SNSに疲れたオタクですが、推しは好きなのに他の人と比べてしんどい…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

推しが好きな気持ちは、本物です。
なのにSNSを開くと疲れてしまう。
その二つは、ちゃんと同居できます。
比べてつらくなるのは弱さのせいではなく、数字が見えすぎる場所にいるからだと、私は思っています。
無理にやめる前に、疲れの出どころを一緒に見てみませんか。

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20代女性(会社員・公務員)

推しは今も、心から大好きなんです。

でも仕事帰りにXを開くと、他のファンのグッズの量や現場の数が目に入って、勝手に自分と引き比べてしまって。

楽しいはずなのに、アプリを閉じたあとにどっと疲れている自分がいます。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

推しは好きなのに、SNS疲れだけが残っていく。オタクのそのしんどさは、気持ちの弱さとは別のところから来ています。

この記事では、なぜ他の人と比べてしまうのかという心の仕組みと、疲れの発生源を切り分ける見方を整理します。やめるか続けるかを、今すぐ決めなくて大丈夫です。

SNS疲れのオタクが、推しは好きなのに疲れるのはなぜ

推しへの気持ちは変わらないのに、SNSを開くと疲れてしまう。その状態を、まずはそのまま受け止めるところから始めます。しんどさの正体を焦って結論づけず、少しずつ言葉にしていきます。

疲れているとき、原因を一つに決めつける必要はありません。いくつかの要素が重なっていることのほうが多いからです。

SNS疲れ・推し活疲れの意味

SNS疲れとは、SNSの使いすぎで心に負荷がたまった状態を指します。オタクや推し活の場合は、そこに情報を追わなきゃという気持ちが重なりやすいです。

一般的なSNS疲れは、仕事や知人関係の投稿からくることが多いです。一方で推し活の疲れは、好きなものの近くで起きるぶん、余計に戸惑いやすい面があります。

推し疲れやオタ活疲れという言葉も、最近はよく使われます。呼び方は違っても、好きと消耗が同居しているという点は共通しています。

推し活の疲れを感じている人は、実際にかなり多いです。マイナビニュースの調査では、推し活経験者の約8割が疲れたことがあると答えています。しんどいと感じているのは、あなただけではないのです。

推しを好きな気持ちとSNSで疲れる感覚は、どちらも否定せず同時に受け止めてかまいません。
推しを好きな気持ちとSNSで疲れる感覚は、どちらも否定せず同時に受け止めてかまいません。

好きという気持ちと、疲れという感覚は、同時にあってかまいません。推しを好きなまま、しんどさだけを軽くしていく、という方向で考えていきます。

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比較や承認欲求が止まらない仕組み

SNS疲れの中でも、他の人と比べてしんどいという部分は切り分けにくいところです。比べてしまう自分が嫌になる、という自己嫌悪も重なります。なぜ比較が止まらないのか、その裏側にある心の動きを整理します。

比較対象が無限に広がる理由

SNSでは、グッズの量も、現場に行った回数も、フォロワー数も、数字で見えてしまいます。遠征の回数や、チケットの当落まで、比べる材料はいくらでも出てきます。

数えられるものが多いほど、比較は止まりにくくなります。しかも相手は、いつも自分より上の人になりがちです。

上を見ればきりがなく、どこまで行っても足りない気持ちが残ります。これは意志が弱いからではありません。数字がむき出しで見える環境が、比較をあおっている面が大きいのです。

見える数字が増えるほど比較は続きやすくなるため、意志の弱さだけを原因にしないことが大切です。
見える数字が増えるほど比較は続きやすくなるため、意志の弱さだけを原因にしないことが大切です。

推しの価値と自分を重ねる心理

推しを応援していると、推しの評価が自分の評価のように感じられることがあります。推しがけなされると自分が否定された気がして、過剰に反応してしまう。推しが伸びれば自分も誇らしく、沈めば自分まで落ち込む。気持ちが推しと連動しすぎると、日々の振れ幅が大きくなります。

推しの価値と自分の価値がどれくらい重なっているかは、人によって差があります。重なりが強いほど、他のファンの言葉や数字に心が揺れやすくなります。

だからこそ、境界線がぼやけると防衛的になりやすいのです。推しへの好きと、自分の存在の安心は、少し分けて眺めてみると楽になることがあります。

反応を求める気持ちの積み重なり

投稿にいいねがつくと嬉しくて、また反応がほしくなります。やがて、伸びそうかどうかで投稿を選ぶようになっていく。

反応が来る、基準が上がる、もっと欲しくなる。この循環に入ると、好きを発信していたはずが、承認を集める作業に近づいてしまいます。

反応を待つ時間が重くなったら、好きを発信することと評価を確かめることを分けて考えてみましょう。
反応を待つ時間が重くなったら、好きを発信することと評価を確かめることを分けて考えてみましょう。

伸びた投稿の数字が、翌日の自分の機嫌を決めることさえあります。思うように伸びない日は、それだけで気持ちが沈みます。

エゴサをして、心無い言葉に落ち込む人もいます。反応を確かめずにいられない状態は、少しずつ心をすり減らします。好きだったはずの発信が、いつしか義務のように重くなっていきます。

界隈・情報量が疲れを増やす場面

疲れの発生源は、比較だけではありません。人間関係や情報量、義務感といった環境側の要因も重なります。ここでは、自分の疲れがどこから来ているかを切り分けていきます。

見る側と発信する側の違い

同じSNS疲れでも、眺めていて疲れる人と、投稿して反応を待って疲れる人がいます。見る側は情報や比較で消耗し、発信する側は評価や反応で消耗しやすいです。

二次創作を上げたり、エゴサをしたりする人は、後者の疲れを抱えがちです。自分はどちらの疲れが強いかを意識すると、打つ手が変わってきます。

見るのがつらいのか、投稿がつらいのか。そこがはっきりすると、休め方も自然と見えてきます。

見ることで疲れるのか、発信して疲れるのかを分けると、自分に合う休み方を選びやすくなります。
見ることで疲れるのか、発信して疲れるのかを分けると、自分に合う休み方を選びやすくなります。

界隈の人間関係が疲れる瞬間

新規と古参、同担、繋がりタグ。好きが同じというだけで集まった場所には、合わない人も必ずまじります。

推し歴の長さで上下ができたり、暗黙のルールに気を使ったりする場面もあります。仲良しアピールや繋がりの広さに、置いていかれる感覚を覚える人もいます。心無いコメントやマウントのような言葉に触れると、一気に気持ちが重くなります。

批判してくる相手が、こちらの反論で考えを変えることは、まずありません。反論して相手を変えようとするより、見ない、関わらないという線を引く。そのほうが、消耗はずっと少なくて済みます。

情報量とリアルタイム性への疲れ

新情報、ネタバレ、当落。SNSは、今すぐ追わないと乗り遅れるという空気を強めます。

少し離れただけで置いていかれる気がして、休むのが怖くなる。でも実際には、あとからでも追える情報がほとんどです。

リアタイできない日があっても、推しへの気持ちは消えません。追い続けること自体が重荷になっているなら、それは追い方を変える合図です。情報は、全部を握らなくても回っていきます。

情報は今すぐ追うものとあとで見るものに分け、見ない日をつくっても推しへの気持ちは変わりません。
情報は今すぐ追うものとあとで見るものに分け、見ない日をつくっても推しへの気持ちは変わりません。

応援しなければという義務感

好きで始めたはずの推し活が、いつのまにかやらなきゃに変わることがあります。グッズも現場も、応援しないと申し訳ない気がしてくる。

先のマイナビニュースの調査を見ても同じです。応援が義務のように感じるという回答は、2割を超えていました。好きだからこそ、無理をしてしまう人が多いのです。

だからといって、あなたの応援が足りないわけではありません。応援は、こなさなければならない仕事ではない、と一度立ち止まってよいところです。

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熱が冷めたように感じてしまう状態

疲れが続くと、好きだった気持ちまで見えにくくなることがあります。それが一時的な疲れなのか、燃え尽きに近い状態なのかを見分けていきます。どちらであっても、あなたを責める材料にはなりません。

一時的な疲れと燃え尽きの違い

少し休めば戻る疲れと、熱そのものが薄れてしまう状態は、別のものです。後者は、心理学でバーンアウト(燃え尽き症候群)と呼ばれる状態に近いと説明されます。

強い情熱で走り続けた人ほど、ある日ふっと力が入らなくなります。燃やせる熱の量が多いぶん、それが尽きたときの落差も大きくなります。

推しロスや無気力に近い感覚が出ることもあります。これは根性の問題ではありません。エネルギーを使い切ったサインとして理解できます。

熱を取り戻そうと急ぐより、SNSの外で睡眠や生活を整える時間を先に確保してみてください。
熱を取り戻そうと急ぐより、SNSの外で睡眠や生活を整える時間を先に確保してみてください。

離れても戻らないことがある理由

距離を置けば元に戻る、とは限りません。好きだったはずのものに何も感じなくなって、怖くなる人もいます。

そんなときは、無理に熱を取り戻そうとしなくて大丈夫です。気持ちは、命じて動かせるものではないからです。

回復には、SNSの外での睡眠や生活の立て直しが先になることが多いです。好きが戻るかどうかは、そのあとでゆっくり確かめられます。今すぐ答えを出さないことも、立派な選択の一つです。

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URL:https://kokolaboratory.com/qa-5374/

疲れを軽くするためにできること

最後に、今日から試せることを整理します。大きな決断より、あとで戻せる小さな調整から始めるのがコツです。そのうえで、一人で抱えない方がよいサインにも触れておきます。

可逆的にできる調整から試す

疲れているときほど、アカウント全消しや推し降りを選びがちです。取り返しのつかない選択は、勢いで決めると後悔が残りやすいです。

まずは、あとで戻せる調整から試してみてください。

  • 通知をオフにする
  • 苦手なアカウントをミュートする
  • 見る時間帯を決める
  • 期間を決めて休む

フォローの整理や、鍵垢にして見る範囲を狭めるのも一つの手です。これらは、いつでも元に戻せます。衝動的な決断は、疲れが少し抜けてからでも遅くありません。

通知や表示範囲、見る時間はあとで戻せるため、大きな決断の前に小さく調整できます。
通知や表示範囲、見る時間はあとで戻せるため、大きな決断の前に小さく調整できます。

お金や時間の負担との向き合い方

比べてしまうと、グッズや課金に歯止めがきかなくなることがあります。マイナビの調査でも、推し活疲れの理由の最多はお金がかかりすぎるでした。

投げ銭や遠征費が、気づけば生活を圧迫していることもあります。使いすぎに気づいたら、先に上限を決めておくのが現実的です。

比較から生まれた出費なのか、本当に欲しいものなのか。そこを分けて見ると、財布も気持ちも少し軽くなります。

お金を減らすことは、推しへの愛が減ることとは違います。長く応援を続けるための、現実的な調整だと考えてみてください。

一人で抱えないほうがよいサイン

眠れない、食欲が変わった、仕事や学業に支障が出ている。SNSを見ていないと強い不安が出る、支出が生活を圧迫している。

眠れない日や生活への支障が続くときは、一人で抱えず専門家や信頼できる人につながってください。
眠れない日や生活への支障が続くときは、一人で抱えず専門家や信頼できる人につながってください。

こうした状態が2週間以上続くなら、相談先を探すときです。消えたい気持ちがよぎるときは、どうか抱え込まないでください。

医療機関や公認心理師などの相談先は、大げさな段階でなくても使ってよい選択肢です。しんどさを言葉にできる場所を持っておくことは、推しを長く好きでいる支えにもなります。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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