強迫性障害は仕事が原因なのかな?不安で確認が止まらない…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
強迫性障害は、職場での強いストレスや変化が、不安や確認行為を強めるきっかけになることもあります。
そのため、今どんな場面で不安が強まり、どこまで生活に影響が広がっているのかを丁寧に見ていくことが大切になります。
この記事では、いまの状態を見つめ直していくかについてまとめています。是非読んでみてください。
30代男性(会社員・公務員)
仕事中、送信前のメールを何度も読み返してしまい、ささいなミスを過剰に気にする自分が止められません。
午後にはまた同じ書類を確認しに戻ってしまい、進まない作業に焦りばかりが募ります。
最近は休日も仕事のことが頭から離れず、戸締まりやガスの元栓の確認も増えてきました。
もしかして強迫性障害なのか、それとも仕事のストレスが原因なのか、自分でも分かりません。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
確認が止まらない自分に気づきながらも、原因が仕事なのか自分の性質なのか分からず、誰にも言えずにいる状態は、それだけで心が消耗していきます。
この記事では、仕事と強迫性障害の関係を整理する視点と、今の状態をどう見つめ直すかを、一緒に考えていきましょう。
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仕事だけが原因とは言い切れないが、症状が強まるきっかけではある
強迫性障害の発症や悪化には、複数の要因が重なります。
そのため、仕事だけを原因と切り取るのは難しい部分があります。
ただし、職場での経験が症状を強める引き金になる場面は多く存在します。
ここでは仕事と症状の関係を、原因と断定せずに整理していきます。

強いストレスや環境の変化で不安が高まりやすくなる
異動、昇進、上司の交代、業務量の増加など、仕事には変化が日常的に起こります。
こうした変化が続くと、不安や衝動を抑える働きを担うセロトニンのバランスが乱れやすくなります。
この点は複数の医療機関で説明されています。
不安が高まると、確認しないと落ち着かない感覚が強まり、戸締まりや書類のチェックが繰り返しになっていきます。
仕事中の出来事が帰宅後の確認行為に持ち越されることもあり、本人の中では仕事のせいだと感じやすくなります。
ただ、ストレスや環境変化は引き金になりやすいだけで、それだけで強迫性障害が始まるわけではありません。
もともとの性格傾向や過去の経験が積み重なって、いまの状態に近づいているという見方が現実に近いと言えます。
責任感や完璧にしたい気持ちが確認行為を強める

強迫性障害になりやすい性格傾向として、責任感の強さや完璧主義、几帳面さが繰り返し挙げられています。
仕事にまじめに取り組み、迷惑をかけたくないと強く思う人ほど、ミスを未然に防ぐための確認が増えやすい傾向があります。
確認自体は本来、仕事に必要な行動です。
ところが不安が強い状態だと、一度の確認では安心が得られず、もう一度、もう一度と回数が積み上がっていきます。
頭では確認しすぎだと分かっていても、確認しないままにしておく不安のほうが大きくなり、結果として手が止まらなくなります。
責任感そのものを否定する必要はありません。
その責任感が自分を追い込む方向に働き始めているかどうかが、ひとつの見極めの軸になります。
仕事での失敗や叱責が怖さとして残る

過去にミスをして強く叱責された経験や、顧客に謝罪に行った経験は、本人の中で長く残ります。
失敗の記憶は同じ場面に近づいたときによみがえりやすく、確認しなければまた失敗するという恐怖感に変わっていきます。
恐怖感は理性で抑え込めるものではなく、頭で大丈夫だと分かっていても身体の側が動こうとしません。
このとき確認行為は不安を一時的に下げる役割を持ちますが、効果は短く、すぐに強迫観念が立ち上がって悪循環に入っていきます。
仕事中に確認や不安が止まらないときに起こりやすいこと
ここからは、仕事中に実際にどんな困りごとが起こるのかを場面ごとに整理します。
自分の状態を客観的に見るための材料として読んでみてください。

メールや書類を何度も確認してしまう
送信ボタンを押す前に宛先と添付ファイル、本文の言い回しを何度も読み返す。
押した直後にもう一度送信済みフォルダで確認しに戻る。
この行動が日常的に増えてくると、強迫観念と強迫行為のサイクルに入り始めている可能性があります。
強迫観念とは、自分の意思に反して繰り返し浮かぶ考えやイメージのことです。
強迫行為は、その不安を打ち消すために行う行動を指します。
両者は連動していて、不安が強いほど確認の回数も増えていきます。
短時間で終わるはずの作業に30分や1時間かかる状態が続いている場合、確認の量と本来必要な量がずれてきているサインです。
ミスが怖くて作業が進まない
新しい仕事に取りかかろうとしても、最初の一歩で手が止まる。
ミスをしたらどうしようという考えが先に立ち、書き始めることができない。
この感覚は、加害恐怖や責任感の強さと結びついて、強迫性障害の中でもよく見られる困りごとのひとつです。
たとえば提出前の書類を10回以上読み直しても不安が残るというケースが、医療機関でも紹介されています。
集中力の話ではなく、不安に脳が支配されている状態に近いものです。
進まない自分を責めるほど不安は増し、確認はさらに長引いていきます。

急な変更や曖昧な指示で頭がいっぱいになる
決まった手順やスケジュールが急に変更されたり、曖昧な指示を受けたりすると、対応の道筋が立てられず混乱しやすくなります。
強迫性障害の傾向がある場合、不確実な状態に耐える力が一時的に弱くなります。
何が正解か分からないまま不安だけが膨らんでいきます。

頭の中では、確認すべきことを忘れていないかという考えがぐるぐる回り、目の前の作業に意識を向けにくくなります。
結果として手が動かず、納期に追われる感覚と自責が重なって、さらに苦しくなっていきます。
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仕事が遅い人だと誤解されて自分を責めてしまう
確認の多さは、周囲からは慎重で丁寧と見えることもあれば、仕事が遅い、融通がきかないと受け取られることもあります。
誤解されたときに、自分の働き方が悪いのだと受け止めてしまうと、自己否定が積み重なっていきます。
本人は誰よりもミスを避けたいと思って動いているのに、その努力は見えにくい。
このギャップが孤立感につながり、誰にも相談できなくなる状態を生みます。
仕事の遅さは性格の話に見えても、実際は不安の処理に時間を取られているだけというケースが多く見られます。
仕事の不安が強迫性障害と関係していそうか整理する
仕事のストレスからくる一時的な不安と、強迫性障害の症状は、見た目が似ていても性質が異なります。
ここでは自分の状態がどちらに近いかを見つめ直す観点を、次の3つの方向から取り上げます。
- 確認しないと不安が続くか
- 仕事以外の場面にも広がっているか
- 睡眠や生活に影響が出ているか

確認しないと強い不安が続く
通常の確認は、一度行えば安心が得られて次の行動に移れます。
強迫性障害に近い状態では、確認した直後に安心しても、すぐにもう一度確認しないと不安だという気持ちが立ち上がります。
頭では確認しすぎていると分かっていても、不安のほうが大きく、行動を止められない。
この不合理さに気づいているのに止められない感覚が、強迫観念と強迫行為の特徴です。
たとえば鍵をかけたあと10メートル歩いて戻り、もう一度確認しないと家を離れられないといった行動が当てはまります。
こうした状態が続いているなら、専門的な視点で整理してもらう価値がとてもあります。
仕事以外の場面にも確認や不安が広がっている
仕事中だけ不安が強いのか、家でも同じことが起こっているのかは、ひとつの目安になります。
戸締まり、ガス栓、手洗い、家電のスイッチなど、職場と関係のない場面でも確認が増えてきている場合があります。
そのときは、不安が職場のストレスだけに紐づいているわけではない可能性が出てきます。
仕事はきっかけだったかもしれないけれど、不安の処理パターンそのものが影響を受けている、という見方ができます。
この場合、職場環境を変えるだけでは収まらないことも多く、心理面のケアを並行して考える必要が出てきます。

睡眠や生活にも影響が出ている
夜になっても仕事のことが頭から離れず、眠れない。
朝起きた瞬間から確認が始まる。
食事や入浴の時間が後ろにずれていく。
こうした生活リズムの乱れは、症状が一時的な疲れの範囲を超え始めているサインです。
厚生労働省の推計では、強迫性障害は決して珍しい状態ではなく、人口の1〜2%程度が経験するとされています。
日常生活への支障の大きさから、世界保健機関も生活の質に影響する代表的な疾患のひとつに挙げています。
不安や確認が仕事に支障を出しているときにできること
ここからは、症状が仕事に影響を出している段階で考えられる選択肢を整理します。
すべて同時にやる必要はなく、いま自分にできそうなものから選ぶ形で問題ありません。

受診やカウンセリングで状態を整理する
自分の状態を一人で見極めようとすると、不安と自己否定で視野が狭くなりやすくなります。
精神科や心療内科、または公認心理師が対応するカウンセリングで話してみると、自分の状態を第三者の視点で整理してもらえます。
症状か性格か、仕事のストレスか別の要因か、輪郭がつかみやすくなります。
受診=治療開始ではなく、まずは状態を見てもらうための相談として使う形でも構いません。
診断は本人を縛るためではなく、合う対処を選ぶための道具として扱うものです。
地域の精神保健福祉センターや、職場の産業医、産業保健総合支援センターも相談先になります。

認知行動療法や薬の治療について相談する
強迫性障害には、認知行動療法と薬物療法の組み合わせが効果的とされています。
認知行動療法のなかには曝露反応妨害法と呼ばれる方法があります。
不安を感じる場面にあえて触れたうえで、確認行為を行わずに過ごす練習を段階的に進めていきます。
薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれる種類の抗うつ薬が第一選択として使われます。
脳内のセロトニンの働きを助け、不安を抑える方向に作用します。
効果が出るまでに数週間かかること、自己判断で中断しないことが共通して伝えられています。
治療は症状を消す作業ではなく、不安の処理経路を整え直す作業に近いものです。

確認ルールや作業手順を見える形にする
職場でできる工夫として、確認すべき項目をチェックリストにまとめ、一度確認したらそこで止めると決める方法があります。
頭の中で確認している限り、何度でも繰り返せてしまいます。
紙やデータ上で印をつける形にすると、確認した事実が外側に残ります。
業務によっては、上司や同僚に状況を共有し、確認の最終承認を分担してもらう方法もあります。
ただし、周囲に大丈夫かと聞き続ける形で安心を求めると、相手を巻き込んだまま不安が固定化しやすくなります。
この調整は医師や心理職と相談しながら進めるのが安全です。
合理的配慮の枠組みで、業務調整や席の配置、面談の頻度などを職場と話し合う選択肢もあります。

自分を守るために、責めるより今の負担を考える
仕事ができていない自分を責めても、不安は減りません。
むしろ自責が強迫観念を強める方向に働くため、いま向き合うべきは責めることではなく、負担をひとつでも小さくすることです。
抱えている業務のうち、今日だけは確認を一度で止めてみる。
今週だけは残業を減らしてみる。
小さな調整で少し呼吸が戻る感覚があれば、それは身体が正しい方向を示しているサインです。
自分の状態をどう扱っていくかは、本人にしか決められません。
ただ、決める前に話す相手を増やす余地はいつでも残されています。
一人で抱え込まずに、心理カウンセリングを含めた選択肢を、自分のペースで眺めてもらえたらと思います。