抑うつ障害群とは?どんな病気が含まれるのか、自分がどれに近いのか分からず不安…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
抑うつ障害群という言葉を前に、不安な気持ちで検索された方も多いのではないでしょうか。
診断名は、あなたを型にはめるものではなく、いまの状態を理解し、これからを一緒に考えていくための手がかりです。
つらさの形も、回復の歩みも人それぞれ違います。焦らず、まずはこの記事で全体像を眺めるところから始めてみてください。
30代 男性(会社員)
最近、気分の落ち込みが数週間抜けず、思いきって受診したところ、抑うつ障害群と言われました。
うつ病とは違うのか、自分がどの状態に近いのかも分からないまま、家に帰ってからも調べては不安が募っていきます。
仕事も休むべきか判断できず、この程度で弱音を吐く自分を情けなく感じています。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
診断名を告げられたばかりのいまは、それをどう受け止めればいいのか、落ち着かなくて当然だと思います。
この記事では、抑うつ障害群がどんな病気のまとまりなのか、そして自分の状態を見つめるときにどんな視点を持てるのかを、公認心理師監修のもとで一緒に整理していきます。読み終えたときに、少し肩の力が抜けていれば十分です。
抑うつ障害群と言われて戸惑うのは自然なこと
診断名を聞いたばかりのときは、自分が何を抱えているのか整理できず、落ち着かないものです。まずは、その戸惑いをそのままにしていて大丈夫な理由から確かめていきます。

診断名はレッテルではなく状態の説明
抑うつ障害群という言葉を向けられると、自分に重い札が貼られたように感じるかもしれません。
けれど診断名は、あなたという人を決めつけるものではなく、いま起きている状態を医療の言葉で説明したものです。
診断は、あなたが変わってしまった証明ではなく、これから何を整えるかを話し合うための出発点にすぎません。名前がついたことで、対処の見通しが少し立てやすくなる面もあります。
漠然とした不調に呼び名がつくと、かえって怖く感じることもあります。それでも、正体の分からないものと向き合うより、輪郭が見えているほうが、一つずつ手をつけやすくなるはずです。
怠けや性格の問題ではない脳の状態
気の持ちよう、頑張りが足りない。そんな言葉に、これまで何度も傷ついてきた方もいると思います。
抑うつの状態は、脳の働きが一時的にうまく回らなくなっているもので、意志の強さだけで押し切れるものではありません。
骨折を根性で治せないのと同じように、心の不調にも回復のための手当てが必要だと考えられています。ここは、自分を責める材料にしなくてよい部分です。
これまで人一倍がんばってきた人ほど、休むことに抵抗を感じやすいものです。それでも、いまの重さは意欲の問題ではなく状態の問題だと捉え直せると、手当てを受けることへのためらいが少しほどけていきます。
抑うつ障害群とはうつ病を代表とする診断のグループ
抑うつ障害群は、一つの病気の名前ではなく、近い性質の病気をまとめた呼び方です。全体像をつかむと、自分の状態がどのあたりにあるのか、見当をつけやすくなります。
DSM-5で定められた病気のまとまり
抑うつ障害群は、アメリカ精神医学会がまとめた診断の指針であるDSM-5(-TR)で定義された、抑うつを中心とする病気のグループです。
その代表が、一般にうつ病(大うつ病性障害)と呼ばれる状態です。
ほかにも複数の病気が同じグループに含まれており、共通するのは、気分の落ち込みや興味の減退が生活に支障をきたすという点です。
「抑うつ症群」への呼び方の変更
近年、病名の日本語訳が少しずつ見直されています。
日本精神神経学会の用語監修により、抑うつ障害群という呼び名は抑うつ症群へ、障害という語は症へと、少しずつ改められてきました。
検索していて表記が食い違って見えても、多くは同じものを指しています。呼び方の違いそのものに、戸惑いすぎなくて大丈夫です。

双極症(双極性障害)は含まれない
気分の波というと双極症を思い浮かべる方もいますが、双極症はDSM-5で抑うつ障害群から切り離され、別のグループとして扱われています。
両者は治療の方針が大きく異なるため、この区別はとても大切です。うつ病向けの治療が双極症には合わないこともあり、見極めが回復を左右します。
過去に、眠らなくても元気に動けた時期や、気分が高ぶって活動的になった時期があったといった場合は、診察でその点も伝えると、見立ての助けになります。自分では思い出しにくいこともあるので、身近な人の記憶が手がかりになることもあります。
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およそ15〜16人に1人が経験する

うつ病は、決してまれな病気ではありません。
国内の調査では、生涯のうちにうつ病を経験する人はおよそ15〜18人に1人とされ、調査によって数字に幅があります。厚生労働省の患者調査(令和2年)でも、気分障害の患者数は約172万人と推計されています。
多くの人が通りうる道であることは、少しだけ知っておいてよい事実だと思います。
抑うつ障害群に含まれる6つの病気
ここでは、グループに含まれる主な病気を整理します。自分や家族の状態がどれに近いかを照らす地図として、眺めてみてください。当てはめて確定させるためのものではない、という前提だけ添えておきます。

うつ病(大うつ病性障害)の目安
うつ病は、抑うつ気分や興味・喜びの喪失が続く、このグループの中心となる状態です。
診断の目安として、抑うつ気分か興味の喪失を含む9つの症状のうち5つ以上が、2週間ほぼ毎日続くことが知られています。
具体的には、眠れない、食欲が落ちる、集中できない、自分を責めてしまうといった変化が、いくつも重なって続いている状態です。
ただしこれは専門家が慎重に見極める基準で、チェックの数だけで自分を決めつけるためのものではありません。数が足りないから大丈夫、多いから重症だと、機械的に読み替えないことも大切です。
持続性抑うつ症(旧・気分変調症)
はっきりした落ち込みほど重くはないものの、軽い抑うつ気分が2年以上と長く続く状態を、持続性抑うつ症といいます。
かつて気分変調症と呼ばれていたものを含みます。
昔からこういう性格だと本人も周囲も思い込みやすく、病気と気づかれにくいのが特徴です。長く続いてきた生きづらさの背景に、この状態が隠れていることもあります。
ここに、はっきりしたうつ病のエピソードが重なると、症状が一段と重くなることも知られています。ずっと続く重さを性格のせいだと片づけずにいられると、見え方が少し変わるかもしれません。
PMDD(月経前不快気分障害)とPMSの違い
PMDDは、月経の1〜2週間前に気分の落ち込みやいらだちが強まり、月経が始まると和らぐ周期をくり返す状態です。
月経前症候群(PMS)と似ていますが、PMDDは精神的な症状がより強く、仕事や人間関係に支障が出る点で区別されます。
毎月決まった時期のつらさに心当たりがあれば、いつ何がつらかったかを数周期ぶん記録してから相談すると、状況を整理しやすくなります。気分の問題ではなく体のリズムと結びついた不調だと分かるだけで、少し楽になることもあります。
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DMDD(重篤気分調節症)
DMDDは、主に子どもにみられる、激しいいらだちやかんしゃくが1年以上続く状態を指します。
一時的な反抗とは異なり、日常的に強い易怒性が続く点が目安とされています。子どもの成長過程の気分の波と見分けるのが難しく、専門家の丁寧な観察が必要とされます。
大人の抑うつとは現れ方が違いますが、同じグループに位置づけられている病気です。お子さんの様子が気になる場合の入り口として、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
薬や体の病気による抑うつ症
抑うつは、心の要因だけでなく、服用している薬や、甲状腺などの体の病気が背景になって現れることもあります。
そのため医療機関では、血液検査などで体の状態も確かめながら見立てていきます。
たとえば甲状腺の働きが落ちているときに、気分の落ち込みとして現れることがあります。
原因が体の側にある場合は、そちらの治療を進めることで気分が整っていくこともあります。心の問題として抱え込む前に、体の状態も一度確かめてもらえると安心です。
回復に向けてできることと専門家に相談する目安
最後に、回復に向けた治療の方向性と、専門家に頼ってよいタイミングを整理します。いますぐ何かを決めるためではなく、見通しを持って一息つくための材料にしてください。読んで少し落ち着けたら、それだけで十分です。

治療は休養・精神療法・薬物療法が中心
抑うつ障害群の多くは、適切な手当てによって回復に向かう、治療反応性のある状態と考えられています。
治療の柱は、十分な休養、対話を通じた精神療法、必要に応じた薬物療法です。
薬は効果が現れるまで数週間かかることが多く、すぐ効かないと感じても、焦って中断しないことが回復を支えます。
また、症状が落ち着いたあとも、しばらく治療を続けることが再発の予防につながるとされています。よくなった実感が出てきた時期こそ、やめ方や減らし方を主治医と相談しながら進めていけると安心です。
自己診断で確定させないための視点
ネットの基準を見て、当てはまる気がして不安になることは自然です。
けれど診断は、経過や背景まで含めて専門家が行うものです。症状の数を数えるより、生活のどこが、どれくらい困っているかという視点のほうが、自分の状態を見つめる手がかりになります。
心理学では、気分が落ち込むと自分・世界・未来を否定的にとらえやすくなる認知の三徴という考え方が知られています。つまり、いま自分がダメだ、先が見えないと感じるのは、状態がそう見せている面もあるということです。
いまの見え方がすべてではない、と少し引いて眺める余地を残しておけると、自己診断で一気に結論を出さずにすみます。
専門家に相談したいサイン

次のような状態が続くときは、一人で抱えずに相談を考えてよいタイミングです。
- 落ち込みや興味の喪失が、2週間以上ほぼ毎日続いている
- 睡眠や食欲が大きく崩れ、生活や仕事に支障が出ている
- 消えてしまいたいという思いが、くり返し浮かぶ
特に強い絶望感や死にたい気持ちがあるときは、早めに医療機関や相談窓口に頼ってほしい状態です。ためらう気持ちがあっても、まずは電話やメールで連絡してみるだけでかまいません。
診断名という言葉に振り回されなくて大丈夫です。自分がどれに近いのかを一人で決めきろうとせず、専門家と一緒に、少しずつ状態を整えていくことができます。
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