会食恐怖症で飲み会をどう断ればいいのか分からず、職場で嫌われないか不安…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
飲み会の案内を見るたびに気持ちが重くなる、そんな方は少なくありません。
断れないのは性格のせいではなく、人前での食事に体が先に反応してしまうからなんですよね。
今日すぐ参加できなくても構いません。
まずは断り方の引き出しを一つ増やすところから、ご一緒に考えていきましょう。
20代後半 女性(会社員)
人前でご飯を食べようとすると喉が締まって、飲み会の案内が来るたびに胃が重くなります。
毎回体調のせいにして断っているけれど、続けているうちに誘われる回数も減ってきて。
付き合いが悪いと思われて、職場で浮いているんじゃないかと、そればかり考えてしまいます。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
誘いを断ること自体より、断り続ける自分をどう受け止めればいいのか。そこで苦しくなっている方は、思っている以上に多いものです。
この記事では、会食恐怖症の飲み会や職場での断り方を場面ごとに整理しながら、打ち明けるか別の理由にするかを選ぶための考え方も一緒に見ていきます。
すぐに答えが出なくても、今の自分に合う距離感を探す手がかりになればと思います。
飲み会を断れない自分を責めてしまうあなたへ
飲み会や食事の誘いを断るとき、ほっとするより先に申し訳なさが押し寄せてくる。そんな感覚を抱えている方は少なくありません。
ここではまず、今のあなたが何に一番しんどさを感じているのかを、ゆっくり見分けていきます。
「断り方が分からない」のか「罪悪感」なのか
同じ断りたいでも、その中身は人によって違います。うまい言い方が見つからなくて困っているのか、それとも断ること自体に胸が痛むのか。
ここが混ざったままだと、対処もぼんやりしてしまいます。言葉に詰まるタイプの方は、この後の場面別のフレーズが助けになります。
一方で、断るたびに自分を責めてしまう方は、まず罪悪感のほうを先に扱うと楽になりやすいです。飲み会を断ったあとに何日も引きずってしまうなら、課題は言い方ではなく気持ちの側にあります。
自分がどちらに重心があるのかを知るだけでも、少し肩の力が抜けていきます。
嫌われる不安と罪悪感との向き合い方
断れない背景には、嫌われるかもしれないという不安が隠れていることがよくあります。その不安は消そうとするより、正体を眺めてみるほうが扱いやすくなります。
付き合いが悪いと思われないか、という心配は、裏を返せば職場の人を大切にしたい気持ちの表れでもあります。あなたが冷たい人だから断っているのではない、という事実は覚えておいてほしいところです。

罪悪感が強い日は、断った理由を頭の中で正当化しようとして、かえって疲れてしまいます。そんなときは、体を守るための選択をしただけだと、一度言葉にしてみると落ち着きやすいです。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
会食恐怖症とは何か 断ることは怠けではない
断り方の前に、そもそも自分に何が起きているのかを知っておくと、対処の軸が定まります。ここでは症状の輪郭と、断ることの意味を整理します。
専門的な内容も、できるだけ普段の感覚に近い言葉でお伝えします。
食事場面で出る身体症状と社交不安
会食恐怖症は、人前での食事に強い不安を感じる状態で、社交不安障害(社交不安症)の一つとして理解されることが多いものです。家で一人なら普通に食べられるのに、誰かと一緒になると喉が詰まる、動悸がする、手が震えるといった反応が出ます。
こうした身体の反応は、気の持ちようで止められるものではありません。自分の食べ方が見られている、変に思われているという感覚が強まる背景には、スポットライト効果と呼ばれる、人が自分への注目を実際より大きく見積もる心の働きも関わっています。
つまり、食べられないのは意志の問題ではなく、不安と体の反応が結びついた結果です。ここを取り違えないことが、自分を責めすぎないための出発点になります。

無理な参加が症状を強めるという理解
断ることを回避だと感じて、無理にでも参加しようとする方は多いです。けれど、強い不安を抱えたまま会食を重ねると、その場面への恐怖がかえって定着しやすくなります。
会食の場に入る前から、また食べられなかったらどうしようという予期不安が起き、それが体の緊張を呼びます。緊張が症状を生み、症状がさらに不安を強める。
この悪循環を止めるという意味では、今のあなたにとって断ることは自衛でもあります。もちろん、避け続けることだけが答えではありません。
大切なのは、無理な我慢と自分を守る選択を、分けて考えられるようになることです。
場面別 角を立てない飲み会の断り方フレーズ
ここからは、実際にどう伝えるかを場面ごとに見ていきます。完璧な言い方を探すより、そのまま使える引き出しをいくつか持っておくほうが安心です。
自分の口になじむ表現を、選んで使ってみてください。
事前・当日・急な誘いの伝え方
幹事から案内が来たときは、早めに返事をするほど角が立ちにくくなります。お誘いありがとうございます、その日は先約があって今回は見送らせてください、と一言添えるだけで十分です。
急に誘われて言葉に詰まりそうなときは、いったん受け止めてから返す方法があります。予定を確認して後で連絡します、と一度時間をもらい、落ち着いてからメッセージで丁寧に断ると、その場の気まずさを避けられます。

断る理由は、細かく説明しすぎないほうがかえって自然に伝わります。多くの相手は、一度か二度断れば深追いしてこないものです。
上司や職場の飲み会を断るとき
上司からの直接の誘いは、特に慎重になりやすい場面です。断りづらさを感じるほど、代わりの関わり方をセットで示すと伝えやすくなります。
お気遣いありがとうございます、人前での食事が苦手で続けて参加が難しいのですが、業務のなかで学ばせてください、といった形です。断りと同時に、関わりたい気持ちを一緒に見せることがポイントになります。
職場の飲み会は本来、業務時間外の任意の集まりです。参加しないことで評価が下がるのが当然、というわけではないと知っておくだけでも、少し気持ちが軽くなります。
短時間参加やドリンクのみという選択肢
断るか丸ごと参加するかの二択で考えると、どうしても苦しくなります。その間にある中間の選択肢を持っておくと、対応の幅が広がります。
たとえば最初の30分だけ顔を出して途中で失礼する、一次会だけ参加して二次会は遠慮するといった形です。後で予定があるので少しだけ、と先に伝えておけば、食事の量が少なくても不自然になりません。
- 短時間だけ参加して早めに切り上げる
- 一次会のみ参加し、二次会は辞退する
- 食事は控えて、ドリンクだけで会話に加わる

全か無かで決めなくていい、という感覚が、参加へのハードルを下げてくれます。
昼食・ランチを無理なく避ける工夫
飲み会だけでなく、日々のランチも会食恐怖症の方にはつらい場面です。毎回断る負担を減らすには、一人で食べるスタイルをあらかじめ定着させておく方法があります。
自席で済ませる、外で一人で食べる、時間を少しずらすなど、無理のない形を習慣にしておくと、誘われる回数そのものが自然に減っていきます。最初から自分のスタイルとして周りに知ってもらうほうが、その都度の言い訳より気楽です。
食欲がなくて、今日は作業を進めたくて、といった軽い理由で十分です。職場のランチは、断ることより続けられる形を見つけることが大切になります。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
打ち明けるか別の理由で断るか 開示の判断軸
断り方に慣れてくると、次に迷うのが会食恐怖症だと打ち明けるかどうかです。どちらが正しいという話ではなく、状況によって選び方が変わります。
ここでは、その判断の手がかりを整理します。
開示するメリットとデメリット
事情を伝える一番の利点は、毎回の説明がいらなくなることです。一度話しておけば、その後の不参加を自然に受け止めてもらいやすくなります。
一方で、会食恐怖症はまだ広く知られていないため、伝えても理解されないことがあります。わがままや好き嫌いと誤解される可能性も、正直に言えばゼロではありません。

開示は、相手が受け止めてくれそうかを見てから選ぶもので、必ずすべき義務ではありません。別の理由で断ることも、自分を守るための情報の出し方の一つだと考えて構いません。
相手・場・回復段階で選ぶ
開示するかどうかは、三つの軸で眺めると決めやすくなります。相手との関係性、その場の重要度、そして今の自分の状態です。
| 場面・状態 | 選びやすい対応 |
|---|---|
| 信頼できる上司や同僚 | 会食が苦手だと簡潔に伝える |
| 長く付き合う職場 | 事情を一度共有しておく |
| 一度きりの集まり | 体調や予定を理由に断る |
| 気力がわかない時期 | 無理に開示せず距離を取る |
信頼できる相手や、これから長く関わる場では、思い切って伝えるほうが後々楽になることがあります。反対に、一度きりの集まりや、まだ話す気力がわかない時期には、別の理由でそっと距離を取っても構いません。
同じ人でも、時期によって選ぶ答えが変わっていいというのが、この地図の使い方です。
断り続けても関係を保つ工夫
飲み会に出られなくても、人間関係は日々の積み重ねで保てます。むしろ、普段のやり取りのほうが信頼を左右することも多いものです。
挨拶や短い雑談、業務での協力、誘ってくれたことへの感謝を言葉にする。こうした小さな関わりが、飲み会に出ない分をやわらかく埋めてくれます。
あなたの価値は、飲み会に出たかどうかで決まるわけではありません。食事以外の場面で誠実に関わる姿は、思っている以上に周りに伝わっています。
つらさが続くときのセルフケアと相談先
工夫を重ねても、つらさが続くことはあります。そんなときは、一人で抱えずに専門家の力を借りる選択肢も持っておきたいところです。

最後に、回復に向けた道筋と相談の目安をお伝えします。
治療で期待できることと受診の目安
会食恐怖症は、適切な取り組みで和らいでいくことが知られています。中心となるのは認知行動療法(CBT)で、不安な考え方を見直し、少しずつ食事の場に慣れていく曝露療法などを組み合わせます。
完璧に食べられるようになることではなく、恐怖に振り回されずに自分のペースで食べられることが目標になります。必要に応じて、不安を和らげる薬が補助的に使われることもあります。
会食の予定で前日から眠れない、出社や業務に支障が出ている、気分の落ち込みが続く。こうしたサインが重なるときは、心療内科や精神科への相談を検討する目安になります。
カウンセリングで気持ちを整理する
受診まではまだ迷う、という段階でも、気持ちの整理から始める方法があります。断れない背景にある罪悪感や不安は、言葉にして眺めるだけでも少しほどけていきます。
働く人の相談先としては、厚生労働省のこころの耳のような公的な窓口も利用できます。一人で抱えるのがつらいときの、選択肢の一つとして知っておくと心強いです。
カウンセリングでは、断り方そのものより、断ることをどう受け止めるかを一緒に扱えます。急いで答えを出さなくていい場所があると思えるだけで、日々の重さが変わってくることもあります。