心療内科で休職を勧められたけど、本当に休んでいいのか不安です。
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
休職を勧められても踏み出せないとき、多くの方が自分を責めてしまいます。
臨床の場でも、つらさを過小評価したまま頑張り続けてしまう方に、何度も出会ってきました。
決断を急がず、迷いごと専門家に話すところから始めて構いません。
30代男性(会社員)
心療内科で休職を勧められたけど、本当にこのまま休んでいいのか分からなくて。30代で、今の部署では中堅と呼ばれる立場です。
朝起きると体が重くて、通勤の途中で涙が出る日もあるのに、まだ働けるんじゃないかという気持ちも消えません。
自分が抜けたら同僚に負担がかかるし、休むなんて逃げている気がして。診断書をもらえば休めると分かっているのに決断できず、ずっと迷ったままです。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
医師に休職を勧められてもすぐに踏み出せないのは、あなたが無責任だからではありません。むしろ責任感が強い人ほど、休む決断の前で立ち止まります。
ここではまず、迷いや罪悪感がどこから来るのかを一緒に整理していきます。
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休職を勧められても踏み出せない気持ち
医師から休職という言葉が出たとき、すぐに受け入れられる人のほうが少ないかもしれません。まずは、その踏み出せなさがどこから来ているのかを一緒にほどいていきます。
まだ働けるかもと思ってしまう理由
休職を勧められても、まだ働けるのではないかという感覚が残るのは自然な反応です。これは気力や根性の問題ではなく、長く張り詰めてきた人ほど起こりやすい心の動きです。
責任感が強い人は、自分の不調よりも周囲への影響を先に考えます。締め切りや引き継ぎ、同僚の負担が頭に浮かび、自分の限界はいつも後回しにされがちです。
ここで知っておきたいのは、まだ働けると感じる感覚そのものが、ひとつのサインになりうるという点です。心身が限界に近づくほど、つらさを感じ取る力は鈍りやすく、本人だけが普段どおりのつもりでいる状態が生まれます。

休むことへの罪悪感はどこから来るのか
休職を考えるとき、多くの人が罪悪感に近い感覚を抱きます。自分が抜けることへの申し訳なさや、休むのは逃げではないかという思いが、決断を引き止めます。
この逃げという感覚は、頑張ること自体に価値を置いてきた人ほど強く出やすい傾向があります。働き続けることが当たり前だった分、立ち止まる選択が自分の弱さのように映ってしまいます。
ただ、休職は仕事から逃げる行為ではなく、回復のために環境をいったん調整する選択です。骨折した足を動かし続けないのと同じで、心身にも、負荷を下げる時間が必要になる場面があるのです。
医師が休職を勧めるとき、何を見ているのか
医師が休職を口にするのは、思いつきではなく、いくつかの観点を見たうえでの判断です。何を基準にしているのかが分かると、提案の受け止め方も少し変わってきます。
日常と仕事への支障が判断の基準になる
医師が休職の必要性を考えるとき、大きく二つの軸を見ています。ひとつは、症状が日常生活や仕事にどれだけ支障を出しているかです。
朝起き上がれない、出勤しようとすると動悸がする、集中が続かずミスが増える。こうした状態が続いているなら、休養を要するサインとして受け止められます。

もうひとつの軸は、不調の原因がいまの環境にあるかどうかです。長時間労働や人間関係の負荷が引き金になっている場合、その場から物理的に離れることが回復につながると判断されます。本人の努力だけでは変えにくい要因ほど、距離を取る判断は重く見られます。
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適応障害・うつ状態では自分のつらさを過小評価しやすい
強いストレスが続く状況では、心が無理に環境へ適応しようとする状態が起こります。このような状態では、つらさや疲れを感じる感覚そのものが鈍り、自分は大丈夫だと思い込みやすくなります。
医師や家族から見て無理をしているように映っても、本人にはその実感が薄いままという食い違いが生まれます。だからこそ、自分の感覚だけで判断せず、周囲の客観的な見え方を一度受け取ってみる意味があるのかもしれません。
こんな状態が続いているなら立ち止まる目安
判断に迷うときは、いくつかの状態が続いていないかを目安にしてみると整理しやすくなります。次のような状態が重なって続いているなら、まだ働けるという感覚があっても、一度立ち止まる時期に来ているのかもしれません。
- 眠れない、または眠っても疲れが抜けない
- 食欲が戻らない
- 休日を挟んでも疲れが回復しない
- 仕事のことを考えると涙が出る
無理を続けるほど回復に時間がかかる場合もあり、早めに休むことが結果的に近道になる場面もあります。
もし、消えてしまいたい、もう限界だという感覚が出ているときは、判断を先延ばしにせず、すぐに主治医や公的な窓口につながってください。こころの健康相談統一ダイヤルといった公的な相談先は、匿名でも話を聞いてもらえます。
休職に向けた手続きを整理する
休む決心が固まりきらなくても、手続きの流れを知っておくと不安は少し軽くなります。ここでは診断書、会社への報告、傷病手当金という三つの実務を順に整理します。
診断書の取得方法と医師への伝え方
休職を会社に申し出るときの根拠になるのが、医師が作成する診断書です。就業が難しい状態であることと、必要な休養期間が記載され、会社が手続きを進めるための材料になるものです。
診断書を希望するときは、診察で具体的な状態を伝えると、医師も判断しやすくなります。夜眠れない日が続く、通勤中に涙が出る、集中できずミスが増えたといった事実を、そのまま言葉にしてみると伝わりやすくなります。
費用は医療機関によって差がありますが、3,000円から5,000円程度が目安です。初診で病名が定まらないうちは後日の発行になる場合もあり、急ぐときは発行までの日数を確認しておくと安心です。

会社への報告と就業規則の確認
診断書を受け取ったら、休職の意向を会社に伝えます。まずは直属の上司、話しにくいときは人事や労務の担当へ伝える方法もあります。
伝えるときは、医師の診断として休養が必要になったという事実を中心に、落ち着いて共有すれば十分です。体調の細かな説明まで、無理に整える必要はありません。
あわせて、会社の就業規則で休職に関する規定を確認しておくと、後の見通しが立てやすくなります。休職できる期間、その間の給与の扱い、連絡の頻度、復職時の流れといった項目が、判断の材料になるでしょう。
傷病手当金の仕組みと申請の流れ
休職中に給与が支払われない場合、生活を支える仕組みのひとつが傷病手当金です。健康保険の被保険者が、病気で働けない状態にあるときに受け取れる制度で、対象となるのは次のような場合です。
- 業務外の病気やケガで療養している
- 仕事に就ける状態ではない
- 連続する3日間の待期を経て、4日目以降も休んでいる
- 休んだ期間に給与の支払いがない
支給額はおおむね給与の三分の二程度が目安とされ、支給される期間は通算で最長1年6か月です。申請には傷病手当金支給申請書を使い、本人のほかに事業主と医師が記入する欄があります。金額や条件は加入している健康保険組合によって扱いが異なるため、詳細は加入先に確認してください。
傷病手当金のほかに、労災保険や会社独自の手当が使える場合もあります。利用できる制度は人によって違うため、会社の担当者にあわせて尋ねておくと整理が進みます。
休職中の過ごし方と回復の見通し
休みに入った後の過ごし方に、決まった正解はありません。最初の時期と、少し落ち着いてからとで、必要なことが変わってきます。
最初は何もしないでいい時期がある
休職の初期は、何かを頑張るより、まず止まることが回復の土台になります。これまで張り詰めていた分、急に予定を詰めると、かえって疲れが抜けにくくなるものです。
眠りたいだけ眠る、無理に外出しない、連絡を見られないなら見なくていい。この時期は、生産的に過ごせない自分を責めないことのほうが、回復にとって意味を持ちます。

生活リズムを整えながら徐々に回復へ
少し気力が戻ってきたら、生活リズムをゆるやかに整える時期に入ります。毎日同じ時間に起きる、朝の光を浴びる、短い散歩を取り入れるといった小さな習慣が、体内時計を支えます。
ここでも、できた日とできない日の波があって自然です。波を消そうとするより、できた日を少しずつ増やす感覚のほうが続けやすくなります。
復職のタイミングは医師と一緒に判断する
復職の時期は、自分の焦りだけで決めず、主治医と相談しながら見極めていきます。症状が落ち着き、通勤や業務に耐えられる状態かどうかが、判断の目安になるでしょう。
職場に戻る前の準備として、生活リズムを勤務時間に近づけたり、リワークという復職支援を活用する選択肢もあります。段階的に慣らすことで、戻った直後の負荷をやわらげやすくなります。復職の可否は診断書に意見として記される場合もあり、医師との共有が前提になります。
ひとりで抱え込まないために
ここまで読んでも、迷いがすっきり消えるわけではないかもしれません。それでも、この迷いをひとりで抱える必要はないという点だけは、置いていきたいと思います。
まず話せる相手を見つけること
決断を迫られているように感じても、いますぐ一人で答えを出す必要はありません。信頼できる家族や友人に、迷っていることをそのまま話すだけでも、思考は少し整理されていきます。
専門家・主治医への相談をためらわないサイン

判断に迷う、気持ちが沈んだまま動けない、誰に相談していいか分からない。そんなときは、主治医や産業医、心理の専門家に頼ることをためらわなくて大丈夫です。
公認心理師によるカウンセリングは、答えを指示する場ではなく、絡まった気持ちを一緒にほどいていく時間です。休職するかどうかをまだ決めていない段階でも、その迷いごと話してかまいません。
休職を勧められて揺れているいまの状態は、あなたが真剣に働いてきた何よりの証です。今日のところは、主治医に一度気持ちを話してみる、就業規則をひとつ確認してみる。そのくらいの小さな一歩から始まれば十分です。
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