不妊うつなのか毎日涙が出て眠れなくて、仕事を休みたいくらいつらい

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

不妊治療のつらさは、頑張っている人ほど抱えやすいものです。

涙が出る、眠れない、自分を責めてしまう。

そうした反応は弱さではなく、心が限界のサインを出している状態だと考えられます。

一人で抱え込まず、休むことや誰かに頼ることも、大切な選択肢のひとつです。

この記事が、少し立ち止まるきっかけになればと思います。

アバター画像

30代女性(会社員)

不妊治療を始めて二年が過ぎました。

仕事の合間に通院を続けていますが、生理が来るたびに涙が止まらず、夜も眠れません。

周りの妊娠報告を素直に喜べない自分が嫌になります。

もう仕事を休みたいくらいつらいのに、これくらいで甘えていると思われそうで、誰にも言えないままです。

ココラボ相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

毎日涙が出て眠れないほどのつらさを、ここまで一人で抱えてこられたのですね。

この記事では、その状態が不妊うつと呼ばれるものなのか、そして仕事を休むという選択も含めて、今の心をどう守れるかを一緒に整理していきます。

cotreeは日本最大級の
オンラインカウンセリングサービス

登録しておけば、
頼りたいときにすぐ相談の1歩を踏み出せます!

毎日涙が出て眠れない、そのつらさはあなたのせいではない

涙や不眠、自責は弱さではなく、心が休息を求めているサインとして受け止めてください。
涙や不眠、自責は弱さではなく、心が休息を求めているサインとして受け止めてください。

生理が来るたびに涙があふれ、夜も眠れない。

そんな毎日が続くと、自分の心がどうなってしまったのか不安になりますよね。

まずは、その状態を気の持ちようで片づけずに、そのまま受け止めるところから始めていきます。

不妊うつ(妊活うつ)は正式な病名ではない

不妊うつや妊活うつという言葉は、医学的な正式名称ではありません。

不妊治療や妊活のストレスから、抑うつ状態やうつ病に近い心身の不調が起きている状態を、まとめてこう呼んでいます。

正式な診断名がつかないぶん、ただの落ち込みと軽く見られやすい言葉でもあります。

けれど実際には、専門家のサポートが必要になるほどの心の不調を指すことが少なくありません。

診断名がつかないからこそ、自分でも甘えなのではと感じてしまいがちです。

その感覚こそが、あなたを追い詰めている一因かもしれません。

治療を受ける女性の約半数が抑うつ状態に

治療で心に負担を抱えることは珍しくなく、一人だけの弱さではありません。
治療で心に負担を抱えることは珍しくなく、一人だけの弱さではありません。

つらいのは自分だけだと思い込んでいる方は、とても多くいらっしゃいます。

けれど、これは決して特別なことではありません。

国立成育医療研究センターの調査では、体外受精などの高度な不妊治療を受ける女性のうち、治療開始初期の段階ですでに約54%に軽度以上の抑うつ症状がみられたと報告されています。不安が高まっていると判定された方も39%にのぼりました。

つまり、治療を受ける二人に一人以上が、心に重い負担を抱えているということです。

あなたの涙は弱さのしるしではなく、それだけ真剣に向き合ってきた証だとも言えます。

アバター画像

監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?

不妊うつでよくある症状と、うつ病との違い

ここでは、どんな状態が続いているときに立ち止まったほうがよいのかを整理します。

自分を診断するためではなく、今の心の位置を知るための目安として読んでみてください。

涙・不眠・自責…当てはまるサイン

不妊うつと呼ばれる状態では、次のようなサインが重なりやすくなります。

  • 以前は楽しめたことに興味がわかない
  • 理由もなく涙が出る、または眠れない日が続く
  • 妊娠できない自分を責めてしまう
  • パートナーの言動にいら立ちを感じる
  • 友人の妊娠報告や妊婦さんを見るのがつらい

いくつも当てはまっても、自分を責める必要はありません。

これらは、心が休息を必要としているサインとして受け取るものです。

重なるサインは、自分を責める材料ではなく休息や相談を考える目安です。
重なるサインは、自分を責める材料ではなく休息や相談を考える目安です。

「うつ状態」と「うつ病」を分ける2週間の目安

落ち込むこと自体は、つらい状況への自然な反応です。

問題になるのは、その状態がどれくらい続いているかという点にあります。

一般的に、気分の落ち込みや不眠が2週間以上ほぼ毎日続き、仕事や家事が手につかなくなっている場合は、うつ病として治療の対象になることがあります。一時的な落ち込みと、受診を考える段階の線引きとして、この2週間という目安を覚えておくと安心です。

心療内科や精神科を受診することは、大げさなことでも負けでもありません。

早くつながるほど、回復にかかる時間も短くなりやすいと言われています。

死にたい気持ちが浮かぶときは早めの受診を

つらさが続くときは、早めに医療機関へ相談することが心を守る一歩になります。
つらさが続くときは、早めに医療機関へ相談することが心を守る一歩になります。

もし消えてしまいたい、自分なんていない方がいいという気持ちが浮かぶときは、我慢して抱え込まないでください。

それは、心がこれ以上頑張れないと伝えているサインです。

眠れない、食べられない状態が続くときや、涙が止まらないときも同じです。

こうした状態が重なっているなら、できるだけ早く医療機関に相談することを、選択肢の一番上に置いてほしいと思います。受診は特別な決断ではなく、心を守るための現実的な手段のひとつです。

なぜ自分を責めてしまうのか、心の仕組みを解く

自分を責める気持ちには、いくつもの背景が絡んでいます。

その仕組みを知ると、少しだけ肩の力が抜けるかもしれません。

終わりの見えなさ・ホルモン・費用が重なる

不妊治療がつらくなる理由は、一つではありません。

これをすれば必ず授かるというゴールが見えないまま、期待と落胆を毎月くり返すことが、心を静かに消耗させていきます。

さらに、排卵誘発剤などのホルモン剤が気分の浮き沈みに影響することもあります。通院のたびにかかる費用や、仕事との両立の難しさも重なります。イライラや涙もろさを自分の性格の問題と感じてしまう方も多いのですが、身体の変化が心に働きかけている側面も小さくありません。

加えて、インターネットには真偽の分からない情報があふれ、他人の妊娠報告が次々と目に入ります。パートナーとの温度差を感じる場面もあるでしょう。こうした要素が一度に押し寄せると、心の容量はすぐにいっぱいになってしまいます。責める相手がいないぶん、その矛先が自分に向かいやすくなるのです。

複数の負担が重なると、責める矛先が自分へ向かいやすくなります。
複数の負担が重なると、責める矛先が自分へ向かいやすくなります。

「妊娠できない=価値がない」ではない

つらさが深いとき、多くの方が妊娠できない自分には価値がないという考えにとらわれます。

けれど、妊娠できるかどうかと、あなたという人の価値は、本来まったく別のものです。

体外受精による出産率が年齢とともに下がることは医学的に知られており、努力だけでどうにかできるものではありません。

つまり、結果が出にくいことは、あなたの頑張りが足りないからではないのです。

コントロールできないことに反応して心が沈むのは、ごく自然なことだと考えてみてください。

アバター画像

監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?

休む・治療を区切るという選択肢

つらさが限界に近いときは、いったん立ち止まる選択も現実的な一手です。

ここでは、休職という具体的な方法と、その心理的な意味を整理します。

休職と傷病手当金・診断書・連絡カード

休む選択は、医師への相談と職場制度の確認から具体的に考えられます。
休む選択は、医師への相談と職場制度の確認から具体的に考えられます。

働き続けるのがつらいときは、休職という制度を使うこともできます。

医師の診断書があれば、治療や体調不良を理由に休職を申請できる場合があります。

会社の健康保険に加入していれば、休職中に傷病手当金を受け取れることがあります。おおよそ給与の三分の二程度が、最長で1年6ヶ月を上限に支給される仕組みです。申請から最初の3日間は待機期間となり、4日目からが支給の対象になります。

また、厚生労働省の不妊治療連絡カードを使えば、治療中であることや必要な配慮を、医師の証明とともに職場へ伝えやすくなります。

制度の細かな条件は健康保険組合や勤務先によって異なります。

辞めるしかないと思い詰める前に、使える制度がないか一度確認してみてください。

休むと決めることは負けではない

立ち止まることは、自分の心と人生を真ん中に置き直す決断でもあります。
立ち止まることは、自分の心と人生を真ん中に置き直す決断でもあります。

治療や仕事を一度休むと決めることに、罪悪感を抱く方は少なくありません。

ここでやめたら後悔するのではという思いが、心をすり減らしながら走り続けさせてしまうこともあります。

治療そのものを一度休む、あるいは区切りを考えることも、同じように語られにくいテーマです。

ここでやめたら、という不安は消えにくいものですが、見通しは年齢や治療歴によっても変わります。今後の方針や区切りの目安を主治医と率直に話し合うこと自体が、心を守る一歩になります。

けれど、休むことや区切りをつけることは、諦めとは違います。

それは、自分の心と人生を真ん中に置き直すための前向きな決断でもあります。

立ち止まってよいのだと、自分に許可を出すところから始めてみてください。

一人で抱えないための境界線と相談先

最後に、つらさを一人で抱え込まないための具体的な工夫を整理します。

心を守るための境界線と、頼れる相談先を知っておきましょう。

親・同僚・SNSの言葉と距離を取る

子どもはまだという何気ない言葉に、深く傷つくことがあります。

そうした言葉に、無理に笑って応える義務はありません。

話題を変える、今はそっとしておいてほしいと伝える、SNSから少し離れる。

どれも逃げではなく、自分の心を守るための正当な選択です。つらくなる情報からは、意識して距離を取ってかまいません。

パートナーには「察して」でなく具体的に

パートナーには、つい察してほしいと願ってしまいます。

けれど、男性は治療の実感を持ちにくい立場にあり、悪気なくすれ違うことも少なくありません。

そこで役立つのが、してほしいことを具体的な言葉にして伝えることです。

たとえば、結果が出るまではその話題に触れないでほしいと、ひとつだけでも共有してみると、相手も支えやすくなります。

不妊専門相談センターやカウンセリングへ

医療機関のほかにも、頼れる場所があります。

各都道府県などが設置する不妊専門相談センターでは、専門家が医学的な相談だけでなく心の悩みにも応じており、多くは無料で秘密も守られます。

気持ちの整理をしたいときは、公認心理師などによるカウンセリングを利用する方法もあります。

ココラボ相談室もその一つとして、あなたが少し息をつける場になれたらと思います。

一人で抱えきれないと感じたら、どうかその手前で、誰かを頼ってみてください。

アバター画像

監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

この記事をシェアする

cotreeは日本最大級の
オンラインカウンセリングサービス

登録しておけば、
頼りたいときにすぐ相談の1歩を踏み出せます!

公認心理師が
あなたの一歩を支えます

相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。

公認心理師がサイト上で回答します

公認心理師にオンラインで相談

カウンセリングの詳細