マインドフルネスができなく、雑念だらけで寝てしまう自分が嫌になってしまう…

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

マインドフルネスがうまくいかない、と検索した時点で、ちゃんと自分を整えようとしているんだと思います。

雑念が止まらないのも、途中で眠ってしまうのも、実はよくあること。

できない自分を責めるより、今日はここまで、と切り上げる練習から始めてみませんか。
うまくやろうと力むほど遠のく、その不思議さも知っておいてほしいです。

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30代女性(会社員)

仕事のもやもやを整えたくて、夜に瞑想アプリを始めました。

でも呼吸を数えているうちに考えごとばかり増えて、気づけば寝落ちしています。

こんな簡単そうなことも続かなくて、自分にがっかりしてしまうんです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

うまくやろうとするほど、かえって眠くなったり考えが増えたりして、余計に疲れてしまう。そんな行き詰まりは、あなたの努力不足のせいだとは限りません。

この記事では、マインドフルネスができないと感じる仕組みを一度ほどいて、力を抜いて試せる工夫や、続ける・形を変える・休むという選び方を一緒に整理していきます。

マインドフルネスがうまくできないと感じるとき

心を落ち着けたくて始めたのに、うまくいかないと、かえって気持ちが乱れてしまう。まずはその感覚を、少しだけ言葉にしてみます。何がどう感じられているのかが見えると、対処の向きも変わってきます。

雑念・眠気・つらい記憶という3つのつまずき

マインドフルネスができないと感じるとき、その中身は人によってかなり違います。ざっくり分けると、次の3つのつまずきに整理できます。

  • 呼吸に集中しようとしても、考えごとが次々に浮かんで止まらない
  • 静かに目を閉じると、すぐに眠くなる・寝てしまう
  • 過去の嫌な出来事や、ふだん見ないようにしている感情が出てくる

雑念で難しいのと、眠くなる・寝てしまうのは、別々の悩みのように見えて、どちらも同じ、うまく座れないという体験の裏表です。まずは、自分のつまずきがどれに近いのかを眺めてみると、次の一歩を選びやすくなります。

「できない自分」を責めてしまう苦しさ

多くの人がしんどくなるのは、できないこと自体よりも、できない自分にがっかりしてしまうところです。心を整えるための練習のはずが、いつの間にか自分を採点する時間になっている。

つまずきの種類を分けて眺めると、自分に合う対処を選びやすくなります。
つまずきの種類を分けて眺めると、自分に合う対処を選びやすくなります。

簡単そうに見えることほど、つまずいたときの落ち込みは大きくなりがちです。でも、後で見ていくように、雑念が浮かぶことも眠くなることも、失敗ではありません。ここがほどけると、練習との距離感がだいぶ変わってきます。

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そもそもマインドフルネスは「無になること」ではない

うまくできないと感じる背景には、マインドフルネスへの誤解が隠れていることがよくあります。ここでは、その仕組みを少し整理します。理屈が分かると、責める必要はなかったと気づける場面が増えます。

雑念が浮かぶのは自然な反応

マインドフルネスは、頭を真っ白にして無になることではありません。心理学では、注意がふっとよそに向かう現象をマインドワンダリングと呼びますが、これは誰の頭でも自然に起きています。

大切なのは、雑念をゼロにすることではなく、浮かんだと気づいて、そっと呼吸に戻すその一往復のほうです。むしろ、考えていたなと気づけた瞬間こそ、練習ができている証拠と考えられています。消そうとするほど増えていくのは、あなただけではありません。

考えが浮かんだと気づき、そっと戻る一往復そのものが練習です。
考えが浮かんだと気づき、そっと戻る一往復そのものが練習です。

眠くなるのは体からのサイン

瞑想の途中で眠くなる、そのまま寝てしまうのも、よくある反応です。静かに目を閉じて呼吸に意識を向けると、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になり、心と体が休息のほうへ傾きやすくなります。覚醒と睡眠のちょうど中間のような状態になるため、眠気が出るのはむしろ自然なことです。眠気は、それだけ体が休みたがっているサインとも読めます。

つまり、眠くなることは意志の弱さではありません。ただし、日中の強い眠気が続くようなら、疲労や睡眠不足そのものへの手当てが先かもしれない、という見方も持っておくと安心です。

眠気が強い日は、失敗と考えず休息を優先してかまいません。
眠気が強い日は、失敗と考えず休息を優先してかまいません。

うまくやろうとするほど遠ざかる

やっかいなのは、きちんとやろうと力むほど、かえって遠ざかっていく点です。正しくできているか確かめようとすると、その確認自体が新しい考えごとになってしまいます。

効果が出ているかを測ろうとする姿勢も、同じように続かなさを生みます。できないのではなく、うまくやろうとする力みが強いだけ、ということが少なくありません。

力を抜いてできるマインドフルネスの工夫

理屈が分かったら、次は負担を減らす工夫です。ここでは、眠気や雑念を無理に抑え込まず、力を抜いて試せる方法を紹介します。全部やる必要はなく、気になったものを一つだけで十分です。

眠気を抑える姿勢と時間帯

眠くなるときは、環境と姿勢を少し変えるだけで楽になることがあります。実践記事でよく挙げられている調整を、表にまとめます。

つまずき試せる調整
すぐ寝てしまう目を薄く開ける・背筋を軽く伸ばす
夜だと眠い朝や日中に短く行う
食後にぼんやりする満腹の直後は避ける

横になるより、椅子に浅く座るほうが眠気は出にくくなります。それでも眠ってしまう日は、無理に起きていようとせず、今日はそういう日だと切り上げてかまいません。

座る形が合わないときは、歩く動きや家事の感覚にも注意を向けられます。
座る形が合わないときは、歩く動きや家事の感覚にも注意を向けられます。

座らずにできる歩行瞑想やながら瞑想

じっと座るのがつらいなら、動きながらでもマインドフルネスはできます。座る形にこだわらないことが、続けるうえで大きな助けになります。

たとえば、部屋の中をゆっくり歩き、足の裏が床に触れる感覚に注意を向ける歩行瞑想。ほかにも、皿を洗う手の温かさや、コーヒーの香りに意識を向けるだけでも、立派な練習になります。呼吸が難しいと感じる人ほど、こうした身体の感覚のほうが戻ってきやすいものです。

1日1分から回数を重ねる

長くやろうとするほど、ハードルは上がります。1回の長さより回数、と考えると、ぐっと楽になります。まずは1分から始めて、物足りないくらいで終えて大丈夫です。

効果を感じられるまでには、数か月から年単位の時間がかかるとされています。すぐに変化がないのは当たり前で、あなたのやり方が難しいからでも、向いていないからでもありません。

長さよりも気軽に戻れることを大切にし、まずは1分から試せます。
長さよりも気軽に戻れることを大切にし、まずは1分から試せます。

できない日は自分にやさしく声をかける

うまくできない日ほど、自分への言葉がきつくなりがちです。ここで役立つのが、セルフ・コンパッションという考え方です。心理学者クリスティン・ネフが提唱した、自分を親しい友人のように扱う態度を指します。

友人が同じように落ち込んでいたら、責めずに、今日は疲れていたんだね、と声をかけるはずです。それを、そのまま自分にも向けてみる。うまくいかない日の練習は、この一言から始めても十分に意味があります。

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無理に続けず「休む・形を変える」も選べる

マインドフルネスは、続けることだけが正解ではありません。ここでは、自分を守るための選択肢を整理します。しんどいときに立ち止まれることも、大切な力です。

つらい記憶が出たら中断していい

静かに座ると、ふだん抑えている感情や、つらい記憶が浮かんでくることがあります。そういうときは、我慢して続けないほうが安全です。

いったん目を開けて、部屋の中を見渡したり、水を飲んだり、足の裏や手のひらに注意を移してみる。意識を体の内側から外側へ向けると、少し落ち着きを取り戻しやすくなります。これは逃げではなく、自分を守るための正当な手当てです。

つらい記憶が出たら中断し、意識を安全な今の環境へ戻します。
つらい記憶が出たら中断し、意識を安全な今の環境へ戻します。

続ける・形を変える・一度離れるの3つ

できるかできないかの二択で考えると、行き詰まりやすくなります。代わりに、次の3つを対等に並べてみてください。

そのまま続ける、座る形を歩行や書く瞑想に変える、そして一度離れる。どれも失敗ではなく、今の自分に合うものを選ぶというだけのことです。うまくできないと感じる時期は、練習が足りないのではなく、休息が足りないだけのこともあります。

続ける、形を変える、一度離れるのどれを選んでも失敗ではありません。
続ける、形を変える、一度離れるのどれを選んでも失敗ではありません。

専門家に相談したほうがよいサイン

一人で抱えないほうがよい状態もあります。目安として、次のようなときは、練習量の問題として片づけないほうが安心です。

気分の落ち込みや不眠が2週間以上続いている。実践のたびに不安が強まる。つらい記憶が繰り返しよみがえって、日常に支障が出ている。こうしたときは、心療内科や精神科、カウンセリングという選択肢があります。厚生労働省のこころの耳でも、相談できる窓口を案内しています。マインドフルネスができないことより、その奥にある疲れを一緒に見てもらう段階なのかもしれません。

マインドフルネスができないときのよくある疑問

最後に、検索でよく調べられる疑問に触れておきます。細かい不安がほどけると、練習との付き合い方も見えてきます。どれも、正解を一つに絞らなくて大丈夫です。

毎日やらないと意味がない?

毎日できなくても、意味がなくなるわけではありません。間があいても、また戻れば十分です。毎日やらなければ、という規範こそが、続かなさと自己否定を生む一因になります。

寝てしまってもいい?

寝てしまう日があっても、それで台無しになるわけではありません。体が休息を選んだ、と受け取れば十分です。どうしても起きて行いたいなら、時間帯を朝に移したり、姿勢を変えたりして調整してみてください。

寝てしまうときは、朝へ移したり椅子に座ったりして無理なく調整できます。
寝てしまうときは、朝へ移したり椅子に座ったりして無理なく調整できます。

効果はいつ出る?向かない人はいる?

効果の実感には個人差が大きく、変化を感じるまでに数か月かかることも珍しくありません。すぐに手応えがなくても、それは失敗の証拠ではないのです。また、強い抑うつやつらい記憶を抱えているときは、無理に続けると負担が増える場合もあると知られています。向いていないと決めつける前に、今は静かに座ると考えごとが増えやすい時期なのだと言い換えてみる。向き不向きよりも、今の心の状態に合うかで考えると、ずいぶん選びやすくなります。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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