刺激を求める心理って普通なのかな?毎日がつまらなくて不安…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

刺激を求める気持ちそのものは、決しておかしなものではありません。

ただ、その裏側に退屈や孤独、感情の麻痺が隠れていることもあります。

大切なのは、刺激を消そうとするより、求めたあとに何が残るかを見てあげることです。

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20代女性(会社員)

社会人になって数年が経ち、仕事にも慣れてきました。
ただ最近、平日は会社と家の往復ばかりで、休日もスマホを見て終わることが増えました。

安定した生活はありがたいはずなのに、心のどこかで強い刺激を探している自分がいます。

恵まれているのに満たされないなんて、わがままなのでしょうか。

ココラボ相談室からの回答

毎日がつまらない、それなのに何か強い刺激を探してしまう。
そんな気持ちを、自分でもうまく説明できずにいるのかもしれません。

この記事では、その刺激を求める心理がどこから来ているのかを、退屈や孤独といったいくつかの背景に分けて眺めていきます。

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刺激が欲しい今の気持ち

日常の中にある落ち着かなさを、責めずに見つめることから始めます。
日常の中にある落ち着かなさを、責めずに見つめることから始めます。

この章では、いまのつまらなさや落ち着かなさを、まず否定せずに眺めます。原因を決めつける前に、その気持ちがどんな形をしているのかを確かめるところから始めます。

毎日がつまらない感覚

朝起きて、仕事に行き、帰って眠る。その繰り返しに、悪いことは何も起きていないのに、心のどこかが乾いていく感覚があるかもしれません。

休日にスマホを眺めて一日が終わると、また同じ週が来るのかと、静かなため息が出ることもあります。恵まれているはずなのに満たされない、その矛盾こそが、いまの落ち着かなさの正体に近い気がします。

つまらないという言葉は軽く聞こえますが、その奥には、このままでいいのかという不安が隠れていることが少なくありません。

つまらなさの奥にある不安は、まず気づいてあげるだけでも整理しやすくなります。
つまらなさの奥にある不安は、まず気づいてあげるだけでも整理しやすくなります。

刺激を求める気持ちの自然さ

何か強い刺激が欲しくなるのは、あなたが飽きっぽいからでも、贅沢だからでもありません。人はもともと、新しさや変化に反応するようにできています。

刺激を求める心理は、動かない毎日をなんとかしたいという、ごく自然な心の働きでもあります。だからまず、その欲求そのものを直すべき欠点として扱わないことが、この先を考える出発点になります。大切なのは、その気持ちを消すことではなく、どこへ向かおうとしているのかを知ることです。

刺激を求める心理の背景

刺激を求める人の心理は一つではなく、いくつかの入口に分かれます。好奇心から来るものと、退屈や孤独を埋めようとするもの、感情の麻痺を溶かそうとするものを、順番に見ていきます。

好奇心と新しい経験への欲求

まずは、健やかな背景から見ておきます。新しい場所や知識に触れたい、まだ知らない自分を試したいという、前向きな好奇心です。

この場合、刺激は生活を狭めるのではなく、少しずつ世界を広げていきます。知らない街を歩いたあと、疲れていても心が満ちている、そんな感覚がこれに近いものです。

同じ刺激を求める人の心理でも、行動のあとに充実感が残るなら、その欲求はあなたを育てる側に働いています。

退屈・孤独・不満のサイン

一方で、刺激が埋め合わせとして働いていることもあります。退屈、孤独、私生活への不満は、混ざりやすいけれど、少し分けて眺めると見え方が変わります。

退屈は、毎日に変化がなく、心が動かない状態です。孤独は、人といても分かってもらえない、つながっていない感覚です。不満は、仕事や関係の中で我慢が積もり、発散先を探している状態です。

刺激を求めるのに疲れる背景には、退屈の下に孤独があり、その孤独が誰かに満たしてほしいという気持ちと結びついていることがあります。このとき刺激は、根っこの寂しさを一時的に紛らわせる役割を担いやすくなります。自分の刺激欲求がこのどれに近いのかを言葉にしてみるだけでも、向き合う場所が少し定まります。

退屈、孤独、不満を分けて見ると、満たしたい場所が少し見えやすくなります。
退屈、孤独、不満を分けて見ると、満たしたい場所が少し見えやすくなります。

感情の麻痺やストレス反応

もう一つ、強い刺激でないと心が動かない、という状態があります。これは、つらい出来事のあとに、心が自分を守ろうとして感覚を鈍らせているサインのことがあります。

痛みが大きいと、心はその傷に触れないよう、いったん感じる力を抑えます。すると日常の穏やかな喜びでは物足りなくなり、より強い刺激を求めやすくなるのです。

衝動的な行動にのめり込む前に、最近ずっと何も感じにくかった、という心当たりがないかを確かめてみてください。麻痺は弱さではなく、あなたが一度、何かを深く受け止めた証でもあります。

刺激欲求とHSSという見方

ここでは、刺激を求める心理学の言葉を少しだけ借ります。自分を決めつけるためではなく、傾向を眺めるための地図として使います。

心理学でいう刺激欲求

心理学では、刺激を求める傾向を刺激欲求と呼びます。新しく強い経験を好み、そのためのリスクもいとわない性格特性として研究されてきました。

刺激欲求には、スリルを好む面や、退屈への耐性が低い面など、いくつかの方向があるとされます。Wikipediaの刺激欲求の項でも、この退屈感受性は生涯を通じて比較的安定する、といった整理が紹介されています。つまり、飽きやすさは意志の弱さではなく、もともとの感じ方の幅である可能性があります。

刺激欲求は一つの性格だけでなく、いくつかの傾向として眺められます。
刺激欲求は一つの性格だけでなく、いくつかの傾向として眺められます。

HSS型HSPのアクセルとブレーキ

近ごろよく聞くのが、HSSやHSS型HSPという言葉です。HSSは刺激を求める気質、HSPは繊細で刺激に疲れやすい気質を指します。

その両方をあわせ持つHSS型HSPは、アクセルとブレーキを同時に踏む状態にたとえられます。新しいことに惹かれて動くのに、あとでどっと疲れる。その落差が、自分でも説明しづらい生きづらさになりやすいのです。刺激を求めるのに疲れやすい、という感覚に心当たりがあるなら、この見方が糸口になるかもしれません。

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診断ではなく自己理解として見る

ただし、HSSもHSS型HSPも、医学的な診断名ではありません。自分に名前をつけると安心する一方で、その札に自分を閉じ込めてしまうこともあります。

だからこれらは、自分の傾向を知るための補助線として扱うのがおすすめです。当てはまる部分だけ受け取り、当てはまらない部分は手放す。その距離感が、自己理解を窮屈にしないコツです。

名前や分類は、自分を縛るものではなく距離を取って眺める道具として使えます。
名前や分類は、自分を縛るものではなく距離を取って眺める道具として使えます。

刺激に振り回されないために

最後に、刺激とどう付き合うかを一緒に考えます。健全な刺激と危険な刺激を分ける手がかりと、無理のない満たし方、そして一人で抱えないための線を見ていきます。

危険な刺激に向かうサイン

刺激そのものに良い悪いはありませんが、向かう先によっては生活を削っていきます。見分ける手がかりは、その行動のあとに何が残るかです。次のような変化が続くときは、少し立ち止まる合図かもしれません。

  • 前と同じ刺激では物足りず、どんどん強い刺激を求めてしまう
  • 恋愛やギャンブル、買い物、SNSに、生活や睡眠が押されている
  • 行動のあとに後悔や罪悪感が残り、隠すことが増えている

刺激を求めた後に疲れや後悔ばかりが残るなら、その刺激はあなたを満たしていないのかもしれません。求めることより、求めたあとの手ざわりを見てあげてください。

刺激の強さより、その後に残る疲れや後悔を手がかりにしてみてください。
刺激の強さより、その後に残る疲れや後悔を手がかりにしてみてください。

小さく安全に満たす方法

流れを変えるのに、大きな決断はいりません。むしろ、日常の中に置ける小さな変化のほうが続きます。

いつもと違う道で帰る、入ったことのない店をのぞく、前から気になっていたことを一つ試す。そうした小さな新しさは、危険を伴わずに刺激欲求を受け止めてくれます。

同時に、くたびれきる前に休むことも、刺激と付き合ううえで欠かせません。アクセルばかり踏まず、ブレーキを休息にあてる時間を、先に予定へ入れておくと安定します。

ひとりで抱え込まない状態

刺激を求める心理の奥に、消えない寂しさや、鈍った感覚が横たわっていることもあります。そういうときは、一人で結論を出そうとしなくて大丈夫です。

眠れない日が続く、食欲が落ちている、日常に強く支障が出ている。そんなときは、心療内科やカウンセリング、公的な相談窓口を頼ることも、選べる道の一つです。

厚生労働省のこころの健康相談統一ダイヤルのような窓口もあり、話す相手を選ぶこと自体があなたの側にある選択です。急いで変わろうとせず、いまの自分をそのまま置いておける場所から、始めてみてください。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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