認知の歪み一覧を見ると全部当てはまる気がする…10パターンそれぞれ教えて
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
認知の歪みの一覧を見て、当てはまる項目の多さにドキッとした方も多いのではないでしょうか。
でも、細かく気づけるのは、それだけ自分の心を丁寧に見ている証拠でもあります。
数えて落ち込むより、どの場面でそのクセが強く出るのかを、ここから一緒に見ていきましょう。
20代女性(会社員・公務員)
ネットで認知の歪みの一覧を見つけて、10パターンをひとつずつ読んでいったら、ほとんど全部に心当たりがありました。
白黒思考もマイナス思考も、思い当たる場面がすぐに浮かんでしまって。
こんなに当てはまるなんて、私の考え方はどこかおかしいんでしょうか。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
一覧に並んだ項目へ次々と自分を当てはめて、読み終える頃にはかえって落ち込んでいた。数えるほど気持ちが重くなる読み方です。
この記事では、認知の歪み一覧の10パターンの意味と例を整理します。当てはまる数の多さを、どう受け止めればいいのか。どこから見ていけばいいのかも、一緒に考えていきます。
認知の歪みの一覧を見ると全部当てはまって苦しい
一覧を見て自分を当てはめるうちに、気づけば気持ちが重くなっていた。まずはその感覚を、ここで一度受け止めておきたいと思います。たくさん当てはまったことを、どう扱えばいいのか。そこから見ていきます。
当てはまる数の多さは重症のサインではない
認知の歪みは、正式には認知の偏りや考え方のクセとも呼ばれます。誰の心にも大なり小なりあるものです。当てはまる項目が多いこと自体が、あなたの欠陥を示すわけではありません。
むしろ細かく心当たりが浮かぶのは、内面を丁寧に観察できている証拠でもあります。問題になるのは項目の数ではありません。その考えが浮かんだあと、どれくらい長く苦しさが続くかです。

一覧の項目は互いに重なり合うため、一つの出来事に複数当てはまるのはよくあります。数えるほど増えて見えるのは、ある意味で自然なことなんです。
同じ出来事でも受け取り方が人によって違うのは、性格が悪いからではありません。これまでの経験や、そのときの疲れ具合によって、心が選ぶ近道が変わるだけです。まずはそこを分けて考えると、少し息がしやすくなります。
一覧は自己採点でなく気づきの地図として使う
チェックの多さで自分を採点し始めると、落ち込む流れに入りやすくなります。ここでの一覧は、点数表ではなく地図として使ってみてください。

どの項目が、どんな場面で強く出るか。そこに目を向けると、自分がどこで無理をしてきたかが見えてきます。当てはまったことは、失格の証明ではありません。疲れやすいポイントを教えてくれる手がかりだと考えると、少し扱いやすくなります。
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認知の歪み一覧10パターンの意味と日常での具体例
ここからは、よく知られる10パターンを名前と意味、身近な例でまとめます。読みながら、当てはめて落ち込まなくて構いません。輪郭を知るつもりで眺めてみてください。
全か無か思考からべき思考まで名前と例で知る
以下は、認知行動療法でよく使われる代表的な10パターンです。名前を知っておくと、渦中でも一歩引いて眺めやすくなります。これはあのクセかもしれない、と気づけるようになります。
| パターン | 意味 | 日常の例 |
|---|---|---|
| 全か無か思考(白黒思考) | 成功か失敗の二択で捉える | 一度寝坊しただけで自分は社会人失格だと感じる |
| 過度の一般化 | 一度の出来事をいつもそうだと広げる | 発表で噛んだから一生人前は苦手だと決める |
| 心のフィルター | 悪い面ばかりに注目する | 99点でも間違えた1点だけが頭に残る |
| マイナス化思考 | 良いことを認めず打ち消す | 褒められてもお世辞だと受け取る |
| 結論の飛躍 | 根拠なく先読みや心の読みすぎをする | 返信が遅いだけで嫌われたと断定する |
| 拡大解釈と過小評価 | 失敗を大きく成功を小さく見る | ミスは大事件、成功は運が良かっただけと思う |
| 感情的決めつけ | 感情を事実の証拠にする | 不安だからきっと失敗すると考える |
| すべき思考 | すべき・ねばならないで自他を縛る | 親なら我慢すべきと自分を追い込む |
| レッテル貼り | 一部で自分や他人を決めつける | ミスした自分をダメ人間だと貼る |
| 個人化 | 関係ないことも自分のせいにする | 場が沈むのは私のせいだと背負う |
こうして並べると、どれも特別に異常なものではないと分かります。疲れているときほど、誰にでも顔を出す近道なのです。
パターン数が10・12・14と幅がある理由
一覧を探すと、10パターンのものもあれば、12や14に分けたものも見つかります。実は、認知の歪みの数に決まった正解はありません。
もとになったのは、精神科医アーロン・ベックが1963年に示した考え方です。その後、デビッド・バーンズが著書『いやな気分よ、さようなら』で広めました。そこでは10前後のリストにまとめられています。分け方は資料によって違うだけで、指している中身は大きく重なっています。

だからこそ、いくつ当てはまったかを競う必要はありません。数の多さより、自分の生活で繰り返し出てくるのはどれか、を見るほうが役に立ちます。
複数のパターンが同時に当てはまるのは自然
一つの考えの中に、いくつものクセが混ざることはよくあります。返信が来ないとき、嫌われたという決めつけが動きます。同時に、自分のせいだという個人化も重なっていることがあります。
厳密に分類しようとしなくて大丈夫です。ぴったり一つに当てはめようとすると、かえって窮屈になります。今の自分にはこういう傾向が強いかも。そのくらいゆるく眺めるのがちょうどいいと思います。
そのクセを手放しにくいのは考え方の土台があるから
当てはまると分かっても、簡単には抜けられないのが考え方のクセです。なぜ手放しにくいのか、その背景をやさしく整理します。
自動思考とスキーマをやさしく理解する
出来事に対してパッと浮かぶ考えを、自動思考と呼びます。返信が来ないときに、嫌われたと反射的に頭をよぎる、あの感覚です。
その奥には、これまでの経験でつくられた考え方の土台があり、スキーマと呼ばれます。土台が自分は愛されにくいといった方向に傾いていると、自動思考も同じ色に染まりやすくなります。厚生労働省の認知療法・認知行動療法の資料でも、この見直し方は紹介されています。

たとえば、子どもの頃に頑張りを認めてもらいにくかった場合。大人になっても、成果を素直に受け取りにくくなります。マイナス化思考が出やすくなることもあります。今のクセは、そのときどきの自分を守るために働いてきた面もあるのだと思います。
土台は長い時間をかけてできたものなので、すぐ変わらないのは当たり前です。責めるより、そういう仕組みなのだと知っておく。そのほうが、次の一歩はやわらかくなります。
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仕事・家族・恋愛・SNSで出やすいクセは違う
同じ人でも、場面によって強く出るクセは変わります。仕事ではべき思考、家族には個人化、SNSでは人と比べる思考。そんなふうに顔ぶれが入れ替わることも珍しくありません。
同じべき思考でも、仕事では自分を追い込む形で出ます。家庭では、相手への苛立ちとして出ることもあります。同じクセが場面によって違う顔を見せる。そう考えると、一覧に全部当てはまって見えたのも腑に落ちるかもしれません。

どの場面でどのクセが出るかをメモしておくと、自分の傾向が具体的に見えてきます。全部を一度に直そうとしなくて大丈夫です。いちばん苦しい場面から眺めてみると、負担が軽くなります。
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向き合う前に心と生活の状態を確かめる
考え方を見直す前に、確かめておきたいことがあります。まず休むべきサイン、それから自分でできる小さな整え方の順に見ていきます。
眠れない・食欲がない時はまず休むサイン
思考が極端になるとき、その背景に心身の疲れが隠れていることがあります。睡眠や食欲が乱れているときは、考え方より先に体を休める順番のほうが自然です。
次のような状態が続くときは、考え方を直すより先に立ち止まってください。それは休むサインです。
- 眠れない、途中や早朝に目が覚める
- 食欲が落ちた、動悸や胃の不調がある
- 同じ考えが何時間もぐるぐる続く
- 仕事や家事が普段どおり回らない

疲れているときは誰でも思考が偏ります。まず生活を整えることが、クセと向き合う土台になります。
書き出して別の見方を一つ足すコラム法
少し落ち着いてきたら、コラム法という方法が取り組みやすいです。認知行動療法の中でも、紙とペンがあれば一人で始められます。
やり方はシンプルで、出来事と、そのとき浮かんだ考え、感じた気分を書き分けます。そのうえで根拠と反証を一つずつ挙げ、別の見方を一つ足すだけです。返信が遅いなら、根拠は連絡が来ないこと。反証は、相手が忙しい時期だったこと。別の見方は、明日こちらから確認してみよう、という具合です。

考えを消すのではなく、選択肢を一つ増やすのが目的です。無理に前向きな結論をひねり出す必要はありません。こういう見方もある、と一つ添えられれば十分です。うまく言い換えられない日があっても、それはそれで構いません。
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一人で仕分けせず専門家と一緒に見る
最後に、自分だけで抱えなくてよい部分に触れます。専門家と一緒にできること、そして治るのか病気なのかという疑問を整理します。
認知行動療法とカウンセリングでできること
一覧の当てはめは自己判断が入りやすく、厳しいほうへ傾きがちです。公認心理師や臨床心理士と一緒に見ると、事実と解釈を分けやすくなります。
カウンセリングは、クセを矯正する場ではありません。一人では仕分けしにくい考えを、一緒に眺め直す場です。同じ場面を話しても、自分では気づけなかった別の見方が出てくることがあります。眠れない状態が続くときは、心療内科や精神科という選択肢もあります。体調の面から支えてもらえます。
すぐに相談へ動けなくても大丈夫です。今は情報を眺めているだけ、という段階でも十分に意味があります。苦しさが強くなったときに頼れる場所がある。そう知っておくだけで、心の余白は少し変わってきます。

「治るのか」「病気なのか」への向き合い方
認知の歪みは、それ自体が病名ではありません。誰にでもある心の働きの一部です。当てはまること自体が病気を意味するわけではないんです。
ただし、眠れない・食欲がない・自分を責める考えが強い。消えたい気持ちが出てくる。そうした状態が2週間以上続くときは、うつや不安の不調が背景にあることもあります。その場合は、我慢を続けるより、早めに医療機関へ相談するほうが回復は近づきます。治すか直さないかの二択で焦らなくて大丈夫です。まず休む、次に整える、必要なら頼る。そのくらいのゆるやかな順番で十分です。