双極性障害(躁鬱)の妻が離婚したがる…離婚したくないときの対応は?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

相手を理解したい気持ちと、自分や子どもの安全を守らなければならない現実のあいだで揺れ続け、ひとりで抱え込んでしまう方は少なくありません。

双極性障害では、躁状態の影響で衝動性や攻撃性が高まることがありますが、病気への理解と、暴言や暴力を受け続けることは別の問題として考える必要があります。
そのため、離婚したくないという思いがある場合でも、まずは家族の安全を最優先にしながら、病状の影響と日常の対応を切り分けて整理していくことが大切です。

この記事では、双極性障害の妻への対応を考えるうえで何を優先すべきか、離婚を口にされたときにどう受け止めるか、そして夫であるあなた自身がひとりで抱え込まないための支えについてまとめています。ぜひ読んでみてください。

アバター画像

30代男性(会社員・公務員)

双極性障害の妻と子ども1人の3人家族です。
月に数回、妻から暴言や暴力を受けています。

先日も外出先で些細なことから妻が激昂し、通行人に向かって暴力を振るわれたと叫び始めました。
私を気持ち悪い、嘘つきと罵り、子どもにもママに意地悪する悪い人だと言い聞かせます。
子どもが泣きながら3人で帰りたいと訴えても収まらず、往来で離婚すると騒ぎ出しました。
頓服薬を提案すると、おかしい人扱いするなとさらに怒りが強まりました。

以前にも同じようなことがあり、理解者ぶった物言いをしないこと、薬を飲んでとは言わないことを約束させられています。
守っていても妻のさじ加減で破ったことにされ、離婚だと騒がれます。

病気のせいでこうなっていると私は思っていますし、子どものためにも離婚はしたくありません。
どう対応すればいいか、アドバイスをいただけると幸いです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
外出先でお子さんが泣いてしまうほどの状況のなか、それでも関係を続けたいと思いながら対応を探しておられるのですね。

この記事では、暴言や暴力があるときにまず何を優先すべきか、そして妻が離婚を口にしたときにどう受け止めればいいのかを整理していきます。

お悩み相談アプリ「Gift」

Gift
  • 匿名だから本音で話せる
  • チャット相談もできるから、うまく話せなくても安心
  • 1,000人以上の専門家の中からぴったりの相談相手が見つかる

今なら無料体験ポイントで気軽に始められます!

双極性障害(躁鬱)の妻と離婚したくないときは?

妻の暴言や暴力に耐えながら、それでも離婚したくないと思う気持ちには、家族への愛情や責任感が詰まっています。
ただ、その気持ちを大切にするためにも、まず確認しておきたいことがあります。

暴言や暴力があるときは安全を優先する

双極性障害の躁状態では、攻撃性が高まり、本人にも制御できない言動が出ることがあります。
怒鳴る、物を投げる、手を上げるといった行為が繰り返されている場合、それは病気の症状であると同時に、家庭内での暴力にもあたります。

病気だから仕方がないと受け止め続けていると、夫自身の心身が限界を迎えるだけでなく、子どもにも深刻な影響が及びます。
内閣府の調査でも、子ども時代に家庭内の暴力を目撃した経験は、成長後のメンタルヘルスに長期的な影響を残すことが指摘されています。

暴言や暴力がエスカレートしたときは、その場を離れることが最優先です。
離婚したくないという思いがあっても、安全の確保と関係の維持は別の話として切り分けて考えてください。

病気の理解と我慢は分けて考える

双極性障害について学ぶことは、妻を支えるうえでとても大切です。
躁状態のときに起きる言動は本人の性格ではなく、脳の機能的な変調によるものだと理解しておくことで、必要以上に傷つかずに済む場面もあります。

ただし、理解することと、すべてを我慢することは違います。
自分が壊れるまで耐え続けることは、結果的に家族全体の生活を支えられなくなるリスクにつながります。

ここが持ちこたえられる状態なのか、すでに限界を超えているのか。
その見極めを、自分だけで行わなくてよいということも覚えておいてほしいポイントです。

双極性障害の妻への対応3選

躁鬱の波がある妻への日常的な接し方は、正解が見えにくく消耗しやすい領域です。
いくつかの対応の工夫を知っておくだけでも、衝突を少し和らげられる場合があります。

1. 正しさを説明し続けない

躁状態のときは、思考のスピードが上がり、自分の感覚への確信が非常に強くなります。
そのため、こちらがどれだけ筋道を立てて説明しても、相手には受け入れる余地がほとんどありません。

正しさの証明は、躁状態の妻にとっては自分を否定されたと感じる刺激になります。
道が合っていることを地図で示しただけで激昂される、といった場面はその典型です。

その瞬間は事実の確認よりも、刺激を減らすことを最優先したほうが事態の悪化を防ぎやすくなります。

2. 薬や受診の伝え方に気をつける

躁状態にある人は、自分が病気だという認識(病識)を持ちにくいことが知られています。
そのため、頓服を飲んでほしいという提案が、おかしいと決めつけられたという受け取り方になりやすいのです。

服薬の提案は、本人の調子が比較的安定しているときに、あらかじめ二人でルールを決めておくのがひとつの方法です。
大塚製薬のすまいるナビゲーターでも、躁状態で受診を拒否する場合は精神面よりも身体の不調を理由にすすめるといった工夫が紹介されています。

3. 子どもを夫婦の対立に巻き込まない

相談者さんのように躁状態の妻が子どもの前で夫を悪者にする言動をとることがあります。

子どもはその場で何が正しいかを判断できず、どちらの味方をすればいいか分からないまま強い不安を抱えます。
幼い子どもほど、親の不和を自分のせいだと感じやすく、その影響は表面には見えにくい形で蓄積していきます。

子どもが泣いたり怯えたりしている場面では、夫婦の言い分をぶつけ合うことよりも、まず子どもの安心を確保することが大切です。
その場を物理的に離れることも、子どもを守るための判断のひとつになります。

双極性障害の妻が離婚したがるときは?

躁鬱の妻が離婚を口にするとき、それが本心なのか病状の影響なのか、判断がつかない苦しさがあります。
ここでは、その言葉をどう受け止め、どう対応するかを整理します。

その場ですぐに結論を出さない

躁状態では衝動性が高まり、極端な決断をしやすくなります。
離婚届を書けと迫られたとしても、その場で応じる必要はありません。

離婚は法的にも生活面でも大きな影響を持つ手続きです。
感情が激しく動いている最中に結論を出すことは、双方にとってリスクが大きいと考えてください。
応じなかったからといって関係が終わるわけではなく、結論を保留すること自体がひとつの対応です。

病状の影響と本心を急いで決めつけない

妻の離婚発言について、すべてを病気のせいだと片づけることも、すべてを本心だと受け取ることも、どちらも実態とはずれてしまう可能性があります。
躁状態の当事者が、寛解後に離婚を後悔していたという声は少なくありません。
一方で、病状が落ち着いた状態でも離婚を望む場合ももちろんあります。

大切なのは、今の時点で白黒つけようとしないことです。
病状が安定した時期に改めて話し合う機会を持てるかどうかが、後悔の少ない選択につながります。

落ち着いた状態で第三者を交えて話す

夫婦二人だけで冷静に話し合うことが難しい場合は、第三者の同席が有効です。
主治医やカウンセラー、あるいは家庭裁判所の調停なども選択肢に入ります。

第三者が入ることで、妻も夫も感情だけで押し切られにくくなります。
特に、離婚という重大なテーマは、感情の波が穏やかなタイミングを選び、落ち着ける環境のなかで話し合うことが重要です。

妻の双極性障害をひとりで抱え込まないために

双極性障害の家族を支え続けることは、想像以上に心身を消耗します。
自分が相談先につながることは、家族を見捨てることとはまったく別のことです。

主治医や医療機関に家族として相談する

妻の主治医には、家族の立場から状況を伝えることができます。
本人の同意がなくても、家族が困っている状況を医療者に相談すること自体は可能です。

家庭内でどのような言動が起きているかを主治医が把握することは、治療方針を見直すうえで重要な情報になります。
精神科によっては家族相談の窓口を設けているところもあるため、通院先に確認してみてください。

DV相談や自治体の窓口につながる

暴言や暴力が繰り返されている場合、配偶者暴力相談支援センターや警察の相談窓口に連絡することができます。
男性がDV被害の相談をすることに抵抗を感じるかもしれませんが、性別を問わず対応してもらえます。

内閣府のDV相談プラスは、電話・メール・チャットで24時間相談が可能です。
相談したからといって、すぐに何かの手続きが始まるわけではありません。状況を整理するためだけに利用しても構いません。

夫自身がカウンセリングを受けるという選択肢

妻の治療を支えることに意識が向きがちですが、支えている夫自身も大きな負荷を抱えています。
罪悪感や孤立感、怒りと愛情が入り混じる感情を一人で処理し続けることには限界があります。

カウンセリングは、気持ちを整理し、自分の状態を客観的に見つめ直す場として活用できます。

夫婦関係をどうしたいのか、自分にとっての限界はどこかといった問いに、専門家と一緒に向き合えることは、判断を急がないための支えにもなります。

法律相談で離婚以外の選択肢も確認する

離婚したくないという場合でも、法律の専門家に相談しておくことには意味があります。
婚姻費用の分担や、万一のときの親権・面会交流の見通しを事前に知っておくことで、不安の正体が具体的になります。

弁護士への相談は、離婚を進めるためだけのものではありません。離婚しない選択を支えるための情報収集としても活用できます。

別居を安全のための距離として考える

別居と聞くと、離婚の前段階だと感じる方は多いかもしれません。
しかし、暴言や暴力が続いている環境にとどまり続けることで、夫も子どもも心身の回復が難しくなる場合があります。

物理的な距離を置くことは、関係を終わらせる行為ではなく、安全を確保しながら今後を考えるための手段です。
別居中であっても婚姻関係は継続しており、婚姻費用の分担を求めることもできます。
妻の治療が進んだ段階で、同居を再開するという選択肢も残ります。

双極性障害の妻との離婚で後悔しないための4つの判断軸

離婚するかしないかに正解はありません。ただ、あとから振り返ったときに後悔を少なくするために、立ち返れる視点をいくつか持っておくことは助けになります。

1. 治療につながっているか

双極性障害は、気分安定薬を中心とした薬物療法により症状をコントロールできる可能性のある疾患です。
定期的な通院と服薬が続いているかどうかは、今後の見通しを考えるうえで大きな分かれ目になります。

本人が治療を拒否し続けている場合と、治療を受けながらも波がある場合とでは、支え方も見通しも異なります。

2. 暴言や暴力が続いていないか

病気の影響であっても、暴言や暴力が日常的に繰り返されている場合、家庭は安全な場所ではなくなっています。
治療によって暴力が減る見込みがあるか、現時点で改善の兆しがあるかどうかを確認する視点は欠かせません。

暴力が深刻化している場合は、離婚の判断以前に、安全の確保を最優先にしてください。

3. 子どもと夫の心身を守れているか

子どもが日常的に親の衝突を目の当たりにしている環境は、子どもの発達にとって大きなリスクです。
また、夫自身が眠れない、食欲がない、気力が湧かないといった状態が続いていれば、共倒れの入り口に立っている可能性があります。

家族を守りたいという気持ちと、実際に守れている状態かどうかは、分けて考える必要があります。

4. 離婚以外の選択肢も確認できているか

別居、家族としての医療相談、DV相談、法律相談など、離婚以外にもとれる手段があります。
それらを一通り確認したうえで出す結論と、追い詰められた状態で出す結論では、後悔の度合いが大きく変わります。

離婚しないと決めることも、離婚を選ぶことも、どちらも間違いではありません。
大切なのは、十分な情報と支えのなかで、自分自身が納得できる判断をすることです。

ここまで読んでくださったということは、すでに一人で多くのことを抱えてこられたのだと思います。
すべてを今すぐ決める必要はありません。
まずはひとつでも、外の相談先に声を届けるところから始めてみてください。

アバター画像

監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

この記事をシェアする

お悩み相談アプリ「Gift」

Gift
  • 匿名だから本音で話せる
  • チャット相談もできるから、うまく話せなくても安心
  • 1,000人以上の専門家の中からぴったりの相談相手が見つかる

今なら無料体験ポイントで気軽に始められます!

公認心理師が
あなたの一歩を支えます

相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。

公認心理師がサイト上で回答します

公認心理師にオンラインで相談

カウンセリングの詳細