持続性抑うつ障害は治らないの?何年も気分が晴れない日が続いて不安です
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
気分が晴れない状態が何年も続くと、このまま治らないのではと不安になりますよね。
持続性抑うつ障害は、症状が性格のように見えてしまい、回復の変化にも気づきにくい病気です。
この記事では、治りにくいと言われる理由と、治療を見直すための視点を公認心理師の立場から整理しました。
ご自身の状態を捉え直すきっかけになれば幸いです。
30代女性(会社員)
学生の頃から気分が晴れない日が続いていて、社会人になった今も変わりません。仕事はなんとかこなせていますが、家に帰ると何もする気が起きず、休日も楽しいと感じられないまま終わります。
病院で持続性抑うつ障害と言われて2年ほど通院しているのに、良くなっている実感がなく、もう治らないのではと不安です。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
何年も気分が晴れない状態が続くと、治らないのではという不安が膨らんでいきますよね。長く続いてきたつらさほど、性格なのか病気なのかの区別もつきにくくなるものだと思います。
この記事では、持続性抑うつ障害が治りにくいと言われる理由と、治らないと感じた時に見直したいポイントを整理していきます。
「治らない」と感じたまま何年も過ぎてきたあなたへ
まずこの章では、いま感じているつらさをどう受け止めるかを整理します。治らないという感覚そのものに、実は病気の特徴が隠れていることがあります。

それは弱さではなく病気の経過
何年も気分が晴れないまま過ごしてきた時間は、それだけで大きな消耗だったはずです。周りからは普通に見えても、常に低いエネルギーで日々をやり過ごしてきた方が少なくありません。
持続性抑うつ障害は、うつ病ほど激しくない抑うつが2年以上続く病気です。症状が緩やかに始まって長く続くため、気力のなさや悲観的な考えが、本人にも性格や弱さに見えてしまいやすいのです。
実際には、治らないように感じる長い経過そのものが、この病気の典型的な姿とされています。長引いているのは、あなたの努力が足りないからではありません。

仕事や学校になんとか行けているせいで、周囲からは頑張れている人に見えてしまうことも、つらさを言い出しにくくさせます。表に出ている姿と内側の消耗の差が大きいことも、この病気の特徴のひとつです。
「治らない」という絶望も症状のひとつ
持続性抑うつ障害の診断基準には、絶望感という項目が含まれています。つまり、どうせ良くならないという感覚は、病気が作り出している見え方かもしれないのです。
絶望感が強い時ほど、回復の小さな変化は目に入りにくくなります。治らないという結論を出す前に、その感じ方ごと専門家と一緒に眺め直す余地が残されています。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
持続性抑うつ障害(気分変調症)とはどんな状態か
ここでは、病気の輪郭を事実ベースで整理します。ご自身の状態と照らし合わせながら読み進めてみてください。
気分変調症とPDDへの呼称の変化
持続性抑うつ障害は、以前は気分変調症と呼ばれていた状態です。アメリカ精神医学会の診断基準がDSM-5に改訂された際、慢性のうつ病と統合されて現在の名称になりました。
英語名の頭文字からPDDと表記されることもあります。検索すると複数の名前が出てきますが、指している状態はほぼ同じと考えて差し支えありません。

2年以上続く抑うつという診断の目安
診断の中心となる目安は、憂うつな気分がある日の方がない日より多い状態が、2年以上続いていることです。子どもや青年では1年以上とされています。
また、その2年の間に症状のない期間が2か月以上続かないことも要件とされています。良い日が多少あっても、すぐに元の重さへ戻ってしまう感覚に心当たりがあるかもしれません。
生涯のうちにこの状態を経験する人は約3〜6%と報告されており、決して珍しいものではありません。
食欲や睡眠など6つの付随症状
気分の落ち込みに加えて、いくつかの付随症状を伴うことも診断の目安になっています。具体的には、食欲の減退または増加、不眠または過眠、気力の低下や疲れやすさ、自尊心の低下、集中力や決断力の低下、絶望感の6つのうち2つ以上です。
どれも一見地味に見えますが、長く続くことで生活全体をじわじわと削っていく症状です。

うつ病との違いは期間と重さ
うつ病との違いは、症状の重さと続く期間にあります。
| 項目 | うつ病 | 持続性抑うつ障害 |
|---|---|---|
| 期間の目安 | 2週間以上 | 2年以上 |
| 症状の強さ | 重く、生活が止まりやすい | 比較的軽いが慢性的 |
| 経過 | 発症時期が分かりやすい | いつからか分からないことが多い |
ただし、症状が軽いなら心配いらないという意味ではありません。長く続く分だけ、対人関係や仕事など生きていく機能への影響はむしろ大きいというデータも指摘されています。
なぜ長く治りにくいと言われるのか
この章では、治りにくさの正体を分解していきます。理由が見えてくると、いま自分に何が起きているのかを捉え直しやすくなります。

性格と病気が見分けにくくなる仕組み
持続性抑うつ障害は、思春期など人生の早い時期に始まることが多い病気です。憂うつな状態が当たり前になるほど長く続くため、昔からこういう性格だと本人も周囲も思い込みやすくなります。
性格だと思えば、治療の対象だという発想は生まれません。病気が性格の顔をして隠れてしまうことが、治りにくさの入り口になっています。
さらに、自尊心の低下という症状は、何かを達成してもたまたまうまくいっただけと割り引く考え方を強めます。うまくいった記憶が積み上がらないため、自分はこういう人間だという思い込みがますます固まっていきます。
潜行性発症で受診が遅れやすい
うつ病のように、ある時期を境に急に悪くなるわけではなく、いつの間にか始まってそのまま続きます。この始まり方は潜行性と呼ばれ、受診のきっかけをつかみにくくします。
その結果、つらさを抱えたまま何年も医療につながらないことが珍しくありません。実際、最初の不調から受診まで長い年月がかかる方が多いことも知られています。
治らないのではなく、治療がまだ十分に始まっていなかった、あるいは合う治療にまだ出会えていなかったというケースも多いのです。

原因は脳・遺伝・環境が重なる
原因はひとつに特定されていません。セロトニンなどの神経伝達物質の働き、家族にうつ病の方がいるといった遺伝的な素因、幼少期のつらい経験や慢性的なストレスなどの環境要因が、重なり合って生じると考えられています。
原因が複合的である分、薬だけ、休養だけといった単独の対処では変化が出にくいことがあります。

二重うつ病という悪化のサイン
慢性的な抑うつの上に、うつ病のエピソードがさらに重なる状態は二重うつ病と呼ばれます。
うつ病の部分が治療で改善しても、元の慢性的な抑うつに戻るだけなので、本人には治っていないと感じられやすい構造があります。治療しても戻ってしまうという実感の背景に、この二重の構造が隠れていることがあるのです。
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「治らない」と感じた時に見直したい治療と目標
治療しているのに変わらないと感じている時こそ、立て直せるポイントがあります。この章では、目標の置き方と治療の全体像を整理します。
完治より寛解を目標にする考え方
持続性抑うつ障害では、症状を完全に消し去る完治よりも、症状が和らいで生活を立て直せている寛解を目標に、長い目で付き合っていく考え方が現実的とされています。
寛解といっても、特別な状態を指すわけではありません。朝起きて仕事や家事に向かえる、疲れたら休めるなど、生活が回っている実感が積み重なっていくイメージです。
ゼロか百かで判定すると、小さな回復がすべて失敗に見えてしまいます。目標の物差しを変えるだけで、同じ経過が違って見えることがあります。

薬物療法と心理療法・生活習慣
治療の柱は、SSRIなどの抗うつ薬と心理療法の組み合わせです。抗うつ薬は効果が出始めるまで2〜4週間ほどかかるとされるため、すぐに効かないからと自己判断で中断しないことが大切です。
心理療法では、悲観的な考え方の癖を扱う認知行動療法や、身近な人との関係に注目する対人関係療法が用いられます。薬物療法と心理療法を併用した方が効果的だという研究も報告されています。
また、慢性的な経過をたどる病気であるため、症状が良くなった後も一定期間は服薬を続けることが再発予防の観点から勧められています。やめ時は必ず主治医と相談しながら決めていきましょう。
あわせて、週に数回のウォーキングなどの運動や、睡眠リズムの安定といった生活面の土台づくりも、回復を支える要素になります。

併存する不安や依存は診断を再検討
不安症やアルコールへの依存などが重なっていると、そちらの影に隠れて持続性抑うつ障害が見落とされることがあります。
長く治療しても手応えがない場合は、次のような点を主治医と確認してみてください。
- 抗うつ薬を十分な量と期間で試せているか
- 二重うつ病や併存する不安が考慮されているか
- 心理療法を併用できているか
治らないという結論を出す前に、治療の設計を見直す余地がないかを点検することが、次の一歩につながります。
一人で抱えずに専門家へつなぐために
最後に、相談を考えたい目安と、医療とカウンセリングの使い分けを整理します。急ぐ必要はありませんが、選択肢を知っておくこと自体が支えになります。

受診や相談を考えたい目安
性格だと思ってきたけれど2年以上つらい、という状態は、それだけで相談してよいサインです。まだ受診していない方は、精神科や心療内科でこれまでの経過を伝えるところから始められます。
眠れない日が続く、食欲が落ちている、死について考えることが増えたと感じる時は、できるだけ早めに専門機関へつながってほしい状態です。働く方であれば、厚生労働省の相談窓口サイトこころの耳でも相談先を探せます。
いきなり受診するのはハードルが高いと感じる場合は、お住まいの地域の精神保健福祉センターなど、公的な相談窓口から話してみる方法もあります。

医療とカウンセリングを併用する進め方
薬物療法で症状の土台を支えながら、カウンセリングで考え方の癖や対人関係を扱っていく併用は、この病気と相性の良い進め方です。
主治医やカウンセラーには、いつからつらいのか、何年続いているのかを言葉にして伝えてみてください。長い経過こそが、この病気を見立てるうえで重要な手がかりになります。
何年も続いてきたものは、すぐには変わらないかもしれません。それでも、性格ではなく病気として扱えるようになった時から、変えられる余地は少しずつ広がっていきます。その入り口に、この記事が立ち会えていたら幸いです。
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