睡眠不足でメンタルの回復も進まず、不安な毎日を過ごしています…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

眠れない日が続くと、心の回復まで足踏みしているようで、不安になりますよね。

睡眠とメンタルは影響し合うので、片方だけを気合いで立て直すのは難しいものです。

朝の光を浴びるくらいの小さな一歩で十分ですし、それでも重い日が続くなら、一人で抱え込まないでほしいと思います。

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30代女性(会社員・公務員)

在宅と出社が混ざる働き方になってから、寝つく時間がばらばらです。夜中に何度も目が覚めて、朝はぼんやりしたまま出社しています。

気分も落ち込みやすく、休みの日も回復しきれません。眠れないのは自分の管理が甘いせいかと、余計にへこんでしまいます。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

眠れない夜が続くと、睡眠とメンタルの両方が沈んでいくように感じます。片方が乱れると、もう片方も引きずられていくからです。

この記事では、睡眠とメンタルがなぜ絡み合うのかを整理し、回復が進まないと感じるときの見直し方まで一緒に考えます。眠れない自分を責める前に、今の状態をそのまま見てみましょう。

眠れないのに、自分を責めていませんか

眠れない夜が重なると、気持ちまで重くなっていきます。睡眠とメンタルがどちらも不安定なとき、人はまず自分を責めがちです。最初に、その責める気持ちを少しほどいておきます。

眠れない自分を責めず、今のつらさを心と体からのサインとして受け止めます。
眠れない自分を責めず、今のつらさを心と体からのサインとして受け止めます。

布団に入っても目が冴えて、気づけば時計を何度も見ている。朝が来るのが怖い、という人もいます。

眠れない日が続くと、眠れない自分そのものを責めたくなります。意志が弱いせいだ、と感じてしまう人は多いものです。

眠れないこと自体がつらいものです。それがメンタルにも響くと知ると、不安はさらに重なります。この重なりが、夜をいっそう長く感じさせます。

夜になると身構えてしまう人は、あなただけではありません。仕事や家のことが頭に残り、体だけ布団に入る感覚が続きます。

そして、頑張って眠ろうとするほど眠れなくなります。眠気は、追いかけると逃げていくところがあります。

眠れない夜を、ひとりで静かに耐えている感覚になる人もいます。その静けさが、よけいに気持ちを追い込むこともあります。

時計を見る焦りから離れて休む選択も、夜の緊張を少しゆるめます。
時計を見る焦りから離れて休む選択も、夜の緊張を少しゆるめます。

けれど、眠れなさは気持ちの弱さとは別物です。心と体が休みを求めて出しているサインでもあります。

まずは、うまく眠れていない今の状態を、良い悪いで裁かないでおきましょう。責める材料をひとつ減らすだけで、夜の重さは少し変わります。

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睡眠とメンタルが乱れていく仕組み

なぜ眠れないと心が不安定になるのか。その仕組みが分かると、今の不調に少し説明がつきます。専門用語は控えめに、睡眠とメンタルのつながりを見ていきます。

睡眠とメンタルが乱れる理由

眠っている間、脳はその日の出来事や感情を整理しています。眠りが浅いと、この整理が追いつきません。

すると、不安やいら立ちが翌日まで残りやすくなります。ストレスホルモンのコルチゾールも増えやすい状態になります。

眠りが足りないと、自律神経のバランスも揺れます。日中に動悸やだるさを感じる人もいます。

厚生労働省のこころの耳でも、睡眠と心の健康の深い関わりが説明されています。

国も「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を出しました。そこでは、睡眠休養感という見方が大切にされています。眠った長さより、どれだけ休めたかを見る考え方です。

このガイドでも、睡眠の問題は精神疾患の発症リスクを高めると整理されています。うつ病では不眠や過眠が高い確率で併存するとも書かれています。

眠りと気分は影響し合うため、眠れた長さだけでなく休めた感覚にも目を向けます。
眠りと気分は影響し合うため、眠れた長さだけでなく休めた感覚にも目を向けます。

こうした説明だけを見ると不安になります。ただ、これは睡眠を整える意味の大きさとも読めます。

眠れた日と眠れない日で、気分の落差が大きい人もいます。その波も、睡眠と心がつながっているしるしです。

大事なのは、どちらが先かを突き止めることではありません。眠りの浅さと気分の重さは、互いに引っぱり合う輪のようにつながっています。

だからこそ、片方を少しゆるめると、もう片方もつられて軽くなることがあります。全部を一気に立て直さなくても、輪のどこか一点から手をつければ十分です。

「早朝覚醒」は病気のサインか

朝、まだ暗いうちに目が覚めて、そのまま眠れない。これを早朝覚醒と呼びます。

眠りのつまずきには、いくつかの型があります。寝つけない入眠困難、夜中に目覚める中途覚醒などです。

名前がついていると、つい深刻に受け取りがちです。調べるとうつのサインと出てきて、怖くなる人もいます。

一度あったからと、すぐ病名に結びつけなくて大丈夫です。疲れや加齢、季節の変化でも起こります。

一度の乱れと長く続く不調を分け、日中の生活への影響も見ておきます。
一度の乱れと長く続く不調を分け、日中の生活への影響も見ておきます。

見てほしいのは、その状態が何週間も続き、日中の気分まで落ちているかどうかです。一晩や数日の乱れなら、体の自然なゆらぎの範囲に入ります。

眠れない朝は、それだけで一日の見通しが暗く感じられます。まだ何も起きていないのに、と気づけると少し楽になります。

症状の名前は、自分を診断するための道具ではありません。相談するかどうかを決める、ひとつの目安として置いておきましょう。

今日から始める生活習慣の整え方

眠りの土台は、日々の小さな習慣で少しずつ変わります。全部を一度に変えなくてもかまいません。負担の少ない工夫から見ていきます。

生活リズムと入眠前の工夫

まず整えたいのは、起きる時間です。休日もできるだけ同じ時刻に起きると、体内時計が安定します。

寝る時間より起きる時間をそろえる方が、リズムは戻りやすいと言われます。眠かった日は、夜に少し早く休めば帳尻が合います。

朝の光を浴びると、夜の眠気が自然と戻ってきます。カーテンを開けるだけでもかまいません。

朝食を軽くでもとると、体は朝が来たことを受け取ります。無理のない範囲で、日中に少し歩くのも眠りを助けます。

朝の光を浴びる小さな習慣が、生活リズムを整えるきっかけになります。
朝の光を浴びる小さな習慣が、生活リズムを整えるきっかけになります。

就寝前は、ぬるめのお風呂で体を温めておくと寝つきやすくなります。湯船を出て体温が下がる頃に、眠気が訪れます。

日中に長い昼寝をすると、夜の眠りが浅くなります。眠気が強い日でも、午後の早い時間に20分ほどにとどめると安心です。

眠れないまま布団で粘ると、かえって目が冴えます。一度起きて、暗い部屋で静かに過ごす方が楽な日もあります。

布団は、眠れないことを確認する場所になりがちです。眠くなってから戻ると決めておくと、寝床と焦りが結びつきにくくなります。

ブルーライト・カフェインとの付き合い方

寝る前のスマホは、眠りを妨げやすい習慣のひとつです。強い光を浴びると、眠気を促すメラトニンが出にくくなります。

見ないのが理想でも、急にゼロにはできません。寝る30分だけ手放す、と決める方が続きます。

画面を見る時間を減らすと、頭のスイッチも切れていきます。寝る前は、照明を少し落として過ごすのもおすすめです。

負担が少ない工夫を、いくつか挙げておきます。

  • 起床時間を休日もそろえる
  • 朝、外の光を浴びる
  • 午後3時以降はカフェインを控える
  • 寝酒に頼りすぎない
一度に変えず、負担の少ない工夫から選んで試してみましょう。
一度に変えず、負担の少ない工夫から選んで試してみましょう。

カフェインは体から抜けるのに時間がかかります。量が半分に減るまでに数時間を要するほどです。午後遅いコーヒーは、控えめにしておきたいところです。

お酒は寝つきを助けるようで、夜中に目を覚まさせます。眠りの質という点では、頼りすぎない方が安心です。

どれも、できた日に自分を少し認めるくらいでちょうどよい工夫です。守れない日があっても、翌日からまた戻せば問題ありません。

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改善しても回復しない時に見直したいこと

習慣を整えても、すぐには回復しない時期があります。それでも眠れないと、焦りが強まります。回復が進まないときの見直し方を、最後に考えます。

「試したのに変わらない」を責めない

本やサイトの通りに試したのに、まだ眠れない。そんなとき、努力が足りないと感じてしまいます。

けれど回復は、直線では進みません。良い日と悪い日を行き来しながら、少しずつ底が上がっていきます。

回復のペースは、人によって違います。誰かの一週間が、自分の一か月に当たることもあります。

そもそも、生活を変える余裕がない時期もあります。仕事が立て込んでいたり、育児で自分の時間が持てなかったり。眠りだけを切り離して整えるのは、そんな状況では難しいものです。

眠れた時間より、日中を少しでも楽に過ごせたかを見てみてください。睡眠を取り戻すノルマにすると、かえって苦しくなります。

回復には波があるものとして、できた工夫を一つずつ数えていきます。
回復には波があるものとして、できた工夫を一つずつ数えていきます。

完璧に眠ろうとするほど、眠れない夜が失敗のように感じられます。7割眠れたら十分、くらいの目盛りに変えておくと呼吸が楽になります。

変わらない自分を責める代わりに、続けられた工夫を一つ数える。それだけでも気持ちの向きは変わります。

専門家に相談してもいい目安

一人で抱えるのがつらいと感じたら、それが相談してよいサインです。はっきりした病気かどうかを、相談の前に決める必要はありません。

気分の落ち込みや不安が2週間以上続く。日中の仕事や家事に明らかな支障が出ている。こうしたときは、早めに専門家を頼る選択肢があります。

窓口はいくつもあります。ひとつは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)。日中に話しにくければ、かかりつけ医や心療内科でもかまいません。

何を話せばいいか分からなくても平気です。眠れない、気分が重い、とだけ伝えるところから始められます。

眠れない、気分が重いと伝えることから、相談を始められます。
眠れない、気分が重いと伝えることから、相談を始められます。

家族や友人に、眠れないと一言こぼすだけでも構いません。相手が解決してくれなくても、抱える重さは少し軽くなります。

相談は、弱さのしるしとは限りません。眠れない日々を一人で背負い続けないための、現実的な手段です。

睡眠とメンタルは、どちらが先かを突き止めなくても立て直せます。今日うまく眠れなくても、明日の夜まで同じとは限りません。

まずは、眠れない自分をこれ以上追い立てないところから始めてみませんか。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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