「ドパガキとは?」よく聞くけど、私も当てはまる?

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

「ドパガキ」という言葉、最近あちこちで見かけますよね。

私のところにも、自分のことかもと気にして来られる方がいます。

まず知ってほしいのは、これは病名ではないということ。

言葉に当てはめて落ち込むより、まず眠れているか、やりたいことができているかを見ていきましょう。

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20代女性(会社員・公務員)

最近SNSで「ドパガキ」という言葉を見て、これ私かも、と気になっています。

休憩のたびにショート動画を開いて、5分のつもりが気づけば30分。夜も布団の中でスクロールが止まりません。

やめたいのに手が伸びてしまう自分に、少し情けなさを感じています。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

新しい言葉を知って、自分に当てはまるのではと不安になる気持ちは、とても自然なものです。ドパガキとは何なのか、その意味を落ち着いて見ていくと、心当たりの正体が少しずつ見えてきます。

言葉の意味と脳の仕組みを整理しながら、自分を責めずにスマホと距離を取る考え方まで、一緒に見ていきます。

「ドパガキ」に不安になったあなたへ

最近この言葉を見かけて、少し胸がざわついたのかもしれません。まずは、その戸惑いから一緒に整理していきます。

医学的な診断名ではない

先にお伝えしたいことがあります。ドパガキは、医学的な診断名ではありません。 ネット上で生まれた俗語です。

ドーパミン中毒のガキを略した言葉です。SNSやショート動画を次々に見てしまう人を指して使われています。揶揄や自虐をこめて広まりました。

言葉が広まった背景には、集中が続かないと感じる人の実感があります。その感じ方そのものは、思い込みとは違います。ただ、それを病気の名前のように背負う必要はありません。

だから、この言葉に当てはまるかどうかで、自分の価値を測らなくて大丈夫です。ADHDのような疾患とも別のものです。

気になるのは、言葉そのものより、あなたの毎日に実際の困りごとが出ているかどうか。そこを起点に考えていきます。

言葉ではなく、毎日の困りごとを見ていきましょう。
言葉ではなく、毎日の困りごとを見ていきましょう。

大人にも心当たりがある

ドパガキは、若い世代を指して使われることが多い言葉です。ただ、当てはまるのは子どもや若者だけとは限りません。

朝、目覚ましを止めてそのままSNS。電車でも、お風呂でも、寝る前も動画。思い当たる大人は、きっと少なくないはずです。

年齢を問わず使うドパ中、ドパおじという派生語まで生まれています。これは世代の問題というより、今の環境そのものの話です。

スマホに手が伸びることは、年齢を問わず起こります。
スマホに手が伸びることは、年齢を問わず起こります。

電車を見わたせば、大人もかなりスマホを見ています。昔の子は我慢できたと語る人も、気づけば動画を眺めていたりします。人はもともと、思ったより刺激に弱い生き物です。

自分だけがだめなんだと感じていたなら、その前提を少しゆるめてみましょう。

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「ドパガキとは」が意味すること

言葉の中身をほどいていくと、自分の感覚がどこから来ているのかが見えてきます。少し脳の仕組みにも触れながら整理します。

ドーパミンは快楽物質ではない

ドーパミンが出すぎて脳が壊れる。そんなイメージを持っている人は多いかもしれません。この部分は、少していねいに見たいところです。

ドーパミンは、よく快楽物質と説明されます。でも実際は、もっと欲しい、次が気になるという動機づけに関わる物質です。 気持ちよさそのものとは少し違います。

だから、動画を見終わったあとに、思ったより満たされていないことがあります。欲しいは強いのに、よかったが追いつかない。そのズレが、物足りない感覚を残します。

欲しさと満足のずれは、意志の弱さだけでは説明できません。
欲しさと満足のずれは、意志の弱さだけでは説明できません。

一方で、ドーパミンは、やる気や学習にも欠かせない働きをしています。難しい問題が解けた。練習で少し上達した。そんな手ごたえにも、この仕組みが関わっています。

つまり、減らせばいいという単純な話ではありません。簡単な刺激だけに使うのをやめて、使い道を広げる。そんなイメージの方が、実際に近いです。

親しい人と会って笑う。誰かとゆっくり話す。そうした時間も、脳にとっては立派な報酬です。じんわりした満足は、こういう瞬間から積み上がっていきます。

これは、意志が弱いから起きるわけではありません。脳がそういう働き方をしているだけの話です。

アプリの設計が生む心当たり

やめたいのにやめられない。その背景には、アプリの側の作りもあります。

スクロールすれば次が出てくる。動画が終われば自動で再生される。通知が、戻ってきてと呼びかける。現代のアプリは、人を長くとどめるよう意図して設計されています。

面白い部分だけを抜き出した切り抜き。サビだけを楽しむ短い音楽。世の中の作り自体が、待つ時間を減らす方向へ動いています。

引き込まれやすさには、アプリの設計も関わっています。
引き込まれやすさには、アプリの設計も関わっています。

つまり、抗いにくいのは、抗いにくいように作られているから。相手は、人の注意を引くことに慣れた作り手です。気合いだけで張り合うのは、もともと分の悪い勝負になります。

こども家庭庁の青少年のインターネット利用環境実態調査を見てみます。動画視聴やSNSが、もっとも多く挙がる使い方です。あなたの思い当たることは、この大きな流れの中にあります。

スマホと距離を取る具体的な方法

ここからは、少し肩の力を抜いて読んでください。全部やる必要はありません。

まず変えたい生活習慣

いきなり全部やめなくて大丈夫です。最初の3日は、減らさずに、ただ眺めてみましょう。

どのアプリを一番長く開いているか。朝いちばんに触れるものは何か。そこが見えると、全部ではなく、いちばん吸われる場所だけを変えられます。

もし一つだけ選ぶなら、夜をおすすめします。朝に多少見るより、夜中まで見て眠りを削る方が、生活にひびきやすいからです。

  • 寝る1時間前は、スマホをリビングに置く
  • 枕元では充電しない
  • 目覚ましは別の時計を使う
  • 一日に少しだけ、何もしない時間を残す

大事なのは、我慢することではなく、手を伸ばしにくい場所へ置くこと。 環境の側を、先に整えておく発想です。

手を伸ばしにくい場所に置く工夫から始められます。
手を伸ばしにくい場所に置く工夫から始められます。

退屈な時間は、無駄ではありません。窓の外を見る。音楽だけ聴く。そんな時間が、刺激との距離を少し取り戻してくれます。

最初は落ち着かなくても、それで構いません。手持ちぶさたな時間に、少しずつ慣れていけば十分です。

使い方を変える工夫

スマホを手放さなくても、できることがあります。工夫のねらいは、開くまでのひと手間を増やすことです。

画面を白黒にすると、派手な色の誘いが弱まります。サムネイルの赤や、通知の赤い点が目立たなくなります。開いたあとの引き込まれ方も、少しやわらぎます。合わないと感じたら、設定からすぐ元に戻せます。

通知は、本当に必要なものだけ残して切りましょう。よく開くアプリは、ホーム画面から外す。それだけでも、無意識に伸びる手はぐっと減ります。

小さなひと手間が、無意識に開く流れをやわらげます。
小さなひと手間が、無意識に開く流れをやわらげます。

思い切って、よく見るアプリを消し、ブラウザから開くようにする方法もあります。ログインの手間が、ちょうどいいブレーキになってくれます。

おすすめのフィードを一度リセットすると、流れてくる内容が退屈になります。スクロールする指が、自然と止まりやすくなります。

そして、空いた時間に何をするかを、先に決めておく。減らした場所に別の楽しみがないと、またスマホが戻ってきます。 好きなことでかまいません。

続けるコツは、一気に全部やらないことです。刺さったものを一つだけ、まず一週間。楽だったと感じた工夫を、そのまま残していきましょう。

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自分を追い詰めないための考え方

方法よりも、こちらが本題かもしれません。言葉との距離の取り方を考えます。

この言葉に振り回されない視点

ドパガキは、短くて強い言葉なので、目に残ります。一度知ると、あれもこれも当てはまる気がしてきます。

でも、言葉が広がる勢いと、あなたの状態は別のものです。不安をかき立てる言葉ほど、人から人へ早く伝わっていきます。広まり方の速さを、当たっている証拠として受け取らないでください。

似たことは、これまでにもありました。かつてはゲーム脳という言葉が広まりました。科学的な確かさより、それっぽさの方が受けたのです。

言葉よりも、眠りや毎日の過ごしやすさを確かめましょう。
言葉よりも、眠りや毎日の過ごしやすさを確かめましょう。

高頻度の刺激がすべて悪い、と決めるのも、少し急ぎすぎです。旅先で流れる景色や、テンポの速いスポーツを、私たちは悪いものとは呼びません。

言葉に当てはめると、話が早く分かった気になります。でも、分かった気と、実際に困っていることは、別々に見た方が確かです。

自分を測る物差しは、言葉ではなく、実際の生活。眠れているか、やりたいことに手がついているか。そこを見る方が、ずっと役に立ちます。

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自分を責めずに完璧を目指さない

やめようと決めた日に、つい見すぎてしまう。よくある話です。そこで自分を強く責めると、かえって刺激に戻りやすくなります。

自己採点を、100点か0点かにしないこと。数日サボっても、また戻ればいい。反動でたくさん見た日も、明日からまた戻るだけと考えれば十分です。

目指したいのは、ゼロではなく、自分で選べる状態。 今日より少し減った、それで前に進んでいます。

完璧な一日を作るより、効いた工夫を一つ残す。その方が、結局は長く続きます。来週も同じ工夫が手元に残っていれば、それで十分です。

完璧ではなく、続けやすい工夫を一つ残していきましょう。
完璧ではなく、続けやすい工夫を一つ残していきましょう。

ひとりで抱え込まない相談先

ただ、生活が大きく崩れているときは、一人で抱えないでください。次のようなサインが続くなら、相談を考えたい段階です。

睡眠が昼夜逆転している。学校や仕事へ行けなくなっている。強い不安や気分の落ち込みが続く。やめたいのにやめられず、本人が強く困っている。

目安になるのは、支障が続く長さです。数週間たっても生活が元に戻らないなら、抱え込まない方がいい段階です。

こうしたときは、頼れる先があります。ひとつは、厚生労働省のまもろうよ こころ。相談窓口がまとまっています。

依存の悩みが強いなら、依存症対策全国センターの情報も入口になります。無理に決めなくていいので、選べる先があることだけ、頭の隅に置いておいてください。誰に話すかは、今日決めなくてもかまいません。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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