不安障害を「考えすぎ」と言われて理解されないのだが、どう伝えたら分かってもらえる?
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
不安を「考えすぎ」と流されると、話すこと自体をためらってしまいますよね。
本当は分かってほしいのに伝わらない、その孤独は、あなたの弱さや努力不足のせいではありません。
この記事では、なぜ伝わりにくいのかを整理し、無理のない伝え方やご自身の休め方を一緒に考えていきます。
どうか一人で抱え込まないでくださいね。
30代女性(会社員)
半年前から理由もなく強い不安に襲われることが増え、心療内科で不安障害と言われました。
職場で体調を崩して早退したとき、上司や同僚に「気にしすぎだよ」と軽く流されてしまいました。
分かってほしいわけではないけれど、つらさが伝わらないのがしんどくて。
どう話せば分かってもらえるのか、自分の伝え方が悪いのかと考え込んでしまいます。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
不安のつらさを「考えすぎ」と受け流されると、傷つく前に説明する気力さえ奪われてしまいますよね。分かってもらえない苦しさは、あなたの伝え方や性格の問題とは限りません。
この記事では、不安障害が周囲に理解されにくい理由を整理し、無理なく伝える方法を一緒に考えていきます。
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「考えすぎ」と流されて分かってほしいのに伝わらない
不安のつらさを打ち明けても軽く受け止められると、次はもう言えないと感じてしまいますよね。この章では、なぜ不安障害が周囲に伝わりにくいのか、その背景を一緒に整理していきます。
すぐに解決策へ進む前に、まずは今のしんどさがどこから来ているのかを見ていきます。
外見から分かりにくい不安障害の特性

不安障害のつらさが伝わりにくい大きな理由は、症状が外から見えにくいことにあります。
強い不安や動悸を感じていても、表情や態度は落ち着いて見えることが少なくありません。本人の中では警報が鳴り続けていても、周囲には普段どおりに映ってしまうのです。
動悸や過呼吸、頭痛や腹痛といった身体の反応が出ても、単なる体調不良と受け取られることもあります。心の緊張が身体の症状として現れているという結びつきは、外からはとても見えにくいものです。
不安障害で感じる恐れは、いま起きている出来事ではなく、この先起きるかもしれないことに向くことも多くあります。だから周囲からは、何も起きていないのになぜそこまで悩むのかと映りやすいのです。
だからこそ、伝わらないのは説明が下手だからではなく、そもそも見えづらい性質があるからだと知っておくと、少し肩の力が抜けるかもしれません。
理解されないのは性格や努力のせいではない
気にしすぎと言われるうちに、自分の性格が弱いのかと責めてしまう方は多くいます。
けれど不安障害は、気持ちの持ち方や頑張りの不足で説明できるものではありません。全般性不安障害や社交不安障害といった状態には脳や自律神経の働きも関わるとされ、意志の力だけで抑えられるものではないと考えられています。
心配性との違いは、日常生活にどれだけ支障が出ているかで整理されることが多いです。仕事や家事、人づきあいが不安のために立ち行かなくなっているなら、それは性格の範囲を超えたサインかもしれません。
不安障害はうつ状態と重なりやすいことも知られており、たとえば社交不安障害では約7割にうつ病が併存するという指摘もあります。それだけ、放っておくと心の消耗が広がりやすい状態なのです。
伝わらなかった経験が続くと、自分が大げさなのだと感じやすくなります。その感覚自体が、理解されにくさの中で生まれた反応だと切り分けておきたいところです。無理に前向きになろうとするより、まずは今の状態をそのまま認めるところから始めて大丈夫です。

全員に分かってもらおうとしなくていい
つらいときほど、身近な人みんなに分かってほしいと願ってしまうものです。
ただ、すべての人に理解を求めようとすると、伝わらないたびに消耗が重なっていきます。理解の得やすさは相手との関係や経験によっても変わり、こちらの努力だけで決まるわけではありません。
分かってくれそうな人を一人見つけることのほうが、全員の理解を得ようとするより心の負担は軽くなります。同じ悩みを持つ人の集まりや、信頼できる家族や友人など、話せそうな相手から少しずつでかまいません。繰り返し傷つく相手とは、少し距離を置く選択があってもかまいません。
理解されないことに疲れているなら、まずは求める範囲を狭めてみる。全員に分かってもらえなくても、一人でも受け止めてくれる人がいれば、心の支えは確かに変わります。それは諦めではなく、自分を守るための線引きです。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
分かってほしい人に不安障害をどう伝えるか
伝え方を少し整えるだけで、相手の受け止め方が変わることもあります。この章では、信頼できる相手に不安障害をどう話すか、その組み立てを考えていきます。
一度にすべてを話す必要はない、という前提から始めます。
診断名・症状・してほしいことを分けて話す
伝わりにくさは、いろいろな要素が混ざって話されることからも生まれます。
そこで、伝える内容をあらかじめ分けて整理しておくと、相手も受け取りやすくなります。
- 診断名や状態(例:不安障害と言われた、強い不安が続いている)
- どんなときにどんな症状が出るか(例:人前や電車で動悸がする)
- そのときにどうしてほしいか(例:静かに見守ってほしい、話を聞いてほしい)
特にしてほしい対応まで言葉にすると、相手も戸惑わずに済みます。症状を目にした相手も、どう接すればいいか分からず戸惑っていることは少なくありません。分からないから離れるのではなく、分からないから動けない、という状態を防げるのです。
すべてを伝えきれなくても、まずは一つ話せれば十分です。最もつらい症状を一つ共有するだけでも、相手との距離は少し縮まります。
家族や職場に求めたい対応の伝え方
家族と職場とでは、求めたい対応の中身が変わってきます。
家庭では、助言より先にただ聞いてもらうことが支えになる場面が多いです。励ましや解決策が、かえって焦りにつながることもあると添えておくと伝わりやすくなります。よかれと思った一言が負担になる前に、してほしいことを先に共有しておけると安心です。
職場では、業務への支障が出ている場合に絞って相談すると現実的です。早退や欠勤が続くようなら、必要な配慮を具体的に伝えることで、仕事量の調整や休憩の確保につながることもあります。
ただし、打ち明ける相手や環境は慎重に選びたいところです。相談できる上司がいるか、病気への理解がある雰囲気かによって、伝えるべきかどうかは変わってきます。理解を得にくい相手には、無理に伝えない判断があってよいのです。

不安が高まったとき自分で落ち着かせる方法
伝えることと並行して、自分で不安を鎮める手立てを持っておくと安心です。この章では、不安が強まった場面ですぐ試せる方法を紹介します。
どれも即効性を約束するものではなく、続ける中で助けになっていくものです。
腹式呼吸と筋弛緩で体をゆるめる
強い不安があるとき、呼吸は浅く速くなりがちです。
そこで役立つのが、お腹を意識してゆっくり息を吐く腹式呼吸です。息を吐くときにお腹をへこませ、吸うときにふくらませる。この呼吸には自律神経を整える働きがあるとされます。
体の力みをほどく方法として、漸進的筋弛緩法というリラクセーション法も知られています。肩や手にいったん力を入れてから、すっと抜く。緊張と弛緩の落差で、自分でも気づかなかったこわばりに気づきやすくなります。不安が強いときほど体は無意識に固まっているので、その硬さを一つずつゆるめていくイメージです。
うまくできない日があってもかまいません。落ち着かせようと気負うより、少し体をゆるめる時間くらいの気持ちで取り入れてみてください。

不安を書き出して頭の外に出す
不安が渦巻くときは、考えが頭の中でぐるぐると回り続けます。
そんなときは、感じていることをそのまま紙やスマホに書き出してみましょう。きれいにまとめる必要はなく、断片的な言葉の羅列でかまいません。
書き出すことで、頭の中の不安を外に置いて眺められるようになります。何に不安を感じているのかが見えると、漠然とした恐れが少し輪郭を持ちます。そこで初めて、思っていたより小さな心配だったと気づけることもあります。
すべてが解決するわけではなくても、抱えたままより負担は軽くなります。眠れない夜に、頭の中を一度紙に移すだけでも違うかもしれません。
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つらさが続くときに頼れる専門家と相談窓口
セルフケアだけでは苦しさが続くこともあります。この章では、専門家に頼る目安と、相談先の選び方を整理します。

頼ることは弱さではなく、状態を見極めるための選択肢です。
受診や相談を考えたい目安
どのタイミングで相談すればいいのか、迷う方は多いはずです。
次のような状態が続くときは、一人で抱えず専門家に相談することを考えてみてください。
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 強い動悸や発作が繰り返し起きる
- 仕事や家事、対人関係に支障が出ている
- 消えたい、いなくなりたいという気持ちがよぎる
こうしたサインは、頑張りが足りないのではなく、休息と支えが必要な段階を示しています。ここまで来る前に相談しても、もちろん早すぎることはありません。特に消えたい気持ちがあるときは、我慢して抱え込まず、早めに医療機関や相談窓口へつながることが大切です。
公認心理師・心療内科・公的窓口の選び方
相談先にはいくつかの種類があり、目的によって選び方が変わります。
じっくり話を聞いてほしいときは、公認心理師などによるカウンセリングが向いています。薬による治療も視野に入れたいときは、心療内科や精神科での相談が選択肢になります。
医療機関では、不安を和らげる薬に加えて、考え方のクセにゆっくり働きかける認知行動療法を受けられる場合もあります。
いきなり受診するのはハードルが高いと感じるなら、公的な窓口から始める方法もあります。厚生労働省の「こころの耳」では、電話やSNS、メールでの相談を無料で受け付けています。
どこから頼るかに正解はありません。相談してみて合わないと感じたら、別の窓口や相手に変えてもかまいません。今の自分が話しやすいと感じる場所から、少しずつつながってみてください。
分かってもらえない時間が続いても、あなたのつらさが軽いということには決してならないのです。
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