虚言癖のある同僚に振り回されて疲れました。職場ではどう接すればいいですか?
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
職場に、嘘とわかっていて聞き続ける相手がいるのは、想像以上に消耗します。
確かめるほど自分の記憶まで怪しく感じて、指摘もできずに飲み込んでしまう。
そのモヤモヤは、あなたが誠実だからこそ溜まるものなんですよね。
まずはご自分のほうを守ってあげてください。
30代女性(会社員)
30代の会社員です。
同じ部署の同僚が、確かめればすぐ嘘とわかる話を平気で口にします。
取引先の情報も業務の報告も、どこまで本当か分からず、気づけば私が裏取りばかり。
指摘する立場でもないのに、放っておく自分にもモヤモヤします。
どう接すればいいのでしょうか。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
嘘だと分かっていて話を聞き続けるのは、静かに気力を削られる時間ですよね。
確かめる負担も、指摘できない後ろめたさも、あなたが誠実に向き合っているからこそ生まれています。
この記事では、相手を診断も論破もせずに巻き込まれないための距離の取り方と、自分の消耗をどこで線引きするかを、一緒に整理していきます。
嘘に振り回される毎日に疲れていませんか
まずは、今の消耗を確認するところから始めます。
虚言癖のある同僚と過ごす職場では、疲れの正体が自分でも見えにくくなりがちです。
ここでは、あなたが何にすり減っているのかを、少しだけ言葉にしてみます。
確認するほど自分の記憶が信じられなくなる

同僚の話がどこまで本当か分からないと、人はつい裏を取ろうとします。
メールを遡ったり、別の人にそれとなく聞いたり。
その作業が積み重なると、いつの間にか自分の記憶のほうを疑い始めることがあります。
言った言わないの水掛け論になれば、なおさらです。
相手が悪びれない分、こちらが勘違いだったかもと引いてしまう。
この感覚は、あなたが鈍いからではなく、事実が揺さぶられ続けているから起きるものです。
指摘できないまま抱えるモヤモヤと罪悪感
同僚という立場は、少し厄介です。
指摘する権利も義務もないのに、実害だけは自分に降りかかってきます。
はっきり言えば角が立つ、放っておけば尻拭いが増える。
そのどちらも選べないまま飲み込むと、割り切れなさと小さな罪悪感が残ります。

まずは、その板挟みに疲れて当然だと認めるところからで大丈夫です。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
虚言癖とは何か 病気か性格か決めつける前に
次に、相手が何者なのかを少し整理します。
ただし、ここでの目的は診断ではありません。
病気なのか性格なのかという問いとの、距離の取り方を確認していきます。
病名ではない虚言癖と「病的虚言」
虚言癖は、正式な診断名ではありません。
どうしても嘘をついてしまう傾向を指す、通称のような言葉です。
明確な得がないのに嘘を重ねる状態は、臨床では病的虚言(パソロジカル・ライイング)と呼ばれることがあります。
ただ、これも正式な病名ではなく、あくまで特徴的なパターンの呼び名にすぎません。
つまり、同僚を一言で説明できる診断ラベルは、そもそも存在しないのです。

背景にあり得る疾患と素人判断を避ける理由
背景に、パーソナリティ障害や発達特性などが関わっている場合はあります。
米国精神医学会の診断基準(DSM-5-TR)では、パーソナリティ障害は10種類に分類され、一般人口での有病率はおよそ10%とも報告されています。
決して珍しいものではない、という程度に知っておけば十分でしょう。
ただ、周囲がこれを当てはめて、あの人は◯◯障害だと決めつけるのは避けたいところです。
診断は専門家が慎重に行うもので、素人のレッテル貼りは、かえって事実確認を難しくします。
紛らわしいのは、虚言癖だと誤解されやすいケースがあることです。
単なる記憶違いや、発達特性による言い間違い、体調による思い込みなどは、悪意のある嘘とは別物です。
相手を疑う前に、これは事実の食い違いなのか、それとも繰り返される作り話なのか、と一呼吸おいて眺めてみてください。
なぜ平気で嘘をつくのか 防衛・承認欲求・習慣
理由が少し分かると、気持ちが落ち着くこともあります。
嘘の動機は、大きく三つの方向で語られることが多いです。
- 防衛:叱責やミスの発覚を避けるための、とっさの嘘
- 承認欲求:すごい自分でいたくて、つい話を盛ってしまう
- 習慣:はっきりした目的がないまま、嘘が癖になっている

どれも、相手の中では自分を守る手段になっています。
背景には、幼い頃に正直に言っても責められた経験や、認められたい気持ちの強さが隠れていることもあります。
とはいえ、理由が分かることと、振り回され続けてよいことは別です。
相手の事情に理解を向けても、あなたが我慢の量を増やす必要はありません。
私を困らせたい一心ではないらしい、と分かるだけで、受け止め方は少し軽くなります。
職場で虚言癖の同僚に巻き込まれない接し方
ここからは、今日から試せる距離の取り方です。
目指すのは、嘘を暴くことではありません。
巻き込まれずに、自分の仕事と気力を守ることに絞ります。
大げさに反応せず二人きりを避ける
嘘に強く反応すると、相手の気を引く結果になりがちです。
注目を求めるタイプほど、驚きや否定が燃料になってしまいます。
やめておきたいのは、全部にきちんと向き合おうとすることです。
何を受け流して何に線を引くかを、あらかじめ分けておくと楽になります。
具体的には、雑談レベルの誇張はへえそうなんですね、と淡々と受け流す、業務に関わる情報は文面で確認する、相手のミスの尻拭いまでは引き受けない、という三段階が目安です。

大事な話をするときは、できるだけ二人きりを避けて、誰かに同席してもらいましょう。
後から言っていないと覆されるのを、防ぎやすくなります。
業務連絡は文面に残し事実を記録する
口頭だけのやり取りは、水掛け論の温床になりやすいです。
指示や報告は、メールやチャットなど文面に残る形に寄せておくと安心できます。
いつ、何を、どう言われたか。
業務に影響が出た事実を、淡々とメモしておくのも有効です。
これは相手を責めて追い詰めるためではなく、事実を確認するための記録だと考えてください。

責める道具にすると、自分を守るための新しい嘘を招きやすくなります。
問い詰め・論破が逆効果になる理由
また嘘でしょう、と正面から問い詰めたくなる気持ちは自然です。
ただ、証拠を突きつけても、相手が素直に認めることはあまり期待できません。
追い詰められると、さらに大きな嘘を重ねるか、論点をすり替えて反撃してくることが多いからです。
そんなに疑うのかと、こちらが加害者のように扱われることもあります。
勝ち負けの土俵に上がらず、事実だけを静かに扱うほうが、結果として消耗を減らせます。
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上司・人事への相談と立場別の対応
一人で抱えきれないときは、相談という選択肢があります。
ここでは、伝え方のコツと、相手の立場が違う場合の考え方を整理します。
水掛け論を避ける事実ベースの伝え方
上司や人事に相談するときは、感情より事実を軸にします。
嘘つきで困る、ではなく、◯日の報告と結果が食い違い、納期に影響した、という形です。
人物評ではなく、業務にどんな支障が出たかを具体的に示すと、動いてもらいやすくなります。

あの人は嘘つきです、という伝え方だと、こちらの感情の問題として片づけられてしまうこともあるからです。
記録があれば、それがそのまま説明材料になります。
日付とやり取りの事実を並べるだけで、水掛け論に持ち込まれにくくなります。
相談は告げ口ではなく、業務を回すための正当な手段だと考えて構いません。
相手が上司の場合と部下に悩む場合
嘘をつくのが上司だと、逃げ場のなさが増します。
直属に相談しづらいときは、人事や別ラインの管理職、社内外の相談窓口も選択肢に入れましょう。
やり取りを文面に残す大切さは、相手が上司でも変わりません。
自分が管理職で、部下の虚言に悩む場合は、少し視点が変わります。
人格を責めるのではなく、行動と事実に絞って確認する姿勢が有効です。

正直に報告しても不利益はない、と伝わる関わりが、防衛的な嘘を減らすきっかけになることもあります。
自分の心を守る限界ラインと相談先
最後に、いちばん大切な、あなた自身の話です。
相手をどうにかする前に、自分の消耗の線引きを確認しておきましょう。
どこまで対応するかに迷ったら、三つの視点が助けになります。
業務や評価に実害が出ているか、自分の心身がどれくらいすり減っているか、そもそもその相手と深く関わる必要があるか。
この三点を並べてみると、力を入れる場面と、そっと離れていい場面が見分けやすくなります。

治すのは本人と専門家 周囲に責任はない
虚言癖が治るのかは、多くの人が気になるところです。
本人が困り感を持ち、専門的な支援につながれば、変化の余地はあります。
一方で、周囲が相手を治す責任を負う必要はありません。
同僚のあなたが、指摘や説得で人を変えようとしなくていいのです。
相手の課題と自分の課題を切り離す。
この線引きが、巻き込まれないための一番の土台になります。
不眠・出勤の憂うつは危険サイン
気をつけたいのは、消耗が体に出てきたときです。
確認作業で仕事が回らない、自分の記憶を疑い始めた、出勤前に動悸がする。
こうしたサインが続くなら、我慢の段階を越えているのかもしれません。
とくに、眠れない、食欲がない、朝がつらいといった変化は見過ごさないでください。

自分が弱いからではなく、環境がそれだけ負荷になっている、という受け止め方で十分です。
こうしたときは、配置換えを願い出る、部署内での距離を広げてもらうなど、環境そのものを動かす選択肢も検討していいところです。
相手を変えられなくても、自分の置かれ方を変える道は残っています。
産業医やカウンセリングという選択肢
しんどさが続くときは、相手のためではなく自分のために、相談先を持っておきましょう。
社内なら産業医、社外なら心療内科やカウンセリングが選択肢になります。

働く人の悩みについては、厚生労働省のこころの耳のような公的な相談窓口も利用できます。
誰かに話すあてがないときの、最初の一歩として知っておくと心強い場所です。
相手を変える相談ではなく、自分の消耗を整える相談として使って構いません。
虚言癖のある同僚とどう接するかという問いの答えは、相手を正すことよりも、あなたが穏やかに働き続けられる形を探すことの中にあります。
一人で背負い込まなくていい、というだけでも、少し肩の力が抜けるかもしれません。
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