社交不安障害だと恋愛できないの?好きな人ができても怖いです

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20代男性(会社員)

職場に気になる人がいるのですが、話しかけようとすると頭が真っ白になって、結局なにも言えないまま終わってしまいます。
社交不安障害と診断されてからもう数年経ちますが、恋愛になるとよけいに怖さが強くなる気がします。

好きな気持ちはあるのに関わりに行けない自分がもどかしくて、でも関わったら関わったで変に思われるんじゃないかと怖くなる。
こんな状態で恋愛なんてできるのかなと、最近は気持ちを持つこと自体がつらくなってきました。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。
好きな人ができるたびに怖さが先に来てしまう。
社交不安障害とは、人との関わりの場面で強い不安や恐怖が続き、日常生活にも支障が出る状態のことです。
その苦しさは気持ちの弱さからではなく、不安が恋愛の場面でとくに強く反応しやすいことから来ています。

この記事では、社交不安障害があるときに恋愛でどんな心の動きが起こりやすいのか、そして自分に合うペースをどう考えていけるのかを、少しずつ整理していきます。

社交不安障害があると恋愛できないの?

恋愛に関心があるのに、不安のほうが大きくて動けない。
ここではまず、恋愛できないという感覚がどこから来ているのかを見ていきます。

恋愛したいのに怖くなるのはおかしなことではない

誰かを好きだと思う気持ちと、その人との関わりに強い不安を覚える気持ちは、矛盾しているようで実は同時に存在し得るものです。

社交不安障害があると、人との関わり全般で緊張や恐怖が生じやすくなりますが、恋愛はそのなかでもとくに相手からの評価が気になる場面です。
好きな人を前にしたとき、嫌われたらどうしよう、変に思われたらどうしようという不安が一気に強まるのは、気持ちが弱いからではなく、不安の仕組みが恋愛場面で反応しやすい状態にあるからです。

恋愛に対して怖いと感じること自体は、普通のことでその怖さがあるからといって、恋愛を望む気持ちまで否定しなくていい

恋愛できないのではなく、不安が先回りして動けなくなることがある

社交不安障害があるとき、恋愛が難しく感じられるのは能力や魅力の問題ではなく、行動の手前で不安がブレーキをかけてしまうことが大きな理由です。

好きな人に話しかけたいと思っても、その場面を想像するだけで心臓が速くなったり、失敗したあとのことばかりが頭に浮かんだりする。
この予期不安と呼ばれる反応が強いと、実際の行動に移る前に気持ちが消耗してしまいます。

恋愛できないという感覚は、できるかできないかの二択ではなく、不安の強さと行動のあいだにグラデーションがあるものです。
白か黒かで決めなくてよいと思えるだけで、自分の状態を少し落ち着いて見つめやすくなります。

人見知りと社交不安障害は何が違う?

自分のこの怖さは性格的な人見知りなのか、それとも別のものなのか。ここではその境界をどう考えればよいかを整理します。

人見知りと社交不安障害は何が違う?

緊張があっても関係を広げられるなら、人見知りの範囲のこともある

初対面の人と話すとき緊張する、慣れるまで時間がかかる。
こうした感覚は人見知りと呼ばれる性格傾向として多くの人にみられます。

緊張はあっても、時間が経てばある程度打ち解けられたり、必要な場面ではなんとか対応できたりするなら、それは人見知りの範囲として考えてよいことが多いです。

人見知りだからといって恋愛に向いていないわけではありません。
自分のペースで関係を深められるなら、その特性と付き合いながら進めていくことは十分できます

恋愛や日常を避けるほど苦しくなるなら、別の見方が必要になる

一方で、緊張が長期間続いて慣れることが難しかったり、人と関わる場面そのものを避けるようになって日常生活に支障が出ていたりする場合は、人見知りとは少し違う角度から自分を捉えたほうがよいかもしれません。

社交不安障害では、不安の強さや持続期間が大きく、回避行動が慢性的になるという特徴があります。
厚生労働省の資料では生涯有病率が3〜13%程度とされており、決してまれな状態ではありません。

不安の強さや持続期間が大きく、回避行動が慢性的になる。ただ決して稀ではない

ここで大事なのは、人見知りか社交不安障害かをはっきり線引きすることではなく、自分がどのくらい苦しいか、日常にどのくらい影響が出ているかを基準に考えてみることです。

社交不安障害の恋愛で起こりやすい心の動き

社交不安障害がある状態で恋愛をすると、特有の心の動きが繰り返し起こりやすくなります。
ここではその代表的なパターンを取り上げます。
もし自分にも当てはまると感じたとしても、それは不安の仕組みがそうさせているだけで、あなた自身に非があるわけではありません。

好きな人ほど失敗や拒絶が怖くなりやすい

社交不安障害の中心にあるのは、他者から否定的に評価されることへの強い恐れです。
恋愛の場面では、好きな相手であるほどこの評価不安が強まります。

どうでもいい相手なら少しくらい失敗しても気にならないのに、大切だと思う人の前ではわずかなミスも致命的に感じてしまう。
この反応は相手を大切に思っているからこそ起きるものですが、強くなりすぎると関わること自体を避ける方向に心が傾きます。

さらに、まだ何も起きていないのに失敗した場面を繰り返し想像する予期不安が重なると、話しかける前からすでに心が疲れてしまい、行動に移すエネルギーが残りません。

相手の反応を気にしすぎて自分らしく振る舞えなくなる

社交不安障害があると、自分がどう見えているかに意識が向きやすくなります。
心理学ではこれを自己注目と呼びますが、恋愛の場面ではこの傾向がとくに強く出ます。

相手の表情がほんの少し曇っただけで自分のせいだろうかと考え込む。
話し方や振る舞いがおかしくなかったかと、意識が内側ばかりに向く。

その結果、相手に嫌われないことが最優先になり、本当の自分の気持ちや考えを出せなくなる。
無理に合わせ続けるうちに心の余裕がなくなって、恋愛そのものが消耗するだけのものに変わってしまうことがあります。

うまくいかなかった場面を何度も思い返してしまう

会話のあとや会ったあとに、あのときこう言えばよかった、あの反応は引かれたかもしれないと、頭のなかで同じ場面を繰り返し再生してしまう。
これは反すうと呼ばれる思考のパターンで、社交不安障害ではよくみられる心の動きです。

(関連記事:【私だけ?】マイナス思考が止まらない…原因や対処法は?

反すうが続くと、実際にはうまくいっていた場面でも記憶のなかで悪い方向に書き換えられ、次に会うのがさらに怖くなるという循環に入ります。
本人にとっては反省しているつもりでも、気持ちを追い詰める方向に働いてしまうのがこのパターンの厄介なところです。

恋愛の場面ごとにつまずきやすいポイント

恋愛の場面ごとにつまずきやすいポイント

心の動きが分かったところで、ここでは恋愛の具体的な場面ごとに何が起こりやすいかを見ていきます。
自分がどの場面でとくに苦しくなるかを知ることは、対処を考えるうえでの手がかりになります。

話しかける前や好意が伝わりそうなときに止まりやすい

気になる人に声をかけたいと思っても、その瞬間に強い不安が立ち上がり、体が動かなくなる。
声をかけて無視されたら、言葉が出てこなかったら、好きだと気づかれてしまったら。
こうした想像が次々に浮かんで、結局なにもしないまま時間が過ぎていく。

あとから自分を責めるけれど、次の機会でもまた同じことが起きる。
この繰り返しのなかで、自分には恋愛は無理だという考えが少しずつ固まっていきます。

LINEやデートの約束で不安がふくらみやすい

少し関係が進んでも、LINEの返信ひとつで気持ちが大きく揺れる場面があります。
既読がついたのに返事が来ないだけで、嫌われたのではないかという考えが止まらなくなる。
デートの予定が決まると、当日まで何を話そうか、沈黙になったらどうしようと考え続けて、会う前からすでに消耗している。

こうした不安は相手には見えにくいため、周囲からは普通にやりとりしているように映っていても、本人のなかでは大きなエネルギーを使い続けています

付き合ってからも安心できず、気を遣いすぎて疲れやすい

交際が始まっても安心が長続きしないことは珍しくありません。
相手の機嫌が少し変わっただけで自分のせいだと感じたり、本当は言いたいことがあっても相手を怒らせるのが怖くて飲み込んでしまったり。
自分を出せないまま気を遣い続けることで、関係のなかにいるのに孤独を感じるという矛盾した状態が生まれることもあります。

嫌われていないか確認したくなる気持ちが強まると、何度も大丈夫かと聞いてしまい、それが相手の負担になるという悪循環に陥ることがあります。
つらいのは、相手を大切に思うからこそ確認が止められないというところです。

恋愛を諦める前に考えたいこと

ここまで読んで、やっぱり自分には無理だと感じた方もいるかもしれません。
でも、恋愛を諦めるか続けるかの前に、少し別の角度から考えられることがあります。

今は関係を進めるより、不安を整えることを優先した方がよいときもある

恋愛がうまくいかないとき、つい相手との関係をどうにかしようとしがちですが、まず自分の不安の状態を整えるほうが先に来るときもあります。

認知行動療法では、不安が生じる仕組みを理解し、回避や安全行動のパターンに気づいていくことで、少しずつ不安との付き合い方を変えていけるとされています。

恋愛を一度棚に置くことは、諦めることとは違います
不安を抱えたまま無理に進めるよりも、土台を整えてから関わりに戻るほうが、結果として自分を楽にしてくれる場合があります。

苦手さを相手に伝えるなら、困りごとから少しずつでもよい

自分の状態を相手に伝えるかどうかは、多くの方が悩むところです。
伝えなければ分かってもらえないけれど、伝えたことで関係が変わってしまうのではないかという怖さもある。

もし伝えるなら、診断名から入るよりも、こういう場面が苦手で、こういうときに緊張しやすいんだという困りごとベースで話すほうが、相手にとって受け取りやすいことが多いです。
タイミングも、ある程度信頼関係ができてからのほうが自然です。

無理に普通の恋愛を目指すより、自分に合う関わり方を探してよい

周囲の恋愛と自分を比べて、普通はこうなのにと思うことがあるかもしれません。
でも、恋愛のかたちは人それぞれで、全員が同じペースや距離感で関わる必要はありません。

対面よりメッセージのほうが気持ちを伝えやすいなら、それを自分の持ち味として活かしてよいし、大人数の場より二人きりのほうが落ち着くなら、そういう関わり方を選んでよいのです。

自分に合う方法を探すことは、妥協ではなく、自分を大切にしながら人と関わるための工夫です

社交不安障害の恋愛で誰かに相談した方がよいサイン

ここまでの内容を読みながら、自分の状態を振り返ってみてください。
もしいくつかの目安に当てはまるなら、一人で抱え込まずに誰かに話してみることも選択肢のひとつです。

恋愛以外の場面でも避けることが増えている

恋愛の場面だけでなく、仕事や友人関係、日常のちょっとした場面でも回避が広がっている場合は、不安の影響が生活全体に及んでいるサインです。

行動の幅が狭まっていると感じるなら、心療内科や精神科、あるいは認知行動療法に対応しているカウンセリングに相談してみることが、自分を楽にする一歩になり得ます。

自己否定や反すうが強く、気持ちの整理が難しくなっている

自分はだめだ、恋愛する資格がないという考えが頭から離れなかったり、過去の場面を何度も思い返して気持ちが沈み続けたりしているなら、一人で抱え込むには重たくなっている状態です。
カウンセリングでは、こうした思考のパターンを専門家と一緒に客観的に眺め直す作業ができます。

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この記事の監修者

石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。
1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。
また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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