インナーチャイルドを抱きしめるにはどうする?自分でノートにまとめても癒せず苦しい
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
抱きしめてあげて、と言われても、うまくできない日はあります。
私の面接でも、ノートを前に手が止まる方はめずらしくありません。
それは怠けではなく、心が身構えているサインなんですね。
責めずに、遠くから眺めるくらいから始めても大丈夫ですよ。
30代・女性(会社員)
生きづらさの根っこが幼い頃にある気がして、本の通りに自分を抱きしめたりノートに気持ちを書いたりしてみました。
でも涙も出ないし、むしろ気持ち悪くて手が止まるんです。
こんな簡単なこともできない自分が、また情けなくて。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
抱きしめようとしても涙が出ない、やってみるほど苦しくなる。そういう戸惑いは、あなたのやり方が雑だからではありません。
この記事では、なぜ抱きしめるワークが苦しく感じるのかを整理したうえで、ノートを使った小さな一歩や、うまくできない日の別の選び方まで一緒に見ていきます。
インナーチャイルドを抱きしめられず苦しいのは珍しくない
インナーチャイルドを抱きしめようとして、かえって苦しくなる。まずはその戸惑いが、決して特別なものではないことから確認していきます。ここでは、あなたの現在地をそのまま受け止めるところから始めます。
抱きしめようとして苦しくなる人は多い
本やSNSで、幼い自分を抱きしめてあげましょう、という言葉を見かけた人は多いと思います。
やってみたのに涙も出ない、イメージすら浮かばない。そんな経験をした人は少なくありません。
実際、心理カウンセリングの現場でも、ワークを試したけれど何も感じられなかったと訪れる人は多いと報告されています。
うまくいく人の声が目立つぶん、動けない自分だけが取り残された気持ちになりやすいのです。
抱きしめられないことは、失敗ではありません。 むしろその反応自体が、あなたの心が抱えてきたものを教えてくれています。

できないのは失敗ではなく心の防衛反応
抱きしめようとした瞬間に、体がこわばる。気持ち悪さや、こんなことに意味があるのかという醒めた感覚が湧く。
これは長いあいだ自分の感情にふたをして生き延びてきた人ほど、起こりやすい反応です。
感情を強く抑えてきた心にとって、急に自分をいたわる行為は慣れないものです。
警戒がゆるむと、抑えてきた痛みまで一緒に出てきそうで、心が反射的にブレーキをかけます。
できないことは弱さではなく、これまで自分を守ってきた証でもあります。まずはその前提から始めていきましょう。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
インナーチャイルドとは?傷つきのサインと原因
抱きしめる話に進む前に、インナーチャイルドという言葉が何を指すのかを整理します。定義と、傷ついたときのサイン、原因を順に見ていきます。ここが土台になります。
内なる子どもとアダルトチルドレンの違い
インナーチャイルドとは、内なる子どもと訳される言葉で、子ども時代の記憶や感情を今も抱えている心の一部を指します。
それ自体は誰の中にもあるもので、病気ではありません。
似た言葉にアダルトチルドレンがあります。機能不全の家庭で育ち大人になった人を指す概念で、その傷ついた子ども時代の心がインナーチャイルドにあたる、という関係で語られることが多いです。
問題になるのは存在そのものではなく、傷ついたまま置き去りにされていることです。

傷ついているときに出やすいサイン
傷ついたインナーチャイルドは、日常の反応として顔を出します。
ささいなことで涙が出たり、急に強い怒りが込み上げたりと、自分でも戸惑う揺れとして表れます。
人との関係では、見捨てられる不安から相手の顔色をうかがう、断れない、逆に深く関わることを避けて距離をとる、といった形が出やすいとされます。
こうした反応は欠陥ではなく、もっと安心したいという心のサインとして受け取ってみてください。

原因は親子関係だけとは限らない
原因として親子関係が語られることは多いですが、それがすべてではありません。
泣くなと感情を否定された経験、忙しくて甘えられなかった時間、学校や友人関係でのつらさなど、きっかけはさまざまです。
親も精一杯だった場合が多く、誰かを責めるためにこの整理をするわけではないという点は押さえておきたいところです。原因探しがゴールではなく、今の自分をどう扱うかが主題になります。
インナーチャイルドを自分で抱きしめて癒すステップ
ここからは、自分でできる具体的な進め方を見ていきます。基本のステップと、ノートの書き方、うまくできない日の別ルートまで扱います。順番どおりに全部やる必要はありません。
抱きしめるとは具体的に何をするのか
抱きしめるとは、実際に体を抱える動作だけを指すのではありません。
心の中の幼い自分に意識を向け、その気持ちを否定せずに受け取ることを含みます。
具体的には、胸や腕にそっと手を当てる、目を閉じて幼い自分を思い浮かべ、つらかったねと心の中で声をかける、といった形があります。ぬいぐるみやクッションを抱える方法も、実体のなさを補う手がかりになります。

心理学ではこうした自分への思いやりをセルフコンパッションと呼び、自分を責める癖をゆるめる働きがあると整理されています。大切なのは動作の正しさより、自分に向ける態度のほうです。
自分で癒す4つの基本ステップ
自分で癒す流れは、大きく四つの段階に分けると進めやすくなります。
一度に全部やろうとせず、今日はここまで、と区切って構いません。
- 気づく:今どんな気持ちがあるかに目を向ける
- 感じる:その感情を良し悪しで裁かず、そのまま感じる
- 聴く:幼い自分は本当はどうしたかったのかを問いかける
- 応える:今の自分が、その願いに言葉やしぐさで返す

この順番は、臨床心理士が解説するケアの流れとも重なります。
満たされなかった思いに、今の自分が応え直すという一点が中心にあります。
ノートに書き出すワークの具体的な書き方
頭の中だけで向き合うのが難しいときは、ノートに書き出す方法が助けになります。
書くことで感情が外に出て、少し距離を置いて眺められるようになります。
最小の形は、出来事、そのとき感じたこと、本当はどうしたかったか、の三つを短く書くだけです。うまく文章にする必要はなく、単語の羅列でも十分です。
最後に、幼い自分へひとことメッセージを添えると、応える段階までつながります。今日はノートに一行だけ、でも立派な一歩になります。

うまくできない日の代替ステップ
抱きしめようとしても涙が出ない、気持ち悪くて手が止まる。そんな日は、無理に踏み込まないほうが安全です。
できない自分を責める前に、別の入り口を用意しておきましょう。
遠くから幼い自分を眺めるだけにする、温かい飲み物を飲む、手のひらを胸に当てて呼吸を数えるなど、体を落ち着ける行為から始めても構いません。ざわつく感覚が強い日は、そこで一度やめる判断も回復の一部です。

交流分析では、心の中に親のような声が働くと考えます。そんなことに意味はないと責め立てる内なる声が先に立つときは、その声に気づくだけでも前進です。
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インナーチャイルドを癒すとどうなる?変化と期間の目安
癒すと何が変わるのか、気になる人は多いはずです。過度な期待は置きつつ、現実的な変化と、かかる時間の感覚を見ていきます。ここを知っておくと、途中で落ち込みにくくなります。
感情や人間関係に起こる現実的な変化
インナーチャイルドの傷つきが和らぐと、まず感情の扱いが少し楽になります。
わけもなく涙が出る、急に落ち込むといった揺れが、以前より受け止めやすくなっていきます。
人間関係では、見捨てられ不安がゆるみ、相手に合わせすぎずに済む場面が増えるとされます。自分を認められる感覚が育つと、誰かに頼ることへの抵抗も少しずつ和らぎます。
ただし、人生が一変する、直感が冴えるといった劇的な約束は現実的ではありません。地味でも確かな変化を目安にするほうが、落胆せずに続けられます。

癒しにかかる期間の目安と揺り戻し
インナーチャイルドのケアは、短期間で終わるものではありません。
臨床の現場では、少なくとも二〜三年はかかると説明されることもあります。
進めるなかで、一度落ち着いたのにまた苦しくなる揺り戻しが起こることもあります。これは失敗ではなく、回復の途中で自然に起きる波です。
うまくいっている感覚がつかみにくいのが、このケアの特徴だと知っておくと、途中でやめずにすみます。

一人で抱え込まないための注意点と相談の目安
最後に、安全に続けるための注意点と、専門家に頼る目安を整理します。一人で進めることと、誰かと進めることの線引きを見ていきましょう。無理をしない基準を持っておくと安心です。
無理に記憶を掘り返さないための注意点
つらい記憶を一気に思い出そうとするのは、避けたほうが安全です。
掘り返すほど早く癒えるわけではなく、かえって心が不安定になることがあります。
感情の揺れが強い日は、ワークをお休みして構いません。
今日はやらない、という選択も、自分を守る大切なケアです。
安全を確保してから少しずつ進めることが、遠回りに見えて実は続けやすい進め方になります。
専門家に相談したほうがよいサイン
セルフケアで抱えきれない状態のときは、専門家の力を借りる目安があります。
次のような状態が続くときは、一人で進めることにこだわらないでください。
- ワークのたびに強い動悸やフラッシュバックが起こる
- 自己否定が以前より悪化している
- 眠れない、食欲がないなど生活に支障が出ている
こうした状態が二週間以上続く、あるいは明確なつらい体験の記憶がある場合は、公認心理師や臨床心理士など専門家への相談を検討する目安になります。

カウンセリングでは何ができるのか
カウンセリングでは、つらい記憶に触れる作業を、守られた場でカウンセラーと一緒に進められます。
一人では掘り返すのが怖い部分に、伴走者がいる状態で近づけるのが違いです。
抱きしめるワークが苦しかった人ほど、安全な関係の中で進めることで、少しずつ感情を感じ直せる場合があります。無理にすすめるものではありませんが、一人で抱え込む以外の選択肢があることは、心のどこかに置いておいてよいと思います。

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