認知症の義母がストレス…嫌いになりそうなのは普通?

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30代女性(会社員・パート勤務)

義母と同居して3年になります。2年前に認知症と診断されてから、同じことを何度も聞いてくる、財布がないと騒ぐ、近所に私の悪口を言って回るといったことが続いています。
夫は仕事が忙しく、「俺の母親だからうまくやってくれ」と言うだけで、具体的には何もしてくれません。

デイサービスを週2回利用していますが、帰ってくるたびに気持ちが重くなります。
最近、義母の顔を見るのが嫌になってきていて、こんな気持ちを抱えている自分が怖くて、どこにも言えずにいます。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
毎日の介護の中で、義母に対して嫌だという気持ちが芽生えてきたこと、そしてそんな自分に戸惑っている様子が伝わってきました。
誰かに言えずに一人で抱えてきた時間が、どれほど重かっただろうかと思います。

この記事では、認知症の介護でストレスが積み重なりやすい理由と、嫌いという気持ちが出てきたときの自分の受け止め方について整理していきます。

認知症の義母にストレスを感じやすい理由

認知症の義母の介護がつらいのは、気持ちの弱さではありません。ストレスが積み重なりやすい構造的な理由があります。
まずその背景を整理しておきたいと思います。

嫁だけが負担を抱えやすい

同居している場合、義母の日常的な世話は、気づけば嫁一人に集中しやすい状況があります。
夫は仕事を理由に関わりが薄くなり、義理の兄弟姉妹は離れて暮らしていて「たまに来るだけ」ということも珍しくありません。

しかし、法律上は嫁に義母を介護する義務はありません。介護の義務を負うのは配偶者や直系血族であり、嫁はその範囲に含まれていないのです。

それでも実際には、同居という環境と「嫁として当然」という周囲の空気の中で、気がつくと一人で背負っている状況が生まれやすくなっています。

夫に相談しても「うまくやってくれ」と返ってくるだけで、具体的に動いてもらえない。
そのもどかしさや孤立感が、認知症の義母へのストレスをさらに増幅させていきます。

同じ質問や被害妄想で対応が終わらない

認知症の症状として、同じことを何度も繰り返し聞いてくることがあります。

数分前に答えたことをまた聞かれ、また答え、またすぐ聞かれる。その繰り返しが一日中続くと、精神的な消耗は想像以上に大きくなります。

また、財布や通帳が見当たらないと騒ぐ物盗られ妄想、近所や家族への被害妄想も、認知症でよく見られる症状のひとつです。
「あの嫁が盗った」「意地悪をされた」という話が外に広まることへの困惑や、事実と異なることを否定するたびに逆上されるつらさは、当事者でなければわかりにくいものです。

頭ではわかっていても、毎日繰り返される中で気持ちが摩耗していくのは、ごく自然なことです。

終わりが見えず心の余裕がなくなる

介護のストレスが深刻になりやすい理由のひとつに、終わりが見えないという感覚があります。
風邪であれば治る見通しがある。でも認知症の介護は、症状が進行する可能性が高く、いつまで続くかがわからない。

仕事や育児と並行して介護を担っている場合、自分のための時間はほぼなくなります。
疲れていても休めない、愚痴を言える相手もいない、という状況が長く続くと、心の余裕は少しずつ削れていきます。
そうした積み重ねの中で、義母の顔を見るだけで気持ちが重くなったり、「嫌い」という感情が浮かんできたりすることがあります。

認知症の義母が嫌いと感じる自分の受け止め方

嫌いという気持ちが出てきたとき、多くの人は自己嫌悪に陥ります。しかし、その感情は責めるべきものではありません。

ここでは、嫌いと感じる自分をどう受け止めるかについて整理します。

介護の疲れで義母を嫌いだと思うのは普通

認知症の義母の介護を続ける中で、嫌いという気持ちが出てくることは普通です。
それだけ長い時間、重い負担を引き受けてきた証拠でもあります。

人は誰でも、余裕がなくなれば感情のコントロールが難しくなります。
声を荒げてしまったあとに自己嫌悪を感じる、という経験をされている方も多いですが、それ自体が「まだ自分を省みられている」ということでもあります。
嫌いと思ってしまうのは、性格の問題ではなく、積み重なった疲労のあらわれです。

認知症の症状と義母との関係は分けて考える

介護のストレスを整理するうえで、少し視点を分けてみることが助けになることがあります。
ひとつは認知症の症状から来るつらさで、もうひとつは義母という人間関係そのもののつらさです。

同じ質問を繰り返す、物盗られ妄想が出る、悪口を言いふらすといった言動は、認知症の症状として起きていることです。
義母が意図的にやっているわけではなく、脳の病気によって引き起こされている部分が大きい。

一方で、以前からの嫁姑関係のしんどさ、夫が関わらないことへの怒り、孤立感、将来への不安は、認知症の症状とは別の問題として存在しています。

この二つを混ぜたまま考え続けると、どちらも解決の糸口が見えにくくなります。
症状への対応と、関係性のしんどさへのケアは、それぞれ別のものとして扱っていいと思います。

距離を取りたい気持ちは限界のサイン

義母の顔を見たくない、関わりたくないという気持ちが出てきたとき、それを冷たいと感じる方は多いです。
しかし、距離を取りたいという感覚は、自分の限界が近づいているサインとして受け取ることができます。

距離を取ることは、義母を見捨てることではありません。消耗した状態のまま介護を続けることの方が、義母にとっても自分にとっても、長期的には負担が大きくなります。

今の関わり方を調整することは、介護を続けるための、現実的な選択です。

認知症の義母へのストレスを減らす5つの方法

気持ちが限界に近づいているときほど、何から手をつければいいかわからなくなります。

ここでは、今の状況を少し変えるための具体的な方向性を整理します。すべてを一度にやろうとする必要はありません。

認知症の義母へのストレスを減らす5つの方法

1. 一人で抱え込まないよう役割を見直す

まず確認しておきたいのは、今の介護の役割分担が適切かどうかという点です。

義母の介護は、本来夫や義理の兄弟姉妹など血縁者が主体になるべきものです。
嫁である自分がすべて担わなければいけないという状況であれば、そのこと自体を見直す必要があります。

「自分がやらなければ」という思い込みが強い場合、まずその前提を一度ゆるめてみることが、状況を変えるきっかけになります。

2. 夫や家族に現状を具体的に伝える

夫に状況を伝えても動いてもらえない、という経験をされている方は多いです。
ただ、気持ちのつらさを伝えるだけでは、深刻さが伝わりにくいこともあります。

義母の一日の言動を短くメモしておき、具体的な事実として伝える方が、状況を共有しやすくなります。

夫自身に動いてもらうことが難しい場合でも、義兄弟に相談する、ケアマネジャーに連絡を入れるといった役割を分けることを一緒に考えられるとよいと思います。

3. ケアマネジャーに相談して介護サービスを増やす

介護サービスの利用状況は、ケアマネジャーに相談することで見直すことができます。
デイサービスの回数を増やしたい、ショートステイを試したいといった希望を伝えると、現在の介護認定の範囲で調整してもらえることがあります。

ケアマネジャーは介護の専門家として、義母の状態と家族の状況の両方を見ながら、使えるサービスを一緒に考えてくれる存在です。
遠慮せず、今感じているしんどさをそのまま伝えてみてください。

4. デイサービス・ショートステイで距離をつくる

デイサービス日中の数時間を介護から離れる時間にできるサービス
ショートステイ数日から数週間、施設に宿泊してもらうことができるサービスで、介護者が継続的に休息をとる目的でも活用されている

施設に泊まってもらうことへの罪悪感を感じる方もいますが、ショートステイは介護を長く続けるための調整手段であり、義母を遠ざけるためのものではありません。
義母自身にとっても、プロのスタッフと過ごす時間や外の環境への刺激は、悪いことではありません。

将来的に施設入所を考えている場合も、ショートステイを通じて施設の環境に慣れてもらうという使い方もあります。

5. ぶつからない関わり方を決めておく

認知症の方への対応として、訂正や否定を繰り返すことは、お互いにとって消耗しやすいと言われています。

同じ質問に毎回真剣に答えようとするのではなく、短く受け流す、話題を変えるといった対応のパターンをあらかじめ決めておくと、関わるたびに消耗する感覚が少し和らぐことがあります。

義母の言動を変えようとするのではなく、自分の対応の型を変えるという発想の転換が、ストレスを減らすきっかけになることがあります。

認知症の義母の介護がつらいときは一人で抱えなくていい

ここまで読んで、自分はもうかなり限界かもしれないと感じた方もいるかもしれません。

以下のような状態が続いている場合は、介護の体制を見直すだけでなく、自分自身へのケアも視野に入れてほしいと思います。

  • 眠れない日が続いている、または夜中に何度も目が覚める
  • 理由もなく涙が止まらなくなることがある
  • 義母に怒鳴ってしまい、そのあと激しく落ち込む
  • 仕事や家事など、日常生活に支障が出てきている
  • 食欲がない、体がだるい状態が長く続いている

こうした状態は、介護のストレスが心身に影響を与えているサインです。
頑張り続けてきた結果としてあらわれているものであり、弱さではありません。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、介護に関するあらゆる相談を受け付けている公的な窓口です。

どこに相談すればいいかわからない、という状況でも、まず電話一本で話を聞いてもらえます。
介護認定の申請手続きの案内から、サービス調整、家族関係の相談まで幅広く対応しています。

市区町村ごとに設置されており、インターネットで地域名と合わせて検索すると連絡先を調べることができます。

ケアマネジャーに状況を伝える

すでにケアマネジャーがついている場合は、義母の状態だけでなく、介護者である自分のしんどさもそのまま伝えてみてください。

ケアマネジャーは、介護する側の負担を軽減するためのサービス調整も担っています。
「もう限界かもしれない」という言葉を、遠慮なく伝えていい場所です。

医療機関やカウンセリングで相談する

眠れない、気力がわかない、涙が止まらないといった状態が続いている場合は、心療内科やかかりつけ医に相談することも選択肢のひとつです。
介護の疲れから抑うつ状態になることは珍しくなく、適切なサポートを受けることで状態が改善するケースも多くあります。

カウンセリングは、問題を解決するためだけでなく、今感じていることをそのまま話せる場所としても機能します。

誰かに話すこと自体が、気持ちの整理につながることがあります。

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この記事の監修者

石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。
1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。
また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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