うことが大切です。

カウンセリングで話せること、医療につなぐこと

カウンセリングと医療機関は、目的が少し違います。
それぞれの役割を整理すると、以下のようになります。

相談先主な役割
医療機関(心療内科・精神科)診断、薬物療法、診断書の発行
カウンセリング状態の整理、考え方の癖や生き方のパターンを一緒に見る

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医療機関は診断と治療を行う場で、薬の処方や診断書の発行ができます。
一方カウンセリングは、診断を出す場ではなく、自分の状態を整理し、考え方の癖や生き方のパターンを公認心理師や臨床心理士と一緒に見ていく場です。

診断はまだ早い気がするけれど、誰かと一緒に整理したい段階の人にとっては、カウンセリングが入口になりやすい面があります。
医療が必要そうだと判断されれば、カウンセラーから医療機関につなぐ流れもとれるので、最初の一歩としてどちらを選んでも構いません。

笑顔で過ごせていることは、それだけで価値のあることです。
そのうえで、自分の内側にも同じだけの優しさを向けてよい、ということを、最後にお伝えしたいと思います。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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