過緊張のせいか仕事でミスばかりしてしまう…また怒られるのが怖いです

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

過緊張が続くと、ミスそのものより、また怒られるかもと身構える時間のほうがつらくなりますよね。

こんなときは、緊張しやすい性格を責める前に、こわばった体をゆるめる数分をつくってみてほしいです。

焦って自分を変えようとしなくて平気ですよ。

できるところから一緒に整えていきましょう。

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20代女性(会社員)

入社して半年ほどですが、確認したはずの書類でまた抜けが見つかり、上司にため息をつかれました。

挽回しようと焦るほど手が止まって、頭が真っ白になります。

緊張しやすい自分が情けなくて、朝、会社の最寄り駅に着くと胃が重くなるんです。

こんなに焦ってしまうのは、私が弱いからなのでしょうか。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

ミスが続くと、仕事の失敗そのものより、また怒られるのではという怖さのほうが大きくなっていきますよね。

この記事では、過緊張で頭が真っ白になりミスが増える仕組みと、ミスした直後に気持ちを立て直すための小さな方法を、心理の視点から整理していきます。今すぐ性格を変えなくても、できることはあります。

ミスが続いて「また怒られる」と怖くなるのは自然なこと

仕事でミスが重なると、失敗した事実そのものより、次に怒られる場面を先回りして想像するほうがつらくなります。

まずは、いま自分の中で起きていることを、責めずに眺めるところから始めてみましょう。この章では、抜け出しにくい悪循環の正体と、ミスと能力の関係を一度切り離して考えます。

ミスの後に焦りが強まると、注意が散って次の見落としにつながりやすくなります。
ミスの後に焦りが強まると、注意が散って次の見落としにつながりやすくなります。

挽回しようと焦るほど空回りする悪循環

ミスをすると、早く取り返さなければという焦りが一気に強まります。ところが焦っているときほど注意があちこちに散らばり、普段なら気づく小さな抜けを見落としてしまいます。

その結果また指摘され、緊張がさらに強くなる。この繰り返しが、多くの人が陥る負のスパイラルです。

ミスをした後は、その場面が頭の中で何度も再生され、自分を責める声が止まらなくなることもあります。この反芻が長引くほど、目の前の作業から気持ちがそれて、新しい抜けを生むきっかけになります。

苦しいのは、あなたがいい加減だからではなく、過度な緊張が思考の余裕を奪っているからです。まじめに挽回しようとする人ほど、この輪の中で消耗しやすくなります。

ミスが増えるのは能力ではなく過緊張という状態

ミスが続くと、自分は仕事ができない人間なのかもしれない、と感じやすくなります。けれど、その多くは能力の問題ではなく、緊張が高すぎて本来の力を出しきれていない状態です。

ミスが増えたときは、能力そのものより緊張で力を出しにくい状態かもしれません。
ミスが増えたときは、能力そのものより緊張で力を出しにくい状態かもしれません。

過度な緊張は、面接や試験のような一時的な場面だけでなく、職場にいる間ずっと続くこともあります。同じ人でも、緊張の度合いによって発揮できる力は大きく変わります。

周りと比べて自分だけができていないと感じるときも、比べているのは相手の平常時と、自分の緊張のピークかもしれません。条件をそろえて見ると、印象はずいぶん変わってきます。

能力そのものが消えたわけではない、という前提に立つだけでも、次に試せることが見えやすくなります。

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過緊張で頭が真っ白になりミスが増える仕組み

なぜ緊張するとミスが増えるのか、その仕組みを知ると、自分だけを責める気持ちが少しほどけます。

ここでは過緊張という状態と、頭が真っ白になる理由を、心と体の両面から整理します。原因の見当がつくと、対処の方向も定まってきます。

過緊張とは交感神経が張り続ける状態

私たちの体には、活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経があります。普段はこの二つがバランスを取り合っていますが、強いプレッシャーが続くと交感神経が優位なまま戻りにくくなります。

この、緊張のスイッチが入りっぱなしになった状態が過緊張です。肩こりや動悸、寝つきの悪さ、帰宅しても仕事が頭から離れない感覚は、そのサインとして現れやすいものです。

過緊張では活動モードが続き、体が休息へ切り替わりにくくなります。
過緊張では活動モードが続き、体が休息へ切り替わりにくくなります。

緊張は本来、危険から身を守るための自然な反応です。ただ、それが長く続きすぎると、日中の集中にもじわじわ影響が出てきます。

人によっては、休日になっても気が休まらない、気づくと体に力が入っている、といった形で表れることもあります。自分では気を張っている自覚がないまま、静かに消耗していることも少なくありません。

緊張がワーキングメモリを奪う理由

強い緊張状態では、脳内でノルアドレナリンという物質が過剰に働くといわれます。これが、情報を一時的に保持しながら処理するワーキングメモリの働きを鈍らせることが知られています。

ワーキングメモリは、指示を聞きながらメモを取る、複数の手順を短時間だけ覚えておく、といった作業に関わる機能です。ここが目詰まりを起こすと、聞いたはずの内容が抜ける、途中で何をしていたか分からなくなる、といったことが増えます。

強い緊張で頭の処理余裕が減ると、指示や手順が一時的に抜けやすくなります。
強い緊張で頭の処理余裕が減ると、指示や手順が一時的に抜けやすくなります。

さらに、睡眠不足や疲労が重なると、判断や論理的な思考をになう脳の働きも鈍りやすくなります。緊張と寝不足が同時にあるときにミスが増えるのは、ある意味で自然なことです。

頭が真っ白になるのは、気合が足りないからではなく、脳が一時的に処理しきれなくなっているからです。この見方に立つと、自分の性格を丸ごと否定する必要はない、と少し思えてきます。

完璧主義や真面目さが緊張を強める背景

過緊張になりやすい人には、完璧主義や真面目さ、失敗を強く恐れる傾向があるといわれます。ミスを絶対に避けたいという思いが強いほど、緊張のアクセルは踏み込まれやすくなります。

たとえば、少しの抜けも許せないと感じる人は、いつも自分を見張るように働いてしまいます。その張りつめ方が、かえって心の余裕を削ってしまうことがあります。

まじめさは、本来あなたの持ち味です。問題は性格そのものではなく、その持ち味が緊張と結びついて空回りしている点にあります。

ミスした直後と怒られる場面での立て直し方

仕組みが分かっても、実際にミスをした瞬間はやはり動揺します。

ここでは、頭が真っ白になった直後の対処、叱責への恐怖との向き合い方、そしてミスを減らす工夫を順に見ていきます。完璧を目指すというより、立て直しの手数を少しずつ増やすイメージです。

その場を少し離れて長く息を吐くと、高ぶった体を落ち着けるきっかけになります。
その場を少し離れて長く息を吐くと、高ぶった体を落ち着けるきっかけになります。

頭が真っ白になった直後の呼吸と離れ方

ミスに気づいてパニックに近くなったときは、まずその場からいったん物理的に離れると落ち着きやすくなります。トイレや休憩スペースなど、人の視線が少ない場所で構いません。

そこで、吐く息を吸う息より長めにする呼吸を数回繰り返します。息を長く吐くと副交感神経が働きやすくなり、高ぶった体が少しずつ鎮まっていきます。

  • いったんその場を離れて一人になる
  • 吐く息を長くする呼吸を数回おこなう
  • 起きた事実と今できることを紙に書き出す
  • 落ち着いたら早めに上司へ報告する

大切なのは、完全に立ち直ってから動くのではなく、少し落ち着いた時点で次の一歩に移ることです。

上司の苛立ちと自分の価値を切り離す

怒られること自体への恐怖が強いと、上司の表情ひとつで頭が真っ白になります。ただ、上司の苛立ちには、その場の状況や相手自身の余裕のなさも混ざっていて、あなたの人としての価値をそのまま映すものではありません。

評価は仕事という作業に向けられたもので、存在そのものへの否定ではない。この線引きを意識するだけでも、受け取り方が少し変わってきます。

仕事への指摘と相手の機嫌を、自分の価値から切り離して受け止めてみましょう。
仕事への指摘と相手の機嫌を、自分の価値から切り離して受け止めてみましょう。

相手の反応をすべて自分のせいと受け取ってしまうと、必要以上に萎縮して、かえって力が出せなくなります。自分と相手のあいだに少しだけ距離を置くイメージを持てると、呼吸がしやすくなります。

怖いと感じること自体は、責めなくて大丈夫です。そのうえで、指摘の中身と相手の機嫌を分けて眺める練習を、少しずつ重ねていけると楽になります。

ミスを減らすチェックリストと報連相

緊張しやすいときほど、記憶や注意だけに頼らない仕組みが助けになります。確認事項をチェックリストにして作業後に必ず見返すと、抜けを拾いやすくなります。

複数の作業を抱えているなら、いったん全部を書き出して優先順位をつけ、一つずつ区切って進める方法が有効です。頭の中だけで回そうとしないことが、焦りそのものを減らしてくれます。

書き出して一つずつ進め、早めに報告する仕組みが記憶と注意を支えます。
書き出して一つずつ進め、早めに報告する仕組みが記憶と注意を支えます。

完璧なチェックリストを用意する必要はありません。よく間違える数項目から書き始めるだけでも、確認の抜けはぐっと拾いやすくなります。

報連相では、事実とリスクと提案をセットにして伝えると通りやすくなります。早めの報告は、自分を追い込むためではなく、自分を守るための手段でもあります。

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性格か過緊張か受診すべきかを見分ける目安

ここまでの工夫を試しても、つらさが続くことはあります。

そのときは、性格の問題として抱え込まず、心と体の状態として見立て直す視点が役に立ちます。ここでは、相談を考えたほうがよいサインと、相談先の選び方を整理します。

不眠や出勤前の動悸が続くときのサイン

一時的な緊張なら、休みを挟むとある程度回復します。けれど、次のような状態が続くときは、消耗が深くなっているサインかもしれません。

ひとつの目安は、つらさが二週間以上続いているかどうかです。眠れない夜が続く、朝に動悸や吐き気がして出勤がつらい、ミスの場面が頭から離れず何度も思い返してしまう。こうした状態が重なっているなら、無理を積み上げる前に一度立ち止まりたいところです。

出勤前の動悸や吐き気、不眠が続くときは、無理を重ねる前に立ち止まるサインです。
出勤前の動悸や吐き気、不眠が続くときは、無理を重ねる前に立ち止まるサインです。

食欲が大きく落ちた、消えてしまいたいという考えがふとよぎる、といった場合は、早めに誰かの手を借りてほしい段階です。

心療内科・産業医・カウンセリングの選び方

相談先は一つではありません。眠れない、動悸が続くなど体の不調が強いときは、心療内科や精神科で状態を整理してもらえます。

職場に産業医や保健師がいるなら、業務量の調整といった現実的な相談ができます。勤め先に従業員支援の相談窓口があれば、そこから外部の専門家につないでもらえることもあります。気持ちの整理や考え方の癖と向き合いたいときは、公認心理師などによるカウンセリングも選択肢になります。

体の不調、職場調整、気持ちの整理など、相談したい内容に合わせて窓口を選べます。
体の不調、職場調整、気持ちの整理など、相談したい内容に合わせて窓口を選べます。

厚生労働省の こころの耳 では、働く人向けの相談窓口やセルフケアの情報が整理されています。どこに相談するか迷うときの、最初の入り口として使えます。

どの窓口も、あなたの弱さを確かめる場所ではなく、状態を整理して次の一手を一緒に探す場所です。合わないと感じたら、別の相談先を選び直しても構いません。

緊張しやすい自分を、無理に別人へ作り替える必要はありません。力の出し方を少しずつ取り戻していく道もあります。今日試せそうな小さな一つから、ゆっくり始めてみてください。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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