失感情症の彼女とどう接したらいいのか、愛されていない気がして不安です
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
失感情症の彼女とどう向き合うか、正解を探して疲れていませんか。
感情が返ってこないと、拒まれた気がして落ち込みますよね。
でも、言葉にならないことと、あなたを想っていないことは別なんです。
その線引きを、この先で一緒に整理していきましょう。
20代男性(会社員・公務員)
付き合って一年になる彼女が、自分は失感情症かもと話していました。デート帰りに楽しかった?と聞いても、よくわからない、と返ってくるんです。
記念日に渡したプレゼントへの反応も薄くて、夜にひとりで考え込んでしまって。
彼女を責めたくないのに、気持ちを聞くのが少し怖くなってきました。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
彼女の言葉が返ってこないたびに、自分は必要とされていないのかもしれない、と感じてしまう。その寂しさは、あなたが心を込めて関わってきた証でもあります。
この記事では、失感情症の彼女に何が起きているのかを整理しながら、責め合わずに続けられる関わり方と、あなた自身がすり減らないための視点を、一緒に見ていきます。
彼女の反応が薄くて愛されていないと感じるとき
彼女に気持ちを尋ねても、はっきりした返事が戻ってこない。そのたびに、自分は大切にされていないのかもしれないと感じてしまう。まずはその戸惑いが、どこから来ているのかを静かにたどってみます。
気持ちが返ってこないのがつらいのは自然
好きな相手にこそ、うれしい、楽しいといった言葉を返してほしくなるものです。それが返ってこないと、投げたボールが宙に浮いたようで心細くなります。
失感情症の彼女と接していると、こうした場面が積み重なりやすくなります。あなたが感じている物足りなさは、関係を投げ出していない人ほど強くなるものなんですよね。
あなたの寂しさは責められるものではない
相手が困っているのだから、自分が我慢すればいい。そう考えて、寂しさに蓋をしていませんか。あなたが感じている寂しさそのものは、間違ったものではありません。

彼女の事情を思いやることと、自分の気持ちをなかったことにすることは、分けて扱ってかまいません。まずは両方をそのまま置いておくところから始めます。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
失感情症とは何か、恋人にどう現れるか
不安を整理するには、相手に起きていることを知っておくと役に立ちます。ここでは失感情症の基本と、恋愛の場面での現れ方を見ていきます。診断のためではなく、理解のための整理です。
感情がないのではなく気づきにくい状態
失感情症はアレキシサイミアとも呼ばれ、感情そのものがないわけではありません。喜びや悲しみは内側で起きているのに、それに気づいたり言葉に変えたりするのが苦手な状態を指します。
これは正式な精神疾患の病名ではなく、心理学上の特性として捉えられています。一般の人のおよそ10%程度に見られるとする報告もあり、決して珍しいものではないんです。
もう一つ知っておきたいのは、感情に気づきにくい状態が続くと、本人でも気づかないうちにストレスがたまりやすい点です。心身症やうつ病、摂食障害などと重なることがあるとされ、ASDなどの発達特性やトラウマ体験が背景にある場合もあります。これは必ずそうなるという話ではなく、無理が続いたときに相談先があると知っておくためのものです。

デートや記念日で反応が薄くなる背景
失感情症の傾向がある人は、出来事の直後にその感想を言葉にするのが難しいことがあります。デートの帰りに楽しかった?と聞かれても、すぐに答えが出てこないのはこのためです。
恋愛の場面では、好きになるまでに時間がかかる、別れをあまり引きずらない、こちらの話への相づちが薄い、といった形で表れることもあります。知恵袋などでも、パートナーからこうした戸惑いが繰り返し語られています。
記念日やプレゼントへの反応が薄く見えても、気持ちが動いていないとは限りません。感じてはいるのに、それを表現に変える回路がゆっくりなだけという場合もあります。だからこそ、反応の薄さだけで相手の気持ちの総量を測るのは、少し早いのかもしれません。
治るのか、サイコパスとどう違うのか
失感情症は病気ではないため、治すというより特性と付き合っていく方向で考えられています。感情に気づく練習を重ねて、少しずつ変わっていく人もいます。
具体的には、感情日記をつける、映画や小説で登場人物の気持ちを想像してみる、五感に注意を向けるといった練習が知られています。ただ、これは本人が取り組むもので、あなたが急かして進めるものではありません。

なお、他人を傷つけても平気なサイコパスとは根本的に違います。失感情症の人はむしろ、自分の状態がわからず戸惑い、誤解されて苦しんでいることのほうが多いのです。相手を怖い人だと決めつける必要はありません。
「無関心」なのか「言葉にできない」だけなのか
相手の反応が薄いとき、それが特性なのか気持ちの問題なのかを見極めたくなります。ただ、その線引きには限界があることを、先に共有しておきます。
外からは見分けられないという前提
無反応の理由が、言葉にできないためなのか、関係への意欲が下がっているためなのか。外側から確実に見分ける方法は、実はありません。
見分けようとするほど、こちらの気持ちがすり減っていきます。原因を突き止めることより、今の関わりが自分にとって無理のないものかを見るほうが、現実的なんですよね。
反応がないと大切にされていないは別
言葉が返ってこないことと、大切にされていないことは、つい同じものとして受け取ってしまいます。けれど、この二つは切り分けて考えられます。
彼女が予定を合わせてくれる、隣にいようとする。言葉以外の行動に気持ちが表れていないかを見てみると、印象が少し変わることもあります。

もちろん、行動だけを見て無理に安心しようとする必要もありません。言葉が欲しいという願い自体は自然なものです。ただ、確かめる手がかりを言葉ひとつに絞らずにおくと、心の揺れ幅は少しやわらぎます。
彼女の診断は本人と専門家に委ねる
彼女が失感情症かどうかを、あなたが判定する必要はありません。TAS-20(トロント・アレキシサイミア尺度)という評価の物差しもありますが、これは感情の同定や表出の傾向を、本人と専門家が見るためのものです。
チェックリストで相手を当てはめようとすると、関係が観察と診断の場になってしまいます。判定は専門家に委ね、あなたは伝え方と受け止め方に力を向ける。それが双方にとって楽な線引きです。
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彼女への声のかけ方、避けたいことと試せること
ここからは具体的な関わり方です。よかれと思ってやりがちで、実は相手を答えにくくしている問いと、代わりに試せる尋ね方を並べます。合う合わないは人によります。
「今どんな気持ち?」が答えにくい理由
今どんな気持ち?という問いは、やさしく見えて、失感情症の相手には最も答えにくい種類の質問です。感情を一から言葉にする作業を、その場で求めることになるからです。

感情が出るまで待ち続ける、代わりに気持ちを言い当て続けるといった関わりも、長く続くと双方の負担になります。善意の問いかけが、かえって相手を追い込むこともあると知っておくと、力の入れどころが変わります。
選択肢や身体感覚から尋ねてみる
答えを一から作らせない尋ね方に変えると、返事が返りやすくなることがあります。相手に合うものを、いくつか試す前提で選んでみてください。
- 楽しかった?ではなく、今日はカフェと映画どっちがよかった?と選択肢で聞く
- 気持ちより先に、おなかすいてない?寒くない?と身体の感覚から尋ねる
- その場で聞かず、翌日にこの前どうだった?と時間を置いて振り返る
大事なのは、これらが正解ではないという点です。相手の答えやすさに合わせて調整していく手がかりだと考えてください。うまくいかない日があっても、失敗ではありません。
言葉以外の行動を関係の手がかりにする
感想の言葉が少なくても、関係の温度は行動にも表れます。会う約束を守る、体調を気づかう、隣で同じ時間を過ごす。そうした事実にも目を向けてみます。

言葉での確認だけに頼ると、確かめても確かめても足りない状態に陥りやすくなります。行動という別の手がかりを持っておくと、不安の置き場所が少しだけ増えるはずです。
あなた自身が消耗しないために大切なこと
相手への理解と同じくらい、あなた自身の状態が大事です。ここでは境界線の引き方と、相談を考える目安を整理します。無理に結論を出す章ではありません。
我慢を手放し自分の境界線を確かめる
相手の特性を理由に、自分の寂しさや不満を封じ込めていないでしょうか。理解することと、我慢し続けることは同じではありません。
ときには、今日はこう感じて少しさみしかった、と主語を自分にして伝えてかまいません。相手を責める言い方でなければ、それは境界線を守るための自然な表現です。
相手の感情を毎回引き出そうとしたり、言えるまで待ち続けたりする関わりは、気づかないうちにあなたの側の負荷を大きくします。相手を変えようとする関わりが、自分を追い込んでいないかを、ときどき振り返ってみてください。

気分の落ち込みや身体症状と受診の目安
彼女の側に、原因のわからない身体の不調が続く、気分の落ち込みが長引く、生活に支障が出ているといったサインがあれば、無理のない範囲で専門家への相談が選択肢になります。
一方で、支える側のあなた自身も、眠れない、食欲が落ちる、仕事に集中できないといった変化が出ていないか気にかけてください。相手の感情を推し量り続けることで、いつの間にか自分の生活のほうが削れていることは珍しくありません。支える側の不調は、見落とされやすいものです。
受診をどう切り出すかで迷うときは、彼女が困っているのかどうかを先に確かめると判断しやすくなります。本人が困っていない段階での強い受診のすすめは、関係を緊張させることもあるからです。心の不調については、全国の精神保健福祉センターでも無料で相談を受け付けています。

疲れが出たときの相談先と別れの迷い
このまま一緒にいていいのか、と迷うこと自体は、薄情なことではありません。続けるか別れるかを今すぐ決めなくても、今の関わり方で自分がすり減っていないかを、先に見てかまいません。
一人で抱えると視野が狭くなりやすいので、信頼できる人や、公認心理師などの専門家に話す時間を持つのも一つの手です。話すうちに、自分がどうしたいのかが少しずつ形になっていくこともあります。答えを急がずに、あなたの心の安全を真ん中に置いておいてくださいね。