短気だけど優しい人になれますか?普段は穏やかなのに急に怒ってしまう自分が怖い…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

穏やかでいたいのに、ふとした瞬間に強い口調が出てしまう。

その落差に、一番戸惑っているのはたぶんご本人ですよね。

怒りっぽさは性格の欠陥というより、余裕がどれだけ残っているかの目盛りに近いと感じています。
自分を責める前に、まず最近の疲れ具合から考えてみましょう。

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30代女性(会社員・公務員)

普段は穏やかだねと言われるのに、家に帰ると夫にささいなことできつく当たってしまいます。

この前も洗い物の場所が違うだけで声を荒げてしまって、その後の自己嫌悪がしばらく抜けません。

職場では笑えているのに、大事な人にだけこうなる自分が少し怖いです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

穏やかでいたい気持ちがあるからこそ、感情的になった後の自分に落ち込んでしまうのだと思います。

この記事では、なぜ大切な人にだけ強く出てしまうのかを整理します。その優しさが我慢になりすぎていないかも、一緒に見ていきます。

優しいはずなのに急に怒ってしまう自分が怖い

まずは、いま感じている戸惑いから少しずつ整理していきます。ここでは、怒った後の落ち込みや不安がどこから来ているのかを見ていきます。

怒った後に押し寄せる自己嫌悪

強い口調になってしまった後、頭が冷えるほど自分を責めてしまう。そんな時間ほどつらいものはないかもしれません。

怒っている最中よりも、その後に来る後悔のほうが長く残ることがあります。夜になって、布団の中で同じ場面を再生してしまう人もいます。

でも、後から強く悔やめるということは、相手を大事に思う気持ちがちゃんと残っている証拠でもあります。

自己嫌悪の強さは、優しさが消えていないサインとして受け取っていいと思います。責める気持ちが強い人ほど、本当は相手を傷つけたくなかったのだと感じてしまいます。

強く言った後に後悔できるのは、相手を大切にしたい気持ちが残っているサインでもあります。
強く言った後に後悔できるのは、相手を大切にしたい気持ちが残っているサインでもあります。

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「本当は優しくないのでは?」という不安

穏やかだと言われるほど、怒ってしまった自分とのギャップに戸惑う人は多いです。ここでは、その不安の正体に触れます。

優しい人だねと言われるたびに、本当の自分はもっと嫌な人間なのではと感じてしまう。そう思うと、人に見せている顔さえ嘘のように思えてくることがあります。

けれど、人は一つの状態だけで生きているわけではありません。穏やかな自分も、余裕を失った自分も、どちらも本当のあなたです。片方だけを本物と決める必要はないはずです。

短気と優しさは矛盾しない

多くの人が、優しさと短気は正反対のものだと考えています。ですが実際には、この二つは同じ根っこから生まれることがあります。

怒りは、どうでもいい相手にはあまり湧きません。わかってほしい、大事にしたいという思いがあるからこそ、それが届かないときに強い感情になって出てきます。

つまり短気さは、優しさが行き場を失ったときの形であることが少なくありません。相手のためを思って我慢したのに、それが伝わらなかった。そういう場面で、こらえていた気持ちが怒りに変わることがあります。

怒りの下にあった悲しさや願いを静かに言葉にすると、矛盾して見える自分を理解しやすくなります。
怒りの下にあった悲しさや願いを静かに言葉にすると、矛盾して見える自分を理解しやすくなります。

矛盾した自分を責める前に、その怒りが何を守ろうとしていたのかを見てみる価値があります。怒りの下にある本当の願いに気づくだけでも、少し呼吸がしやすくなるはずです。

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短気だけど優しい人が、なぜ急に怒ってしまうのか

ここでは、怒りが生まれる仕組みを決めつけずに整理します。理由が分かると、自分を責める気持ちが少しほどけることがあります。性格のせいだけにしないための視点です。

「急に怒る人」と「抑えている人」の違い

短気だけど優しいと言われる人は、大きく二つのタイプに分かれると考えられます。まずはその違いを知ることから始めます。

一つは、普段は穏やかなのに特定の場面で急に怒りが出るタイプ。もう一つは、イライラを感じながらも、それを見せずに抑えているタイプです。

後者は一見おだやかに見えますが、抑えている状態は「怒っていない」ことと同じではありません。表に出ていないだけで、内側では負荷がかかり続けていることがあります。

怒りがすぐ表に出る場合も内側にためる場合も、見え方が違うだけで心には負荷がかかっています。
怒りがすぐ表に出る場合も内側にためる場合も、見え方が違うだけで心には負荷がかかっています。

怒りやすさに影響する気質と環境

怒りやすさは、生まれ持った気質と、その後の環境の両方が関わるとされています。どちらか一方だけのせいではありません。

性格に対する遺伝の影響はおよそ半分で、残りは環境によるという見方が日本心理学会などでも紹介されています。怒りっぽさの一部は生まれつきでも、残りは今の状況が作っている部分だということです。

だからこそ、性格を丸ごと変えようとするより、いま何が沸点を下げているかを見るほうが現実的です。自分を責める材料ではなく、調整できる余地として捉えてみてください。

違和感から怒りへ変わる感情の流れ

怒りは、いきなり湧いてくるように見えて、実はいくつかの段階を経ています。ここではその流れを言葉にします。

心理学では、怒りは二次感情と呼ばれます。その手前には、違和感や我慢、疲れ、悲しみ、無力感といった一次感情が積み重なっていることが多いのです。

違和感や我慢が積み重なって怒りになる流れをたどると、早めに立ち止まれる場所が見えてきます。
違和感や我慢が積み重なって怒りになる流れをたどると、早めに立ち止まれる場所が見えてきます。

怒鳴ってしまった瞬間だけを見て、自分を責めていませんか。その前に飲み込んだ気持ちがなかったかを振り返ると、対処の糸口が見えてきます。爆発したように見える怒りも、たいていは急に生まれたものではありません。

言えなかった本音や、気づかないふりをした疲れが、少しずつ積もっていた結果であることも多いのです。順番をたどると、次に同じ場面が来たとき、どこで立ち止まればいいかが見えてきます。

その優しさが我慢になっていないか

この章が、この記事でいちばん大切にしたい部分です。ここでは、優しさが自分を削る形になっていないかを確かめます。良し悪しを決める話ではありません。

睡眠不足や疲れで下がる怒りの沸点

同じ出来事でも、その日の状態によって腹の立ち方は変わります。まずは体の側から見ていきます。

睡眠不足や疲労が重なると、脳は警戒しやすい状態になり、普段なら流せる一言に反応してしまいます。厚生労働省も、成人にはおおむね6時間以上の睡眠を目安として睡眠に関する情報で示しています。

最近怒りっぽいなと感じたら、それは性格が悪くなったのではなく、余裕が減っているサインかもしれません。まず疲れを疑ってみる視点を持っておくと、少し楽になります。

最近怒りっぽいと感じたら、性格を責める前に睡眠や疲れで余裕が減っていないか確かめてみましょう。
最近怒りっぽいと感じたら、性格を責める前に睡眠や疲れで余裕が減っていないか確かめてみましょう。

「怒らない」が溜め込みになるサイン

怒らないでいられることは、いつも良いこととは限りません。ここでは、我慢が限界に近づいているときの目安を挙げます。

次のような状態が続いているなら、優しさが我慢に変わりはじめているのかもしれません。

  • 言いたいことを飲み込んだ後、もやもやが何日も残る
  • 関係のない場面で、急にイライラが噴き出す
  • 怒らずにいること自体に、強い疲れを感じる

こうしたサインは、あなたが弱いのではなく、抱えている量が多いことを教えてくれています。溜め込みを責めるより、少しずつ言葉にできる場を探すほうが安全です。

もやもやや急な噴き出し、怒らずにいる疲れは、優しさが我慢へ変わり始めたサインかもしれません。
もやもやや急な噴き出し、怒らずにいる疲れは、優しさが我慢へ変わり始めたサインかもしれません。

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家族など安全な相手ほど強く出る理由

外では穏やかなのに、家族にだけきつく当たってしまう。この落差に悩む人は少なくありません。

これは、あなたが身近な人を軽んじているからではありません。安心できる相手ほど、気を張らずに素の感情が出やすいからです。

言い換えれば、強く出てしまう相手は、あなたが安全だと感じている相手でもあります。外で気を張っている分、家では緊張がゆるみ、抑えていたものが出やすくなります。

ただ、出やすいからといって、そのままでいいわけでもありません。だからこそ、身近な関係を守るための工夫を、少しだけ持っておく意味があります。

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怒ってしまう自分のまま関係を守る工夫

性格を直すことをゴールにしなくても、できることはあります。ここでは、怒りが出た後の扱い方と、日常でできる小さな工夫を整理します。

怒った後の自己嫌悪との向き合い方

強く言ってしまった後の後悔は、放っておくと次の緊張につながります。まずはその後悔のほどき方から見ていきます。

自分を責め続けるより、何にそんなに反応したのかを一度言葉にしてみると、怒りの根っこが見えてきます。悲しかったのか、わかってほしかったのか。

その上で、相手に伝えられそうなら、謝ることと説明することを分けてみてください。反省と自責を切り離すと、修復の一歩が踏み出しやすくなります。

謝ることと気持ちを説明することを分けると、自責に沈まず関係を修復する一歩を踏み出しやすくなります。
謝ることと気持ちを説明することを分けると、自責に沈まず関係を修復する一歩を踏み出しやすくなります。

場面ごとにできる小さな工夫

工夫は、いつ使うかが決まっているほど続きます。ここでは、場面に結びつけた形で紹介します。

たとえば、言い返したくなった瞬間に、一度だけ長く息を吐いて数秒だけ待つ。その数秒があるだけで、反射的な一言を飲み込みやすくなります。

大切なのは完璧にやめることではなく、強い言葉が出る前に、ほんの少し間を置くことです。うまくいかない日があっても、それで台無しになるわけではありません。

効果が出ない時に立ち止まる視点

工夫をしても変わらない時期は、誰にでもあります。ここでは、そんな時にどう考えるかを添えておきます。

方法が効かないのは、やり方が下手だからとは限りません。そもそも余裕が底をついていると、どんな工夫も入る隙がないことがあります。

反応を言葉にして少し間を置き、それでも難しい日は負担を減らす順番で考えてみてください。
反応を言葉にして少し間を置き、それでも難しい日は負担を減らす順番で考えてみてください。

そんな時は、新しい対策を足すより、負担を減らせる場所を探すほうが先かもしれません。頑張り方を増やす前に、一度立ち止まってみてください。

短気を一人で抱え込まなくていい

最後に、自分だけで抱えなくていいという話をします。ここでは、そばで疲れている側への視点と、相談を考えていい目安に触れます。

短気な人のそばでつらいと感じる時

相手の機嫌をうかがって自分の意見が言えなくなっているなら、それはもう我慢しすぎのサインです。耐えることは、思いやりとは違います

相手を変えようとする前に、自分が安心して話せる状態をどう保つか。そこから考えても遅くはありません。

誰かに相談を考えていい目安

一人で抱えるより、誰かに話したほうが安全な状態というものもあります。最後に、その目安を挙げておきます。

怒りの前後で記憶があいまいになる、物や自分を傷つけてしまう、眠れない・食べられない状態が続く。こうしたことが重なる場合は、医療機関やカウンセリングで一度整理してみる選択肢があります。これは脅すための話ではなく、安全のための目安として受け取ってください。

記憶のあいまいさや生活への影響が重なるときは、医療機関やカウンセリングで安全に整理する選択肢があります。
記憶のあいまいさや生活への影響が重なるときは、医療機関やカウンセリングで安全に整理する選択肢があります。

これは、あなたが特別に問題を抱えているという話ではありません。性格の問題として一人で抱えるより、誰かと一緒に見たほうが軽くなることがある、というだけです。

すぐに相談へ動く必要もありません。今日は自分の状態を知れただけで十分だと思えるなら、それで構わないのです。相談する先を選ぶのも、そのタイミングを決めるのも、あなた自身のペースでいいはずです。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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