マインドフルネスはやばいって本当ですか?やるほど不安が強くなる気がして怖い
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
マインドフルネスで不安が強まると、やり方が悪いのかと自分を責めがちですよね。
静かになるほど、普段は流していた感覚が前に出てくる。
これはわりと自然な反応で、消そうと粘るより一度離れていいんです。
そのくらいの構えで読んでもらえたら。
30代女性(会社員)
ストレスに効くと聞いて、寝る前にマインドフルネスを始めました。
最初は良かったのに、続けるうち布団の中で動悸がして、嫌な記憶ばかり浮かぶようになって。
やめたら負けな気もするし、やりすぎなのか向いていないのか、分からなくなっています。
ココラボ相談室からの回答
やるほど不安が強くなるのは弱さのせいではない
まず、続けるほどつらくなっている今の状態を、やり方の失敗として片づけないでください。静けさの中で不安が前に出てくるのには、心の仕組みとしての理由があります。
静かにすると不安が出てくるのはなぜか
普段の私たちは、仕事や会話やスマホで、次々に注意をそらしながら過ごしています。マインドフルネスは、その注意を今の自分へ向け直す練習です。
私たちの心は、起きている時間の半分ほどを、過去や未来をさまよう状態で過ごしているとも言われます。その注意を今へ引き戻すと、これまで通り過ぎていた感覚や記憶が、急に前に出てきやすくなります。
これは不安が悪化したというより、もともとあったものが見えやすくなった状態に近いです。暗い部屋にライトを当てたとき、汚れが増えたのではなく、見えるようになっただけ、というイメージに似ています。

寝る前に動悸がしたり、嫌な場面が浮かんだりするのも、心が壊れたサインとは限りません。ただ、見えやすくなった量が自分ひとりで抱えられる範囲を超えていないかは、少し気にかけておきたいところです。
怖いと感じた自分を責めなくていい
良いとされるものに違和感を持つと、自分の感じ方がおかしいのかと思いがちです。けれど、怖いという感覚は、続けてよいかを測る大事な手がかりでもあります。
無理に消そうと粘るほど、できない自分を責める時間になってしまうことがあります。そんなときは、頑張りが足りないのではなく、いったん離れていい合図として受け取ってみてください。
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マインドフルネスがやばいと言われる3つの理由
やばいという言葉には、性質の違う不安がいくつも混ざっています。ここでは、印象・実際の副作用・ブームへの違和感の3つに分けて整理します。切り分けるだけでも、自分が引っかかっているのがどれなのか見えてきます。
宗教っぽく怪しいという印象の誤解
マインドフルネスは仏教の瞑想を源流にしていますが、いま広まっている形は宗教色を外したものです。1970年代にジョン・カバットジンが、ストレス低減の技法として体系化しました。
怪しいという印象の多くは、正体がつかめないことからくる警戒で、実際の危険性とは別の話です。ここを混同すると、必要以上に不安が膨らんでしまいます。

研究で報告されている副作用の中身
一方で、副作用そのものは実在します。2020年にイギリスの研究チームが行った系統的レビューでは、6700人あまりのうち約8.3%に何らかの副作用が確認され、精神疾患の既往がない人にも起きていました。
内訳で多いのは、不安感の増大、抑うつ感の増大、そして自分を遠くから眺めるような離人感でした。離人感は、傷ついているのにどこか他人事に感じるなど、感情とのつながりが薄れる感覚を指します。
この割合は一般的な心理療法の副作用とほぼ同じ水準でした。だからこそ、マインドフルネスは気軽な気晴らしではなく、心にしっかり作用する介入だと理解しておくほうが安全です。9割近くの人は問題なく続けられている一方で、合わない時期や状態があるということでもあります。

ブームや過剰な期待への違和感
これをやれば大丈夫、という語られ方に居心地の悪さを感じる人もいます。ストレスの原因になっている環境をそのままにして瞑想だけで乗り切ろうとすると、うまくいかないときに自分を責める方向へ向かいがちです。
効果を期待すること自体は自然なことです。ただ、期待が大きいほど、できなかったときの失望も大きくなる点は、頭の隅に置いておきたいところです。
逆効果になりやすいときと慎重にしたい人
副作用は、誰にでも同じように起きるわけではありません。逆効果になりやすい状況と、特に慎重にしたい状態を知っておくと、自分の今を見立てやすくなります。
反すうや自責が強まる仕組み
注意を内側へ向けると、普段は流していた後悔や自己批判にも光が当たります。自分に厳しい人や完璧主義の傾向がある人ほど、できていない自分に気づいて落ち込みが深まりやすいと言われます。
リラックスするつもりが、気づけば自分を責め続けていた。それは意志の弱さではなく、注意の向け先が変わったことで起きる自然な反応です。慈悲の瞑想で急に悲しみや怒りがあふれる、いわゆるバックドラフトも同じ仲間だと考えられています。
禅病・魔境として語られてきた不調
瞑想に没頭しすぎて心身の調子を崩す状態は、日本では古くから禅病や魔境と呼ばれてきました。江戸時代の禅僧・白隠慧鶴が夜船閑話に記した軟蘇の法は、その回復法として知られています。

のぼせ、耳鳴り、頭痛、強い不安といった不調が、昔から実践者に起こりうるものとして扱われてきたわけです。特別な人だけの話ではなく、やり方や量しだいで誰にでも起こりうるという前提で眺めると、少し落ち着けます。
主治医と相談したい状態や持病
重いうつの時期、パニック障害、PTSDや強いトラウマ、双極性障害などがある場合は、感情をありのまま受け止める練習の負荷が高くなりがちです。フラッシュバックや症状の悪化が起きることもあります。
これらは絶対禁止という意味ではありません。通院中の人や心当たりのある人は、続けてよいかを自分だけで決めず、主治医に一度確認するのが安心です。希死念慮があるときは、瞑想の可否より先に、医療機関へつながってください。
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続ける・休む・やめるを自分で決める
続けるか休むかは、正解を探すより自分の状態から決めるものです。ここでは、やりすぎの見分け方と、立ち止まりたい目安を整理します。
やりすぎは時間より生活で測る
1日何分以上が危険、という決まった基準はありません。目安になるのは時間の長さより、睡眠・食事・仕事・人との関わりといった生活の土台が保てているかです。

瞑想の時間は増えているのに眠りが浅くなり、日中もぼんやりする。そんなときは、量が生活を削り始めているサインかもしれません。
効果が出ないのは足りないからだと考えて、時間や回数を増やそうとしていないかも、振り返ってみてください。急に長時間へ延ばさないことは、無理をためないための地味だけれど大事なコツになります。

中止や相談を考えたいサイン
軽い揺れなら観察の対象にできますが、体や現実感に強く出ているときは別です。下の目安で、続けてよい状態と立ち止まりたい状態を分けてみてください。
| 続けても大きな心配がない | いったん中止して相談を考えたい |
|---|---|
| 軽いイライラや悲しみが浮かぶ | 息苦しさ・動悸・強い恐怖が出る |
| 呼吸が自然に保てている | 離人感や現実感の薄さが長引く |
| 終えると現実に戻れる | 落ち込みや自責が数日戻らない |
中断は失敗ではなく、自分を守るための選択です。やめたら負けという感覚が出てきたら、それ自体が少し休むタイミングなのかもしれません。
短くする・一人でやらないという選択肢
続けるかやめるかの二択で考えると、行き詰まりやすくなります。実際には、今は休む、時間を短くする、一人ではやらない、といった中間の選択肢があります。
マインドフルネスは治療の代わりではなく、あくまで補助です。これに頼るあまり、本当に必要な相談や休養から遠ざかっていないかも、ときどき振り返ってみてください。
安全に整えるセルフケアと相談先
最後に、不安が出たときの対処と、無理なく続けるための条件をまとめます。一人で抱えなくてよい、という前提で読んでください。
不安が強いときのグラウンディング手順
瞑想中に不安へ飲み込まれそうになったら、意識を今の現実へ戻すグラウンディングが助けになります。順番に試せるよう、短い手順にしておきます。
- 目を開けて、部屋の中の物を5つ見つける
- 足の裏が床に触れている感覚を確かめる
- 息をいつもより長めに吐く
- 立ち上がって、少し歩いてみる
大切なのは、正しくやることより現実に戻れることです。うまく落ち着けなくても、それで失敗ということはありません。

短時間から指導者と無理なく続ける
もう一度始めるなら、5分から10分ほどの短い時間からで十分です。最初から感情を観察しようとせず、呼吸や体の感覚に意識を向けるところからにすると、負担が減ります。
短い動画を見ただけで長時間に挑むと、副作用が起きやすくなります。独学で抱え込まず、信頼できる指導者やプログラムのもとで進めると、自分の反応を客観的に見てもらえます。
再発予防と急性期を混同しない
マインドフルネスを取り入れた認知療法(MBCT)は、うつが回復した後の再発予防では有効性が示されています。一方で、症状が重い急性期に独学で長時間行うことは、慎重にしたい場面です。
同じ瞑想でも、今の自分がどの時期にいるかで意味が変わるということです。良いと聞いたからではなく、自分の状態に合うかどうかで選べると安心です。

一人で抱えないための相談先
不調が数日たっても戻らない、眠れない、実践中に出た記憶や感情が日常に持ち越される。そんなときは、一人で判断しづらいサインです。
厚生労働省のこころの耳では、相談窓口の情報がまとめられています。専門職に頼ることは、続けられない弱さではなく、自分を大事にする方法の一つです。マインドフルネスがやばいのかを一人で抱えるより、まず今の自分の状態を誰かと確かめるところから始めてみてください。