メンタルブレイクした時、ちゃんと元の自分に戻れる対処法を教えて

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

メンタルブレイクされた今、心も体もかなり消耗されているのだと思います。

この先ちゃんと元に戻れるのかと、不安でいっぱいかもしれません。

でも、そう感じること自体が、あなたが限界まで頑張ってきた証でもあります。まずは戻ることより、安全に休むこと。

この記事が、少し力を抜いて自分を見つめ直すきっかけになればと願っています。

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30代女性(会社員)

半年ほど前から仕事の量が急に増え、気づけば眠れず、食事もほとんど喉を通らなくなっていました。

ある朝、体が鉛のように動かず、理由もなく涙が止まりませんでした。

それ以来ずっと力が入らず、自分でも何が起きたのか分かりません。この状態から本当に元の自分に戻れるのか、毎日不安でたまらないんです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

眠ることも食べることもままならないほど消耗しながら、ここまで踏ん張ってこられたのですね。元に戻れるのかという不安は、それだけ真剣に自分と向き合ってきた証のように感じます。

この記事では、今のあなたの状態をどう受け止めればいいのか、そして焦らず回復していくために今日からできることを、一緒に整理していきます。

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メンタルブレイクした時、「もう戻れない」と感じるあなたへ

まずは、ここまで動いてこられた心と体を、少しだけ休ませてあげてください。この章では、いま感じているもう元に戻れないのではという不安を、いったんそのまま受け止めるところから始めます。

元に戻れるか不安になるのは自然な反応

もう戻れないという不安も、消耗した心が出しているサインとして受け止め直せます。
もう戻れないという不安も、消耗した心が出しているサインとして受け止め直せます。

メンタルブレイクした時、多くの人が最初に感じるのは、この先ちゃんと戻れるのかという恐怖です。力が入らない、涙が止まらない、頭が働かない。そんな自分を見て、元の自分が遠くへ行ってしまったように思えるのは、無理のないことです。

ただ、心が限界を迎えた直後は、物事を実際より暗く見積もりやすい状態にあります。もう戻れないという感覚そのものが、消耗した心が出しているサインの一つだと知っておくだけでも、少し息がつけるかもしれません。

いま無理に頑張らなくていい理由

心が折れかけている時に、早く元通りにならなきゃと自分を追い立てると、かえって回復が遠のくことがあります。厚生労働省の資料でも、無理に勤務を続けたために回復に時間がかかる例は少なくないと説明されています。

いま必要なのは、前に進む力ではなく、立ち止まる許可です。元に戻ることを目標にするより、まず今日を安全にやり過ごすことを、この記事では一緒に考えていきます。

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メンタルブレイクとは何か、今の自分のサインを確かめる

自分の状態が普通の落ち込みなのか、休むべきサインなのか、分からず不安な方も多いはずです。ここでは、メンタルブレイクという言葉の意味と、心身にあらわれるサインを整理します。

メンタルブレイク(メンブレ)は医学的な診断名ではない

メンタルブレイクは、精神を意味するメンタルと、崩れるを意味するブレイクを組み合わせた造語です。メンブレと略され、SNSでも軽い意味から深刻な状態まで幅広く使われます。

医学的な診断名ではないため、自分の状態が軽いのか重いのかを言葉だけで判断するのは難しいものです。だからこそ、次に挙げるサインで、今の自分を静かに確かめてみることが役立ちます。

言葉だけで重さを決めず、眠りや食事、気分の変化を静かに振り返ることが役立ちます。
言葉だけで重さを決めず、眠りや食事、気分の変化を静かに振り返ることが役立ちます。

精神・身体・行動にあらわれる限界のサイン

心の限界は、気持ちだけでなく体や行動にも表れます。自分に当てはまるものがないか、責める気持ちを脇に置いて眺めてみてください。

  • 気持ち:何をしても楽しめない、涙が出る、自分を責めてしまう
  • 体:眠れない、食欲が落ちる、頭痛や動悸が続く
  • 行動:集中できずミスが増える、人と会うのがつらい

これらは誰にでも一時的に起こります。ただ、数日から数週間以上続き、生活に支障が出ている時は、心のエネルギーがかなり消耗しているサインと考えてよいでしょう。

うつ病とメンタルブレイクの違い

メンタルブレイクは状態を表す言葉で、うつ病のような診断名とは異なります。医学的には、強いストレス反応や軽いうつ状態、燃え尽き(バーンアウト)に近いこともあります。ストレスの原因から離れて気分が和らぐ場合もあれば、離れても回復しない場合もあります。

見分けの目安になるのが、つらさが続く期間です。憂うつや興味の低下がほぼ一日中、ほぼ毎日、二週間ほど続くなら、自己判断にとどめず専門家に相談する段階と受け止めてください。

なぜ心が限界を迎えたのか、自分を責めないための原因整理

原因を知ることは、犯人探しではなく、自分をこれ以上責めないための整理です。この章では、なぜ限界が訪れたのかを、少し引いた視点から見ていきます。

積み重なったストレスが引き金になる

メンタルブレイクは、ある日突然起きるより、小さなストレスが積み重なって起こることがほとんどです。心をコップにたとえるなら、こぼれる寸前まで我慢が続いていたということです。

厚生労働省の令和4年の調査では、仕事で強い不安や悩み、ストレスを感じている人が82.2%にのぼりました。限界を迎えたのはあなただけの問題ではなく、多くの人が抱える負荷の延長線上にあることが分かります。

小さな負荷が積み重なった末の限界は、弱さではなく休息が必要なサインです。
小さな負荷が積み重なった末の限界は、弱さではなく休息が必要なサインです。

頑張れる人ほど抱えやすい心の傾向

責任感が強い、人に迷惑をかけたくない、完璧にやりたい。そうした真面目さは長所である一方、自分の限界を後回しにしやすい性質でもあります。

周りには元気そうに見えても、内側では静かに消耗が進んでいることがあります。壊れたのは弱さの証明ではなく、むしろ頑張り続けられた人に起こりやすいという視点を持っておいてください。

「弱いから壊れた」ではなくブレーキがかかった

心が動かなくなるのは、これ以上進むと危ないと判断した心身のブレーキです。車が坂道で止まるのと同じで、故障ではなく安全装置が働いた状態に近いものです。

この見方に立つと、自分はダメだという自責が少しほどけます。責めるべき失敗ではなく、休息を求めている合図として、今の状態を受け取り直してみましょう。

動けなくなった状態は、心身がこれ以上の無理を止めるためにかけたブレーキと捉えられます。
動けなくなった状態は、心身がこれ以上の無理を止めるためにかけたブレーキと捉えられます。
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メンタルブレイクした時にまずできることと回復の道のり

ここからは、今日できることと、これから先の回復の見通しを扱います。焦らずに読み進められるよう、順番と段階に分けて整理します。

今日はまず休むことを最優先にする

メンタルブレイクした時にいちばん大切なのは、頑張ることではなく休むことです。スマートフォンの電池が切れたら充電するように、心にも回復のための時間が要ります。

半日でもいいので、予定を入れない時間をつくってみてください。仕事や家事を一時的に手放すのは怠けではなく、回復のための正当な休息です。

一人でもできる小さなセルフケア

誰かに頼るのが難しい時でも、自分を少し労わる方法はあります。大きなことをする必要はなく、できる範囲で十分です。

深呼吸をする、温かい飲み物を飲む、日光を浴びる、思っていることをメモに書き出す。こうしたストレスへの対処はコーピングと呼ばれ、自分に合うものをいくつか持っておくと、つらい波が来た時の支えになります。

気持ちを言葉にして外に出すことは、頭の中の堂々巡りを緩める助けになります。一つでもできた日は、それを自分の回復の一歩として数えてあげてください。

休息期・回復期・安定期という回復の段階

回復はスイッチのように切り替わるものではなく、いくつかの段階を波打ちながら進みます。おおまかな見通しを持っておくと、今の自分の位置が分かり、焦りが和らぎます。

  • 休息期:何もしないことを自分に許し、心と体を休ませる時期
  • 回復期:少しずつ意欲が戻り、できることが増えてくる時期
  • 安定期:以前と同じではなく、無理なく続けられる自分のペースを探す時期

厚生労働省のこころの耳でも、回復には半年から一年以上かかることも珍しくないと案内されています。回復の速さより、安全に休めているかどうかを目安にすることが、遠回りに見えて近道です。

日光や飲み物、短いメモなど、無理のない小さな行動を回復の一歩として数えてください。
日光や飲み物、短いメモなど、無理のない小さな行動を回復の一歩として数えてください。

回復に波があっても焦らなくていい

回復の途中では、調子のいい日と落ち込む日が交互に訪れます。昨日は動けたのに今日は動けない、そんな波は後退ではなく自然な過程です。

心理学では、逆境から立ち直る力をレジリエンスと呼びます。これは生まれつきの才能ではなく、休息や人とのつながりの中で少しずつ育つとされています。元通りに戻すのではなく、しなやかに戻っていく過程だと捉えると、波のある日々も歩きやすくなります。

一人で抱えず専門家に相談する目安と相談先

自分だけで抱えていいのか、誰かに話すべきか。その迷いに答えを出しやすくするため、相談の目安と選択肢を整理します。

医療や専門家に相談したほうがよいサイン

セルフケアだけでは追いつかない状態もあります。無理に一人で乗り越えようとせず、次のような時は相談を検討してください。

眠れない、食べられないなどの状態が続くときは、一人で抱えず早めに専門家へつながってください。
眠れない、食べられないなどの状態が続くときは、一人で抱えず早めに専門家へつながってください。

眠れない、食べられない、涙が止まらない状態が続く時や、消えたいという思いが浮かぶ時は、早めに専門家へつながってほしいサインです。相談は早いほど、回復もしやすくなります。

精神科・心療内科・公認心理師など相談先の選び方

相談先は一つではありません。状態や相談したい内容に合わせて、選択肢を知っておくと動きやすくなります。

相談したいこと主な相談先
薬や診断、休職の相談精神科・心療内科
気持ちの整理やカウンセリング公認心理師・臨床心理士
職場での不調産業医・保健師
どこに行くか迷う時自治体・公的相談窓口

まず何を一番助けてほしいのかを一つ思い浮かべると、選ぶ迷いが減ります。

頼れる人がいない時の最初の一歩

身近に話せる人がいない、専門家に行くのも怖い。そう感じる方もいるかもしれませんが、人でない窓口を頼る方法もあります。

厚生労働省は、働く人向けにこころの耳電話相談などの窓口を設けています。匿名で使える電話やチャットの相談から始めるだけでも、孤独の圧は少し軽くなります。まず声を出してみることも、立派な回復の一歩です。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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