反抗挑戦性障害の学校での対応はどうする?暴言に耐える日々がもう辛い…
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
反抗挑戦性障害の子への対応は、正直、誰がやってもくたくたになります。
暴言を浴び続けて腹が立つのは、あなたの力量とは関係ないんです。
一人で抱え込まず、まず校内の誰かと状況を分け合ってほしいと思います。
続けられる関わり方を、少しずつ一緒に探していきましょうね。
30代女性(公務員)
担任するクラスに、反抗挑戦性障害と言われた子がいます。
指示を出すたびに暴言が返ってきて、この前は他の子の前で机を蹴られました。
障害だとわかっているのに、腹が立つ自分がいて。
そんな自分がまた情けなくて、夜もうまく眠れないんです。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
毎日暴言を受け止め続けていると、気力がすり減っていきますよね。障害だとわかっていても、腹が立つ自分に嫌気がさすこともあると思います。
この記事では、学校での関わり方を、今すぐ止めることと時間をかけて変えることに分けて整理します。そのうえで、あなた自身が消耗し切らずに続けるための考え方も一緒に見ていきます。
反抗挑戦性障害の子の暴言に、もう耐えられないと感じるとき
毎日のように暴言を浴び、指示のたびに反発が返ってくる。そんな日々が続くと、気力は少しずつ削られていきますよね。この章では、まず今のあなたの状態を整理するところから始めます。
腹が立つ自分を責めなくていい
障害だと頭ではわかっていても、暴言を向けられれば腹は立ちます。それは対応する人として自然な反応で、指導の力が足りないからではありません。
怒りを感じること自体と、その怒りをそのまま子どもにぶつけることは別です。前者は止められませんが、後者は少し距離を置くだけで扱いやすくなります。
一番きついのは、腹を立てた自分をあとから責めてしまう、二重のしんどさかもしれません。その感覚に気づけている時点で、あなたはこの状況をていねいに見ようとしています。
この状況がずっと続くわけではない
今が底のように感じても、関わり方や体制が変われば、場面は少しずつ動いていきます。すぐに劇的に変わるわけではありませんが、変えられる部分はどこかに必ずあります。

この記事では、学校での関わりを整理しながら、あなた自身が持ちこたえる考え方まで一緒に見ていきます。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
反抗挑戦性障害(ODD)とは?反抗期とどう違うのか
対応を考える前に相手の状態を正しく捉えておくと、力の入れどころが見えてきます。ここでは定義と反抗期との違い、そして学校で症状が出ていることの意味を確認します。
反抗挑戦性障害(反抗挑発症・ODD)の特徴
反抗挑戦性障害は反抗挑発症とも呼ばれ、英語ではODD(Oppositional Defiant Disorder)と略されます。身近な大人に対して、怒りっぽさ、口論や挑発、執念深さが続くことが主な特徴です。
症状は大きく三つに整理されます。かんしゃくを起こしやすい怒りっぽさ、大人や規則に反発する挑発的な言動、そして相手を困らせようとする執念深さです。多くは10歳前後の学童期から思春期にかけて目立ちはじめると言われています。
DSM-5-TRという診断基準では、こうした症状が4つ以上、6か月以上続いていることが目安のひとつとされています。ただし診断は医師が総合的に行うもので、学校や家庭の側が見立てる必要はありません。
有病率は平均して3.3%ほどと報告されており、決して珍しい状態ではないんです。そして本人の多くは、自分が反抗していると思っておらず、周りの理不尽さに反応しているだけだと感じている点も、関わるうえで覚えておきたいところです。

通常の反抗期との違い(6か月以上の持続と生活への支障)
反抗期も反抗挑戦性障害も、大人への反発という点ではよく似ています。違いは、その頻度と持続、そして生活への支障の大きさにあります。
DSM-5-TRでは、5歳未満ならほぼ毎日、5歳以上なら少なくとも週に1回、半年以上続くことが見分けの目安とされます。年齢相応の範囲を超えて、学業や人間関係にはっきり支障が出ているかが手がかりになります。
落ち着いた時間には普通に話せるようなら、反抗期の範囲であることも多いです。
学校でも症状が出ているのは一人で抱える段階のサイン
DSM-5には重症度の考え方があり、症状が出ている場の数で目安が分けられています。学校でも出ているという事実は、あなたの関わりが悪いからではなく、状態が広がっているサインとして受け取れます。
| 重症度 | 症状が出ている場 |
|---|---|
| 軽度 | 家庭など1つの場面に限られる |
| 中等度 | 家庭と学校など2つの場面 |
| 重度 | 3つ以上の場面 |
もともと家庭に限って症状が出て、学校では見られない子も少なくありません。学校でも出ているなら、担任ひとりで抱える段階を越えつつある合図と考えてよいと思います。
ADHDなど発達特性との併存と「反抗に見えて別の状態」
反抗挑戦性障害は、ADHDと重なりやすいことが知られています。ある調査では、ADHDのある子の30〜40%に反抗挑戦性障害がみられたという報告もあります。

ほかにも、限局性学習症や不安、気分の落ち込みが、反抗のように見える形で表れることがあります。反抗に見える行動の下に、別の困りごとが隠れていないかという視点を一つ持つだけで、対応の幅が変わります。
学校での対応は「今すぐ止める」と「時間をかけて変える」に分ける
学校には、他の子の安全や時間割など、家庭にはない制約があります。だからこそ対応を、安全確保と習慣づくりに分けて考えると動きやすくなります。
暴言・指示の拒否・授業妨害など場面別の関わり方
まず切り分けたいのは、今すぐ止めるべきことと、時間をかけて変えることです。他の子や本人に危険が及ぶ場面では、教育的な配慮より安全の確保が先になります。
暴言や挑発には、その場で正面から反応しないほうが、落ち着きやすいことが多いです。反応するほど言葉が増える傾向があるため、安全が保たれているなら、あえて深追いしないという選択も持っておきます。
指示への拒否や無視が続くときは、その場で命令を重ねるより、いったん距離を取って時間を置くほうが、こじれにくくなります。すぐに従わせることを目標にせず、落ち着いたあとで短く伝え直す流れにしておくと、お互いに消耗しにくいです。

授業妨害や教室からの飛び出しが起きるときは、一人で抑え込もうとせず、別の教員と場を分ける段取りを先に決めておくと安心です。よく起きる場面を想定して、誰がどう動くかをあらかじめ共有しておくだけでも、その場の負担はかなり軽くなります。
悪化させやすいNGな関わり方
よかれと思った関わりが、かえって反発を強めてしまうことがあります。次は、上位の解説でも共通して挙げられている、避けたい関わりです。
- 強い言葉での叱責や、必要以上に力を込めた制止(攻撃と受け取られやすい)
- 挑発や暴言にその都度反応して、言い合いになる
- 長時間の説教や、ほかの子との比較
- 体罰や、暴力をそのまま受け入れること
暴言や暴力は受け止めても、許容はしない。この線引きを保つことが、子どもにとっても分かりやすい枠になります。
子どもに届きやすい声かけの具体例
声かけは、短く言い切る形のほうが伝わりやすいとされています。命令形よりも、選べる余地を残した言い方が、反発を招きにくいです。

たとえば、早くしなさいと急かすのではなく、AとBのどちらからやるか選んでもらう方法があります。指示を出す大人と対立するのではなく、自分の選択と向き合う形に変わります。
その場で急に求めるより、あらかじめ約束しておいたことを思い出してもらう形にすると、抵抗が和らぐこともあります。言葉だけで伝わりにくいときは、絵や短いメモなど、目で見える手がかりを添えるのも一つです。
できている瞬間を具体的に、その場で認めることも効果的です。思春期の子は人前でほめられるのを嫌がることもあるため、さりげなく短く伝える工夫が役立ちます。
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担任ひとりで抱えないための学校内の連携と相談先
学校でも症状が出ている以上、一人で対応を背負い続ける必要はありません。校内外の役割を知っておくと、誰に何を持ち込めばよいかが見えてきます。
誰に何を持ち込むか(特別支援コーディネーター・養護教諭・SC・SSW)
校内には、特別支援教育コーディネーターや養護教諭など、相談できる立場の人がいます。スクールカウンセラー(SC)は心理面を、スクールソーシャルワーカー(SSW)は家庭や福祉との橋渡しを担います。
いつ・どこで・何の直前に起きたかを1〜2週間だけ記録しておくと、共有がぐっと具体的になります。一貫した対応をつくるには、複数の教員で方針を合わせておくことも欠かせません。

保護者に「責められた」と感じさせない伝え方
保護者は、すでに自分の育て方を責めていることが少なくありません。家庭に原因を求める形の連絡は、防御的な反応を招きやすいです。
伝えるときは、評価や解釈ではなく、起きた事実を淡々と共有する形が届きやすくなります。誰が悪いという話ではなく、子どもを取り巻く大人が同じ方向を向くための共有だと位置づけると、角が立ちにくいです。一緒に支える相手として話すことで、家庭と学校の足並みもそろいやすくなります。

外部の相談先と受診を考える目安
校内で抱えきれないと感じたら、外部の相談先も選択肢になります。たとえば発達障害者支援センターや、自治体のこども家庭センター、児童精神科・発達外来などがあります。
制度や費用、対象年齢は地域で異なるため、事前の確認をおすすめします。子どもが受診を嫌がる場合でも、保護者だけが先に相談することはできます。
対応する大人が消耗し切らないために
最後に、いちばん後回しにされがちな、対応する側のことを扱います。子どもを支えるには、支える人自身が倒れないことが土台になります。
消耗は指導力不足ではない
毎日大変な場面が続けば、誰でも心はすり減ります。それは力量の問題ではなく、負荷が一人に集中しているサインです。
担当を替わることや、少し休むことは、撤退ではなく体制の調整です。不眠や、朝に仕事へ向かうのがつらい状態が続くなら、あなた自身が相談してよい時期かもしれません。

この先の見通し(「必ず治る」でも「放置すれば非行」でもない)
予後には個人差が大きく、必ず治るとも、放っておけば必ず悪くなるとも言い切れません。ただ、早めに相談や支援につながることが、その後の経過の助けになりやすいのは、多くの場面で共通して言えることです。焦って結論を急ぐより、いまの関わりを少しでも安全なものに保つほうが、結果として遠回りにならないことが多いです。
全部を一度に変えようとせず、まずはどこか1か所だけを動かすところから十分です。一人で抱えきれない日があっても、それはあなたが力を尽くしてきた証だと思います。