自尊心を高めたいのに何から始め方が分からず、トレーニング方法を教えて
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監修者の石川蓮(公認心理師)先生より
自尊心を高めたいと調べている時点で、もう変わろうとする力は働いています。
ただ、方法を増やすほど焦ってしまう方も多いんですよね。
何から始めるかより先に、今どれくらい消耗しているかを見てほしいです。
そこが分かると、次の一歩は小さくて大丈夫だと気づけますよ。
30代女性(会社員)
自尊心を高める方法を検索しては、記事をいくつも読んできました。
それでも何から始めればいいのか分からず、今日も動けません。
会議で意見を求められても、自信が持てなくて飲み込んでしまいます。
帰り道にまた自分を責めていて、どうすればいいのか分からなくなります。
ココラボ相談室からの回答
ご相談ありがとうございます。
自尊心を高めたいと思うほど、うまくいかない自分に焦ってしまうことがあります。方法はたくさんあるのに、どれも続かないと感じているなら、その苦しさにはちゃんと理由があります。
この記事では、高める前に今の自分がどんな状態かを見つめ直しながら、無理なく試せる小さな一歩を一緒に整理していきます。
何から始めればいいか分からず立ち止まっているあなたへ
自尊心を高めたいのに、どの方法から手をつければいいのか分からない。その戸惑いは、やる気のなさではありません。ここでは焦りの正体を先に整理します。
「高めなければ」と焦るほど苦しくなる
自尊心を高めようと検索した時点で、あなたはもう自分を変えたいと願っています。それ自体が前に進もうとする力です。
ただ、方法を集めるほど「まだ足りない」と感じ、かえって自分へのダメ出しが増えることがあります。高めることを目標にすると、できていない部分ばかりが目につきやすくなります。
高めなければと力むほど、今の自分を否定する材料が増えていく。この仕組みに気づくだけでも、少し肩の力が抜けます。
まずは高めるより前に、今どれくらいすり減っているかを見てあげてください。無理に前を向かせるより、立ち止まっている自分をいったん認めるところからで十分です。

自尊心は上下でなく回復の時間で考える
自尊心は、高い低いという物差しだけで語られがちです。けれど実際は、削られたり戻ったりを繰り返しながら、ゆっくり動いていくものです。
今の低さは、あなたの欠陥ではなく、これまで頑張ってきた反動かもしれません。上げるというより、削られた状態から戻すという時間軸で捉えると、少し息がしやすくなります。
監修者の石川蓮(公認心理師)先生に相談してみませんか?
自尊心とは何か 自己肯定感やプライドとの違い
言葉が混ざると、自分の状態も見えにくくなります。ここで自尊心の意味と、似た言葉との違いを整理しておきます。
自己肯定感・自尊感情・自己効力感との違い
自尊心は英語のself-esteemの訳で、自分をそれなりに尊重できる感覚を指します。自己肯定感は、できない自分も含めて受け止める力です。
自己効力感は自分ならやれそうだという見通しの感覚で、少し意味が異なります。どれか一つを完璧にする必要はなく、重なり合って心を支えていると考えて大丈夫です。

顕在的自尊心と潜在的自尊心の違い
自尊心には、自分で自覚できる顕在的なものと、無意識にある潜在的なものがあるとされています。
顕在的な自尊心は成功体験で育ちますが、潜在的な自尊心は幼い頃の関わりの中で形づくられることがあります。表面では自信があるように見えても、奥では不安が残る、ということも起こります。
この二つは別々に動くため、片方だけを急いで上げようとしてもかみ合いません。努力してもなぜか満たされないときは、この奥側が関わっている可能性を頭の隅に置いておくと、自分を責めすぎずにすみます。
成果を出しても自分を認められない理由
頑張って結果を出したのに、少しも自分を認められない。そんな経験はありませんか。

これは、潜在的な自尊心が育ちにくいまま来た場合に起きやすい状態です。成果の量を増やしても届かない部分があると知っておくと、努力しても満たされない自分を責めずにすみます。
自尊心が下がる背景と今の自分の見立て
なぜ下がるのかが見えると、対処の方向も定まります。ここでは背景と、今の自分をどう見立てるかを扱います。
自尊心が低いときに起きやすいこと
自尊心が下がっていると、人の評価に振り回されたり、小さな指摘を人格の否定のように受け取ってしまうことがあります。
決断が苦手になり、自分の意見を飲み込む場面も増えます。これらは性格の問題ではなく、心が消耗しているサインとして見てあげてください。
日本の若者の自尊感情が低めに出やすいことは、内閣府が2018年に7カ国の13歳から29歳を対象に行った調査でも触れられています。自分だけが特別に劣っている、と抱え込まなくて大丈夫です。

失敗や比較 家庭環境や今いる関係の影響
自尊心が下がる背景には、失敗体験や、他人との比較があります。とくにSNSでは、比べる相手が絶えず目に入ります。
幼少期に褒められた経験が少なかったことも影響します。そして見落とされがちなのが、今いる関係や職場で否定を浴び続けている場合です。この状態では、個人の習慣だけで自尊心を高めるのは難しくなります。
今は高める時期か これ以上削られない時期か
大切なのは、今が育てる時期なのか、まず削られないようにする時期なのかを見分けることです。
エネルギーが底をついているときに成功体験を積もうとしても、続かずに自己否定を強めてしまいます。眠れているか、食べられているかを先に確認するほうが、遠回りに見えて近道になります。

自尊感情尺度は優劣でなく目安として
自分の状態を知る手がかりに、ローゼンバーグが1965年に作った自尊感情尺度という質問票があります。今も心理学や教育の分野で使われているものです。
ただ、点数はあくまで今の目安にすぎません。自尊感情は日々の出来事で揺れるので、疲れている時期に測れば低く出るのも自然なことです。
低い点数を、自分の価値が低い証拠のように受け取らないでください。数字は責めるためではなく、今の状態を知って労わるために使うものです。
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すり減らさず自尊心を育てる小さな一歩
ここからは、無理のない範囲で試せる自尊心を高める方法を紹介します。自尊心の高め方に正解はなく、全部やろうとせず、一つ選ぶ気持ちで読んでください。
できたことを書き留める1日5分のノート
自尊心を高めるトレーニングとしてよく挙がるのが、書くことです。1日5分、その日できたことや良かったことをノートに残していきます。
夜に反省ばかりする癖がある人ほど、できた事実を目に見える形にすることが助けになります。頭の中だけだと悪い記憶が勝ちやすいので、書いて外に出すことに意味があります。
書く瞑想と呼ばれるジャーナリングも、同じ発想です。うまく書こうとせず、感じたことをそのまま短く残すだけで構いません。昨日と同じ内容でも、小さな記録の積み重ねが、自分を見る目を少しずつ変えていきます。

自分にかける言葉が嘘っぽく感じるとき
自尊心を高める言葉を探しても、自分に向けるとどこか嘘くさく感じる。その違和感は自然なものです。
無理にポジティブな言葉を唱えると、かえってそう思えない自分を責めてしまいます。今の自分に届く小さな一言から始めるほうが安全です。うまく言えた日を数える必要もありません。
自分を思いやるセルフコンパッション
自分を高める前に、自分を雑に扱わないという発想も役立ちます。心理学ではセルフコンパッション、自分への思いやりと呼ばれています。
失敗した自分を、親しい友人にかけるような言葉で扱ってみる。他人と比べて評価するのではなく、つらい自分をそのまま労わるという点が、自尊心とは少し違う支えになります。
自尊心は「できる自分」に価値を見出す方向に傾きやすい一方、セルフコンパッションは、できない日の自分にも同じように優しくいられます。高める作業に疲れたときほど、こちらの視点が休息になります。

相手の評価と自分の価値を切り離す境界線
人の言葉に深く傷つくときは、相手の評価と自分の価値が地続きになっていることがあります。
言われたことと、自分がどういう人間かを、いったん切り離してみてください。相手の機嫌はその人のもので、あなたの価値とは別のものです。
たとえば仕事で注意を受けたとき、その場面での行動への指摘と、自分の人格への評価は本来別ものです。ここを分けて考えられると、必要以上に落ち込まずにすみます。この線引きの練習は、自分の意見を言う土台にもなっていきます。
つらさが強いときは一人で抱えず相談を
自尊心の問題として抱え込まないほうがよいときもあります。最後に、相談を考えたいサインと窓口の見つけ方を伝えます。
医療機関や相談を考えたいサイン
眠れない、食べられない、仕事や家事が回らない。気分の落ち込みが2週間以上続く。こうした状態は、自尊心を高める課題ではなく、心身の不調として扱う段階かもしれません。
消えてしまいたいという考えが浮かぶときは、早めに専門の力を借りてください。心療内科や精神科は、弱さではなく回復のための選択肢です。自尊心を自力で高めることと、不調のケアを受けることは、切り分けて考えて構いません。

話せる相手や窓口の見つけ方
まずは、否定せずに聞いてくれそうな人を一人思い浮かべてみてください。身近にいなければ、自治体の相談窓口や、電話やチャットで使える無料の窓口もあります。いきなり結論を出す場ではなく、気持ちを言葉にする練習台くらいに考えて大丈夫です。
何から始めればいいか分からない段階でこそ、誰かと一緒に整理することに意味があります。一人で答えを出そうとしなくて大丈夫です。ここまで読み進めたことも、すでに小さな一歩になっています。