退職したいが罪悪感がすごい…人手不足でも辞めていいですよね?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

退職の罪悪感は、あなたが職場の人との関係を大切にしてきたからこそ生まれるものです。

相談の場でよくお伝えするのは、その罪悪感が「自分の課題」から来ているのか、「会社の課題」から来ているのかを、一度分けて眺めてみることです。

まずは気持ちの形を確かめながら、焦らず、自分の状態に合った選び方を探していきましょう。

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20代後半女性(会社員)

今の職場は慢性的に人手が足りず、退職者が出るたびに残った人数で仕事を回しています。
私自身も余裕がなくなってきて、そろそろ辞めたいと思うようになりました。

ただ、自分が抜けたらこの人たちはどうなるんだろうと考えてしまいます。

色々と教わった恩もあるので、無責任なんじゃないか。と考えてしまいます。

ココラボ相談室からの回答

辞めたい気持ちと、残る人への申し訳なさ。この二つが同時にあると、どちらかが間違っているように思えて、身動きが取れなくなりますよね。

この記事では、退職の罪悪感が人手不足の場面でなぜ強くなるのかを整理しながら、その重さが自分の責任から来ているのか、会社の課題から来ているのかを、少しずつ見分けていきます。

日常の場面に置き直すと、辞めたい気持ちと申し訳なさが同時にある自然さが見えてきます。

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退職したいのに動けない罪悪感

退職を考えるとき、辞めたい気持ちと同じくらい強く出てくるのが罪悪感です。ここでは、その申し訳なさがどんな場面で膨らむのかを、一度ほどいて見ていきます。答えを急がず、まず感情の形を確かめるところから始めます。

申し訳なさが強くなる場面

罪悪感は、漠然とではなく、特定の場面で急に重くなります。疲れた顔で残業している同僚を見たとき。新人の頃に丁寧に教えてくれた上司と話したとき。

自分が抜けたら、この人たちの負担が増えてしまう。そう想像した瞬間に、辞めたい気持ちが後ろめたさに変わります。恩義や迷惑、裏切りといった言葉が頭をよぎるのは、あなたが周囲との関係を大切にしてきたからでもあります。

申し訳なさは、周囲を大切にしてきた人ほど強く出やすい感情です。

自分を責めすぎてしまう理由

真面目な人ほど、自分の役割と自分自身を重ねて考えがちです。だから退職を、仕事から離れることではなく、自分を否定する行為のように感じてしまいます。

もう一つは、相手がどう思うかを自分の中だけで決めつけてしまうことです。失望されるかもしれない、無責任だと思われるかもしれない。その想像は事実ではないのに、罪悪感を何倍にも膨らませます。退職の罪悪感を調べる人の多くが、この想像の重さに苦しんでいます。

人手不足で背負いすぎる責任

辞めたいのに動けない理由の中心には、人手不足があることが少なくありません。ここでは、その責任がどこまで自分のものなのかを、感情と切り離して整理します。すべてを背負う必要はない、という話を具体的に見ていきます。

会社の課題と自分の課題

一人が抜けると仕事が回らない。それは確かに現実ですが、人員配置や後任の採用は、本来は経営や管理職が担うべき仕事です。あなた一人の退職で回らなくなる状態は、組織の側に課題があるサインでもあります。

心理学には、自分がコントロールできることとできないことを分けて考える視点があります。人手不足への対応は会社の課題、自分のキャリアや健康は自分の課題。この線引きをするだけで、抱えていた重さの一部が、そもそも自分のものではなかったと気づくことがあります。

会社の課題と自分の課題を分けると、背負う範囲を見直しやすくなります。

辞める権利と現実的な配慮

退職は、許可をもらうものではなく、伝えるものです。民法では、期間の定めのない雇用なら、原則として申し出から2週間で退職できると定められています。人手不足だからといって、辞める権利そのものが消えるわけではありません。

ただし、権利があることと、配慮をどうするかは別の話です。就業規則に退職予告の期間が書かれていることも多いので、契約内容を一度確認しておくと、無用なトラブルを避けやすくなります。権利を知ったうえで、自分にできる範囲の配慮を選ぶ。この順番が、後味の良い辞め方につながります。

3ヶ月で辞めたい場合の不安

入社して間もない時期の退職には、別の重さがあります。3ヶ月で退職するのは迷惑ではないか、転職で不利にならないか。この不安は現実的なもので、頭ごなしに否定はできません。

短期離職が職歴として残り、次の選考で理由を問われる場面はあります。一方で、20代の早期離職は珍しくなく、ミスマッチは誰にでも起こり得ます。大切なのは、なぜ合わなかったのかを言葉にして、同じ理由で辞めない準備をしておくことです。それができていれば、期間の短さそのものが決定的な弱点になるとは限りません。

短い在籍期間への不安は、理由を言葉にする準備で扱いやすくなります。

辞める前に見たい心身のサイン

退職 罪悪感 不要という言葉を見て、すぐに辞める背中を押されたと感じる人もいます。ただ、ここで一度立ち止まって、辞める前に確かめておきたいことがあります。焦って決めるのではなく、自分の状態を見極める章です。

まずは、今の自分がどこに近いかを大まかに確かめてみてください。

こんなとき考えたい方向
不満が特定の業務や部署に限られている異動・分担の見直し・休職など、退職以外の選択肢も確認
相談しても改善が見込めない、価値観が根本から合わない環境を変える方向で具体的に検討
眠れない、食欲が戻らないなどの不調が続いている判断より先に、心身のケアを優先

心身の状態を確認する時間は、退職判断を急がないための足場になります。

続ける余地があるケース

辞めたい理由が、部署や担当業務に限定されている場合、退職以外の選択肢が残っていることがあります。異動や業務分担の見直し、休職といった制度を、まだ試していないなら検討する余地はあります。

これは我慢を勧めているのではありません。環境を変える手段が退職だけとは限らない、という確認です。相談してみて何も変わらないと分かれば、それはそれで、辞める判断を後押しする材料になります。

離れた方がよいサイン

一方で、離れた方がよい状況もはっきりあります。長時間労働や未払いが常態化している、価値観が根本から合わない、相談しても改善が見込めない。こうした場合、留まって好転を待つより、環境を変える方が現実的です。

判断に迷ったときの基準の一つが、心身に影響が出ているかどうかです。頭では続けられると思っていても、体が動かない朝が増えているなら、それは見過ごさない方がよいサインです。

体の反応が出ているときは、根性ではなく安全のサインとして受け止めたいところです。

心身に出ている不調

眠れない日が続く、食欲が戻らない、出勤前に強い動悸や吐き気がある。こうした不調が長く続いているなら、退職の判断より先に、心身のケアを優先したい段階かもしれません。

無理を重ねると、辞める辞めない以前に、回復に時間がかかる状態になることがあります。つらさが強いときは、心療内科や、厚生労働省のこころの耳のような窓口に、早めに状況を話してみてください。専門家に整理を手伝ってもらうことは、弱さではなく、自分を守るための選択肢です。

不調のサインが続くときは、判断よりも回復を優先してよい段階です。

罪悪感を軽くする退職準備

罪悪感をゼロにするのは難しくても、抱えたまま前に進むことはできます。ここでは、後ろめたさを少し軽くするための、現実的な準備を見ていきます。伝え方、引き継ぎ、感謝の三つに絞ります。

退職理由の伝え方

退職を伝えるときは、辞めようか迷っているという曖昧な言い方より、退職したいと考えていますと言い切る方が、話が長引きにくくなります。理由は、会社への不満を並べるより、前向きな言葉に置き換える方が、双方に角が立ちません。

一身上の都合で十分な場面も多いです。詳しく問われたときだけ、次に挑戦したいことを簡潔に添える。この程度の準備があれば、伝える場面の緊張はいくらか和らぎます。

引き継ぎでできること

罪悪感を和らげる実感につながりやすいのが、引き継ぎです。やるべきことをやり切ったという事実は、申し訳なさを少しずつ達成感に変えていきます。

完璧を目指す必要はありません。担当業務の手順や進行中の案件の状況を、後任が読めば分かる形にまとめておく。それだけでも、自分にできる配慮は果たしたと思える材料になります。

引き継ぎを形にすることは、自分にできる配慮を確かめる助けになります。

感謝を伝えるタイミング

謝罪の言葉が続くと、去ることが悪いことのように自分にも刷り込まれていきます。すみませんを、お世話になりましたに置き換えてみると、同じ場面でも残る印象が変わります。

感謝は、退職を伝える日とは別に、最終出勤が近づいたころに個別へ届けるのも一つです。お世話になった人へ一言伝える時間を持てると、罪悪感より、区切りをつけられた感覚が残りやすくなります。

ひとりで抱え込まないために

罪悪感は、一人で考えるほど強くなります。反論してくれる視点がないまま、想像だけが膨らんでいくからです。最後に、抱え込みをゆるめるための相談先を、選択肢として置いておきます。

引き止めが強いとき

退職を伝えたあと、強い引き止めに遭うことがあります。育ててやったのに、今辞めるのは無責任だ。こうした言葉は、あなたの誠実さを利用して決断を鈍らせる働きをします。

意思が固いなら、感謝は伝えつつ、毅然と繰り返すのが基本です。それでも辞めさせてもらえない、脅しに近い対応をされるといった場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談する方法があります。一人で抱えきれないときの、正当な手段だと知っておいてください。

引き止めが強いときほど、外の相談先を持つことで決断を守りやすくなります。

相談先を使う目安

決めきれない状態が何ヶ月も続いている、考えるほど眠れなくなる。そんなときは、身近な誰かや、キャリアや心の専門家に、一度言葉にしてみる段階かもしれません。話すだけで、自分が思っていたほど大ごとではなかったと気づくこともあります。

退職は、あなたの人生の中の一つの選択です。罪悪感を抱えていること自体は、間違いでも欠点でもありません。その重さの正体を少しずつ見分けながら、自分のペースで、どうしたいかを選んでいけたらと思います。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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