抗うつ剤を飲み始めてからイライラが止まらなくて、このまま続けて大丈夫なのか不安です
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
抗うつ剤を飲み始めた時期のイライラは、診察の場でもよく打ち明けられる変化です。
性格が変わってしまったのではと、怖くなりますよね。
体が薬に慣れる途中で起きやすい反応だと知ると、受け止め方も少し変わってきます。
つらいときは無理せず、主治医に伝えてみてください。
30代女性(会社員)
うつ病の治療で抗うつ剤を飲み始めて2週間ほど経ちます。
最近ささいなことでイライラして、夫の何気ない一言にきつく返してしまいました。
夜になってもそわそわと落ち着かなくて、布団に入っても目が冴えてしまうんです。
副作用なのか悪化なのか分からず、このまま続けていいのか迷っています。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
良くなるために飲み始めた薬なのに、イライラや落ち着かなさが増えると、自分がおかしくなってしまったようで怖いですよね。
抗うつ剤の飲み始めには、こうした変化が起きることが知られています。この記事では、イライラ・そわそわ・無気力が起こる背景と、様子を見てよい場合と相談したほうがよい場合の見分け方を整理していきます。
抗うつ剤を飲み始めてからイライラが止まらないとき
まず、いま起きている変化をどう受け止めればよいのかを整理します。イライラが続くと心配になりますが、決して珍しいことではありません。
性格が変わったわけではない
抗うつ剤を飲み始めてから怒りっぽくなったと感じると、自分の性格が変わってしまったのではと不安になる方が少なくありません。
けれど、抗うつ剤は人格や価値観を変える薬ではありません。脳内のセロトニンなどのバランスが変わっていく過程で、感情の波が一時的に大きくなることがあるのです。
イライラしてしまうのは、心が弱いからでも、性格が悪くなったからでもありません。体が薬に慣れていく途中で起きうる反応だと知っておくだけでも、自分を責める気持ちは少し和らぎます。

飲み始め・増量直後に出やすい一時的な反応
抗うつ剤の副作用は、飲み始めや量を増やした直後の1〜2週間に現れやすいことが知られています。
イライラやそわそわ感も同じで、多くは体が慣れるにつれて落ち着いていくとされています。一過性で終わることが多い一方、症状が続く場合もあるため、いつから何が変わったかを覚えておくと後の診察で役立ちます。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
イライラ・そわそわ・無気力を引き起こす主な原因
ここでは、抗うつ剤の服用中に起こりやすい精神面の変化を、原因ごとに切り分けて整理します。自分の状態がどれに近いかを照らしながら読んでみてください。
賦活症候群によるイライラ・焦り
飲み始めや増量直後に、不安や焦り、イライラが強まる現象は賦活症候群(アクチベーションシンドローム)と呼ばれています。
服用初期は薬の血中濃度が安定しにくく、中枢神経が刺激されることで気持ちが高ぶりやすくなると考えられています。頻度は高くないものの、この時期のイライラの背景としてまず考えたい反応です。
アカシジアによるそわそわ感
じっと座っていられない、脚を動かしたくなる、体の内側がむずむずするといった感覚は、アカシジアと呼ばれる副作用の可能性があります。
気分よりも体のそわそわ感が強いこと、歩いたり動いたりすると少し楽になることが特徴です。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでも取り上げられており、薬の調整で改善しやすい症状とされています。

感情の平坦化による無気力
イライラとは反対に、喜怒哀楽が薄くなり、無気力になったと感じる方もいます。
これは感情の波が薬で穏やかに整えられていく過程で、これまで感じていた起伏まで小さくなったように感じられる状態です。悪化ではなく薬が作用しているサインの場合もあるため、自己判断で量を増やしたり中止したりしないことが大切です。
ここまでの3つの状態は、次のように整理できます。
| 感じ方 | 考えられる背景 | 特徴 |
|---|---|---|
| イライラ・焦り | 賦活症候群 | 飲み始め・増量後の1〜2週間に出やすい |
| そわそわして座っていられない | アカシジア | 体の落ち着かなさが強く、動くと少し楽になる |
| 無気力・感情が薄い | 感情の平坦化 | 悪化ではなく薬の作用による場合もある |

SSRIなど薬の種類ごとの違い
抗うつ剤にはSSRIやSNRI、NaSSAなど複数の種類があり、出やすい副作用にも違いがあります。
レクサプロやジェイゾロフトなどのSSRIは、セロトニンに働きかける性質上、服用初期のイライラやそわそわ感が報告されやすい傾向があります。どの薬でいつから変化が出たかは、その後の調整の大切な手がかりになります。
双極性障害が隠れている可能性
抗うつ剤を飲み始めてから、眠らなくても元気に動けるなど、普段より調子が上がりすぎる状態が続く場合は、うつ病ではなく双極性障害が隠れている可能性もあります。
穏やかだった人が急に攻撃的になるような変化があれば、治療方針そのものに関わるため、早めに主治医へ伝えてください。
様子を見てよい場合と相談すべきサインの見分け方
副作用かもしれないと思っても、すぐ受診すべきか迷いますよね。ここでは、様子を見てよい目安と、早めに相談したいサインを整理します。
様子を見ながら続けてよい目安
イライラやそわそわ感が軽く、仕事や家事など日常生活をなんとか送れているのであれば、体が慣れるまで様子を見られることが多いです。
飲み始めから1〜2週間のうちに少しずつ和らいでいるなら、慣れに向かう自然な経過と考えられます。ただし、自己判断で飲む量や回数を変えないことが前提です。

早めに主治医へ相談したいサイン
次のような状態があるときは、次回の診察を待たずに主治医へ連絡することを考えてください。
- イライラやそわそわ感が2週間以上続く、または悪化している
- 眠れない日が続き、生活に明らかな支障が出ている
- 衝動的な言動が増え、家族に別人のようだと言われる
- じっとしていられない感覚が強く、耐えがたい
我慢比べをする必要はありません。副作用の相談は治療の一部であり、伝えることで薬を調整するという選択肢が開けます。

若い世代が特に注意したいこと
賦活症候群をはじめとした精神面の副作用は、10代から20代の若い世代で起こりやすいことが知られています。
若い方が抗うつ剤を飲み始めるときは、気持ちの高ぶりや衝動性の変化に、本人だけでなく周囲の人も気を配れると安心です。
死にたい気持ちが出たときはすぐ受診を
強い焦燥感とともに死にたい気持ちが浮かぶようになったときは、様子を見る段階ではありません。
すぐに主治医や医療機関へ連絡してください。夜間や休日でつながらない場合は、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトで案内されている相談窓口も利用できます。
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自己判断でやめずに主治医と調整するコツ
つらい変化が続くと、いっそ薬をやめたくなるかもしれません。ここでは、急にやめないほうがよい理由と、主治医への伝え方を整理します。
急にやめると起こりやすい離脱症状
抗うつ剤を自己判断で急に中止すると、めまいやしびれ、不安、イライラといった離脱症状が出ることがあります。
薬をやめたのに、かえってイライラが強まってしまうことも珍しくありません。減らすときは主治医と相談しながら、時間をかけて段階的に進めるのが原則です。

主治医への伝え方のポイント
診察の場では症状をうまく言葉にできず、つい大丈夫ですと答えてしまう方も多いものです。
いつから、どんな場面で、どれくらいの強さで変化があったかをメモしておくと、短い診察時間でも状態が伝わりやすくなります。飲み始めた日や増量した日との前後関係は、副作用かどうかを見分ける大切な材料です。
イライラする自分を責めないための心のケア
最後に、薬の調整と並行してできる心のケアに触れます。イライラする自分への見方が変わると、回復までの道のりも少し歩きやすくなります。
薬と心のケアは回復の両輪
抗うつ剤は脳のバランスを整える手段ですが、うつ状態の背景にあるストレスや考え方のクセまで解決してくれるわけではありません。
十分な休養や環境の調整、カウンセリングなどの心理的なケアを組み合わせることで、回復はより安定したものになります。イライラを我慢する時間ではなく、心と体を休める時間を増やすことを意識してみてください。

公認心理師に相談するという選択肢
薬そのものの調整は主治医にしかできませんが、イライラしてしまう自分への戸惑いや、家族との関係のつらさは、公認心理師などの心の専門家にも相談できます。
服薬中の不安を言葉にして整理するだけでも、症状への恐怖が和らぐことがあります。ひとりで抱え込まず、頼れる場所をいくつか持っておくことが、回復までの日々を支えてくれます。
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