仮面うつ病で腰痛や頭痛は出ますか?検査では異常なしなのに痛みがずっと続いてる

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

検査では異常がないのに、腰や頭の痛みだけが続く。

そのつらさは、気のせいでも我慢が足りないせいでもありません。

心の疲れが痛みとして現れることは、実際にあります。

この記事が、ご自身の状態を落ち着いて見つめ直し、次の一歩を考えるきっかけになれば幸いです。

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40代女性(パート・アルバイト)

半年ほど前から腰痛が続き、最近は頭痛も重なるようになりました。整形外科で検査をしても異常なしと言われ、痛み止めもあまり効きません。

朝から体が重く、湿布を貼りながら家事とパートをこなす毎日です。調べる中で仮面うつ病という言葉を見つけて、自分に当てはまるのか不安になっています。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

検査では異常がないのに痛みだけが続くと、どこに頼ればいいのか分からなくなりますよね。痛みを抱えたまま日常を回してきたこと自体、とても大変だったと思います。

この記事では、仮面うつ病と腰痛や頭痛の関係を整理しながら、うつが疑われる痛みを見分ける観点と、受診の順番を一緒に確認していきます。

検査で異常なしなのに続く痛みは気のせいではありません

原因の分からない痛みを抱え続けるのは、それだけで心をすり減らす経験です。まずは、いま起きていることの全体像と、仮面うつ病という言葉の位置づけから整理していきます。

痛み止めが効かず何科か迷う不安

整形外科や内科で検査をしても異常が見つからず、処方された痛み止めもあまり効かない。そうなると、何か見落とされているのではと不安が膨らんでいきます。

湿布や薬でしのぎながら、次はどの病院に行けばいいのかと検索を繰り返す。そんな日々が続けば、心細くなるのは自然なことです。

ただ、体に原因が見つからないのに続く痛みは、怠けでも思い込みでもありません。心の疲れが痛みという形で表に出ている可能性が残されています。

検査で異常が見つからなくても、続いている痛みは現実のものです。
検査で異常が見つからなくても、続いている痛みは現実のものです。

腰痛・頭痛だけでなく出やすい体のサイン

心の不調が体に現れるとき、症状は腰や頭だけにとどまらないことが多いとされています。

  • 肩こりや首の痛み
  • 胃の不快感、便秘や下痢
  • 何をしても抜けない倦怠感
  • 寝つきの悪さや夜中・早朝の目覚め

複数の部位の不調が同時に続いている場合、それぞれ別の病気というより、背景にひとつの心の疲れが隠れていることがあります。

腰や頭以外の不調も重なるときは、背景にある心身の疲れを一緒に見ます。
腰や頭以外の不調も重なるときは、背景にある心身の疲れを一緒に見ます。

「仮面うつ病」は正式な病名ではない

仮面うつ病とは、気分の落ち込みよりも先に腰痛や頭痛などの身体症状が目立つうつ状態を指す通称です。DSMと呼ばれる国際的な診断基準に載っている、正式な診断名ではありません。

それでも、身体症状が前面に出るうつ状態そのものは、診療の場で数多く確認されてきました。名前の正しさよりも、いま自分の心と体で何が起きているのかを見ていくことが大切になります。

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仮面うつ病で腰痛や頭痛が出るのはなぜか

心の不調がなぜ体の痛みに変わるのか、不思議に感じるかもしれません。ここでは、その橋渡しをしている心と体のしくみを、3つの角度から整理します。

心の不調が体に出る身体化のしくみ

つらさを気分の落ち込みとして感じる代わりに、体の症状として表れることを、心理学では身体化と呼びます。

日本では精神的な苦しさを言葉にすることへのためらいが強く、つらさが体の症状として出やすい傾向が指摘されています。うつと認めたくない気持ちが、無意識のうちに痛みという出口を選ばせることもあります。

気持ちを言葉にできない負担が、体の痛みとして先に表れることがあります。
気持ちを言葉にできない負担が、体の痛みとして先に表れることがあります。

例えば、大きな負担がかかった時期から痛みが始まっているのに、本人は心のつらさをほとんど自覚していない、ということが起こります。

感情を言葉にしにくい失感情症と我慢

自分の感情の変化に気づきにくく、言葉にするのが苦手な傾向は、失感情症(アレキシサイミア)と呼ばれています。病気ではなく、性格の傾向を表す心理学の概念です。

感情に気づきにくいと、自分にどれだけ負担がかかっているかも把握しづらくなります。結果として、無理を重ねている自覚がないまま、体の症状だけが積み上がっていきます。

我慢強く、責任感があり、弱音を吐かずにやり過ごしてきた人ほど、心より先に体が悲鳴を上げることがあります。最近の気持ちをうまく言葉にできていたか、振り返ってみてください。

セロトニンと痛みの関わりを平易に

脳には、痛みをやわらげるブレーキの役割を持つ神経の回路があり、セロトニンやノルアドレナリンという物質がその働きを支えています。

うつ状態ではこれらの物質の働きが低下し、痛みのブレーキが利きにくくなると考えられています。骨や筋肉に異常がなくても腰痛や頭痛を強く感じ、痛み止めが効きにくいのは、この変化で説明できる部分があります。

心の疲れで痛みを抑える働きが弱まると、痛みを強く感じやすくなります。
心の疲れで痛みを抑える働きが弱まると、痛みを強く感じやすくなります。

つまり、この痛みは気の持ちようではなく、体の側で起きている調整の乱れとして理解できるものです。

うつが疑われる痛みを見分けるサイン

長引く痛みのすべてが、うつと関係しているわけではありません。ここでは、心の関与を疑ってよいサインを、自分で観察できる形で整理します。

朝つらく夕方楽になる日内変動と睡眠

うつが関係する不調には、朝が一番つらく、夕方にかけて少し楽になるという日内変動がみられることがあります。仕事が忙しい時期に悪化し、休日に少し軽くなるなど、状況と連動した波があるのも特徴のひとつです。

また、朝の4時や5時に目が覚めてそのまま眠れない早朝覚醒は、うつを疑う大事なサインとされています。痛みと一緒に、睡眠や食欲、楽しみの感じ方が変わっていないかにも目を向けてみてください。

痛みと一緒に、朝のつらさ、眠り、楽しみ方の変化も観察します。
痛みと一緒に、朝のつらさ、眠り、楽しみ方の変化も観察します。

検査で異常なし・痛み止めが効かないの意味

体の組織の傷みから来る痛みと、心の疲れが関わる痛みでは、現れ方に違いが出やすいとされています。

観点体の要因が中心の痛みうつが疑われる痛み
検査結果画像や検査で説明がつく検査では異常が見つからない
痛み止め一定の効果を感じやすい効き目を感じにくい
痛む場所部位が比較的一定部位や強さが変わりやすい
時間帯動作や姿勢に連動する朝に重く夕方に軽くなりやすい

あくまで目安ですが、右側に当てはまる項目が多いほど、心の側面も含めて全体を見てもらう意味が出てきます。

病院を転々とするドクターショッピング

原因を求めて医療機関を次々に変える状態は、ドクターショッピングと呼ばれます。見落としを心配すれば自然な行動ですが、検査と落胆を繰り返すうちに、心身がさらに消耗しやすくなります。

検査を重ねるほど迷いが深まるときは、痛み以外の変化も含めて整理します。
検査を重ねるほど迷いが深まるときは、痛み以外の変化も含めて整理します。

同じ検査を重ねる前に、痛み以外の変化も含めて全体を診てもらうという視点に切り替えることが、この循環から抜け出す糸口になります。

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痛みが続くときの受診の順番と何科に行くか

自分だけでうつかどうかを判断する必要はありません。ここでは、体の病気の確認から心の専門家への相談まで、迷わないための順番を整理します。

まず整形外科・内科で体の病気を確かめる

最初に必要なのは、腰痛や頭痛を起こす体の病気がないかを確かめることです。椎間板ヘルニアや内科の病気が隠れている可能性は、先に検査で除いておく必要があります。

これまでの検査の結果は無駄になりません。体の病気が除かれているからこそ、心の側面を安心して検討できます。

すでに検査で異常がなく、治療を続けても変化がない場合に、次の段階へ進みます。整形外科への通院をやめる必要はなく、並行して進めて構いません

体の病気を確認しながら経過を伝え、必要に応じて心の側面も相談します。
体の病気を確認しながら経過を伝え、必要に応じて心の側面も相談します。

心療内科・精神科・ペインクリニックの使い分け

体の検査で異常がなければ、心療内科や精神科が相談先の候補になります。体の症状が強いときは心療内科が選ばれやすい傾向がありますが、どちらを選んでも大きな問題はありません。

痛みの治療を専門とするペインクリニックも、長引く痛みへの経験が豊富な選択肢です。

気分の落ち込みを自覚していなくても、受診はできます。体の不調が続いていて、心の影響かどうかを見てほしいと伝えれば、それだけで十分に伝わります。

医師に痛みを伝えるメモの作り方

短い診察時間で伝えきれるか不安なときは、受診前に簡単なメモを用意しておくと支えになります。

痛みが始まった時期、1日の中でつらい時間帯、睡眠と食欲の変化、以前の楽しみを楽しめているか。この4点を書き出しておくだけで、医師が全体像をつかみやすくなります

痛みの始まり、睡眠や食欲、楽しみ方の変化をメモしておくと伝えやすくなります。
痛みの始まり、睡眠や食欲、楽しみ方の変化をメモしておくと伝えやすくなります。

うまく話せなくても、メモを見せるだけで伝わります。診察室で言葉に詰まりやすい人ほど、この準備が助けになります。

自分を責めずに続けるセルフケアと相談先

痛みと付き合いながらの毎日は、それだけで十分に力を使っている状態です。最後に、心を守るための視点と、頼れる相談先を整理します。

痛みを甘えと決めつけない

検査で異常がないと、痛がっている自分の方がおかしいのではと感じてしまう人は少なくありません。

痛みを甘えと決めつけず、休む時間を持つことも回復の土台になります。
痛みを甘えと決めつけず、休む時間を持つことも回復の土台になります。

けれど、痛みのブレーキが利きにくくなっているとき、その痛みは体で実際に起きている感覚です。周囲に理解されにくい心細さも含めて、感じていることをそのまま認めるところから、回復の土台ができていきます。

放置せず早めに相談したいサイン

痛みに加えて、早朝覚醒や食欲の低下、楽しみの喪失が2週間以上続いているときは、様子見をやめて専門家に相談したいタイミングです。

消えてしまいたい気持ちがよぎるときは、それだけで受診の十分な理由になります。厚生労働省の相談情報サイトであるこころの耳でも、電話やSNSで相談できる窓口が案内されています。

カウンセリングという選択肢

一人で抱えず、専門家と一緒に痛みの背景を言葉にしていく道があります。
一人で抱えず、専門家と一緒に痛みの背景を言葉にしていく道があります。

病院に行くほどではない気がする、まず気持ちを整理したい。そんな段階では、カウンセリングという選択肢もあります。

公認心理師などの専門家と一緒に、痛みの背景にある生活や気持ちの変化を言葉にしていく時間は、受診の準備にもなります。ひとりで抱え続ける以外の道がいくつもあることを、覚えておいてください。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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