人間関係リセット症候群で全部切った後に後悔で、どうしたらいいか分かりません

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

全部リセットした後の後悔は、たいてい静かな夜にじわっとやってきます。

切った瞬間は楽になったはずなのに、と戸惑う人は少なくありません。

その後悔は、あなたがその関係をどこかで大事に思っていた証でもあると感じます。

消そうと焦らず、まず何に一番心が痛むのかを見てみませんか。

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30代女性(会社員)

仕事の異動を機に、親しかった友人のLINEを全部消してしまいました。

そのときは軽くなった気がしたのに、最近は連絡すればよかったと後悔ばかりです。

自分から切っておいて今さら会いたいなんて勝手だと思うと、どうすればいいのか分からなくなります。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

自分から切ったのに、後から押し寄せる後悔ほど扱いに困るものはないかもしれません。軽くなったはずの気持ちが、いつの間にか自己嫌悪に変わっていくのはつらいですよね。

この記事では、人間関係リセット症候群の後悔を四つのタイプに分けて整理し、取り戻したい関係と手放していい関係の見分け方を一緒に考えていきます。

人間関係を全部切った後の後悔で苦しいあなたへ

ここでは、もう関係を切ってしまった後に押し寄せる後悔を、どう受け止めればいいのかを整理します。まだ答えは出さず、今のあなたの状態から見ていきます。

切った直後は楽なのに後から後悔が来る理由

連絡先を消した瞬間は、肩の荷が下りたように感じることがあります。ずっと我慢してきた相手や場から離れられて、呼吸が楽になる感覚です。

ところが数日から数週間たつと、その解放感は静かに後悔へと入れ替わっていきます。これはあなたの心が不安定だからではありません。

限界まで張りつめていた緊張がゆるんだ後に、初めて本当に切ってよかったのかを考える余裕が戻ってくるからです。後悔が来るのは、心が回復し始めたサインでもあります。

人間関係リセット症候群は正式な病名ではない

人間関係リセット症候群という言葉は広く使われていますが、医学的に定義された正式な診断名ではありません。あくまで状態を指して使われる俗称です。

だからこそ、自分は病気なんだと決めつける必要はありません。ただし、切った後の落ち込みや不眠が長く続く場合は、別の不調が隠れていることもあります。その線引きは記事の後半で改めて触れます。

後悔するのは相手を大切に思っていた証拠

後悔している自分を、冷たい人間だと感じていませんか。でも、どうでもいい相手なら、後から気持ちがざわつくことはありません。

また会いたい気持ちや自責は、その関係を大切にしていたからこそ生まれることがあります。
また会いたい気持ちや自責は、その関係を大切にしていたからこそ生まれることがあります。

後悔が湧くのは、その関係をあなたがどこかで大事にしていたからこそ起きる反応です。どうでもよければ、心はこんなに揺れません。まずはその事実だけでも、否定せずに受け取ってみてください。冷たいから切ったのではなく、大切だからこそ我慢を重ねて、限界で手を離したのかもしれません。

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あなたの後悔はどのタイプか整理する

後悔とひとことで言っても、その中身は人によって違います。ここでは後悔を四つに分けて、あなたの気持ちがどれに近いかを見ていきます。

喪失の悲しみと傷つけた罪悪感

一つ目は、その人がいなくなったこと自体への喪失の悲しみです。二つ目は、突然連絡を断って相手を傷つけたかもしれない、という罪悪感です。

この二つは似ているようで、次に取る行動が変わります。喪失の悲しみが強いなら、あなたが惜しんでいるのは関係そのものかもしれません。その場合は、連絡の可否より、失ったものの大きさを認めるところから始まります。罪悪感が強いなら、向き合う相手は相手ではなく、自分を許せていない自分のほうです。謝りたいのか、ただ楽になりたいのか、区別してみると次の一歩が見えてきます。

喪失の悲しみと傷つけた罪悪感を分けると、今の自分に必要な手当てが見えやすくなります。
喪失の悲しみと傷つけた罪悪感を分けると、今の自分に必要な手当てが見えやすくなります。

繰り返した自己嫌悪と孤独への不安

三つ目は、また同じことをしてしまったという自己嫌悪です。四つ目は、この先ずっと一人なのではないかという孤独への不安です。

自己嫌悪が強い人は、過去のリセットまで持ち出して自分を責めがちです。孤独への不安が強い人は、目の前の後悔より未来の心細さに引っぱられています。どの後悔が一番重いかで、あなたに必要な手当ては変わってきます。

四つのタイプと向き合い方の目安を、いったん表にまとめておきます。

後悔のタイプ心が向いている先次に確かめたいこと
喪失の悲しみ失った関係そのもの本当に取り戻したい相手か
罪悪感傷つけたかもしれない相手目的は謝罪か、自分の安心か
自己嫌悪繰り返してきた自分責める以外の見方はないか
孤独への不安これから先の生活今つながれる場は他にないか

リセットしやすい人に見られる傾向

自分を責める前に、なぜ切りたくなるのかを知っておくと少し楽になります。リセットを選びやすい、いわゆる人間関係リセット症候群と呼ばれる状態になりやすい人には、共通した傾向があると言われています。

たとえば、物事を白か黒かで捉えやすい考え方の癖です。心理学では、こうした極端な捉え方を認知行動療法の中で白黒思考(全か無か思考)と呼びます。合わないなら全部切るという発想は、この思考の癖から来ていることがあります。

後悔の中身を書き分けると、白黒で自分を裁かずに気持ちを見つめる余白が生まれます。
後悔の中身を書き分けると、白黒で自分を裁かずに気持ちを見つめる余白が生まれます。

性格の欠陥ではなく、我慢を重ねた末の防衛反応として理解すると、自分への見方が少し変わってきます。

取り戻したい関係と離れて正解だった関係の見分け方

すべての関係を、同じ後悔で扱う必要はありません。ここでは、戻りたい関係とそうでない関係を、どう仕分けるかを考えます。

安全が脅かされていた関係は後悔しなくていい

もし離れた相手が、あなたを傷つけたり支配しようとしたりしていたなら、それは後悔の対象ではありません。自分の安全を守るために距離を取ったことは、正しい選択だったと考えてよいはずです。

一方で、ただ気まずくなっただけ、少しすれ違っただけの関係は、後から惜しくなることがあります。安全のために離れたのか、勢いで切ったのかを分けてみると、後悔の質が見えてきます。

安全を守るために離れた関係と、勢いで切った関係は、同じ後悔として扱わなくて大丈夫です。
安全を守るために離れた関係と、勢いで切った関係は、同じ後悔として扱わなくて大丈夫です。

もう一度連絡していいか迷ったときの判断軸

連絡し直すこと自体は、悪いことではありません。ただ、勢いのまま送る前に、確かめたいことがいくつかあります。

一つは、相手が明確に拒否の意思を示していないか。もう一つは、連絡の目的が相手のためなのか、自分の罪悪感を軽くするためなのか。そして、もし返事が来なくても、その結果に耐えられそうか。深夜や気持ちが高ぶっている最中の判断は、いったん保留にするほうが安全です。

連絡前に拒否の有無・目的・返事がない場合への備えを確かめると、勢いをいったん止められます。
連絡前に拒否の有無・目的・返事がない場合への備えを確かめると、勢いをいったん止められます。

された側はどう感じているか

急に連絡を断たれた側は、理由が分からず戸惑っていることが多いものです。自分を責めている場合もあれば、静かに受け止めている場合もあります。

相手の気持ちを完全に知ることはできません。だからこそ、きっと怒っているとも、もう忘れられているとも、想像だけで決めつけないほうがよいでしょう。連絡するなら、相手にも受け取らない自由や、返さない自由がある前提で動くことが大切です。その距離感を保てるかどうかも、連絡してよいかの一つの目安になります。された側の心情については、別の記事でも詳しく扱っています。

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同じリセットを繰り返さないために今日からできること

後悔を減らすには、切る前の自分に気づけるようになることが役立ちます。ここでは、繰り返しを防ぐための小さな工夫を挙げます。

切りたくなる前に出る自分の限界サイン

多くの場合、いきなり切りたくなるわけではありません。その前に、通知を見るのが怖い、返信を何日も考え込む、誰にも会いたくない、といったサインが出ています。

このサインに早めに気づけると、切る以外の選択肢を選ぶ余裕が生まれます。自分のサインを一度書き出しておくと、次に同じ波が来たときに気づきやすくなります。

通知への怖さや返信の負担を書き留めると、限界を超える前の自分のサインに気づきやすくなります。
通知への怖さや返信の負担を書き留めると、限界を超える前の自分のサインに気づきやすくなります。

SNSは消さずに通知だけ止める

つながりを断ちたくなったとき、アカウントごと消すのは極端な一手です。消してしまうと、後で戻したくなっても取り返しがつきません。

代わりに、通知だけ切る、ミュートにする、しばらく見ないと決める、といった方法もあります。完全に切るのではなく距離を調整するだけでも、心の負担はかなり減ります。

削除する前に通知停止やミュートを選ぶと、関係を断たずに必要な距離を調整できます。
削除する前に通知停止やミュートを選ぶと、関係を断たずに必要な距離を調整できます。

我慢が限界に来る前に一言だけ伝える練習

リセットの多くは、我慢が限界を超えた瞬間に起きます。十まで溜め込んでから爆発するより、五たまった時点で小さく伝えるほうが、関係は続きやすくなります。

たとえば、今は少し余裕がない、と一言添えるだけでも違います。相手に分かってもらうためというより、限界を超える前に自分の状態に気づくための練習です。全部を話す必要はなく、伝えたいことを一つだけ言葉にするところから始めてみてください。小さく伝えられた経験が積み重なると、切るしかないと感じる場面は少しずつ減っていきます。

一人で抱えきれないと感じたときの相談先

ここまでの整理を、一人で進めるのがつらいと感じることもあります。最後に、誰かの力を借りたほうがよい状態と、相談先の選び方に触れておきます。

眠れない・食べられない状態が続くとき

後悔を反すうして眠れない夜が続いたり、食欲が落ちたままだったりする状態は、心のエネルギーがかなり消耗しているサインです。生活や仕事に支障が出ているなら、我慢して抱え続けないでください。

とくに、自分を責める気持ちが消えず、消えてしまいたいと感じる瞬間があるときは、早めに専門家の力を借りてほしい状態です。つらさが強いほど、自分ではたいしたことないと過小評価しがちなので、注意が必要です。つらさの度合いは、一人で判断しなくて大丈夫です。

眠れない・食べられない状態が続くときは、ひとりで判断せず早めに相談することが大切です。
眠れない・食べられない状態が続くときは、ひとりで判断せず早めに相談することが大切です。

医療機関と公的相談窓口とカウンセリングの使い分け

不眠や落ち込みが二週間以上続く場合は、心療内科や精神科などの受診を考えてよいタイミングです。どこに行くか迷うときは、公的な相談窓口が入り口になります。

厚生労働省のまもろうよ こころでは、電話やSNSで相談できる窓口を探せます。気持ちの整理そのものを手伝ってほしいときは、カウンセリングという選択肢もあります。人間関係リセット症候群の後悔を一人で消そうとするより、次の関係の作り方を一緒に考える相手を持つことが、遠回りのようで確かな支えになります。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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